埼玉県平野部なぜ暑い? 熊谷地方気象台と熊谷市長に聞いてみた
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目次/ INDEX
自宅で飼える猛禽類として根強いファンが多いフクロウ。映画『ハリー・ポッター』に登場するシロフクロウがきっかけで、世界各地でフクロウブームが起こったこともあります。
フクロウは基本的に賢く、おとなしい種類もいるためペットとして飼うことは可能ですが、立派な猛禽類の一種です。完全に肉食であり、足先には鋭い爪を携えています。フクロウをコンパニオンアニマルとして飼うには、相応の知識と準備が必要だと考えたほうがよいでしょう。
そこでこの記事では、フクロウの飼い方全般を注意点や素朴な疑問を交えて紹介します。ペットに向いている種類とその費用についてもまとめているので、ぜひ参考にしてください。
フクロウは「フクロウ目フクロウ科フクロウ属」に属する猛禽類の総称です。世界には約140種ものフクロウがおり、日本にも約10種が確認されています。
よくある疑問に「ミミズク」「コノハズク」との違いが挙げられますが、耳のようにも見える羽角(うかく)の有無など、見た目だけの違いです。生物学上の分類ではすべてフクロウなので、この記事ではミミズクやコノハズクもフクロウとして扱います。
なお、フクロウは「福来郎」や「不苦労」、「不苦老」と当て字できることから、縁起の良い動物として親しまれてきました。頭が良く、暗闇の中でも効率的にハントする様子から「森の賢者」「森の哲学者」といったイメージも持たれています。
フクロウといえば、なんといってもお面を被ったような平たい顔が特徴でしょう。よく見るとハート型のようにも見えるこのつくりは顔盤(がんばん)といい、音を拾って獲物の位置を探ることができます。なかでもカラフトフクロウの顔盤は大きく、パラボラアンテナのようだと表現されます。
目が人間のように顔の全面に並んでいるのも特徴で、つぶらな瞳ながら人間の100倍ほどの視力を持ちます。ただし眼球を動かすことはできないため、首を回転させて対応します。一般的に鳥の首は180度回りますが、フクロウは270度回すことができます。
耳は羽毛で隠れて見えませんが目の横にあり、多くの種類で左右の高さが異なります。左右非対称である利点は、音の到達時間と音圧差が出ることです。フクロウが特徴的な外見をしているのは、このような理由があります。
フクロウは猛禽類でありながら、基本的には温和で穏やかな性格をしています。繊細で臆病な面もあるため、自分よりはるかに大きい人間を怖がることもあるでしょう。
もちろん、獰猛さを見せる瞬間もあります。頭が良いため人に慣れることはありますが、インコや文鳥のように触れ合うのは難しいでしょう。
野生のフクロウは昆虫やネズミ、スズメといった、自分より小さな生き物を捕らえて食べています。待ち伏せ型の狩りをするフクロウもいれば、飛翔しながら獲物の捕らえる猛禽類らしい狩りをするフクロウもいます。
種類によって好みはありますが、基本的にはさまざまな生き物を捕食していると考えてよいでしょう。
フクロウは基本的に一夫一婦制で、繁殖シーズンは冬から春にかけてです。メスは大木の樹洞や木の根本、地上の穴、あるいは民家の軒下などに直接卵を産みます。一度に産卵するのは2~4個ほど。卵は約1か月で孵化し、メスが子育てを、オスが狩りを担当します。
ヒナは生後約2週間で羽が生えそろい、1か月~1か月半もすれば巣立ちを迎えます。その後は親鳥に狩りを学び、9月~11月になると完全に自立します。一般的に繁殖を始めるのは3~4年目からで、その後も5年ほど続けるといわれています。繁殖経験のあるフクロウのつがいは、翌年以降も同じ場所に巣を作るという傾向も。
寿命は小型で10年から15年ほどです。大型になるほど長生きする傾向です。
フクロウを飼う場合は、ブリーディングされた「ペットOKのフクロウ」から選ばなければいけません。野生のフクロウをペット目的で飼うのは鳥獣保護法で禁止されているためご注意ください。
ここでは、ペットとして人気のフクロウを数種類ピックアップしました。
原産 | ヨーロッパ、中国、アフリカ北部 |
容姿の特徴 | ・灰褐色、茶褐色の体色に白い斑模様 ・全長20~23cm ・体重100~200g |
性格 | ・好奇心旺盛で活発 ・神経質でやや攻撃的な面も(ツンデレな一面も) |
寿命 | 10~15年 |
値段 | 15~30万円 |
