泥汚れで悲惨な玄関タイルを神アイテムでピカピカにお掃除してみた
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目次/ INDEX
このカラフルで美しいアート、一体どうやって描かれているか想像できますか?
海外の建築物にあるような幾何学模様にも見えるし、CGっぽい感じもするし......
これ、実は水面で描かれた「マーブリングアート」と呼ばれるものなんです。
しかも、家庭によくある竹串を使っているってどういうこと?
マーブリングとは、水面に描画材を垂らして柄を描き、紙に写し取る技法のこと。東洋ではマーブリングの発祥は日本と言われており、「墨流し」としても知られています。
※マーブリングの発祥については諸説あります。
そんなマーブリング、まさか家でできるわけ......と思いきや、キッチンにあるものを使うと手軽にできるんです! 今回は、アーティストによる幻想的な生パフォーマンスから完全初心者のライターがカインズに売っているグッズとキッチンにあるものだけで作品を作っていく様子をお届けします。
今回マーブリングについて教えてくれるのは、マーブリングアーティストのらっくあまるもさん。
〜パチッ(電気が消える音)〜
トノ
え! 急に真っ暗になりましたがどうしました....?!?!
らっくあまるもさん
早速ですが、真っ暗な部屋でマーブリングをやってみるので見ていてくださいね。
トノ
暗くしたら見えないんじゃ......?
らっくあまるもさん
マーブリングは光と相性がいいアートで、間接照明と掛け合わせるとより美しさが増します。
唐突に始まったらっくあまるもさんのマーブリングのパフォーマンス。みるみる変わっていく美しい景色に釘付けでした……!
特別な水溶液の上に絵の具を垂らしていきます。
すると......
垂らした絵の具がちょっとずつ広がってきました! 色が混ざり合わずに水面を泳いでいるようでとても幻想的です。
ある程度絵の具を垂らしたら、次は柄作り。今回はピンクの絵の具に黄色の絵の具を垂らしてお花を作っていただきました。
せっかくかわいいお花を作ったのに、続いて取り出したのは竹串!
躊躇なく竹串を入れていく様子にびっくり。どんな柄になるのか全く予想がつきません。
と、思いきや今度は細かい針のようなものがついた道具が登場。このクシを使うと、また違った柄が浮かび上がってきました。なんじゃこりゃー! 一体どんな作品になるんだろうか......
ここで再び竹串が登場。また何やら山のような模様を描いていきます。
柄ができたとのことで、最後は柄を紙に写し取っていきます。
……と、ここまで5〜6分の出来事。幻想的にクルクルと変わっていくこのアートに私は驚きっぱなしです。
完成したのがこちら。
竹串とクシでこの柄が出来上がるのすごすぎる!!
トノ
あっという間の約5分間でした! しかもあまりの美しさに言葉を失ってしまいました。次々と変わっていく様子は暗い空間も相まって、とても幻想的ですね。
らっくあまるもさん
早速マーブリングの魅力に気付いていただけたようで嬉しいです。私が今お見せしたマーブリング、トノさんも手軽にやることができるんです。次は、トノさんにやってもらいますね!
トノ
えっ……! まさか体験させていただけるとは。緊張しますが、頑張ります!
マーブリングの生パフォーマンス後は、らっくあまるもさんにおうちでできるマーブリングをレクチャーしていただきました。緊張していた私ですが、意外とその工程はシンプル。進めていくうちに緊張もほぐれ、とても楽しかったです……!
美しすぎるマーブリングの生パフォーマンス後は、らっくあまるもさんにおうちでできるマーブリングをレクチャーしていただきました。緊張していた私ですが、意外とその工程はシンプル。進めていくうちに緊張もほぐれ、とても楽しかったです……!
カインズで揃えたマーブリンググッズ
<マーブリングの大まかな流れ>
トノ
らっくあまるもさん、改め先生! ここからは先生と呼ばせていただきます。是非私でもできるようにマーブリングのやり方を教えてください。
らっくあまるもさん
ビシバシいきますよ! ではまずは、水溶液作りからやっていきましょう。
(1)水1000mlを鍋に入れ沸騰させたら、火を止めて、水溶き片栗粉用の水50ml+片栗粉20gを少しずつ流し入れます。ダマができないようによく混ぜてとろみをつけていきます。
らっくあまるもさん
天津飯のあんかけの要領で作ってみましょう。粗熱を取ってトレイに流し入れておきます。気泡が水溶液の水面に浮いている場合は、手で潰しておきましょう。
(2)次に絵の具作り。指に乗る程度の量のアクリル絵の具をコップに絞り、10mlほどの水と、ハンドソープを筆の先でひとすくいして、筆でしっかり混ぜ合わせます。
トノ
絵の具を混ぜることさえ新鮮で楽しい……!
