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驚くべき美しさと個性に溢れる品種改良メダカ。なかでも根強い人気を誇るのが三色メダカです。赤と黒、白の体色を持ち、錦鯉のような雰囲気が魅力的。今回は、流行に左右されず、国外からも注目度の高い三色メダカの魅力、種類についてご紹介します。
三色メダカは、その名の通り「赤、黒、白」や「黄、黒、白」といった3つの色で体が彩られているメダカです。
それぞれの色が発色する位置や全体のバランスによってグレードに差が出ます。体色が一色や2色の個体(いわゆる選別漏れ)も生まれることから、繁殖難易度が高い品種と言えるでしょう。
繁殖させても親の特徴が子に遺伝しづらいため、コアなファンも多く、リリースから日の経っている品種も価格相場が落ちづらいという特徴もあります。
三色メダカの飼育方法は、ほかの品種改良メダカと同様です。しかし三色メダカは、固定率が低いため、良い個体を選別するためには、かなりの数を採卵する必要があります。
つまり本気で三色メダカの繁殖に挑戦する際は、容器の数を大量に用意する必要があります。少しでも多くの卵をロスなく採卵する場合、親抜きという方法がおすすめです。
親抜きとは、一週間ごとに別の容器に親個体を移動させて、産卵床に付着している卵だけでなく、底に落ちている卵も孵化させる方法のこと。効率良く卵を孵化させることができる反面、容器の数も数が必要となります。
朱光菊美人。上見も横見も楽しめる
品種改良メダカには、固定率という言葉があります。これは、親の特徴がどのくらい子どもへ引き継がれるかを表したもので、固定率が高ければ高いほど良い血統と言われています。
例えば、青いラメが魅力のサファイア。この品種は、青いラメが強い個体同士で繁殖させて、より青の強い個体を作り出す累代を行って作出されました。
累代を繰り返すことで固定率を上げていくのは、愛好家の楽しみのひとつでもあります。しかし、どれだけ累代を進めても固定率が100%になることはありません。
※固定率という言葉が適切ではないという意見もありますが、この記事では便宜上そのまま使用します。
菊銀美人。青く光る体外光と赤い体色が美しい
累代とは生物の世代が繰り返されることを指し、品種改良メダカの場合は、子に引き継ぎたい特徴を持つオスとメスをペアリングさせ、繁殖させることを言います。
メダカは繁殖力が高く、成熟するまで生後1〜2か月と早いため、短期間で累代を行えます。そのため、誰もが気軽に品種改良を行うことができるのです。
そして累代を行う際に最も重要なのが、親選びです。累代を行う際は、親個体と同等、もしくはそれ以上に自分好みの個体を次の親として選ぶ必要があります。
飼育者によって好みが異なるため、同じ品種を飼育していても、それぞれ異なった特徴や固定率となることも。こうした飼育者の意図や好みが反映されるのも、品種改良メダカの魅力と言えるでしょう。
例えば三色メダカの場合、頭に赤い色が表れる丹頂(たんちょう)と呼ばれるタイプが好きな人もいれば、黒の割合が多いのが好きな人、赤が鮮やかな個体が好きな人もいます。こうした好みの個体を親として選び、累代を行うことで、黒の割合が多く生まれる血統、赤が鮮やかな血統を作り上げていきます。
三色体外光の品種から生まれた、単色の個体。体外光は美しいが定義から外れるため選別漏れとなる
累代を行う上で、自分の好みではなかったり、品種の定義から外れる個体も生まれてきます。こうした個体は、選別漏れと呼ばれます。三色メダカの場合、紅白の個体、単色の個体が選別漏れに該当します。
こうした個体を親に選んでしまうと、三色の個体がさらに生まれづらくなるため、親選びの選別からは外されます。愛好家や専門店によっては、選別漏れではなくハネと呼ぶこともあります。
ただ飼育する分には、可愛らしいメダカですが、累代を目的とする場合には、選別漏れとして扱うことにあります。こうした個体は、ビオトープや大きな容器で飼育し、ペアリング(オスとメスを交尾させるためのお見合い)を行わない場合がほとんどです。
三色メダカを飼育する際に注意したいのが、獣害と盗難です。三色メダカは、目立つ体色をしているため、鳥やアライグマなどの獣から狙われやすい品種です。屋外飼育をする際は、網やフタを設置して予防策を取ると良いでしょう。
また残念なことに盗難にも注意する必要があります。三色メダカは、高価な品種が多く、盗難被害に合いやすい傾向にあります。
一言で三色メダカといっても、さまざまな特徴を持った品種が存在します。ここからは今人気の三色メダカをご紹介します。