コキンメフクロウは非常に小型でかわいらしいフクロウです。原産国によって体色が白っぽかったり、大きさが異なったりしますが、総じて「小さくてかわいい子」として大人気。ツンデレな一面もあります。
小型ながら体が丈夫で、広い地域に生息しているため環境への順能力も高いのも特徴です。少し臆病で警戒心が強い面もあり、飼い主さんに慣れるまで時間はかかるでしょうが、信頼関係を築けば甘えてきてくれることも。
ちなみに、ギリシャ神話では女神アテネや女神ミネルヴァの従者とされており、知恵や芸術の象徴として扱われています。
原産 | アフリカ大陸 |
容姿の特徴 | ・黒い縁取りに真っ白な顔、オレンジ色の目 ・全長20~25cm ・体重200~250g |
性格 | ・好奇心旺盛な気分屋 ・繊細 |
寿命 | 10~15年 |
値段 | 35~45万円 |
アフリカオオコノハズク・通称「アフコノ」は、コノハズクとしては大型ですが、フクロウ属全体としては小型です。
性格は好奇心旺盛で活発。なつきやすく、さまざまな表情を見せてくれるので、生活が楽しくなるでしょう。
ただし気は小さく臆病です。身の危険を感じると体を細めて木に擬態し、逆に威嚇するときは羽を逆立てて太くなるというユニークな習性を持ちます。
原産 | 南アメリカ |
容姿の特徴 | ・灰色、赤色、茶褐色と幅広い ・全長20~25cm ・体重100~160g |
性格 | ・人間を恐れない ・温厚で穏やか |
寿命 | 10~15年 |
値段 | 35~45万円 |
スピックスコノハズクも、小型ながら体が丈夫で飼いやすいフクロウです。何よりも性格がフレンドリーなので、人をあまり恐れません。温厚なことから多頭飼いもしやすく、飼い主さんを困らせることは少ない種類でしょう。
ただ、英名が「Tropical screech owl」、つまり「熱帯の金切り声フクロウ」であり、一度スイッチが入ると大きな声で鳴くことがあります。
森脇さん
とはいえ、フクロウのなかでは大きな声ではないので、騒音対策をするほどの種類ではありません。
原産 | ポルトガル、スペイン、フランス |
容姿の特徴 | ・木の肌のような保護色 ・全長15~20cm ・体重60~120g |
性格 | ・フレンドリー ・温厚で穏やか |
寿命 | 10~15年 |
値段 | 30〜40万円 |
ペット用のフクロウを代表する存在のヨーロッパコノハズクは、手のひらサイズの超小型フクロウです。
個体差はあるもののフレンドリーな子が多く、適切に育てれば手乗り文鳥……とまではいかないですが、非常になついてくれるでしょう。肩や腕にちょこんと座る姿はとてもラブリーです。
フクロウのなかでは比較的リーズナブルなことも人気の理由です。
原産 | カナダ、南アメリカ、ペルー |
容姿の特徴 | ・顔の面積と同等の羽角 ・指が非常に太い ・全長50~70cm ・体重1~2kg |
性格 | 気性は荒いがなつきやすい |
寿命 | 〜25年 |
値段 | 45~65万円 |
大きく発達した羽角によりキリッと凛々しい表情に見えるアメリカワシミミズク。体長は40~60cmと大きく、翼を広げると150cm程度になるほど。気性は荒く、鋭く太い爪は猛禽類の恐ろしさを再認識させられますが、猫っぽい一面もあり、小さな頃から育てると飼い主さんラブな子になってくれます。
見た目とのギャップから人気が上昇しており、中型以上のフクロウを飼ってみたい方におすすめです。
原産 | ヨーロッパ全域、アフリカ北西部 |
容姿の特徴 | ・丸くて大きな黒目 ・全長35~45cm ・体重400~600g |
性格 | おっとり |
寿命 | 15~20年 |
値段 | 40~45万円 |
モリフクロウはフクロウの代表的存在といえるほどメジャーな種類です。日本には生息していませんが、フクロウカフェではよく飼われており、多くのフクロウ好きから愛されています。価格も平均的なのでお迎えしやすいでしょう。
性格はおっとりしておとなしく、飼い主さんによくなつきます。「きゅうきゅう」「ほほほほほ」と鳴き声のバリエーションが豊富で、一緒にいると楽しいでしょう。ただ、季節によっては鳴き声が大きくなる個体もいます。
原産 | 中央ヨーロッパ、アフリカ、東南アジア |
容姿の特徴 | ・お面をかぶったような平たい全面 ・白色が基調 ・全長25~45cm ・体重250~600g |
性格 | 温厚で順能力が高い |
寿命 | ~20年 |
