【2023年お正月プレゼント】自宅で簡単! キノコの栽培キットを使った育て方
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公園など身近な場所でよく見かけるダンゴムシ。触るとクルッと丸まるところがかわいいと子どもたちに人気です。「持って帰りたい!」「飼ってみたい!」という気持ちが芽生えるお子さんもいるのではないでしょうか。
そこで今回は、ダンゴムシの飼い方を詳しく解説します。必要なもの、上手な育て方、弱らせないようにする注意点などを幅広く紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ダンゴムシは「虫」と呼んでいますが昆虫ではありません。エビやカニと同じ甲殻類の仲間であり、ワラジムシ亜目の一種に分類されています。
人家の周辺や公園内の土などでよく見かけるのは「オカダンゴムシ」という種類で、ヨーロッパ原産の外来種です。明治時代に舟の積荷にまぎれてやってきたといわれています。一方、日本固有の種には「コシビロダンゴムシ」「ハマダンゴムシ」がいますが、コシビロダンゴムシは森林、ハマダンゴムシは海浜域に住むため、あまり知られていません。
ダンゴムシは14の体節(胴体を形づくるブロック)からなり、一つ一つの節は甲羅のようなもので覆われています。脚は、幼体のうちは左右合わせて12本ですが、数度の脱皮を経て14本に増えます。
頭部には複眼を持ちますが、数はさほどないため視力が良いとはいえません。空間感知は二つの触覚が担っており、私たちが肉眼で確認できるのは第二触角と呼ばれるほうです。第一触角は非常に小さく、虫メガネを使ってようやく観察できるほどのサイズです。
子どもや昆虫好きの方には人気者ですが、気持ち悪いと感じる方も多く、屋内に侵入して栽培中の植物を食べて荒らすこともあるため、「不快害虫」「農業害虫」のレッテルを貼られがちです。しかし、ダンゴムシは枯れ葉や昆虫の死骸などを食べて土に帰す「分解者」の構成員であり、豊かな土壌を作るのに一役買っています。
オカダンゴムシは分解者であるため、基本的には雑食です。枯れ葉を食べることが多いですが、動物や昆虫も死骸のほか、地面に落ちた果実なども食料としています。
一般的には夏頃から秋にかけて繁殖し、寒くなると石や落ち葉の下に潜り込んで冬眠します。交尾後のメスは、お腹の中にある保育嚢(ほいくのう)という器官内で卵を育てるのが特徴。一度に生まれる赤ちゃんダンゴムシは100匹前後で、ある程度まで大きくなると外に出ます。
成虫になるまで7回ほど脱皮を繰り返して大きくなりますが、幼虫時の死亡率は高いといわれています。脱皮の失敗、あるいは外敵による捕食のせいなのか、詳しい原因や死亡する割合はよくわかっていません。
約1年間かけて成虫になり、その後は3~5年生きるといわれています。寿命を全うしたダンゴムシの死骸はカビに分解され、自然の生命を育む一部となります。
ダンゴムシが団子のように丸くなるのは自己防衛のためです。弱点である頭やお腹を守るために、丸まってガードしています。
どうしてあのように丸まれるのか?という疑問は、前述した体節というブロックで構成されているからであり、それらがキャタピラーのように滑らかなにつながっているためです。
なお、もしダンゴムシを驚かしても丸まらない場合は「ワラジムシ」という別種である可能性が高いです。
ダンゴムシはペットショップで手に入れる類の生き物ではないため、飼いたければ自分で捕まえにいくしかありません。動きが遅く、驚かせると丸くなって動かなくなるので簡単に採集できるでしょうが、効率よく捕まえるコツもあります。
ダンゴムシは暗くジメジメした場所が大好きです。植木鉢や落ち葉の下、石の裏、ブロック塀の隅っこなど、湿気が多そうなところを探しましょう。