トノ
かなりしっかりと混ぜたと思うんですが、これはポイントの1つですか?
らっくあまるもさん
混ざっていないと沈みやすく、水面に絵の具が浮かばなかったりばらつきが出てしまったりするので、水にまんべんなくならすために、とにかくガーッとよく混ぜることが大事です。
(3)水溶液・絵の具の用意ができたら、筆を使って水面に絵の具を落としていきます。これをだいたい4色繰り返します。
らっくあまるもさん
勢いよくコップに筆を打ち付けるのがポイント。あとは、絵の具を水面に載せすぎると、水面で絵の具がケンカし合ってしまい沈んでしまうので、程々にしておくのがいいです。
コップに打ち付けても絵の具が垂れない……
トノ
先生……早速壁にぶち当たりました。“勢いよくコップに筆を打ち付ける”がイマイチよく分からず、どうすればいいですか?
らっくあまるもさん
コップの縁に“トントン”と音を鳴らしながら下に落としていくイメージでやってみてください。
トノ
そのイメージ分かりやすいです! トントン、トントン……って、え!?!?
(ポトッと垂れる鈍い音)
トノ
先生、やらかしました。どうしましょう。黄色の存在感がすごいことになってしまいました。筆に集中するあまりコップを持つ手元が緩んでしまいました……
らっくあまるもさん
大丈夫ですよ! マーブリングの魅力は、作る過程でも驚きと楽しさがあること、そして1点ものであること。トノさんならでの作品がきっと出来上がりますよ。
トノ
なんと素晴らしいアート、マーブリング……どんな作品になるか不安はありますが、頑張ります。続きを教えてください!
(4)竹串やヘアグシのようなものを使って柄を付けます。
今回は、竹串を使って、模様を付けてみました。どんな柄になるのかドキドキです。
(5)水面に模様が描けたら紙に写し取ります。
らっくあまるもさん
この時、水面に気泡やゴミがないかを確認してください。もしゴミがあれば、串などでそっと潰したり取ったりするとラクです。気泡の部分は絵の具が乗らないので、写し取ると柄がない部分ができてしまいます。
紙の端を持ちゆっくりと水面に付け、紙が端までついたことを確認してから、溶液の水気を切りながら紙をゆっくり引き上げていきます。
完成!
トノ
なんとか完成しました! やはり黄色の存在感が気になります(笑)
らっくあまるもさん
それも味があっていいですよ。最後に、引き上げた紙は下敷きやビニールシートなどツルツルとした面の上に載せて乾かしましょう。
らっくあまるもさん
紙の上で乾かしてしまうと、ひっついたりしてしまうので注意が必要です。完全に乾いたらおそらくたわんでいるので、図鑑や辞書等を重石として乗せて3日くらいおくと戻ります。
トノ
分かりました。一旦液が垂れないように向きには気を付けて、物干し竿に干すようにします。
紙を写し取った後の容器
トノ
先生、水溶液に絵の具が残ってしまったんですが、これはどうすればよいですか?
らっくあまるもさん
新聞紙などで吸い上げて掃除をすれば、またすぐ使えます。水溶液の下に沈んでいる絵の具は柄に出てこないので、そのままにしてOKです。
トノ
1回作ったら終わりではなく、またすぐ次の作品作りができるのはいいですね。私は結構めんどくさがりなので、続けて何度も楽しめるのが嬉しいです。
先生直々にレクチャーいただいた後は、自宅でもマーブリングをやってみました。果たして先生に教えてもらったことをきちんと実践できたのか?
おうちでマーブリングをするにあたって、先生にオススメされたグッズをカインズで揃えてみました。
<道具>
では早速道具の紹介をしながら、マーブリングを始めていきたいと思います。
まずは水溶液作りから。らっくあまるもさんのアドバイス通り、天津飯のあんかけの要領で作っていきます。
このカインズの鍋は目盛りがついているので、測って入れなくても鍋に直接水を入れて進められるのがラクすぎる〜!
今回は、赤・黄色・水色・緑の4色
絵の具は指に乗る程度の量をコップに絞り、10mlほどの水とハンドソープを入れ、筆で混ぜ合わせていきます。
ハンドソープは界面活性剤が入っており、絵の具を水面で広げる役割を担っていると伺いました。メーカーによってハンドソープの量は調整する必要があるので、実際やってみて、ちょっとずつハンドソープの量を増やして調整しました。
準備が整ったら各道具をセット! 先ほど鍋に入れて作った水溶液はトレイに流し込んでおきます。ちなみにこのトレイは1000mlなので、作った水溶液を全て入れるのにちょうどいい大きさになっています。
準備が整ったら、ここからがマーブリング本番!
