果物の皮を使ってお茶を淹れる
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目次/ INDEX
メダカの飼育といえば多くの人は水槽をイメージするかと思います。しかしブリーダーやメダカ愛好家の多くは、水槽ではなく、ホームセンターに売っている容器で飼育しています。
例えば、メダカ愛好家の間では絶大な人気を誇るNVボックス。もともとは、生活用品や工具などを収納する容器でしたが、近年はメダカの飼育容器としても注目を集めています。黒や青、半透明などの定番カラーから、最近では白やグレーなどの新しいカラーも登場。
Twitter上では連日「購入しました!」という声が続々と挙がっている人気商品です。
なぜプロや愛好家は、水槽ではなく容器で飼育しているのでしょうか。今回は大宮にある人気メダカ専門店「ちゅらめだか」のオーナー和田さんにお話を伺いました。
一番は、色揚げ(メダカの体色やラメを濃くはっきりとさせること)だと思います。メダカには、保護色(背地反応)があるので、体色を鮮やかにするなら、黒や青などの暗い色をした容器が最適と言われています。
黒容器で飼育した紅帝
例えば、この鮮やかな赤い体色が特徴の紅帝ですが、黒い容器で育てた個体と白い容器で育てている個体では、ここまで体色に違いが生まれます。
白容器で飼育した紅帝
ここまで違いが出るんですね! 別の種類かと思いました。では、しっかりと黒容器で成長させた個体なら、白容器に入れても色褪せないのでしょうか。
黒容器で飼育している令和黒ラメ幹之サファイア系の個体
残念ながら保護色は働くので、白容器に移すと若干ぼやけてしまうんですよ。
白容器で飼育している令和黒ラメ幹之サファイア系の個体
本当だ・・・! キレイだけどやっぱり全然印象が違いますね。じゃあ、とりあえずメダカはずっと黒い容器で育てておけば問題ない・・・?
背中に伸びた体外光と赤、白、黒の体色が特徴的な「三色体外光」
いえ、そうでもないんです。写真のように体外光(頭から背ビレにかけて伸びる光)を伸ばしたい個体なら、白や透明な容器で飼育した方が良いんですよ。
体外光と体色が鮮やかな品種「三色ロングフィン」
写真のように体外光も伸ばしたい&体色もはっきりさせたい品種は、稚魚から若魚にかけて白容器でしっかり体外光を伸ばして、そのあとで黒容器で色揚げをしてあげるのが良いですね。
より美しい個体に育て上げるなら、品種によって容器の色を変えるべきなんですね。では、メダカを水槽で育てた場合はどうなるのでしょうか。
針子から水槽で育てた生後1ヶ月の個体。ラメが少なく体色もはっきりとしていない
一概には言えませんが、体色がぼやけたりラメがのりづらかったり、体外光が伸びないことがありますね。
なるほど。だからプロや愛好家の多くは水槽じゃなくて容器で飼育しているんですね。
保護色を持たないため、水槽で飼育しても体色が褪せない「ブラックダイヤ2020松井ヒレ長」
そうですね。水槽でメダカを楽しみたいならオロチやブラックダイヤなどの保護色を持たない品種を飼育するとよいかもしれません。
自分の飼育環境に合わせて品種を選ぶパターンもあるんですね。
紅帝のリアルロングフィン。リアルロングフィンは全てのヒレが伸長する
水槽で飼育する場合は、横からメダカを眺める機会が多いと思うので、ヒレ長系統もおすすめです。
マリアージュキッシングワイドフィン。エメラルドにヒレが輝く品種は、黒い背景にすることでヒレの青みが強調される
ちなみに、水槽の背景に黒いバックスクリーンを貼ると体色やヒレのグアニンが鮮やかに見えるので観賞がより楽しくなります。
横見を楽しめるから、個人的には水槽で飼育する方が好きかなぁ。ほかに容器が水槽よりも優れている点ってありますか。
そうですね。ほかにあるとしたら、メンテナンスが楽な点と、水1リットルに対してのコストパフォーマンスもあるかもしれません。
といいますと・・・?
まずメンテナンス面。プラスチックで作られている容器の場合、スポンジやタワシでゴシゴシと雑に洗っても壊れる心配がありません。逆にガラスで作られている水槽は、丁寧に取り扱わなければ、割れてしまいますよね。
あと容器の場合は使っていないときに重ねられるので、場所を取らずに保管できます。メダカは産卵シーズンの春〜秋にかけて必要となる容器数が増えます。
必要な容器数?