値段 | 10~20万円 |
メンフクロウは、その名の通りお面を被ったような顔立ちをしているフクロウです。世界中に広く分布しており、特にヨーロッパでは、教会や納屋に巣を作るフクロウとして知られています。
環境適応能力が優れているため、人間との信頼関係を築きやすいといわれています。繊細ですが、信頼関係ができるとよくなつき、また基本的にはおっとりしているため、小さな頃から育てれば手や腕に乗せることもできるでしょう。
フクロウの飼い方は「係留飼育」「ケージ飼育」「放し飼い」の3種類に大別できます。どれが良い・悪いではなく、ご自宅の環境やフクロウの種類によって選択する必要があります。
係留飼育をする場合、足場となるパーチ(止まり木)、あるいは「ファルコンブロック」と呼ばれる台座が必要です。フクロウの脚首に紐付きのアンクレット(足革)を巻きつけ、行動範囲を制限して管理するという飼い方です。
係留する台座は自作する方もいますが、紐が絡まったり、長さ調節が難しく糞で汚れたりするケースがあるため、専用の商品を購入することをおすすめします。
また、ファルコンブロックは猛禽類の飼育に用いるものですが、フクロウではなくハヤブサ用に開発されたパーチ型もあり、ものが多いため、できるだけフクロウ用の台座(ファルコンブロック)を選びましょう。
フクロウの大きさにかかわらず、飼育ゲージはできるだけ大きいものを用意してあげましょう。一般的な鳥かごでは小さく、羽を傷つける恐れあるためおすすめできません。
猛禽ケージだと安心で、掃除も簡単で人気があります。飼い主さんによっては、家具を組み立てたり犬猫用のケージを改良したりと、DIYする方もいます。
空き部屋などでほぼ放し飼い状態にする場合は、部屋のどこかにパーチやファルコンブロックといった係留台を常時置くだけで大丈夫です。
放鳥飼育のメリットは、フクロウが活発に動く様子を見られることでしょう。ただし異物の誤飲など危うい面もあるため、飼い主さんの在宅時のみ自由にさせておき、不在時は係留飼育やケージ飼育に切り替える「半放し飼い」という選択肢もあります。
ペットシーツ(マットや新聞紙)はパーチの下や飼育ゲージの底に敷きます。糞尿のにおいを抑えられるシーツもあり、非常に重宝します。ほぼ放し飼いにしている状態で、幅広い面積をカバーしたい場合は、新聞紙で代用するのもよいでしょう。
フクロウは人間が適温と感じる温度・湿度以上・以下でもある程度対応できるため、さほど神経質になる必要はありませんが、軽視するのは危険です。フクロウの元気がないときは、ひょっとすると温度・湿度が原因かもしれません。一つの部屋で放し飼いにするときは、温度・湿度計を置いて室温を管理しましょう。
体重管理も重要です。フクロウのようなペット化されていない野生動物は体調不良を隠す傾向があり、見た目も羽に覆われているため、見極めが難しい場合があります。定期的に体重計に乗せ、急激な増減がないか確認しましょう。0.1g単位で計測できるデジタルスケールがおすすめです。
給水は大きめのお皿に水を入れておく方法で構いません。水浴びをしながら水を飲むこともあるので、清潔な水を用意しましょう。
水浴び容器は、高さが浅く、フクロウが乗っても器がひっくり返らない重さのあるものが好ましいです。
フクロウと触れ合う際に必需品といえるのが、ファルコングローブと呼ばれる猛禽類専用のグローブです。フクロウが力を入れても爪が食い込まない仕組みになっており、ロスト(逃げ出す)の危険性を防ぐためのリングも装着できます。
ただ、小型や幼体のフクロウであれば、厚手の革グローブで代用できることもあります。
フクロウは基本的に肉食で、野生のフクロウはネズミや小鳥、昆虫などさまざまな生き物をハントしています。
一般的に、フクロウのエサ用に売られているエサは次のものです。
種類あるいは個体によって好き嫌いがある可能性があるので、食が進まない場合は主食を変えてみてください。
大型のフクロウであればマウスやヒヨコを丸呑みできますが、小~中型のフクロウの場合は、飼い主さんがエサをさばいて与えてあげる必要があります。キッチンバサミなどで食べやすい大きさに調整してお皿に置くか、ピンセットで給餌します。
ちなみに、スーパーや精肉店などで売られている肉は血抜きされているのが基本で、フクロウにとって必要な栄養が足りません。主食は必ず小動物そのものを与えてください。
