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目次/ INDEX
コオロギは子供でも気軽に飼えるペットとして人気が高いほか、爬虫類の餌としての需要も高い昆虫です。飼育するのに特別な設備投資が必要なく、身近なものを活用しても十分に育てられますが、決してタフな昆虫ではありません。ちょっとしたミスで簡単に死んでしまう恐れがあり、何十匹いたものが一斉に全滅する事態も起こりえます。
そこで今回は、コオロギの上手な飼い方を解説するとともに、やってはいけない注意点も併せて紹介します。繁殖のさせ方についても触れるので、継続して飼いたい方はぜひ参考にしてください。
コオロギは「バッタ目(直翅(ちょくし)目)」「キリギリス亜目(剣弁亜目)」として分類されており、バッタやキリギリスの仲間といえます。ゴキブリの仲間だと勘違いしている方もいますが、見た目が少々似ているだけで分類学上は別物です。
日本に生息する代表種は「エンマコオロギ」「ミツカドコオロギ」「オカメコオロギ」「ツヅレサセコオロギ」で、このうちエンマコオロギがペット用として愛されています。乾燥に強いうえ、樹上や草上ではなく「地上」で生活しており育てやすいためです。
一方、餌用としては「ヨーロッパイエコオロギ」と「フタホシコオロギ」の2種類が有名です。ヨーロッパイエコオロギは名称の通りヨーロッパからの輸入種で、「イエコ」と呼ばれることもあります。フタホシコオロギは沖縄や台湾といった暖かい地域に広く分布しているのが特徴です。両種ともに生育が早く、ほかの種に比べて飛び跳ねる力が弱いため、生き餌として大量に人工繁殖されています。
以上から、ペット用と餌用の違いは「用途に適しているかどうか」でしかありません。ヨーロッパイエコオロギをペットとして飼うことも、日本に生息するコオロギを餌用として飼うことも可能です。
コオロギはホームセンターなどで売られている安価なアイテムでも十分に育てられる昆虫です。また、卵が入っていた紙製のトレーなども活用できます。ここでは、できるだけ簡単かつ上手にコオロギを飼うのに必要なものを紹介します。
ペットショップやホームセンターで購入できる昆虫飼育用のプラスチックケースがおすすめですが、衣装ケースで代用する方もいます。
どちらを選ぶにしても、大切なのは次の点です。
コオロギが過密状態にならないよう、適度または余裕のある広さを確保することが大切です。飼育ケースが小さすぎると喧嘩が勃発し、共食いの発生率が高くなります。特にオスは縄張り意識が強いので要注意です。
餌用に飼育する場合は数百・数千匹になるでしょうから、それなりに大きなケースを複数用意してあげましょう。
コオロギを飼育するうえで大切なのが通気性です。湿気が多く、飼育ケース内で糞尿が液化してアンモニアが充満すると中毒死してしまいます。非常に不快な臭いを放つほか、あっという間に全滅する恐れがあるため、適度に換気できる環境を保ちましょう。
衣装ケースを飼育容器として使用する場合は、ふたにたくさんの空気穴を空けるなどの対策が必要です。ふたの一部をくり抜き、その部分に金網を張り付けるといったDIYをする方もいます。
なお、コオロギがジャンプしても脱走できないほど深いケースを用意し、ふたなしで飼育するという手もあるにはあります。しかし何かの拍子で倒してしまうと大変なことになりかねないので、初心者の方にはおすすめできません。
浅型の飼育ケースでは、餌やりなどでふたを開けた際にジャンプして脱走する可能性があります。ジャンプ力が低いとされるヨーロッパイエコオロギですら30cmを飛び越える個体がいるほどです。逃さないように注意すれば済むことですが、脱走のリスクを減らすなら深さ30cm以上の容器を選びましょう。
深さとも関係しますが、コオロギの脱走を防ぐならガラス製やプラスチック製のケースを用意しましょう。コオロギはバッタの仲間ですが、表面がツルツルしているガラスやプラスチックの壁は登れず、脱走を防止できるからです。
床材が必要かどうかは意見が分かれるところです。「床材を敷くと掃除が面倒」という方もいれば、「死にさえしなければよいから不要」という方もいます。コオロギを爬虫類などの餌用として飼育するのであれば、このような考えも成立するでしょう。
一方で、コオロギのストレスを考えると「用意してあげたほうがベター」という意見もあります。ガラスやプラスチック素材の飼育ケースはコオロギの足でグリップできないため、デコボコした足場がないと満足に移動できません。また、コオロギは狭い場所に身を隠す習性があり、床材のすき間を好みます。
床材を敷く場合、主な素材として次のものが挙げられます。
