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パクチーの育て方や種まき時期を解説! 長く収穫するコツとは?

スタッフ

株式会社カインズ グリーン・ガーデン部【公式】

株式会社カインズ グリーン・ガーデン部【公式】

ホームセンター・カインズのグリーン・ガーデン部が、お花・野菜・観葉植物・多肉植物・家庭菜園・庭造り・畑作りなどに関する専門知識や栽培方法、ノウハウなどを解説します。

エスニック料理や中華料理などに使われるパクチーは、「コリアンダー」という別称でも呼ばれる有名なハーブのひとつです。料理でも幅広く使えることやその独特の香りから日本でも多くの注目を集め、家庭でパクチーを育てる人も増えています。

そこで今回は、家庭でのパクチーの育て方を解説します。種まきや苗植えからの育て方をはじめ、長く収穫するコツや害虫対策、さらにおすすめの品種など、家庭菜園初心者でも楽しくパクチーを栽培する方法について説明します。

パクチー(コリアンダー)とはどんな植物?

皿に入ったパクチー

パクチーとはどのような植物なのでしょうか。まずは、その特徴や栄養、効能について見ていきましょう。

パクチーの特徴

パクチーは、特有の香りを持つセリ科の一年草で、主に中東や地中海沿岸、北アフリカ、南西アジアなどで見られます。草丈は40~60cm程で、白色の花を咲かせます。

パクチーはタイ語での呼び名で、「コリアンダー」は英名です。その由来はギリシャ語で、「虫」を意味する「Koris」といわれており、「虫のようなにおいがする」といわれたためと考えられています。

パクチーの葉は、刻んでサラダやスープ、肉料理、魚料理など、さまざまな料理に使われます。特に、ハーブやスパイスをふんだんに使うエスニック料理において、パクチーは欠かせません。

また、パクチーは葉だけでなく根や種子も食べられます。根は刻んでスープに入れたりできますし、種子は乾燥させても生の状態でも食べられます。葉、根、種子と、無駄な部分が少ないハーブです。

パクチーの栄養・効能

パクチーには特有の強い香りがあり、口に入れると清涼感が感じられるハーブです。パクチーはこの独特の風味だけでなく、さまざまな栄養も持つハーブとしても注目を集めています。

パクチーに特に多く含まれるのは、βカロテンやビタミンC、カルシウムなどの抗酸化成分です。これらは、免疫力の低下を抑える効果や、美容効果が期待できる成分です。

さらに、パクチーには整腸作用があるリナロールという栄養素も含まれます。リナロールには体内に溜め込んだ老廃物を体外に排出させる「キレート作用」があるため、パクチーを定期的に食べることでデトックス効果も期待できます。

上手にパクチーを育てるためのチェックポイント

パクチー畑

パクチーを育てるにあたってチェックしたいのが、育て始めるタイミングや用意する物、おすすめの栽培環境です。それぞれの注意点を踏まえて、万全な状態で栽培をスタートしましょう。

育てるのにおすすめの時期

パクチーを家庭で育てるにあたり、まず注意したいのが育てる時期です。

パクチーは、暑さや寒さが厳しい時期は栽培に適していません。種まきや苗植えにおすすめの時期は、3~5月または9~10月頃とされています。

また、パクチーは花が咲くと葉が硬くなり、株も弱るため、ハーブとしての収穫が難しくなります。複数回に分けて長く収穫したい場合は、種まきや苗植えを何回かに分けて行うことも検討するといいでしょう。

用意する物

パクチーを育てるために必要な物は、次のとおりです。

  • 苗もしくは種
  • 鉢やプランター
  • 鉢底石

パクチーの苗を選ぶときは、茎がしっかりとしていて、根元の葉が枯れていない小ぶりな物を選んでください。株が大きいと、根付きがしにくくなります。

鉢やプランターは、一株につき直径15cm程を目安にサイズを決めましょう。4株育てたいのであれば土容量5L、それ以上育てる場合は10L程度の容量が必要です。深さは、20cm以上ある物を選びます。

栽培環境

パクチーは、日当たりのよい環境を好みます。土は乾燥させすぎないように注意する必要がありますが、パクチーは高温多湿による蒸れに弱いため、水はけのよい土が栽培に向いています。