ひとつの品種だけ飼育していても、親魚と稚魚は同じ容器では飼えないんですよ。サイズが異なる個体同士を一緒にすると、共食いしたり、いじめたりします。
黒く見えるのが生後1週間のメダカたち。親魚と同じ容器に入れるとすぐに食べられてしまう
そのため、産卵シーズンは必要な容器の数が増えることになります。逆に冬の間は稚魚が生まれないので、容器の数は少なくて済む。だから季節ごとに必要となる容器の数に差がでるんです。
容器を使わないときのことまで考えてませんでした。たしかにそうですね・・・。
次にコストパフォーマンス。先ほども言いましたが、メダカを飼育する上で大切なポイントに、「一匹に対しての水量」があります。一般的には、一匹に対して1~5リットルあれば良いと言われています。つまり60リットルの水が入る水槽なら60〜12匹のメダカを飼育できることになります。
ふむふむ。
23リットル入る水槽は2,000円前後なのに対し、ホームセンターで売っているNVボックス #22は、23リットル入って1,000円にも満たないんです。
なるほど。たしかに水量に対するコスパは容器の方が良さそう。では、容器を選ぶうえで気を付ける点はありますか。
メダカの飼育に適した容器はいろいろあります。水槽はもちろん、プラ舟やタライ、発泡容器、金魚鉢や睡蓮鉢などなど。選び方もいろいろありますが、共通していえることは、水量と水面の広さが重要だということです。
水量が多いほど水質悪化のスピードが遅くなりますし、水面が広ければ、空気に接する面積が広くなるため、酸素を取り込みやすくなります。この2つさえ満たしていれば、あとは自分の好みに合わせて選んでも良いかと思いますね。
では、以上を踏まえた上でカインズで購入できるおすすめの容器を見ていきましょうか。
まずはNVボックスですね。13リットル入る「NVボックス#13」と23リットル入る「NVボックス#22」の2サイズが販売されていて、どちらも人気の容器です。
ブラックやグレー、ブルー、レッド、ホワイトといった豊富なカラーバリエーションと、丈夫なのでガシガシ洗える点が良いですね。
NVボックス#13は、幅28.7cmx奥行43.5cmx高さ14.5cmとかさばらないので、スペースに限りがあるベランダなどの設置にも便利です。限られたスペースで複数の品種を飼育できるのは魅力ですね。底も深すぎず、メダカの様子を観察しやすいのもメリットです。
底が浅くて水面が広い理想的な容器ですね。
そして、なにより値段がリーズナブルなんですよね。ひとつあたり300円前後で購入できますから。それでいて、雨ざらしの環境で数年使っても劣化しない丈夫さもある。取り扱いやすいので、初めてメダカを飼う人にもおすすめしたいですね。
このワインのような色味のレッドのNVボックスで飼育するとメダカが上品になっちゃったり?
・・・。それはないと思いますが、試してみるのも面白いですね。自分でいろいろ仮説を立てて検証していくのもメダカ飼育の魅力ですから。
ちなみにNVボックスには、無色透明なクリアタイプもあります。クリアの場合、重ねても下段までしっかり日光が届くので、少ないスペースでよりたくさんのメダカを飼育できます。ただ、クリアタイプだけ劣化しやすいので、一年くらいの頻度で買い替えが必要になります。
マンションのベランダで飼育する人とかにはもってこいですね。
同じ位置で横並びに設置している容器でも黒と白では温度が全く異なる
容器の飼育で注意したいのが、容器の色による水温の差です。光を集めやすい黒い容器は、白やクリアと比べて水温が高くなります。同じ場所でも10度前後の差がでる場合も少なくありません。
同じ場所に設置していても、黒い容器だけ高温になるリスクがあるのか。気を付けないとメダカが茹で上がっちゃいますね・・・。
それだけではありません。水温が高くなると水中に溶け込む酸素の量(溶残酸素量)が少なくなるため、メダカが酸欠を起こしやすくなります。だから温度が上がりすぎないように、すだれやカバーなどで日差し除けを作ってあげるとよいですね。
筆者がメダカ飼育に使用しているプラ舟
次にご紹介するのは、プラ舟です。トロ舟と呼ばれることも多いですね。もともとは、セメントやコンクリートを練る際に使用する底の浅いプラスチック容器です。23〜220L前後のものまで、幅広いサイズが展開されています。
底が浅いので、メダカの様子を確認しやすく、メダカ屋さんでも良く使用されている容器ですね。
プロ御用達の容器というわけですね。
ちゅらめだかの養殖場で使用されているタライ
そして水量を確保できる容器といえば、タライも人気です。こちらも60リットルや120リットルなど幅広いサイズがあります。プラ舟よりも底が深い分、設置しやすいのが利点です。
キャップをあげると排水される
タライの場合、底に排水口がついていたり、ホースを固定できたりするタイプも多いので、水替えが楽にできます。
ただ、しっかりと栓が閉まっていることを確認しないと、「徐々に水が漏れていることに気づけず、いつの間にか干上がっていた」なんてこともあります。モノによって栓が外れやすいタイプもあるので、気を付けましょう。
プラ舟とタライは、どちらも豊富な水量を確保できるので、スペースに余裕がある人には、ぜひおすすめしたい容器ですね。
