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幹之(みゆき)メダカとは? 特徴や種類、飼育方法を解説

スタッフ

菊地誠

菊地誠

WEB媒体と紙媒体でライターしてます。タイでドリアン畑を営んでいます。APEXとダトニオ、古代魚が好き。小5の頃に飼育したカイヤンがキッカケで魚にハマりました。1800の水槽でアロワナとダトニオ、2200×1500×600のプールで錦鯉を飼育してます。

現在の品種改良メダカのルーツともいえる幹之(みゆき)メダカ。もともとは背中に青い体外光がのるタイプのメダカのことを指すことが多かったのですが、現在は愛好家やブリーダーによって品種改良が進み、〇〇幹之と呼ばれる品種や幹之をルーツに持つメダカも数多く登場しています。

幹之メダカは、体が強く生命力も高いと言われており、品種改良メダカの入門個体としてもおすすめ。

今回は、魅力的な幹之系のメダカを複数紹介します。それぞれの飼育方法も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

品種改良メダカの祖? 幹之(みゆき)メダカとは

体外光の美しさが幹之メダカの魅力

体外光の美しさが幹之メダカの魅力

白や青の体外光を持つ幹之メダカ。2007年に行われためだか品評会に出品された「背中に強い光を持つメダカ」がルーツとなり、品種改良が行われた品種です。出品者の娘さんの名前にちなんで「幹之(みゆき)」と呼ばれるようになりました。

幹之メダカは、さまざま品種と掛け合わせが行われ、現在はさまざまなタイプのメダカが作出されています。

平均寿命は、1年〜2年。累代が進むにつれて体が弱くなる品種改良メダカですが、幹之系は比較的、丈夫と言われています。

<累代とは>

累代は、生物の世代が繰り返されることを指します。品種改良メダカでは、子に引き継ぎたい特徴を持つオスとメスをペアリングさせて、繁殖を繰り返すことをいいます。

累代を行う際、同じ腹から生まれた個体同士を掛け合わせるため、近親での繁殖となります。その結果、身体が弱くなるという説も。これを防ぐために、愛好家のあいだでは同じ品種を交換し合う場合もあります。

幹之メダカの飼育方法は? 注意する点など

令和黒ラメ幹之サファイア系。幹之系にはラメを持つメダカもいる

令和黒ラメ幹之サファイア系。幹之系にはラメを持つメダカもいる

幹之メダカの飼育方法は、その他の品種改良メダカと同じです。詳しくは以下の記事を参考にしてください。

爽やかな青い体色と体外光が魅力! 「青幹之(あおみゆき)」

青幹之。頭までしっかりと体外光がのっている

青幹之。頭までしっかりと体外光がのっている

青幹之は、幹之系メダカのなかではスタンダードな品種のひとつ。現在は品種改良が進み、より体外光が強くのるようになりました。

こうした幹之系のメダカは、体外光の伸び具合でランクが異なります。背中の途中で切れているものを弱として、中、強、スーパー、フルボディと続きます。フルボディは、鉄仮面と呼ばれることもあり、幹之系メダカのなかでは、最もグレードの高い個体となります。

繁殖させる際に注意したいのは、フルボディの個体同士を掛け合わせても同じような個体が必ず出現するわけではないことです。

体外光の伸びは、親個体の資質、飼育方法によっても体外光の伸びは大きく変化します。体外光を伸ばす方法は以下の記事を参考にしてください。

真っ白な体色にプラチナのような輝き! 「白幹之(しろみゆき) 」

ここまで白い魚はなかなかいない?

ここまで白い魚はなかなかいない?

白幹之(しろみゆき) は、白い体色に体外光がのる真っ白なメダカです。ホームセンターやアクアリウムショップでも幅広く取り扱われており、比較的入手が容易な品種といえます。

体外光を伸ばす際は、白容器に入れて高水温で飼育するとよいとされていますが、青幹之や白幹之のように累代が進んでいる品種は、黒容器でも体外光が伸びることもあります。

墨がアクセントの激渋品種! 「斑(まだら)みゆき」

三色や紅白とは別の魅力がある

三色や紅白とは別の魅力がある

青い体外光と斑(まだら)に入る墨が特徴的なメダカ。写真は2年前にうなとろふぁ〜むで購入した斑みゆきを累代している個体たち。体外光と墨のバランスが美しい品種です。

飼育する際は、幼魚のうちは白容器で体外光を伸ばし、成魚となったら黒容器に入れ、墨を出現させるようにしましょう。

夜空にとどろく閃光のよう? 「閃光幹之(せんこうみゆき)」

細い体外光に周囲のラメが特徴的

細い体外光に周囲のラメが特徴的

埼玉県の老舗「うなとろふぁ〜む」が作出した閃光幹之(せんこうみゆき)。閃光のように伸びる体外光と夜空のような体色を持つメダカです。オーロララメ幹之から派生した個体を累代することで誕生しました。