18~25℃を維持できる、風通しのよい半日陰の場所が望ましいでしょう。

パクチーの育て方

プランターの中のパクチー

続いては、パクチーの育て方をご紹介します。パクチーの栽培に適した植える場所の選び方から収穫まで、8つのステップに分けて見ていきましょう。

1. 植える場所を選び、用土を準備する

パクチーは、鉢やプランターで育てる方法と、地植えする方法とがあります。迷った場合は季節や天候によって場所を変えやすい鉢やプランターでの栽培がおすすめです。

パクチー栽培の土台となる用土を作る際のポイントを紹介します。

鉢やプランターの場合

鉢やプランターでパクチーを栽培する際は、培養土を選びます。培養土は、水はけや水持ちのよい土のため、別途、腐葉土や堆肥などを配合する必要はありません。

しかし、用土にこだわりたい場合は、自分でブレンドすることもできます。ブレンドする際は、「赤玉土5:腐葉土3:堆肥1:バーミキュライト1」の割合がおすすめです。

地植えの場合

地植えでパクチーを栽培する場合は、種まきや植え付けの2週間前までに弱酸性の土壌に整えておく必要があります。まずは、1平方メートルにつき100g程の苦土石灰をまき、しっかり耕しましょう。

その1週間後、腐葉土または堆肥を1平方メートルにつき2kg、化成肥料を1平方メートルにつき100gまいて、耕します。

2. 種まき

パクチーを種から育てる場合は、種を「すじまき」「点まき」「ばらまき」のいずれかの方法でまきます。パクチーは、発芽に光が必要な「好光性種子」のため、種の上を土で覆わないようにします。

種まき後の水やりのポイント

パクチーの種をまいたら、1日1回、霧吹きで十分に土を湿らせて、乾燥を防ぐためにビニールをかぶせます。温度は、発芽温度の15℃前後を維持できるのが理想です。順調に種が育てば、1週間程度で発芽します。

発芽後、葉が育ってきたら、風通しがよくなるよう、また吸収する栄養に偏りが出ないように、よく育っている株を残して間引きを行います。

パクチーの種の発芽率を上げるポイント

パクチーの種は硬い外殻に覆われており、中には種子が2つ入っています。そのまま種をまくと発芽率は60%程度と低めですが、外殻を指で割った上で種まきをすると、90%程度になるといわれています。

発芽率をアップさせるためにも、種の殻を指で軽くつぶして、数時間から一晩、水につけてから種まきをするといいでしょう。

3. 植え付け

パクチーの苗を植え付ける場合は、株間を20〜30cm程度空けるのが理想です。土に根鉢と同じくらいのくぼみを開けて、根鉢を崩さないよう注意しながら植え付けます。植え付けたら土を少しかぶせて、手で押さえて土と根を密着させます。その後、水を十分にやりましょう。

なお、パクチーは直根性で移植を嫌います。直根性とは、根が分かれずにまっすぐ伸びる性質のことです。直根性の植物は、根が途中で切れたりすると再生が難しいため、できるだけ植え替えはしないことが望ましいのです。パクチーの苗をポット苗から植え付ける場合は、根をさわらないように気をつけましょう。

4. 追肥

パクチーを育てていて、葉の色が薄かったり黄色かったりする場合は、株元に化成肥料をまく、規定の倍率に薄めた液肥をあげるなどすると効果的です。ただし、パクチーの風味を落としかねないため、肥料のやりすぎには注意が必要です。

植え付け前に与えた元肥だけでしっかり育つ可能性もあるため、追肥は必須ではありません。必要に応じて肥料を与えましょう。

5. 摘心

パクチーの花芽

パクチーの花芽が出てきたら摘心します。摘心とは植物の成長を促す作業のひとつで、芽や若い茎、枝などを摘むことです。

パクチーは開花したまま放置すると、株ごと弱り枯れてしまいます。そのため、早めに花芽を見つけて摘み取り、エネルギーが花に行かないよう管理する必要があるのです。香りの豊かなパクチーの葉を楽しむためにも、花芽を摘む作業は欠かせません。