コオロギは土に卵を生むため、繁殖を考えるなら土がよいでしょう。高価なものは必要なく、安価な小粒赤玉土やバーミキュライトで問題ありません。
床材が隠れ家を兼ねることもありますが、丸めた新聞紙はコオロギが食べてしまうこともあるため、もう少し頑丈な素材のほうが向いています。
身近なもので代用するなら紙製の卵パックがおすすめです。適度な深さがあるうえ、隠れたコオロギを捕まえやすく、メンテナンスもしやすいといった利点があります。ほかに、トイレットペーパーの芯やラップの芯も役立ちます。
きちんとお金をかけて育てたいという方は、コオロギの飼育に最適なポット型シェルターやペーパーシェルターを購入するのもよいでしょう。
コオロギは雑食で何でも食べます。玉ねぎの皮やキャベツの芯、ネギの青い部分といった野菜クズのほか、動物質の餌として、小鳥用のすり餌やドッグフード、熱帯魚飼料でも喜んで(?)食べてくれます。給水を兼ねる意味で昆虫ゼリーを与えるのもおすすめです。
したがって、何を与えるかはあまり気を遣わなくて大丈夫ですが、食べ残しには要注意です。古い餌を放置すると腐ったり、カビが生えたりする恐れがあり、生育に良くありません。コオロギをペットの餌用として飼育する場合は、良くない成分がペットの体内に入ることになります。
どれくらいの量が適切かは個体や個数によるため、毎日餌をチェックして適量を覚えましょう。
コオロギにとって給水はとても重要で、水が切れると早くて1日で死んでしまいます。水分を含んだスポンジや脱脂綿などを入れてあげるか、水を入れた浅型の小皿を置いてあげましょう。深型の皿はコオロギが落ちて溺死する恐れがあるため使用しません。
毎日の水換えの手間を省くなら給水タンクが便利です。コオロギ用の給水器も販売されているので、自分に合った商品を探してみるのもよいでしょう。
給水器はタッパーとガーゼを使って自作する方もいます。タッパーのふたに穴を開け、水に浸したガーゼを通しておくという簡単な造りです。これなら水を頻繁に交換する必要がありませんし、ふたがあるのでコオロギが水溶器に落ちる心配もありません。
なお、いくら給水が大切でも、霧吹きなどでコオロギに直接水をかける行為はお止めください。種類にもよりますが、コオロギは体が濡れるのを嫌う傾向があるからです。また、霧吹きの水が糞に当たるとアンモニアが発生し、中毒死を招く恐れもあります。
また、野菜類を与えた場合は、野菜から水分摂取するため、特に給水は不要です。
ペットにしろ生き餌用にしろ、コオロギと長く付き合うなら産卵させて増やすほうが経済的です。多少の手間はかかるものの、ポイントさえ押さえれば初心者でも繁殖させられます。
特にヨーロッパイエコオロギやフタホシコオロギなら年中増やせます(エンマコオロギは基本的に盛夏~秋だけです)。元気なオスとメスがいれば放っておいても交尾しますが、繁殖を成功に導くなら次のポイントを意識しましょう。
コオロギが卵を生むための場所を用意してあげましょう。自然の環境下では湿った土に産卵するため、飼育ケース内でも類似する環境を作ってあげる必要があります。次のものを準備します。
メスコオロギはお尻から生えている2cmほどの産卵管を差し込んで産卵するので、産卵床は3〜4cm程度の深さが必要です。小型のカップやタッパーを準備できたら、そこに小粒赤玉土やバーミキュライトを入れてあげましょう。土がなければコットンなどでも代用可能です。メスコオロギが産卵床にたどり着きやすいよう、必要に応じて通路を作ってあげてください。
コオロギは湿気に弱い昆虫ですが、産卵床は別です。霧吹きなどで十分湿らせておきます。ただし、水浸しになったり、産卵床以外の場所に水が飛んだりしないよう注意しましょう。水に卵が浸かると、窒息死する場合があるからです。
産卵から孵化までは早くて10日程度、遅い場合は2週間~1か月ほどかかります(季節によります)。産卵床が乾いていると孵化せず死んでしまうこともあるため、産卵後は容器にふたをする手もあります。
初令の幼虫は幼虫用の飼育ケースを用意するのが無難です。広すぎると餌場や水場にたどり付けない恐れもあるので、この段階は小さめのサイズでも構いません。
餌も給水も大人のコオロギにあげるやり方と同じですが、生まれたてのコオロギはとにかく乾きに弱いです。水を切らさないよう注意を払い、心配な場合は水分が多めの野菜や果物などを細かく砕いて与えましょう。タッパーなどを使って水溶器を自作する場合は、赤ちゃんコオロギでも登りやすいよう小さめのものを用意します。
順調に育てば脱皮を繰り返し、孵化から1~2か月もすれば立派な成虫になります。
コオロギは気軽に飼える反面、生存率が高いとはいえません。ちょっとしたミスで弱り、最悪の場合死んでしまいます。餌用のコオロギがたった1日で大量死するのも珍しい話ではありません。
