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ヤモリやニホントカゲと並び、身近でもよく目にするニホンカナヘビ。子供の頃に捕まえたことがある方もいるのではないでしょうか。ヘビのように動き回るかわいい生き物という意味で「愛蛇(かなへび)」と名付けられた説があり、トカゲ愛好家のなかでは「ニホントカゲよりも慣れやすい」ともいわれています。
そこでこの記事では、ニホンカナヘビの飼育方法全般をまとめました。多頭飼いしていると繁殖することもあるので、赤ちゃんカナヘビの育て方についても解説します。
カナヘビは「ヘビ」とついていますが、カナヘビ科カナヘビ属というトカゲの総称です。日本を含むアジアのほか、ヨーロッパ、アフリカに広く分布しており、約26属280種が確認されています。
地中海西部・バレアレス諸島のフォルメンテーラ島に生息する「フォルメンテーラカナヘビ」、ヨーロッパ西部で確認されている「ホウセキカナヘビ」は、その美しさからペットとして人気の種です。
日本でカナヘビといえば、北海道・本州・九州とそれらの属島に幅広く分布する「ニホンカナヘビ」が最も有名でしょう。公園や河川敷、人家の庭先などでも見かける身近な種です。国内ではほかに「コモチカナヘビ」「ミヤコカナヘビ」「アムールカナヘビ」「アオカナヘビ」「サキシマカナヘビ」がいますが、沖縄の離島など一部の地域でしか出会えません。
ニホンカナヘビは茶色っぽい見た目にザラザラとした鱗を持っているのが特徴です。カナヘビ全体では、黒や緑を基軸カラーとする種類もおり、多種多様です。ニホントカゲのように、光沢のある体色に変異する種類(あるいは性別)もいます。生息地域の温度や外敵の存在、求愛行動の結果といった生活環境が深く関わっているのだと考えられます。
一方、サイズは全長15~25cmと小型のカナヘビがほとんどで、国内最大級のサキシマカナヘビでも約30cmです。トカゲ科に比べると尻尾が長く、全長の約半分またはそれ以上が尻尾という種類もいます。
尻尾といえば、カナヘビは外敵の驚異を感じたら尾の一部を切り捨てて逃げる「自切」ができるトカゲです。切れた尾は再生しますが、カナヘビにとっては大きな負担を伴う行為だといわれています。
捕食するよりされる側になることも多いためか、警戒心が強く神経質です。したがって、野生のカナヘビをペットとして飼う場合はストレスを与えないよう注意しなければなりません。しかし、「ニホントカゲよりニホンカナヘビのほうが人慣れする」と感じている飼い主さんは少なくないようです。
春から秋口にかけて活動しており、普段は低地から低山地の草地に潜んでいます。昼行性で、午前中は石の上などでたっぷりと日光浴をするのが日課。午後はエサ取りなどで活発に動き回り、主にクモやコオロギ、バッタといった自分より小さな昆虫を捕食しています。完全な肉食ではないため、地面に落ちている果実などを食べることもあります。
日が沈むにつれて活動量が下がっていき、夜は草陰や倒木の中など安全なところに隠れて眠ります。
気温が15度以下になると活動できないので冬眠の準備に入ります。安全で適度な湿度のある環境を確保できれば、眠って春を待ちます。
冬眠から目を覚ました春先から初夏までが繁殖・産卵期です。一度に2~3個、多ければ7~8個の卵を生み、通常は2か月ほどで孵化します。
赤ちゃんカナヘビは約1年で成体になり、約4~7年前後生きるといわれています。ただし、安定した飼育環境では9~10年生きることも不可能ではありません。
ペットの入手方法は「購入」が基本ですが、ニホンカナヘビなら身近にいるため、「捕獲」という手もあります。ただし、ニホンカナヘビは豊富にいるとはいえず、東京都と千葉県では準絶滅危惧相当の指定を受けている生き物です。むやみに捕まえるのは止めましょう。