花芽をつけたパクチーの茎は、通常の葉をつけた茎よりも太く、長く伸びる点が特徴です。日々、茎の状態をチェックして、花芽を見つけたら早めに摘み取りましょう。特に、暖かい時期は花が咲きやすくなるため、こまめに花芽を摘み取る必要があります。

6. 収穫

パクチーの葉は成長しすぎると硬くなり、風味も落ちてしまいますので、若い葉を積極的に収穫するのがポイントとなります。パクチーの部分別の収穫方法は下記のとおりです。

葉の収穫

パクチーの葉は、植え付けから40日程度で収穫できるようになります。必要な分を株元から切り取るか、株ごと引き抜いて収穫しましょう。成長しすぎると葉の幅が狭くなり、風味も落ちてしまうため、収穫は早めに行います。

茎や根の収穫

パクチーの茎を収穫したい場合は、花芽がつく前の株を株元から切り取ります。また、根はちぎれないように、土からゆっくりと引き抜きましょう。

7. 保存

パクチーはどんどん成長し収穫することができるため、収穫した葉を一度に使い切れないことがあります。ですから、鮮度を保ちながら保存して、できるだけ風味を落とさないことが大切です。

パクチーの保存方法には冷蔵と冷凍の2通りがあり、いずれの場合もしっかりと水気を切ることがポイントとなります。水滴が残ったまま保存すると腐りやすくなるため、保存の際は水気をしっかり切ることが大切です。

パクチーの水気を切ったら、密閉できる容器へ入れます。根がついた状態で保存する場合は、水気を含んだキッチンペーパーで根を包むと根の乾燥を防げます。
冷蔵保存は、鮮度が落ちやすいためできるだけ早めに消費しましょう。冷凍保存した場合も、1ヵ月を目安に消費することをおすすめします。

8. 採種

パクチーは一年草です。収穫後は株が枯れてしまいますから、育てたパクチーを増やすには、採種をする必要があります。パクチーは移植を嫌い、さらに挿し芽も失敗しやすいため、種を収穫して次回の栽培に使うことで確実に増やすことができます。

パクチーは、植え付けから120日程度で採種が可能です。花芽を摘み取らずに育てて結実し、種が茶色くなった時点で株ごと刈り取ります。刈り取った株は新聞紙などに包み、風通しのよい日陰で乾燥させましょう。株全体が茶色くなったら、先端についた種をふるい落として採種します。

採種したパクチーの種は、紙袋や封筒などに入れて冷蔵庫に保管してください。

パクチーの栽培のポイント

地植えのパクチー

パクチーは、特別な道具や専門的な技術も必要ないため、園芸やガーデニングの初心者でも育てやすい植物のひとつです。しかし、ガーデニング初心者は、本当に収穫まで育てられるのか不安に思う人もいるかもしれません。

そこで、パクチーを収穫できるまで枯らしたり害虫被害に遭ったりせずにイキイキと育てるためのポイントをご紹介します。

水やりのポイント:鉢植えならたっぷり、地植えは基本的に不要

鉢やプランターでパクチーを育てる場合、水は表面の土が乾いたらたっぷりと与えることがポイントです。ただし、水を与えすぎると根腐れを引き起こす可能性があります。根腐れを防ぐには、鉢やプランターの底の穴が小さすぎず、水はけがよい物を選ぶのがコツです。

一方、地植えでパクチーを育てている場合は、基本的に水やりは不要です。長期間雨が降らずに乾燥している時期は、1~2週間に1回の頻度でたっぷりと水を与えます。

追肥のポイント:必要に応じて追肥

パクチー栽培では、追肥は必須ではありません。葉の色が薄かったり、黄色っぽかったりする場合にのみ、必要に応じて追肥を行いましょう。

間引きのポイント:成長がよくない物を間引いて風通しよく

鉢やプランターで育てているパクチーは、成長すると葉が密着して風通しが悪くなります。また、土から吸収する栄養に偏りが出てしまう可能性もあるため、必要に応じて間引きを行い、株や葉の数を調整しましょう。