うなとろふぁ〜むでは、黒容器でも体外光が伸びるように長い年月をかけて累代をしているため、黒容器で飼育しても写真のように育つ個体が多いようです。

赤と黒のコントラストが美しい「火輪幹之(かりんみゆき)」

他の幹之系とは異なる独自の渋さを持つ

他の幹之系とは異なる独自の渋さを持つ

火のようなダークな赤みと黒い体色が人気の「火輪幹之(かりんみゆき)」。ほかの幹之系のメダカとは異なるタイプで、さまざまな柄が出ることから繁殖も楽しめる品種です。黒容器でじっくりと飼育することで、より体色がハッキリとします。

まさに日本代表! 「ジャパンブルー(カブキ系黒幹之ブルータイプ)」

筆者が飼育するジャパンブルー。深い青が目を惹く

筆者が飼育するジャパンブルー。深い青が目を惹く

カブキの持つ青い体外光をより強化した品種が、ジャパンブルー。以前は、カブキ系黒幹之ブルータイプと呼ばれていたメダカです。

筆者も初めて見たときは、「こんなに美しい青が出てくるのか!」と驚きました。まさに宝石と呼ぶにふさわしい品種です。幼魚の間は白容器に飼育し体外光が伸びきったら黒容器に入れて青を濃く仕上げていくと良いでしょう。

品種改良メダカの大定番! 「黒ラメ幹之サファイア系」

幹之系だけでなく品種改良メダカの代表作ともいえる

幹之系だけでなく品種改良メダカの代表作ともいえる

2020年に岡山県の老舗「静楽庵」よりリリースされた黒ラメ幹之サファイア系。品種改良メダカといえば、この品種を思い浮かべる人も少なくありません。背中に青く輝くラメが無数にちりばめられ、宝石のサファイアのような上品な雰囲気を持ちます。

現在も愛好家やブリーダーによって選別・累代が行われ、ラメの青がより強くなる系統が作出されています。

青空のような爽やかな青みが魅力「白ブチラメ幹之サファイア系」

爽やかな青ラメが印象的

爽やかな青ラメが印象的

その翌年に静楽庵からリリースされた白ブチラメ幹之サファイア系。体に白いブチが入ることで、より青いラメが協調されています。黒ラメ幹之サファイア系と比べると、ラメが明るい青色をしていることが多く、爽やかな印象に。固定率も高く、初心者でも繁殖に挑戦しやすい品種です。

飼育は黒容器でじっくりと育ててあげるとラメのノリも良くなります。

歴史に名を刻んだ大人気品種「令和黒ラメ幹之サファイア系」

青と緑のラメがちりばめられている令和黒ラメ幹之サファイア系

青と緑のラメがちりばめられている令和黒ラメ幹之サファイア系

2022年に静楽庵がリリースし、大きな反響を呼んだのが「令和黒ラメ幹之サファイア系」。青いラメに赤いヒレが特徴的で、リリース当初から高い固定率(親にちかい、またはそれ以上のグレードの個体が生まれる確率)も高く、今に至るまで多くの愛好家が飼育しています。

ブラウン基調の令和サファイアも魅力的

ブラウン基調の令和サファイアも魅力的

頭が茶色がかった個体も生まれることも。青いラメに赤いヒレの個体で累代するのも良し、全体的にブラウンがかった個体で累代するのも良し、飼育者の好みで品種改良を進めていくとよいでしょう。