ここでは、その「ちょっとしたミス」を減らすための注意点を紹介します。
飼っている個数に対してケースが小さすぎると争いが勃発し、共食いを引き起こします。また、脱皮中は無防備な状態をさらすことになりますが、隠れ場所すら確保できない過密飼育では襲われる確率が高まります。
コオロギは何でも食べるので餌の種類を気遣う必要は低いですが、タンパク質が不足すると共食いしやすいといわれています。野菜ばかり与えるのではなく、たまには動物性タンパク質も食べさせましょう。小鳥用のすり餌やスズムシの餌、ドッグフード、熱帯魚用の餌などを小さな小皿や浅めのタッパーなどに入れて与えるだけです。
後藤さん
ただしドッグフードは固いため、そのままだとコオロギは食べることができない場合があります。ドッグフードをビニール袋などに入れて、ダンベルや石などでゴリゴリ擦れば粉々になりますので、それを与えてください。心配な方は、カルシウムなどを配合したコオロギ専用のフードもご検討ください。
コオロギの飼育適温は20~30℃とされています。20~15℃まで下がると、生きてはいけますが衰弱する個体も出てくるでしょう。
したがって、もし越冬させるならパネルヒーターなどの保温器具が必要です。暑すぎず、寒すぎないよう、夏の終わりから秋の始めぐらいの温度を保ってあげてください。
コオロギは夜行性で、薄暗い場所を好むので、飼育ケースは日陰の涼しい場所に置いてあげてください。
飼育ケース・虫かごで解説した「通気性は良いか」に関連しますが、コオロギは蒸れにとても弱い生きものです。湿度が60%以上になるとダニの発生率も上がるので、次のような工夫をしてみてください。
床材が新聞紙の場合は特に水を吸い込むため注意が必要です。食べ残しの餌、とりわけ水分を多く含む野菜や果物も湿気の原因になります。衛生面を考慮し、掃除は毎日してあげましょう。餌を床材の上に直接置かないのもワンポイントです。
ペットの生き餌用として大量に仕入れる場合、中には病気に感染しているコオロギが紛れていることがあります。明らかに元気のない個体がいる、飼育環境を気遣っているのにバタバタと死んでいく……といった場合は、病気のコオロギがいるのかもしれません。そのままでは伝染する可能性が高いため、飼育ケースを分けて観察するといった対策が必要です。
コオロギの飼い方だけでなく、コオロギ全般についてよく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。
A.オスとメスは見た目で簡単に見分けられます。
A.ペットとしてではなく、生き餌としてコオロギを飼育している方からよく頂く質問です。特にフタホシコオロギの鳴き声は大きめだといわれています。
まず、鳴くのは基本的にオスだけで、彼らは翅をこすり合わせることで音を出しています。鳴き声には2種類があり、一つはメスへの求愛行動、もう一つは別のオスへの縄張り警告です。ここから導き出せる結論は次の3つです。
つまり、繁殖活動がまったくできない、あるいは大きな影響が出ることは承知のうえ実行してください。
後藤さん
そもそもコオロギ類は、鳴くのが当たり前のことですので、翅を切るのは最終手段とお考えください。なお、うるさいからといって棚の中などに閉じ込めておく方もいますが、湿気がこもりやすいためおすすめしません。鳴き声が聞こえなくなったと思ったら全滅していた、という話もあります。
A.コオロギは食材としても注目を集めている虫の一つです。タンパク質が豊富なうえに生産も加工もしやすく、スナック菓子や麺類の出汁などに使われ商品化しています。したがって、昆虫食という意味で捉えるなら問題はないといえるでしょう。
ただし、食べ方には注意が必要です。体内にどのような細菌や寄生虫がいるかわからないため、調理方法についてはよくお調べください。特に野生のコオロギは要注意です。
なお、コオロギはエビやカニと似た成分を持っているため、甲殻アレルギーのある方は止めておいたほうが無難です。
コオロギを飼う理由が何であれ、飼育するのであれば最後まで責任を持って育てましょう。たとえ餌用として飼う場合でも、飼育放棄はいけません。外に逃がすのはもちろんNG。特に餌用コオロギは外来種なので、生態系に影響を及ぼす恐れがあります。
コオロギは秋の夜長を共に過ごすのにぴったりな昆虫です。優雅な鳴き声に癒やされたい方は、ぜひコオロギの飼育に挑戦してみてください。
後藤さん
コツは、蓋に穴をあける際、ガーゼを通す、隙間を最小限にすることです。ガーゼをスムーズに通せるようにと、大きな穴(隙間)を開けると、隙間からコオロギのフンがタッパーの中に入ってしまい、水が汚れてしまうからです。