「紅華錦(べにかにしき)」は、はっきりとした赤みと透き通るような白が魅力的な三色メダカです。古くからある品種ですが、現在も根強い人気があります(特に筆者から)。
透明鱗とは、その名の通り透明な鱗のこと。光を反射する色素がないため、体内が透けているような表現をしています。透明鱗の三色は、赤が鮮やかに見え、黒は滲んだ墨のような入り方をします。
写真の個体は、「雲州三色(うんしゅうさんしょく)」。くっきりと浮かび上がる黒に、美しい白、そして目が覚めるような赤が美しい品種です。
和を感じさせる容姿は、海外からも人気が高く、筆者のSNSにも「どこで買えるのか?」とアメリカ人やフランス人からDMが頻繁に届くほど。
非透明鱗は、鱗がはっきりと発色し、それぞれの色の境界線がくっきりとした体色をしています。まさに錦鯉のような表現をしており、群栄させることで、より迫力のある光景を楽しめます。
同じ非透明鱗の三色メダカとして人気を集めている「あけぼの」。岡山県の有名なブリーダーさんによって作出され、コアなファンも多い品種です。目が覚めるような鮮やかな色の揚がりと、力強さを感じさせる体格が魅力。
筆者はまだ飼育歴一年ですが、非透明鱗の三色メダカのなかでは一番好きな品種です。
赤と黒のバランスが良い朱光菊
「朱紅菊(しゅこうぎく)」は、三色の体色にさらに体外光がのる品種です。体外光のメタリックな輝きが、ほかの三色とは異なった雰囲気を演出。
これらのタイプは、三色のバランスに加え、体外光の伸びもクオリティの判断基準となるため、普通の三色よりも難易度が高い傾向にあります。
朱光菊のペア。2歳になっても元気よく産卵している
ちなみに朱紅菊は、写真のように背ビレと尻ビレが伸長するロングフィンという特徴を持っています。一般的に三色は上見を楽しむ品種ですが、ロングフィンの形質を持つ朱紅菊のようなタイプは横見も楽しむことができます。
青い体外光がしっかりとのっている個体
体外光の伸びやヒレの伸長は高水温で飼育することで促すことが可能です。
三色メダカの多くは、赤、黒、白の三色を持ちますが、三色体外光のなかには、黄、黒、白の体色を持つ品種もいます。
例えば、「金色夜叉(こんじきやしゃ)」もそのひとつ。写真のように黄色の体色が目を惹く、一風変わった三色メダカです。一般的な三色メダカよりも繁殖難易度は高めですが、写真のようなグレードの高い個体の繁殖に成功させた際の感動も大きいため、飼育していて楽しいメダカです。
三色の体色にラメがのるタイプも存在します。「三色ラメ」と呼ばれ、さまざまなブリーダーや愛好家、専門店が品種改良を行っています。ラメが入ることによってゴージャスな印象に。繁殖難易度は高く、狙った表現の個体を出すのが難しい品種ですが、挑戦のしがいもあるメダカです。
当メディアでも過去に取材している有名店「静楽庵」が作出した「三色ラメ幹之サファイア系」。美しい三色のバランスと青く輝くラメが特徴的。黒い容器でじっくりと育て上げたい品種です。
三色メダカに限らず、品種改良メダカには、背ビレのないタイプが存在します。こうした個体は、マルコ(背ビレなし)と呼ばれ、人気を集めています。
体外光やラメはヒレ部分にはのらないため、背ビレのある個体は途中で途切れてしまう場合が多いのに対し、背ビレがない個体は、途切れずにはっきりと発色します。
こうしたメリットがある反面、背ビレがないため交尾が下手な個体も多く、無精卵が多くなるというデメリットもあります。
先ほどご紹介した三色体外光の朱光菊がワイドフィンに品種改良されたのが「朱光菊美人」です。
ワイドフィンは、背ビレと尻ビレがワイドに広がっていてボリュームがある点と、尾筒が太い点が特徴的です。現在、最も人気のある形質で、さまざまな品種のワイドフィンタイプが作出されています。
愛媛県の有名なブリーダーさんが作出した菊銀美人。三色体外光の人気品種である菊銀紅玉と、ワイドフィンの特徴を持つエメキンを交配した品種です。
鮮やかな赤と鱗ひとつひとつが輝く鱗血統(うろこけっとう)と呼ばれる外光が特徴的。
通常の体外光と比べると、鱗がそれぞれ輝いているのが分かるかと思います。
三色体外光なので、前述した朱光菊美人とちかい特徴を持ちます。朱光菊美人は暗い赤色をしているのに対し、菊銀紅玉は赤みが強い個体が多いです。
鮮やかな三色の体色に、美しい体外光、ワイドフィンの形質を持った今年注目度No.1といっても過言ではないメダカです。
筆者の飼育する三色ラメ幹之サファイア系
三色メダカを購入する際に気を付けておきたいのが、血統です。三色メダカは、どのように累代が行われてきたかによって固定率に大きな差が生まれます。ただでさえ狙った表現を出しづらい品種なので、信頼できるブリーダーや専門店での購入がおすすめ。