リリース当初は、オンラインショップで10セット以上も販売されたが、連日数秒で売り切れるという人気ぶりだった

リリース当初は、オンラインショップで10セット以上も販売されたが、連日数秒で売り切れるという人気ぶりだった

幹之メダカとは? 特徴や品種、飼育方法を解説

ちなみに令和黒ラメ幹之サファイア系は横見も美しいので、水槽飼育もおすすめです。

飼育難易度は高いがコアなファンが多い「三色ラメ幹之」

和な印象を持つ三色にゴージャスなラメが入った煌びやかな品種

和な印象を持つ三色にゴージャスなラメが入った煌びやかな品種

3色の体色にラメが入っている三色ラメ幹之。ラメと体外光の両方が発現することがあり、どういった個体が生まれるのかを楽しめる品種です。三色のバランスやラメの入り方などグレードの高い個体を発現させるためには、それなりの数の子を取る必要があるため、充分な容器とそれを置けるスペースの確保が重要となります。

しかし、数ある個体のなかから、自分好みのものが見つかったときの感動はひとしおです。

頭が赤くなる丹頂柄の個体

ちなみに筆者は、このように頭が赤くなる丹頂柄の個体が好みなので、毎年、写真のような個体を親に選定して累代しています。

幹之の遺伝子を継ぐ三色メダカ「金色夜叉(こんじきやしゃ)」

レモンのような黄色が印象的

レモンのような黄色が印象的

「金色夜叉(こんじきやしゃ)」は、黒幹之に複数の品種を掛け合わせて作出されたメダカです。美しい体外光に、黄、白、黒の体色を持つ珍しい三色メダカでもあります。

繁殖では、黄色をいかに発現させるかがキーとなります。生まれてくる子のなかには、赤、白、黒の体色を持つ個体もいますが、こうした個体を親にすると黄色が出づらくなるため注意しましょう(黄よりも赤の方が遺伝しやすいのかも…?)。

可愛さとカッコ良さを兼ね備えた「幹之リアルロングフィン ダルマ」

幹之(みゆき)リアルロングフィンのダルマ

そして幹之系のメダカにもダルマタイプが存在します。写真は、幹之(みゆき)リアルロングフィンのダルマ。幹之の特徴である体外光がのり、ダルマ体型の可愛らしさのなかにカッコ良さを感じさせてくれます。

ダルマメダカは、低温に弱いので、25度以上の水温で飼育するのをおすすめします。

小さな身体に広大な海を感じさせる「深海(シンカイ)」

深海(シンカイ)

「深海(シンカイ)」は、幹之メダカから体外光を取り除くように選別・累代が進められた品種です。体外光がないため、青く輝く内臓膜が目立つようになり、神秘的な雰囲気を演出。白い容器で飼育することでより青さを楽しめるようになります。

頭部の柿色が大人気! 「煌(きらめき)」

煌(きらめき)

オーロラ幹之を品種改良して作出された女雛(めびな)に、体外光をのせるための累代を行って誕生したのが、煌(きらめき)です。愛媛県の有名なブリーダーによって作出され、リリースから現在に至るまで人気の衰えないロングセラー。

頭の柿色が特徴的で、筆者自身も大好きな品種のひとつです。体外光をしっかり伸ばすなら、幼魚の際は白い容器で飼育し、高水温を維持します。そして体外光が伸びきったら黒容器に移し、色揚げをしていきましょう。

大きなヒレが優雅な「クラウンテール青蝶(あおちょう)」

クラウンテール青蝶

クラウンテール青蝶は光体型のメダカで、2019年に開催された第52回埼玉県観賞品評会 メダカの部では優勝した経験もある品種です。しっかりと伸びた体外光に大きく伸長するヒレが魅力。光体型は背曲がりが出やすいため、繁殖に挑戦する際は、背骨のまっすぐな個体を選ぶようにしましょう。

幹之メダカの魅力はやっぱり体外光? 飼育を始めるのにおすすめの容器

では、ここからは幹之メダカの飼育に必要な用具を見ていきましょう。

保温機能で急激な水温変化を防ぐ! 「発泡スチロール」

発泡スチロール

なんといってもおすすめなのは、発泡スチロールです。保温効果があり、サイズ展開も豊富。1つ数百円〜数千円で購入でき、設置環境にもよりますが、長ければ2〜3年は使用可能です。

また発泡スチロールは白いので、体外光を伸ばす際にもおすすめです。メダカ専門店なら黒い発泡スチロールを取り扱っている場所もあるため、色揚げを行う際は購入するのも良いでしょう。

メダカは、低温から高温(0°C〜37℃)まで耐えることのできる丈夫な魚です。しかし、急激な水温差には、めっぽう弱いため注意が必要です。特に近年は異常気象が頻繁にあり、昼と夜の寒暖差も激しい日が多いです。

