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そろそろコーヒー中級者になりたいあなたのための「ドリッパー」ガイド【専門店が教えます】

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萩原大智(「THE COFFEESHOP」店長)

萩原大智(「THE COFFEESHOP」店長)

スペシャルティコーヒー専門店「THE COFFEESHOP」にて取り扱うすべてのコーヒー豆の仕入れと焙煎・クオリティコントロールを担当。焙煎技術を競う大会であるローストマスターズチームチャレンジ2018に関東Aチームとして出場、優勝。 日々焙煎の研究とコーヒー豆の品質チェックを行う傍ら、コーヒーの魅力をより多くの方へ知ってもらうために、WEBマガジン・YouTube・各種SNSを通して豆知識や淹れ方のレシピ、グッズレビューなどを発信しています。

自宅のコーヒー器具、ちょっとこだわってみませんか?

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みなさんは、ご自宅でのコーヒーライフを楽しんでいらっしゃいますか?

私たちTHE COFFEESHOPは「究極のコーヒー体験を」をコンセプトに、2011年からスペシャルティコーヒー専門店として営業しています。

高品質なコーヒー生豆を厳選して焙煎し、店頭やオンラインで販売している傍ら、様々な抽出器具をHPのマガジンやYouTubeを通して紹介、使い方を発信する活動をしています。

コーヒーは、同じ豆でも挽き方や抽出器具、抽出レシピが変われば全く別の味わいになります。そのときの気分やシーンに合わせて、コーヒー豆だけでなく使う器具や淹れ方まで変えて楽しめる。これがコーヒーのとても魅力的なところの一つだと思っています。

あなたもぜひご自宅のコーヒー器具を少しだけこだわって、もっと楽しいコーヒーの世界を体験してみませんか?

「ドリッパー」を変えれば、コーヒーの味わいもガラリと変わる

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自宅でコーヒーを淹れる方法はいろいろとありますが、まず真っ先に思い浮かぶのは「ハンドドリップ」ではないでしょうか。

ドリッパーと呼ばれる器具にペーパーフィルターをセットし、挽いたコーヒー豆を入れ、上からゆっくりとお湯を注ぐ。するとムクムクと粉が膨れ上がり、湯気とともに香ばしい香りが立ち上る……という光景は、見ているだけで豊かな気持ちにさせてくれます。

手軽に始められるハンドドリップですが、実は使用するドリッパーによって、出来上がるコーヒーの味わいが変わってくることをご存知でしょうか。

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ドリッパーには実にたくさんの種類があり、さまざまなメーカーから次々と新しいモデルが発売されています。基本的にどのドリッパーも底の部分に穴が空いており、コーヒーの粉の層にお湯を透過させるという抽出の仕組みは同じですが、その形状は多岐に渡ります。

​​代表的なものは「円すい型」や「台形型」。珍しいものだと「円柱型」もありますね。ドリッパーの素材にもいろいろなものがあり、同じ形状でも陶器やプラスチック樹脂、ステンレス、セラミック製など実にさまざまです。

自分に合ったドリッパーを選べたり、使い分けたりできるようになると、コーヒーの楽しみ方がグッと広がりますよ。ドリッパーによる味の違いを理解して、初心者から一段進んだ「ハンドドリップ中級者」を目指してみましょう!

ドリッパー選びは「お湯が抜ける早さ」がポイント

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さて、実際のところドリッパーによる味の違いを決定づける一番の要因は、「お湯が抜ける早さ」にあります。

ハンドドリップなど、コーヒーの粉の層にお湯を透過させてコーヒーの成分を取り出す抽出方法を「透過式」と言います。透過式の場合、出来上がるコーヒーの味わいは、お湯の温度やコーヒー粉の挽き目などさまざまな要素によって決まりますが、「お湯が抜ける早さ」もそのうちのひとつ。そして、その早さは、使用するドリッパーによって最も左右される変数でもあります。

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ざっくり言うと、お湯が早く抜けたときにはすっきりとした口当たりになり、コーヒー豆の種類によっては酸味を感じやすく、ライトな印象になります。逆にお湯がゆっくりと抜けたときにはしっかりとした口当たりになり、コーヒーらしい苦味や飲みごたえを感じやすくなります。

これは、コーヒー豆のもつ酸味の成分は比較的抽出の前半でお湯に溶け出すのに対して、苦味の成分は抽出の後半にかけて出てくるため。抽出に時間がかかる(=お湯がゆっくり抜ける)ほど、より苦味成分が多くコーヒーの中に溶け出して酸味を感じにくい仕上がりになりやすくなるんです。

「お湯が抜ける早さ」はドリッパーごとにさまざまで、同じ豆・同じ抽出レシピで淹れたとしても、ドリッパーが変わればその速度は大きく違います。具体的には、以下の2つの要素がカギとなります。