一般的なペットショップで扱っていることは少ないですが、爬虫類専門店でなら出会える可能性があります。トカゲやヘビなどの爬虫類は対面販売が義務付けられているため、購入前にショップスタッフと直接話し、飼育方法などの説明を受けてからお迎えする流れが一般的です。対面の義務さえ果たしていれば郵送してもらうことも可能でしょう。
価格は数百円と、ほかのトカゲに比べると非常に安いのが特徴。また、幼体の頃から人間の下で暮らしているため、人慣れしている子が多いです。
まずは、コオロギやバッタなど、カナヘビのエサとなる昆虫が多くいそうな草むらなどに当たりをつけてください。捕獲に適しているのは晴れた日の午前です。カナヘビが日光浴をして油断しているところを、素手または虫取り網で覆うようにして捕まえます。くれぐれも尻尾をつかまないように注意しましょう(自切してしまいます)。
どうしても捕まえられない場合は、カナヘビを見かけた辺りにトラップを仕掛ける手もあります。ペットボトルや筒状のガラス瓶などの容器に生き餌を入れ、土の中に埋めて落ちるのを待つという戦法です。ただ、歓迎していないほかの生き物が捕れることもあります。
カナヘビの飼育用品は、基本的にはトカゲを飼うために必要なものと同じです。次のものを用意しましょう。
カナヘビが伸び伸びと暮らせるよう、できるだけ大きめの飼育容器を用意してあげましょう。おすすめは爬虫類専用のケージです。通気性やメンテナンス性に優れており、フタがしっかり閉まるので脱走のリスクを軽減できます。
床材は湿っても問題のない腐葉土や落ち葉、ミズゴケなどが適しています。野生で捕まえた場合は、その場にあった土や落ち葉を持ち帰るとよいでしょう。床材の厚さは3~5cmが適当です。
水飲み場は必須です。深いケースだと飲みにくいうえ、エサの昆虫が溺れてしまう恐れがあるため、浅めの水皿を用意しましょう。
ほかのトカゲと同じく、カナヘビも隠れ家がを必要とします。身を隠せる場所がないとストレスで病気になるかもしれないので、必ず用意してあげましょう。
爬虫類専用の商品のほか、木の枝やゴツゴツした石、割れた植木鉢などを置いてあげるのもおすすめです。カナヘビの良い運動場にもなります。ただ、自然下にあるものには寄生虫やカビが付着していることもあります。心配な方はペットショップで販売されているものを使用しましょう。
昼行性の爬虫類は、紫外線がないと体内でカルシウムが生成できず、「くる病」と呼ばれる骨軟化症にかかってしまいます。
カナヘビが日光浴好きなのは前述の通りです。飼育下では思うように日光を浴びられないこともあるため、お陽さま代わりにバスキングライトを使用します。飼育容器内を加湿させる役割も担います。石の上などに設置するとカナヘビが日光浴しやすく、「ホットスポット」として利用してくれるでしょう。
カナヘビは肉食寄りの雑食なので、基本的にはコオロギやミルワーム、ワラジムシなどを与えてください。生き餌を扱う専門ショップで購入することをおすすめしますが、コストを押さえたい方は生き餌を繁殖させる手もあります。
なお、飼育下では栄養が偏りやすくなるため、カルシウムやビタミンを含んだパウダー状のサプリメントを振りかけて与えるとよいでしょう。
ここでは、大人のニホンカナヘビの上手な飼い方をポイントに絞ってまとめました。後述するカナヘビを飼育する際の注意点と共にご覧ください。
カナヘビは肉食寄りのトカゲなので、添加栄養剤を加えた昆虫を週に2~3度与えましょう。多めに与えたとしても、お腹が減っていなければ無理に食べることはありません。ただ、食事をしないのは満腹だからではなく、エサのサイズが大きすぎるからというケースもあります。昆虫はできるだけ小さめのサイズを選びましょう。
やり方は、ピンセットでつまんでカナヘビの前に差し出してもよいですし、カナヘビにエサであることを気づかせて視界の範囲内に落とすでもよいです。ピンセットから直接あげる場合は、勢いよく食いついてもケガをしないよう、先端が尖っていないものがおすすめです。