筆者は頭部に赤の入る丹頂が好みなので、この個体を親にして繁殖を狙う
その個体の表現は素晴らしくても、2000匹から生まれたなかからの一匹なのか、1000匹から生まれた1匹なのかによって、繁殖難易度は大きく異なります。
筆者の飼育する三色ラメ幹之サファイア系
そして三色メダカを繁殖させ、グレードの高い個体を取りたい場合、親選びは妥協しないようにしましょう。グレードの高い個体からは、同じようにグレードの高い個体が生まれやすく、グレードの低い個体から生まれづらくなります。
もちろん、グレードなんか気にせずに純粋に繁殖を楽しむのも良いでしょう。自分のもとへ生まれたメダカは、どれも可愛らしく愛着を持てるものです。
選別漏れと呼ばれるような個体からも、根気よく累代を続けることで高グレードな個体が生まれやすくなる場合もあります。
品種改良メダカの楽しみ方は人それぞれ。周りに流されることなく、自身の飼育方法を突き詰めていくのも楽しみ方のひとつです。
「いやいや、せっかくなら高グレードの個体を沢山とってみたい」
そういった方に向けて、ここからは、色揚げの方法、親の選び方についてなどをご紹介します。
筆者の飼育環境では、NVボックスを発泡スチロールに浮かべることで水温の変化を少なくしている
メダカには、背地(はいち)反応と呼ばれる保護機能があります。これは、自分を周囲の環境に溶けさせるために、体色を変化させるというもの。そのため、黒容器で飼育したメダカは体色が濃く、白容器で飼育したメダカは、体色が薄くなる傾向にあります。
三色メダカの場合は、黒容器で飼育することで、はっきりと濃い体色を持った個体に成長させることができます。
ひとつ気を付けておきたいのが、体外光を持つメダカです。体外光は、白い容器で飼育することで発現しやすくなる特性を持っているため、黒容器で飼育していると「体色は濃くなったけど体外光が伸びない」といった場面に直面することも。
クリアのNVボックスを活用
そこで、行われるのが途中から容器の色を変更する方法です。まずは、白容器で飼育して体外光をしっかりと伸ばす。そのあとで黒容器に移して体色を揚げる。この順番は、ブリーダーや愛好家によって前後することもあります。
自分でチャレンジしてみて、どちらが合っているのか確かめて見るのも面白いかもしれません。
また体外光のメダカを一貫して黒容器で飼育する専門家もいます。あえて黒容器で飼育し、その環境でも体外光が伸びる個体のみを選別・累代することで、黒容器でも体外光が伸びる血統を作るという方法です。
時間もかかり根気のいる方法ではありますが、体外光の伸びやすい血統を作ることができるといいます。
ほかにも色揚げを目的に開発されたエサを与える方法もあります。しかし、エサによる色揚げは、そのエサを与え続けなくては維持できないため注意が必要です。
品種改良メダカの繁殖において、親選びは最も重要なポイントです。親選びにおいて最低限気を付けたいことは以下の2点。
<三色メダカの親選びで気を付けたいこと>
しかし、親選びに正解はありません。同じ三色メダカでも品種によって、親の選び方は異なります。また飼育者の好みによっても差が生まれます。
雲州三色
筆者自身、「親個体は赤と黒、白のバランスが良い個体なのに、子は赤の面積が広い個体ばかりになってしまった」という失敗を何度も繰り返しています。
以前、有名ブリーダーの方に取材した際、「高グレードで誰が見ても美しい個体でも、赤の面積が多い個体を親にすると失敗する」と教えていただき、今は、「赤の面積が少し物足りないかな?」という個体を親にして繁殖に挑戦しています。
群栄する三色体外光。宝石箱を見ているかのようなワクワク感を得られる
三色メダカは、自分好みの個体を親にして累代することで、自分だけの血統を作り出すことができます。最初は思うように固定率が上がらず、やきもきすることもあるでしょう。しかし、根気よく累代を続けていくことで、「この親同士を掛け合せることで、こんな個体が生まれるんだ!」「自分の好みとは違う親を使ってみたら、子どもは好みの個体が多く出た!」といった気づきを得ることもあります。
こうした新しい発見があるのも三色メダカを飼育する醍醐味のひとつです。
僕は品種改良メダカを飼育するようになってから、「今日は卵産んでくれているかな?」「この前生まれた子たちは、そろそろ発色が始まるかな?」と毎朝起きるのが楽しみになりました。
三色メダカの累代・品種改良は奥が深く、長い年月をかけて楽しむものです。愛好家のなかには数十年以上、三色メダカだけを累代し続けている方もいます。
多くの人々を虜にする三色メダカ。今年はあなたも挑戦してみてはいかがでしょうか。
きっと毎朝起きるのが楽しくなるはずです。