ここでは、フクロウを上手に飼うための具体的な方法を解説します。フクロウの種類によって多少異なる部分はあるため、詳しくはフクロウをお迎えしたペットショップにもご確認ください。
冷凍マウスやヒヨコは、冷蔵解凍するとドリップ(血液)が出にくく衛生的です。エサやりの6~8時間前に、1日の食事分(フクロウの体重の約8~15%)を冷蔵庫の冷暗部に入れてゆっくりと解凍しましょう。
森脇さん
解凍し、常温になれば適度な大きさにカットして与えてください。内蔵も急速冷凍しているものであれば与えれますし、むしろ内蔵好きな子は多いです。
解凍できたら水で軽く洗い、5分ほど水に浸します。常温になれば適度な大きさにカットして与えてください。内蔵は食べないので燃えるゴミに出すことになりますが、そのまま捨てると悪臭を放ちます。ラップに包んで再度冷凍し、ゴミの日当日に捨てるとよいでしょう。
フクロウは食後10時間ほどで「ペリット」と呼ばれる未消化物(毛や歯、骨など)の塊を吐き出します。フクロウはペリットを吐き出すことで消化を早め、食道をきれいに掃除しているともいわれています。
ペリットに肉片が混ざっていたり、一部が溶けていたりする場合は、健康状態は思わしくない恐れがあります。正常なペリットを吐いているか、健康のバロメーターとして毎食分をチェックしましょう。
フクロウは環境の変化に敏感です。飼い主さんの表情や行動をよく観察しているため、常日頃しない嘴や爪のメンテナンスをしようとすると、「嫌なことをする人」というマイナスの感情が芽生えやすいといわれています。信頼関係の崩壊につながりかねないため、慣れていない方、自信のない方は動物病院や専門店に依頼しましょう。
自分でお手入れする場合は、タオルでぐるぐる巻きにして動きを制限(保定)したうえで、ステンレスニッパーなどを使います。ただ、誤ったやり方をすると翼を痛めてしまったり、呼吸できなくなったりと事故につながります。きちんと勉強したうえで行いましょう。
フクロウは水浴びが大好きです。足回りが汚れると病気にかかる恐れもあるため、頻繁に水浴びをさせてください。体を清潔に保てるのと同時に、ストレス発散にもつながります。
水浴びは桶やタライなどでフクロウ自ら楽しんでもらう方法が一般的ですが、霧吹きで水をかけてあげる方法もあります。
たまには日光浴をさせてあげましょう。紫外線を浴びることでビタミンDが生成されるうえ、体内時計も整います。日光浴をしているフクロウとそうでないフクロウとでは、羽の色つやに差が出るといわれています。
ただ、直射日光に当てるとフクロウにとって負担になる恐れがあるため、お庭や窓際などの半日陰がよいでしょう。時間は1時間ほどで構いませんが、真夏の猛暑日などは日中は避けて、朝夕の日光が弱いときにしましょう。基本的に、日光浴の間は目を離さないことが大切です。
鳥類はトイレのしつけができませんが、フクロウは止まり木に止まっていることが多く、糞は真下に落とします。基本的には汚れた新聞紙やペットシーツを交換するだけでよく、さほど手間はかからないでしょう。
しかし、羽や脂粉(しふん)と呼ばれる細かな粉が散らばることはよくあるので、定期的な掃除は必要です。
基本的にフクロウは気難しい生き物です。また、食物連鎖では上位に位置するためタフかと思いきや、かなり繊細な面もあります。フクロウを飼う前に知っておいたほうがよい注意点を予習しておきましょう。
動物園やフクロウカフェの職員など、フクロウの生態に詳しいプロの方以外がしつけや訓練をするのはおすすめしません。フクロウはインコや文鳥と違い、飼い主さんとの距離感はクールで控えめです。無理に飼い主さん好みにしつけようとすると「嫌なことをする生き物」と認定される可能性が高いでしょう。
ただでさえ、自然界でのフクロウは食物連鎖でも上位に位置する猛禽類です。「仲良くなるには時間がかかって当然」だと考え、距離感を誤らないようにしましょう。
フクロウにおもちゃを与えるのは誤飲の危険性があるため要注意です。不要になったぬいぐるみや衣類、アクセサリーはもちろん、犬猫用のおもちゃなども近くに置かないほうが無難です。
係留飼育、ケージ飼育の場合、放鳥タイムなど少し時間を取ってあげればよいでしょう。しかし放鳥はロスト、誤飲、衝突といったリスクと隣合わせになる時間でもあります。特に誤飲による事故は多いため、放任主義すぎる放鳥はおすすめしません。
フクロウの足につなぐ紐が長いと事故を誘発します。代表的なのは絡まり事故です。紐が長い分、糞や脂粉がかかりやすくなり、掃除の手間が増えるのもデメリットです。