間引きのポイントは、成長がよくない物から間引くことです。間引いた葉や株は、スープやサラダのトッピングとして活用しましょう。

葉を長く収穫するポイント:茎の状態をよく見て花芽を摘み取る

ひとつの株にどんどん葉をつけるパクチーは、一度栽培し始めると長く収穫していくことができます。しかし、長く収穫するためには「とう立ち」に注意が必要です。

とう立ちとは、花のついた茎が伸びてきた状態のことで、花が咲いて実がついたパクチーは、花や実に多くのエネルギーが行ってしまい、株が枯れやすくなってしまうのです。

ですから、パクチーの葉を長く収穫するためには、摘心がポイントとなります。茎の状態をこまめに管理して、花芽は見つけ次第すぐに摘み取るようにしましょう。

高温多湿を避けるポイント:風通しがよい乾燥気味な環境で育てる

パクチーは寒さに弱いため、冬が苦手な植物です。乾燥していて暖かい環境を好むため、高温多湿な日本の夏も得意ではありません。気温が高いからといって夏場のパクチーの管理を怠ると、枯らしてしまう可能性があります。

夏は風通しのよい場所にパクチーを置いて、乾燥気味な環境で育てることがポイントです。高温多湿を避けるためにも、夏場の水やりは控えめにしましょう。

害虫対策のポイント:高温多湿な環境を避ける

パクチーに発生しやすい代表的な害虫がアブラムシです。アブラムシは茎や葉について株を弱らせ、枯らしてしまう原因となります。

アブラムシは高温多湿の環境を好むため、パクチーは風通しのよい乾燥気味の場所で管理します。また、間引きで株間を空けて、風の通り道を確保することも大切です。

もし、パクチーにアブラムシがついてしまった場合は、指で取ろうとして葉や茎を傷付けないように注意しましょう。必要に応じて、ハサミで葉や茎を切り取ります。大量のアブラムシが発生している場合は、スプレーで薬剤を吹きかけて駆除することも可能です。

パクチーの品種の選び方

皿に入ったパクチー

パクチーにはさまざまな品種があるため、家庭で育てるパクチーはどのタイプがよいのか迷ってしまう方もいるのではないでしょうか。

最後に、パクチー栽培の初心者でも育てやすい、おすすめの品種をご紹介します。

パクチー・ラー

パクチー・ラー

パクチー・ラーは、日本でも多く栽培されている、定番のパクチーの品種です。トムヤムクンや生春巻き、フォーなどのエスニック料理に使われているのを見たことがある方も多いでしょう。葉の部分に浅い切れ込みが入っていて、草丈は40~60cmまで伸びます。

今回ご紹介する3つの品種の中では最も香りが軽いため癖は少なく、家族にパクチー特有の風味が苦手な方がいる場合でも育てやすいでしょう。

パクチー・ファラン

パクチー・ファランは、ノコギリのようにギザギザした大きな葉を持っており、「ノコギリコリアンダー」という異名で呼ばれることもあります。パクチー・ラーと比べて香りが強く、本場のタイでは肉料理やスープに使われることが多い品種です。繁殖力が高いため、春や秋に種をまくとよく育つ点も特徴です。

ただし、育ちすぎると葉が大きく硬くなってしまうため、やわらかい若葉の部分を収穫して食べるようにしましょう。

パクチー・ラオ

パクチー・ラオは、日本では「ディル」という名で知られる品種で、香りが特に強く、後味に苦みがある独特の風味が特徴です。香りが強いため肉料理や魚料理の香り付けや飾りとして使われることが多く、エスニック料理だけでなくイタリア料理などでもよく見られます。

一般的なパクチーの香りでは物足りない方や、肉料理や魚料理に本格的にハーブを使いたいという方におすすめの品種です。

パクチーの育て方のポイントを押さえて家庭菜園を楽しみましょう

窓際で咲くパクチー

パクチーの栽培には、高温多湿を避けることや花芽を早めに摘み取るといった注意点もありますが、こうしたポイントさえ押さえれば初心者でも育てやすいハーブといえるでしょう。

パクチーは収穫できる量が多く、料理にも幅広く使うことができるため、上手に育てれば家庭での楽しみも増えるはず。品種ごとの違いなども楽しみながら、パクチー栽培にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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