プラ舟は場所をとる代わりに、元気にのびのびと泳ぎ回るメダカを見ることができる。これがまた至福
タライのような底が深い容器とプラ舟のような浅い容器では、どちらが良いのでしょうか。僕の場合、メダカは水面が好きな魚と聞いたことがあるので、底が浅くて水量の入るプラ舟を使うようにしています。
そこは好みで良いと思います。底が浅い容器の方が、メダカを観察しやすいメリットもありますね。ただ、タライのような底が深い容器の方が、設置面積が少なくて済むので、限られたスペースで水量を確保できます。自分の飼育スペースと相談しながら決めるのが良いと思いますよ。
メダカはのびのび泳げた方が、体も大きくなります。スペースが許すのであればできるだけ大きい容器に少ない個体数で飼育するのがいいですね。
繰り返しになりますが、大切なのは水量です。急な温度変化が起きても水量が多ければ、水温は比較的緩やかに変わっていきます。メダカにとって急激な温度変化は、生死に関わります。
特に夏場は注意が必要ですね。小さい容器では朝と昼とで10度以上水温が変化することも珍しくありません。朝、仕事前に容器を覗いてみたら元気に泳いでいたのに、帰ってきたころには死んでいたというケースもあります。
筆者も針子の育成に使用している発泡スチロール
寒暖差のある屋外で飼育するなら発泡スチロールの容器もおすすめですね。保温効果があるので、外気の温度変化の影響を受けづらく、屋外でのメダカ飼育にはもってこいの容器です。
最近は、メダカ飼育専用の発泡スチロール容器も売っています。
このメダカ飼育専用のものは、オーバーフロー機能がついているので、雨が降ってもメダカが流される心配がありません。
このスポンジ部分から水が流れ出ていきます。保温効果も高いので、屋外や気温の変化が激しい場所で使うなら、間違いなく一番おすすめですね。ただ、材質的に数年使うと劣化するので、定期的な交換が必要です。
NVボックスやトロ舟には、オーバーフロー機能がついていませんよね。屋外で使っても大丈夫なのでしょうか。
安心してください。そんなときにおすすめなのが上部フィルター用のろ過マットです。これを適当なサイズにカットして洗濯ばさみで容器に固定すれば・・・
この通りです。ある一定の水量に達したら水が滴り落ちるので、容器から水が溢れないようになります。水が溢れた際に、生体が一緒に流れ出ないようにすることをオーバーフロー加工といいます。今回の方法以外にも、さまざまなやり方があるので、気になる方は調べてみてください。
おお! これは便利ですね。勉強になります。
「ただの容器で飼育するのは、味気ないな」という方には、こういった金魚鉢や睡蓮鉢がおすすめです。インテリアとしてもオシャレなので、玄関先においても景観を損ねることがありません。
たしかに発泡スチロールだと少し殺風景になりそうですね。見栄えを気にするなら、こういった商品もありですね。
※取り扱いや価格は店舗、時期によって変動あり
見栄えを気にしないのであれば、バケツもおすすめの容器です。基本的にリーズナブルで、取っ手もついていて移動が楽。頑丈なのでメンテナンスも簡単です。
時間によって日当たりが変わるような環境では、メダカが入ったままバケツを移動してあげるのも手ですね。
取っ手がついているからこそ、できることですね。
逆に使わない方が良い容器はありますか?
ステンレスや鉄などの金属製の容器はやめた方がいいですね。熱伝導率が高く、外気の影響をすぐに受けてしまうので水温の変化が激しくなります。
ふむふむ。あと容器で飼育する場合、底に土とかソイルを敷いた方がよいのでしょうか。
それは好みですね。容器でメダカを飼育する場合、ソイルや赤玉土を入れる方法と、なにも入れないベアタンクという方法があります。
赤玉土やソイルをいれるメリットとしては、そこにバクテリアが定着して、容器内で生物濾過が行われる仕組みが作れる点です。生物濾過が行われると水質が安定して、水換えの頻度も少なくて済むようになります。
ただメダカが卵を産卵床につけず、赤玉土に卵を生みつけたりソイルの上に落としたりするので、採卵できる個数が減るリスクもありますね。
確かにソイルの上に落ちている卵を見つけるのは至難の業・・・。
そうなんです。逆にベアタンクは、メダカが産卵床に生みつけずに床に落とした卵も、一目で見つけられるので、採卵できる数は多くなります。
一長一短ですね。
人によっては、赤玉土を底に敷かずザルに入れて沈めたり、水切りネットに詰めて設置したりしていますね。
バクテリアが住み着ける場所を作ってあげるわけですね。
メダカを飼育する際の容器は、本当にさまざまです。どれが正解ということはないので、最終的には自分にあったモノを見つけられたら良いですね。
今回は、ホームセンターで購入できるおすすめの容器をご紹介しました。どういった容器で飼育するのかは、自分の「飼育環境」と「何を優先させたいのか」を踏まえて決めていけたら良いですね。
メダカの飼育方法に正解はありません。いろいろ挑戦してみて、自分に合った容器と方法を探してみてください! 素敵なメダカライフを応援しております!
なぜ愛好家の多くは、水槽ではなく容器でメダカを飼っているのでしょうか。