素手でも捕まえられますが、直接触りたくないという方は、市販のお弁当などに付いてくる使い捨てのスプーンがおすすめ。ダンゴムシを見つけたら優しくすくい、虫カゴに入れます。
虫カゴがない場合は、プラスチック容器やペットボトルなどで代用しても構いません。ただし、密閉すると酸欠になる恐れがあるので空気穴は確保してあげましょう。
ダンゴムシは夜行性なので、日没後のほうが簡単に採集できます。ただし、夜は歓迎していないほかの虫も活動的になるのが難点です。ムカデといった危険な虫に遭遇する可能性もあるため注意しましょう。
ダンゴムシを手に入れたら、快適に生活できる環境を用意してあげましょう。必要なものは次の通りです。
飼育ケースはプラスチック容器、ペットボトル、紙パックなどでも飼いまいません。しかし、せっかくペットとして飼うのですから、じっくり観察できるケースをおすすめします。下記は、大きなフタで中身が観察しやすい点が特徴です。
ダンゴムシの捕獲は簡単!で紹介したひも付きのケースがある場合は、そのまま飼育ケースとして使えます。
土はダンゴムシを見つけた場所の土で十分ですが、なかには勝手に掘ってはダメな場所もあります。また、感染症を媒介する虫など、歓迎しない生き物が紛れ込むケースもゼロではありません。
そこで役立つのが、昆虫用に販売されている腐葉土です。目の荒いもののほうが、ダンゴムシが潜りやすくておすすめ。
なお、植物用の土でも構いませんが、農薬が入っている場合があるためよく確認しましょう。
ダンゴムシの隠れ家として、落ち葉や木の葉、枝、小石などを入れてあげます。これらは、ダンゴムシを見つけた場所で採集しても構わないでしょう。
落ち葉や木の葉は土の乾燥を防ぐ効果があるほか、ダンゴムシの食料にもなります。どんどん食べられて数が少なくなったら補充してください。適当なものが見つからない場合は専用の商品も販売されています。
ダンゴムシは雑食で、基本的に何でも食べます。落ち葉も食べますし、野菜くずなども食べてくれますが、好き嫌いもあるようです。いろいろ与えてみて好みを把握するのも、ダンゴムシを飼う楽しみの一つでしょう。
野生のダンゴムシは虫の死骸も食べているため、動物性タンパク質やカルシウムも与えたい場合は、にぼし、鰹節、チーズなどが定番です。ほかに、栄養価の高い食料として金魚のエサを与える方もいます。大量に与える必要はないので、ペットボトルのキャップなどをエサ皿にし、少しだけあげるとよいでしょう。
ダンゴムシはじめじめとした場所が好きなので、乾燥は大敵です。飼育ケージ内が乾かないよう、床材の土を湿らせておきましょう。霧吹きを使うと便利ですが、落ち葉などが舞い上がらないよう、近くで噴射しすぎないようお気をつけて。
貯水できる便利アイテムとして、水苔を入れるのもよいでしょう。
必要なものがそろったところで、ダンゴムシを上手に育てる飼い方を注意点を併せて解説します。
飼育ケースに土・腐葉土をセットします。土の深さは1cmほどでも構いませんが、多いほうがケース内の環境が変化するのを抑えられます。
ダンゴムシにとって乾燥は大敵です。ダンゴムシを入れる前に、霧吹きなどで飼育ケース内を濡らしておきましょう。ダンゴムシを捕まえた環境のように、しっとりとする程度で構いません。
飼育ケースの置き場所によってはすぐに乾燥する場合もあります。最低でも2~3日に1回は土の状態をチェックし、乾燥していたら霧吹きをかけてあげてください。
湿度が大事だからといって、あまりに水浸しにしたり、ダンゴムシに水を直接かけたりするのはNGです。ダンゴムシが息を吸うお腹部分に水が入ると溺れる恐れがあります。
飼育ケースに瓶やタッパー、発泡スチロールといったフタ付きの入れ物を使う場合は、フタに空気穴を開けておきましょう。ダンゴムシが酸欠になる恐れがあります。ラップ等でフタをする場合も同様です。