慎重にトントン……
前回、手元が緩んでしまった鬼門のパート。今度こそ慎重に、コップの縁に“トントン”と音を鳴らしながら水面に絵の具を垂らしていきます。
絵の具を垂らした直後は薄い色でも、しばらく時間が経つと浮き上がって濃い色になってくるので、様子を見ながら色を足していくと濃くなりすぎずできます。
ぐるぐる……
一通り絵の具を垂らしたら、続いて柄を描いていきます。今回は竹串を使って、思うままにマーブリングをしてみました。
さらにぐるぐる……ぐるぐる……
柄が描けたらいよいよ写し取り作業へ。水面に気泡やゴミがないかを確認したら、紙を載せて慎重に写し取っていきます。
真ん中の方から紙を置いて、端までつけます。
端までみっちり!
水面に紙をまんべんなく載せられたら、今度は最後の大仕事、引き上げ作業に移ります。どんな柄に仕上がっているのかドキドキの瞬間です。
そろりそろり……
紙の端を持ち、そっと水溶液を落としながらゆっくり引き上げます。
トレイの手前の部分に紙を沿わせながら引き上げるイメージが分かりやすいです。もしなかなか紙を持てない場合は、竹串を使って持ちたい部分を少し引き上げると便利です。
完成しました〜
今回はおうちにあったアルミホイルの上で紙を乾かしました。完全に乾いたあとは、本2〜3冊を重石として上に乗せておき、数日後には紙のたわみも取れた綺麗な状態に仕上がりました。
先生に教えていただいたことを活かし、おうちでも実際にマーブリングをやってみて、私個人が感じたポイントはこちら。失敗を経て感じた内容なので、是非参考にしてみてください。
<やってみて感じたポイント>
特に、水溶液や絵の具の部分については、最初はなかなか塩梅が分からないと思うので、流れを忠実に守り進めつつ、このポイントを意識してもらえるといいかと思います。
左から1回目作、2回目作、3回目作
そして、個人的にこの中で1番大事だと感じたのは、「何回でもやってみること」。マーブリングは水面に残っている絵の具を除けば、すぐに次のマーブリングを行うことが可能なので何回でもチャレンジが可能です。
私自身、おうちでマーブリングをやってみた時も最初の2回は思うようにいかず、3回目でようやく思い描いていたマーブリングに一歩近づく作品ができました。
あまり水面に絵の具が広がらなければハンドソープの量を調整したり、絵の具が濃すぎたら水の量を調整したり……回数を重ねる中で試行錯誤をすると、より一層マーブリングを楽しむことができるかもしれません。
今回は、あらかじめおうちマーブリングに必要な材料・道具をらっくあまるもさんにお聞きし、カインズで用意してやってみましたが、色々と聞いてみると色んなアレンジができそうなことが分かりました。
トノ
今回は片栗粉で水溶液を作りましたが、代替可能なものはありますか?
らっくあまるもさん
水溶液は、上に乗る絵の具より質量が重ければいいので、その条件を満たせばなんでも大丈夫です。おうちでやる際には洗濯のりなどでやっている方もいますが、メーカーごとにばらつきがある印象なので、色々と試した結果、私は片栗粉に辿り着きました。
トノ
確かに片栗粉であれば、あらかじめおうちにある方も多いと思いますし手軽ですね。絵の具は今回アクリル絵の具でしたが、水彩絵の具でも利用可能ですか?
らっくあまるもさん
大丈夫です。絵の具は、水溶液よりも質量が軽いものがよいので、その条件に合っていれば何でも代替可能です。マーブリング専用液でなくても使えるのがお手軽なんです。
らっくあまるもさん
マーブリングアートをマニキュアでやってみた、といった動画もあるんですよ。マーブリングの要領で作った絵柄のネイルチップを作っているネイリストさんもいます。
トノ
マーブリング柄のネイル……想像するだけでかわいいですね。ちなみに、絵の具の色は、今回は赤・青・黄色・緑の4色を選ばれましたが、色ごとに違いってありますか?
色ごとに特徴があるので使い分けが大切!
らっくあまるもさん
色ごとに特徴があって、赤や青、緑色は重い色で水に沈みやすく、水面でも開きが小さいのが特徴です。一方、黄色は軽い色なので水面でも開きが大きく扱いやすいです。
トノ
なるほど、色ごとに異なる特徴があるんですね。あと、紙については今回画用紙を用意しましたが、他だとどんな素材が利用可能ですか?