フクロウはインコや文鳥と違い、せわしなく動き回ることはほとんどありません。紐を短くすると行動範囲が狭まりますが、パーチの上が最も心地良い場所と思ってもらえる環境を整えましょう。
フクロウがよくかかる病気の一例を紹介します。
平たくいえば食中毒であり、飼育下のフクロウの死因トップ3に入ります。フクロウはほかの野生動物と同じく不調を隠す傾向があるため、症状が出た段階では末期であることも多いです。エサやりの仕方に問題があるケースがほとんどだともいわれています。
床に落ちている紐や布、髪ゴム、ぬいぐるみの一部などを飲み込むことで起こることがほとんどです。フクロウの手足が届く範囲に危険なものを置きっぱなしにしてはいけません。
係留飼育で使用する紐などが足に絡まり、皮膚が壊死することがあります。壊死とは組織が局所死することを意味するため、最悪の場合は足を切断しなければなりません。
足元が不衛生なために、タコのような肉芽腫ができる感染症のことです。水浴びを頻繁にさせる、足の爪は適度にお手入れするなど、衛生面に気を配りましょう。趾瘤症は繰り返して発病することもあるため、生活環境をきちんと見直すことが大切です。
ペットに不調はつきものですが、フクロウは飼育ノウハウの情報量が少ない分、飼い主さんの知識不足や技術不足による病気・怪我が多発しているのが現実です。信頼できる獣医は必ず見つけておき、万が一の際は早急に受診しましょう。
フクロウをお迎えする前、または一緒に暮らしていくうえで出てくる疑問や不安にQ&A形式でお答えします。
A.フクロウの鳴き声のボリュームには個体差がありますが、基本的には小さめです。ただ、ご近所迷惑になるかどうかは、お家同士の距離や壁の厚さを含む防音状況によるので何ともいえません。
インコや文鳥のように頻繁に鳴くことないものの、お腹が空いたとき、威嚇しているとき、オスがメスにアピールしたいときなど、フクロウもさまざまなケースで鳴きます。自分の存在や縄張りを主張する声は「テリトリーコール」と呼ばれ、特に夜中に見られることが多いです。集合住宅にお住まいの場合は注意したほうがよいでしょう。
ちなみに、オスは喉袋と呼ばれる袋を持ち、それを膨らましたり縮めたりして「ホー、ホー、ホー」と比較的長く、通る声を出せます。メスには喉袋がないため「ホッホッホッ」といった声しか出せません。
A.確かに夜のほうが活発になる種類が多いですが、飼い主さんの生活リズムを崩してまでフクロウに合わせる必要はありません。というのも、飼育下のフクロウは狩りをせずともエサにありつけるからです。
人間と暮らしている以上、好きなときに寝て、食べて、遊ぶと、思い思いの時間を過ごしています。飼い主さんが寝ている深夜はフクロウも寝ていることが多いでしょう。
A.小鳥と比べると多少きついかもしれませんが、フクロウ自体はほとんどにおわないというのが飼い主さんによる一般的な意見です(個人差にもよります)。
ただ、1日に1~2回排泄する「盲腸糞」と呼ばれる糞は強いにおいを発するので、見つけたら早めに処理をしましょう。盲腸糞は茶色くドロっとしているため、見た目だけでも違いを判別できます。
A.飲まないわけではなく、エサから水分を摂取することが多いです。また、水浴びの水を飲むこともあります(種類や個体差もあります)。
かといって、普段まったく水を飲まないわけではありません。気が向いたときや、必要なときに水が飲めるよう、やや大きい浅型の容器を用意しておくとよいでしょう。
フクロウは犬や猫ほどの確立された飼育方法がなく、生態に合った生活環境を整備するのも少し大変です。賃貸契約の場合、「ペット可」であっても「猛禽類はNG」というケースもあります。購入前や引っ越し前は必ずオーナーに確認しましょう。
日々お世話するうえで疑問や不安が出てきたら、速やかに鳥専門のペットショップや動物病院といった専門家に問い合わせることをおすすめします。よくかかる病気もあるため、信頼できる動物病院を見つけておくことも重要です。
なお、基本的には素っ気なく、人間に構われることを嫌うフクロウですが、ときには甘えてくることもあります。信頼関係が徐々に構築されるフクロウだからこそ、心を許してくれたときの「ツンデレ」具合はかわいくてたまりません。
フクロウと楽しい共同生活を送るためにも正しい飼い方を学び、元気に長生きできる環境を整えてあげましょう。
森脇さん
しかし、インコなどとは違いますが、種類や個体によりなつくこともあります。