お湯が抜ける早さを決める要素①:リブ

ドリッパーによって細かな違いはありますが、リブ(ドリッパー内側につけられた溝・ヒダのようなもの)がより高く、底穴に向かって垂直方向についているものほど、お湯が抜けるスピードは早くなります。また、リブの本数も、多くついている方がより早くお湯が抜けていきます。

対して、リブの高さが低かったり、数が少なかったりすると、お湯が抜けるスピードは遅くなる傾向にあります。

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リブはドリッパーとペーパーフィルターの間に隙間を作る役割をもっていて、抽出中の空気の通り道になります。隙間が大きく空いているほどお湯が下に落ちるのが早くなり、逆にペーパーフィルターが密着するドリッパーは、ゆっくりとお湯が抜けるようにできているんです。

お湯が抜ける早さを決める要素②:底穴

また、底穴が大きく空いている、もしくはたくさん空いているものほど早く抜ける傾向にありますし、その逆もまた然りです。

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世にこれだけ多くのドリッパーがあるのには、メーカー各社がリブの形状や本数、底穴の大きさなどを調整して、お湯が抜けるスピードに特徴をもたせているからなんですね。

 

ここまでで、「ドリッパーによって出来上がるコーヒーの味わいが大きく変わる」ということがお分かりいただけたでしょうか。そうすると、いろいろなドリッパーを買い集める楽しさもご想像に難くないと思います。

ご自身のお好みの味わいに合わせるのはもちろん、コーヒー豆の種類によってドリッパーを変えるのもいいですね。あるいは、すっきりしたコーヒーが飲みたい朝には透過スピードの早いドリッパーを、濃いめのコーヒーが飲みたい食後にはまた別のドリッパーを……なんて楽しみ方もオススメです。

時間帯や気分にあわせていろいろなコーヒーを淹れ分けられるようになれば、コーヒー中級者……どころか上級者です!

使いこなしてみたい、王道ドリッパー2種

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さて、ここからは世にある数多のドリッパーの中から、代表的な2モデルについて、具体的にご紹介したいと思います。

HARIO V60』と『Kalita カフェドリッパー』。どちらも日本を代表するコーヒー器具メーカーの看板ドリッパーで、広く世界中で愛用されているモデルです。

HARIO V60

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まずは『HARIO V60』。頂点の角度が60度で作られていることから名付けられたこのモデルは、世界で最も使用されているドリッパーのひとつです。

一番の特徴は内側につけられた「スパイラルリブ」で、スムーズにお湯が抜けつつも、絶妙にお湯が留まるよう緻密に計算されているのだとか。そのため、比較的さっぱりした印象のコーヒーが出来上がります。

実際にTHE COFFEESHOPの店頭でもV60を使用していますが、お湯を注ぐ早さによって味わいのコントロールがしやすいドリッパーという印象で、抽出のレシピを変えることでコーヒーのいろいろな表情を引き出すことができます。きっとそれこそが世界中で多くの人に愛されている所以なのでしょう。

逆にいうと、「お湯の注ぎがブレると味が変わりやすい」ということでもあるので、ハンドドリップ中級者〜上級者向けのドリッパーと言えるかもしれません。

Kalita カフェドリッパー

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対して『Kalita カフェドリッパー』は、比較的ゆっくりとしたお湯の抜けが特徴的。形状は台形型で、リブは底に向かってまっすぐつけられています。

底穴の数こそV60より多く3つ空いていますが、ひとつひとつが小さく、程よくお湯が溜まるような作りになっています。抜けがゆっくりになるということは、「お湯の注ぎの違いによる味への影響が小さくなる」ということでもあります。

その点、V60よりは扱いがやや簡単なドリッパーと言えるでしょうか。出来上がるコーヒーはゆっくりとお湯が抜ける分、ボディ感と甘さに特徴が出やすい仕上がりになります。特に『Kalita カフェドリッパー』で淹れたコーヒーは、しっかりした口当たりになりやすい傾向にあります。

※ワインなどでもよく使われる言葉で、口当たりの軽さ・重さを表す用語。

こちらの2モデルは、両方とも手に入りやすく、かつ味わいに特徴が出やすいドリッパーとなっています。ご自身のお好みや淹れたいコーヒーにあわせて、上手に使い分けられるといいですね。

【検証】実際に淹れて飲み比べてみました

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続いては、先ほどご紹介した2モデルのドリッパーについて、出来上がるコーヒーがどう違うのか、実際にコーヒーを淹れてみて検証したいと思います!