らっくあまるもさん
吸水性が大事なので布なども利用可能です。紙であれば、画用紙やコピー紙などは大丈夫です。ツルツルとした素材だと吸水性がなく定着しないので、カード紙や表面加工されている紙はマーブリングにはあまり向いていないですね。
トノ
ありがとうございます。絵の具は水溶液よりも質量が軽いもの、紙は吸水性の高いもの、という注意点さえ抑えれば色々な素材にチャレンジできますね。
マーブリングにおいて大切なのは色合いもさることながら、模様の美しさ。竹串や串を使って模様を描くとお伝えしましたが、実際どのように描くのか、花柄の作り方を実際の写真とあわせてご紹介します。
▲大きな赤色の水玉
まずは、花柄の土台となる色の絵の具(今回は赤)を垂らします。
▲大きな赤色の水玉+小さな黄色の水玉
土台として垂らした大きな水玉の上に、もう1色絵の具(今回は黄色)を垂らします。この際、土台よりも小さく垂らしたいので筆ではなく竹串を使って垂らすのがオススメです。
その次に、竹串を使って大きな水玉から小さな水玉に向かって上下左右に串を入れると、切れ目ができて花柄が出来上がります。串を入れる回数を変えれば、その分花びらの枚数が増えますし、色んな花柄を作ることができます。
4枚の花びらの花柄が完成〜
花柄以外にも、例えばハート形は先ほど4方向に入れていた串を上から下の1方向のみに入れるとできます。ラテアートのようなイメージをしていただけると分かりやすいと思います。マーブル柄は、横にアルファベットの“U”の字を何個か書くイメージで、串を入れていくと柄を作ることができます。
今回はコツとして花柄の作り方を紹介しましたが、その他にもジグザグ柄や虹柄、クジャク柄……と、色んな柄を作ることが可能です。自分だけのオリジナルを作ってみてくださいね。
生パフォーマンスと実際の体験によって、すっかりマーブリングの魅力にハマってしまった私ですが、最後にらっくあまるもさんの感じているマーブリングの魅力やこだわり、今後の展望についてお伺いしてみました。
トノ
今回はマーブリングについて何から何まで教えていただき、ありがとうございました! 作品としての美しさはもちろん、実際に作ってみた過程が大人の工作といった感じでとても楽しかったです。
らっくあまるもさん
こちらこそありがとうございました。今トノさんが仰った「製作物の美しさだけでなく製作過程がとても楽しい点」はまさに私が感じているマーブリングの魅力なので嬉しいです。
満面の笑みのらっくあまるもさん
らっくあまるもさん
あとは、「1つとして同じものが製作できない点」も魅力のひとつです。トノさんもやってみて感じたのではないかと思いますが、作るたびに色も配置も柄も変わるので、その時にしか作ることのできない作品が出来上がるんです。
トノ
そうですね。私の初めてのマーブリング作品は、黄色の存在感がすごいものが出来上がりましたが……(笑)。少し恥ずかしい思い出も含めていい作品になったし、何より楽しかったです!
トノ
ところで、らっくあまるもさんの作品の中で特にお気に入りの作品はありますか? プロが作る作品も見てみたいです......!
らっくあまるもさん
この秋っぽい配色になっている作品は結構気に入っています。
右側の作品が秋っぽい配色の作品
トノ
とても美しいですね! 落ち葉と木をイメージさせる作品ですが、マーブリングでこんなに綺麗に色を配置することって可能なんですか?
らっくあまるもさん
この作品の場合は、どの色をどこに配置するかを決めています。ここまできっちり配色したい時は、串で一色ずつ垂らして配置をしています。
トノ
なんと細かい作業……気が遠くなっちゃいそうです。
らっくあまるもさん
細かいこだわりがあるオタクなんです(笑)。私のマーブリングアートは赤と黄色を混ぜてもオレンジ色になるわけではない、といったように、色同士の割合が若干違うので毎回違う色が出ます。その細かな違いまで作品では表現しています。
らっくあまるもさん
一色一色がにじみ合うことなく、独立した色同士が緻密に絡まり合っていることを心がけてマーブリングをしています。複雑に絡まり合い、何とも言えない色を作り出していく様を人間の世界で表現するなら、人それぞれが個性を持っていて絡まり合いながら面白い社会を形成しているようで美しいなと。
トノ
そんな深いこだわりがあるんですね。そして、そこまで細かくこだわっているらっくあまるもさんはマーブリングオタクですね(笑)
お気に入り作品とらっくあまるもさん
らっくあまるもさん
1番のお気に入りの作品はこちらです。マーブリングのポイントでもお伝えした通り、紙に写し取る際に気泡が入らないようにするのが大変なのですが、これは細かな気泡もなく綺麗に仕上がっています。
トノ
本当に気泡が1つも入ることなく、緻密な線が絡まり合った素敵な作品ですね!
はじめは見た目の美しさから惹かれたマーブリングでしたが、実際に体験してみると、その作品作りの楽しさと奥深さにハマってしまいました。
形に残るので思い出にもなるし、だんだんと上達していく過程も楽しい! おうち時間をもっと楽しめるアート作りに是非チャレンジしてみてください。
トノ
最初は、プロによる生パフォーマンスを見せていただけるということで、ドキドキ......!