そのため、水温を安定させるために、先ほどおすすめした発泡スチロールのように保温機能がある容器や、豊富な水量を確保できる大きな容器で飼育するなど工夫が必要です。

水量を覚悟して水温変化を緩やかに「タライ・トロ舟」

タライ・トロ舟

30リットル以上の水が入るような大型のタライやトロ舟(プラ舟)を使えば、水温変化を緩やかにすることが可能です。ただし一日中、直射日光が当たる場所に設置する際は、水温の上がり過ぎに注意しましょう。

特に黒い容器。いくらタライやトロ舟は水量を確保できるとはいえ、黒は光を吸収するため水温が上がりやすくなります。特に夏場は、水温が上がり過ぎてメダカが茹ってしまった…なんて痛ましい事故が起こりやすい季節です。

初めて容器を設置する場所なら、まずは定期的に水温を計測して、高水温になり過ぎないか注意を払うことをおすすめします。必要であれば、すだれを活用して日陰を作るなどの対策をしましょう。

お手軽サイズでリーズナブル! 大定番のNVボックス

NVボックス

近年人気のNVボックスはカラーバリエーションも豊富。体外光を伸ばしたい品種なら白かクリア、色揚げしたいなら黒というように使い分けられるので便利です。

難点としては、水量を確保しづらいため、水温と水質を安定させづらいことです。

直射日光が長時間当たるような場所での設置は避けた方が無難でしょう。筆者の場合は、発泡スチロールにNVボックスを浮かべて設置しています。

発泡スチロールにNVボックスを浮かべて設置

こうすることでNVボックスで飼育していても急激な温度変化を防ぐことができます。また発泡スチロールで直接飼育するよりも、メンテナンスが楽に行えるメリットも。そして、日当たりの良い場所が限られているけど、メダカをどんどん繁殖させたいという方にもおすすめです。

日当たりの良い場所が少ないけど親抜きで繁殖させるなら?

親抜きで繁殖

メダカの卵を効率良く採卵するなら「親抜き」が最も効果的です。しかし、親抜きは、容器もスペースも大量に必要となるため、誰もが採用できる方法ではありません。実際、筆者も飼育スペースに限りがあり、かつ日当たりの良い場所が少ない場所でメダカを飼育しています。

今回は、筆者が昨年から採用している「飼育スペースが限られているけど親抜きできる方法」をご紹介します。

筆者の場合、発泡スチロールの容器を2つ用意して、どちらにもNVボックスを浮かべます。片方にペアリングした種親を入れ、一週間そのまま育てます。

NVボックス2つ

産卵を確認したら、種親をとなりのNVボックスに移動。残った卵入りNVボックスは、卵専用のラックに重ねていきます。

ケースとケースの間に隙間があるので、生まれたメダカが酸欠になる心配も少ないです。

ケースとケースの間に隙間があるので、生まれたメダカが酸欠になる心配も少ないです。

メダカが産卵する環境は、1日に13時間以上の日照時間と20〜28℃。それに対し、卵の孵化には日照時間ではなく積算温度が重要です。

メダカの卵の場合、積算温度は250℃。つまり、25℃の水温であれば10日、30℃の水温であれば、8日前後で孵化します。つまり13時間以上の日照時間を確保できない環境でも孵化するのです。

そこで種親に産卵してもらうスペースは日当たりの良い場所を。卵を孵化させるのは、積算温度が確保できる場所、という風に使い分けることにしました。

2つのNVボックスを積み上げた状態

クリアの容器なら下の段まで日光が届くため、孵化した後も水換えを行うタイミングまでは、そのまま飼育が可能です。

令和黒ラメ幹之サファイア系

令和黒ラメ幹之サファイア系

もちろん、この方法が正解というわけではありません。あくまで筆者の飼育環境での話です。自分の飼育環境にあった飼育方法を模索していくことこそが、メダカ飼育の最大の楽しみだと感じています。

そして今回ご紹介したメダカは、幹之メダカから派生した品種のほんの一部です。今回は掲載できませんでしたが、幹之系統のメダカはまだまだ沢山います。もし気になる方は、ぜひ専門紙を読んでみたり、お近くの専門店に足を運んでみたりしてはいかがでしょうか。

きっと品種改良メダカの品種の多さと魅力に驚くはず!  一緒にメダカの沼にハマってみませんか?

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