水は給水だけでなく入浴にも使われるため、非常に汚れやすいです。水道水で構わないので、毎日新しいものに取り替えてあげましょう。
カナヘビの警戒心が強く、水入れ容器の水に関心を示さない場合は、飼育容器全体に霧吹きを振りかけます。喉が乾いていれば、木の枝や床材の落ち葉などに滴る水滴を舐めてくれるはずです。
カナヘビは頻繁に排泄します。黒い粒のような形をしているものがフンなので、見つけたら取り除きましょう。
床材の土に植物を植え、フンを分解させるという手もあります。こうすれば汚れやニオイは目立たなくなりますが、あまりに汚れている場合は月1回程度の掃除は必要です。
カナヘビの飼育適温は25℃前後と、多くのトカゲと同じです。バスキングライトは35℃くらいに設定するとよいでしょう。適度に霧吹きをかけ、湿度を保っておくことも大切です。
カナヘビに限らず、飼育下の爬虫類には冬眠をさせないという考えもあります。野生の爬虫類は冬眠するまでの準備を自分で調節できますが、飼育下だと飼い主さんが用意する環境を利用するほかなく、不十分であれば命を落とすリスクがあるからです。
それでも、自然界のルールに則って冬眠はさせたほうがよいという意見もあります。どちらが正しいかは置いておき、冬眠させる場合はきちんと準備しなければいけません。次の点に注意しましょう。
どれも大切なことですが、飼育下では十分なエサを確保できることがほとんどなので、注意したいのはそれ以下の3つです。カナヘビは15℃以上になると目覚めてしまうため、飼育容器を暖房などの影響が少ない場所に移動させましょう。
暗さや湿度を保つことも大切です。ミズゴケや腐葉土は十分すぎるほど湿らせておき、2週間に1回程度のペースで乾き具合を確認します。また、冬眠直前に水を飲むことがあるので、新鮮な水が入った水皿も入れてあげてください。
春先になり、気温が15℃を下回らない日が続いたら目覚める可能性が高まります。くれぐれも人間のタイミングで起こさないようにしましょう。
多頭飼育をしている場合、カナヘビが知らない間に卵を生んでいることがあります。通常であれば約2か月でかわいいベビーカナヘビがたくさん生まれるでしょう。
ここでは、カナヘビの幼体の飼い方を紹介します。後述するカナヘビを飼育する際の注意点と共にご覧ください。
カナヘビが産卵したら、卵を取り出して別の容器(小さなもので構いません)に移すことをおすすめします。これは、カナヘビは子育てに関心がなく、自分で生んだ卵ですら蹴飛ばしたり、踏んづけてしまったりするためです。また、生き餌のコオロギを放し飼いにしている場合は、卵を食べられる恐れもあります。
取り出す際はスプーンなどを使い、卵を割ってしまわないよう注意してください。また、卵の向きが上下逆さになると窒息死してしまうため、事前に目印をつけておくことも重要です。どちらが上か下かを見分けるのは難しいですが、生み落とされた状態の天地が「正」です。
床材や温度、湿度は大人のカナヘビと同じ環境で問題ありません。適切であれば約2か月で孵化します。
赤ちゃんカナヘビが生まれた後も、大人とは別で育てます。前述のように子育てをする習性がないため、同じケースに入れると我が子ですら攻撃対象になります。お腹が減っている場合は「エサ」だと見なすかもしれません。
飼育用品は大人のカナヘビと変わりませんが、エサは赤ちゃんカナヘビの体に見合った小さな昆虫が必要です。ミニサイズのコオロギ、クモ、アブラムシなどを毎日与えましょう。人工飼料を食べてくれる子もいるので、いろいろと試してみてください。
フンの掃除や飲み水の交換、日光浴ができる環境など、基本的には大人のカナヘビと同じです。
注意点として、水入れ容器が大きすぎると溺れてしまう恐れがあるので、水を少なくするか、浅めの容器を用意しましょう。また、水入れ容器に気づかない場合を考え、こまめに霧吹きしてあげることも大切です。
一般的に、生後2か月もすれば10cmほどに、6か月もすれば14~15cmほどに成長し、早い子なら大人と見分けがつかなくなります。