今回は検証のために、同じコーヒー豆・抽出レシピを使用してコーヒーを淹れてみました。のちほどその結果をもとに、それぞれのドリッパーごとにオススメのコーヒー豆もご紹介いたします。

【検証レシピ】

コーヒー豆:10g/中挽き
お湯:120ml/93℃

0’00”〜0’10”:10秒ほどかけて30mlのお湯を注ぎ、0’20”まで蒸らす
0’20”〜1’00”:40秒間かけて残りのお湯90mlをゆっくりと注ぎ切る

注いだお湯が全て落ち切ったら抽出完了。

コーヒー豆はTHE COFFEESHOPで通年販売しているハウスブレンドの『Light Mix』を使用。チョコレートのような甘さがあり、シトラスのような爽やかな酸味が特徴的な、バランスの良いコーヒーです。それでは早速結果を見ていきましょう。

HARIO V60

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落ちきりタイム:1’28”

全体的に軽い印象だが、酸味や甘さのバランスがよくまとまりがある。口当たりもさらさらとしていて飲みやすい印象。後味はすっきりとしている。

Kalita カフェドリッパー

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落ちきりタイム:1’57”

口当たりに若干のとろみを感じるような、ボディ感のある仕上がり。V60に比べてフレーバーが強く出る印象があり、後味も長く感じる。

落ちきりの時間に、なんと30秒近くも差が出ていますね。違いの大きさに驚いた方も多いんではないでしょうか。どちらも美味しく淹れることができましたが、やはり出来上がりの印象は大きく異なっていて、どちらが美味しいというよりは味の特徴が違う、というイメージです。

​​V60の方が全体的にすっきりとしていて、フルーティな酸味を楽しむことができました。対してKalitaはしっかりしたボディ感で、チョコレートのような甘さやとろっとした口当たりが特徴的な仕上がりになりました。

今回の検証を受けて、それぞれに向いていると感じたコーヒー豆と、THE COFFEESHOP的オススメの抽出レシピは次の通り。

HARIO V60→中煎り~深煎りの豆

先述の通りお湯の抜けが比較的早く、中煎りの爽やかな甘さや、深煎りの苦味をほどよく引き出してくれます。

幅広いレンジの焙煎度合いに合ったドリッパーですが、浅煎りの豆だと酸味が強調されすぎてしまい、飲みにくいと感じることもありそう。その場合は、お湯の注ぎをもっとゆっくりにしたり、粉の挽き目をより細かくしてあげると良いかもしれません。どちらも強すぎる酸味を抑えて、仕上がりのバランスを整える効果がある調整です。

【オススメの抽出レシピ例】

コーヒー豆:11g/中挽き
お湯:180ml/88℃

0’00”〜0’30”:10秒間かけて40mlのお湯を注ぎ、0’30”まで蒸らす
0’30”〜0’40”:10秒間かけて60mlをゆっくりと注ぐ
0’50”〜1’05”:15秒間かけて残りの80mlをゆっくりと注ぐ

注いだお湯が全て落ち切ったら抽出完了。

 

Kalita カフェドリッパー→浅煎り~中深煎りの豆

フレーバーとボディ感のある仕上がりになるので、酸味が強く出がちな浅煎りのコーヒーも飲みやすくなります。「これから浅煎りのコーヒー豆を試してみたい」という方にもオススメできるドリッパーです。

また、中煎り~中深煎りの豆では、後味に続く甘さの印象を長く楽しめるコーヒーに仕上がります。

【オススメの抽出レシピ例】

コーヒー豆:11g/中挽き
お湯:180ml/90℃

0’00”〜0’30”:10秒間かけて40mlのお湯を注ぎ、0’30”まで蒸らす
0’30”〜0’40”:10秒間かけて50mlをゆっくりと注ぐ
0’50”〜1’00”:10秒間かけて50mlをゆっくりと注ぐ
1’10”〜1’20”:10秒間かけて40mlをゆっくりと注ぐ

注いだお湯が全て落ち切ったら抽出完了。

もちろんあくまでTHE COFFEESHOP的なオススメですので、これ以外のコーヒー豆は向いていない、というわけではありません。あくまで参考までに試してみてくださいね。

「ドリッパー」を使いこなせばコーヒーライフはもっと豊かに

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今回はドリッパーの違いによるコーヒーの仕上がりの違いと、代表的な2モデルについてお話してきましたが、世の中にはまだまだ数多くのドリッパーが存在します。

さらには、同じドリッパーでも、使用するフィルターによって味わいはまた変わってきます。ペーパーフィルターにもいろいろな商品がありますし、洗って何度でも使える金属製のメッシュフィルターなんかもあります。これらの話もとっても面白いのですが、それはまたの機会に。

コーヒーを自分で淹れて飲む時間は、毎日の生活に潤いと癒しを与えてくれるもの。使う道具を選ぶことで、その時間がもっと楽しく、もっと豊かなひとときになるはずです。この記事を通して、みなさんのコーヒーライフが、より充実したものになることを祈っています!

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