「フタをしなければよいのでは?」と思うかもしれませんが、フタなしでは乾燥を早めてしまいます。また、ケースの素材によってはダンゴムシが登れ、脱走につながります。
ダンゴムシは手のかからないペットですが、たまには飼育ケース内を掃除してあげないとカビが発生します。
フンは、ある程度なら分解されますが、飼育ケースが狭いとフンだらけになり、見た目もよくありません。こまめに取り除いたほうがよいでしょう。
食べ残しのエサはさらに要注意です。エサはこまめに交換する、小皿に入れ、直接土と触れないようにするなど工夫すれば、カビの発生を予防できます。
触ったり突いたりすると丸くなる姿はかわいらしいものの、ダンゴムシ本人は命の危険を感じています。構いすぎはダンゴムシを弱らせる原因になるため、ほどほどにしてあげてください。
ダンゴムシの飼い方についてよく頂く質問をQ&Aにしてまとめましたので、役に立ちそうであればぜひ参考にしてください。
A.ワラジムシはダンゴムシの親戚のようなもので、ごく親しい仲間です。住処・見た目・自然界での役割なども非常に似ており、見分けがつきにくいでしょう。
手っ取り早く違いを確認したい場合は、刺激を与えてみることです。丸まったらダンゴムシ、丸まらずに足早で逃げたらワラジムシです。ワラジムシが丸まらない理由は、外敵から身を守る手段として「逃げ足を磨くこと」を選び、進化したためだといわれています。
A.狙って捕まえるのは難しいでしょうが、青いダンゴムシは鳥が多くいそうな海に近い公園や防風林などでよく見られるようです。また、通常のダンゴムシよりも日向を好むため、明るい場所を探してみてはいかがでしょうか。
ちなみに……青いダンゴムシは、鳥のフンを食べて「イリドウイルス」という病原体に感染した病気の個体です。明るい場所に出ていくのはウイルスによって行動を支配されているからで、外敵に捕食されることでウイルスの勢力が拡大するという仕組みです。なお、たとえ食べられずに済んでも、病気が進行して1~2か月で死ぬともいわれています。
イリドウイルスは人間に感染することはありませんが、ダンゴムシ同士では感染することがあるため、同じ飼育ケースで飼う場合は注意してください。
A.同じ飼育ケースでオスとメスを複数匹飼えば、特別な管理をしなくても交尾・繁殖してくれるでしょう。
オスとメスを見分ける方法ですが、まず背中を観察します。オスは背中が真っ黒で、メスはやや金色を帯びているのが一般的です。ただ、色には個体差があるため、より正確に判別するには生殖器を調べましょう。お尻の裏側を見て、白く縦に伸びる管のようなものがあればオス、何もなければメスです。交尾後のメスはすでに黄色い卵を持っていることもあります。
エサや寿命などの主な生態でも述べましたが、赤ちゃんはメスのお腹にある保育嚢の中で育ち、頃合いになれば皮を破って出てきます。体は真っ白で、脚の数もまだ12本です。脱皮を繰り返して徐々に大きくなっていきます。食べ物は大人と変わらず、落ち葉や野菜くずなどで構いません。
ダンゴムシに限らず、赤ちゃんは育てるのが難しいものです。残念ながら途中で死んでしまう個体もいますが、それは自然下でも同じこと。「エサを絶やさない」「乾燥させない」「掃除を怠らない」など、基本的なお世話をしながら成長を見守ってください。
ダンゴムシの飼い方はそう難しくありません。用意するものは飼育ケース、土、エサ、落ち葉や小石といった隠れ家になるもの、そして水分です。ダンゴムシは乾燥に弱いため、霧吹きで飼育ケース内を濡らすなどし、じめじめとした環境を維持してあげましょう。
オスとメスを同時に飼えば自然に繁殖します。ダンゴムシは3~5年は生きるため、大切にお世話すれば子ども、孫、そのまた孫と超大家族(?)を築くことも可能です。
さまざまな事情で飼えなくなった場合は自然に帰すのもよいですが、ダンゴムシは見る人によっては不快害虫です。駆除される可能性もあるので、できるだけ自然豊かな場所で放してあげてください。