カナヘビを飼ううえで知っておきたい注意点をいくつか紹介します。油断すると命に関わることもあるため、注意深く見守ってあげてください。
カナヘビは運動能力が優れており、10cm程度ならジャンプできます。遊び場として入れている木などの先端からジャンプすれば、飼育容器の天井を飛び越えるくらいわけありません。脱走されないよう、フタはきちんと閉めましょう。
カナヘビがよくかかる病気は次の3つです。
カナヘビは日光浴が大好きですが、強い日差しを長時間浴びたいわけではありません。弱~中の日光を1時間ほど浴びたら十分で、以降は隠れ家にこもることがほとんどです。炎天下にさらされ続けると日射病を起こして死んでしまうので、特に真夏は細心の注意を払いましょう。
「満足に日光浴ができていない」または「栄養に偏りがある」ためカルシウム不足になり、骨が柔らかくなる骨代謝疾患です。適度な日光浴が必要なのは前述の通りですが、与えるエサにも気を配りましょう。カルシウムを含んだパウダー状の栄養剤が販売されています。
飼育環境が悪い場合や、ストレスを抱えている場合などには脱皮不全を起こすことがあります。
脱皮が始まってから4~5日しても古い皮が残っている場合は、脱皮がうまくいかない「脱皮不全」が起きている可能性があります。湿度は適温か、日光浴は十分にできているか、エサに問題はないかなど、飼育環境を見直してみてください。かわいいからといって頻繁に触っているコミュニケーションがストレスになっている恐れもあります。
飼い主さんが脱皮を手伝う場合は、温浴させたうえで皮をふやかし、ピンセットなどで優しく取ってあげるとよいでしょう。また、脱皮を手助けするスプレーも販売されています。
それでも改善できない場合は動物病院を受診しましょう。放っておくと脱皮不全を起こした部位が壊死し、最悪、死にいたります。
自然下の土や木を採取して飼育容器に入れる場合、そこにダニが付着しているケースがあります。ダニのなかには吸血性のタイプもおり、カナヘビに深刻なダメージを与えます。
ダニが発生しているとわかったら、速やかにぬるま湯などで洗ってあげてください。もちろん、飼育容器もすべて清掃し、床材も取り替えることをおすすめします。
ここからは、カナヘビを飼うにあたってよく頂く素朴な質問にQ&A形式でお答えします。
A.ほとんどしないといえますが、栄養が足りていない場合はわかりません。特に冬眠明けの状態は、動いているものをエサだと思う傾向があります。「エサは必ず適量を与える」「冬眠はさせない」などの対策が必要です。
A.カナヘビは基本的におとなしい性格ですが、驚異を感じたら攻撃的になることもあります。とはいえ非常に力が弱く、歯も鋭利ではないため、痛みはほとんど感じないでしょう。もちろん毒もないため安心してください。
A.個体差があるため断言できませんが、そう感じている飼い主さんは多いようです。ただ、「なつく」というより「慣れる」という表現が正しく、ハンドリングを楽しむといったコミュニケーションは期待しないほうがよいでしょう。
カナヘビを慣れさせたい場合は、できるだけ幼い状態から育て、ピンセットからエサを与えるようにしましょう。カナヘビの食いつきに問題がなければ、徐々に指からエサ手渡しできるように慣らしていきます。
かなりの時間を要するでしょうが、カナヘビがストレスにならない程度で挑戦してみてください。
ペットショップではなく自然で捕獲したカナヘビの場合、飼育が難しいと感じたら元いた場所に戻してあげても構いません。野生で生まれ育っただけに警戒心は簡単には抜けないでしょうし、飼育下では上手に冬眠できないかもしれません。
ただし、自然下で捕獲したカナヘビが生んだ子を放すのは別です。ペットショップで購入した子と同じく、外の世界では生きていけず、逃してもすぐに死んでしまう恐れがあるためです。ペットは家族の一員であるという常識を忘れずに、最後まで愛情を持ってお世話してあげてください。