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捕まえたバッタの上手な飼い方とは? エサの種類や水やりの方法などを全解説

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監修者:牧田 習

監修者:牧田 習

1996年10月14日生まれ。兵庫県出身。「昆虫ハンター」として2万種程の昆虫に出会い、新種も9種発見。北海道大学理学部卒業後、現在は東京大学大学院の農学生命科学研究科博士課程に在学中。現在、「NHK高校講座・歴史総合」(NHK Eテレ)、「猫のひたいほどワイド」(テレビ神奈川)にレギュラー出演中。一番好きな昆虫は「ゲンゴロウ」。オスカープロモーション所属。

公園や川辺など身近な草むらで見かけるバッタ。手づかみでも捕まえやすく、カマキリのように生きたエサしか食べないという難しさもないため、子どもが「飼いたい!」といっても比較的飼育しやすい昆虫です。

しかし、いくら飼いやすいといっても、きちんとした方法で飼育しないとあっという間に弱ってしまいます。バッタとはどのような生き物なのか? 水は? 食べ物は? 虫カゴの環境は?など、意外と知らないバッタの飼い方を解説します。バッタの捕まえ方も併せて紹介するので、これからバッタを探しにいく方はぜひ参考にしてください。

バッタってどんな虫?

バッタってどんな虫?

バッタはバッタ目(直翅目)・バッタ亜目に分類される昆虫の総称です。漢字では飛ぶ蝗(いなご)で「飛蝗」と書きます。イナゴというと佃煮などにして食べるイメージもあるかも知れませんが、このイナゴもバッタ目に含まれます(ちなみに、イナゴは昔から稲を食べ荒らすことから「稲の子」と呼ばれていました)。

バッタは世界各地に広く分布しており、日本でもトノサマバッタやショウリョウバッタをはじめ、さまざまなバッタが確認されています。

見た目の特徴

バッタの見た目は種類によりさまざまです。たとえば、有名なバッタでもあるトノサマバッタだと、細長い体型ながらも発達した後脚と開くと大きな羽を持っています。この体を使って飛ぶ力が凄まじく、一度に自身の体長の数十倍もの距離を移動することすらも可能です。

身近に見かけるバッタの体色は基本的に保護色であることが多く、周囲の草や土に合わせて変化しますが、多くは緑色や茶色、灰色などです。

エサや寿命などの主な生態

多くのバッタの成虫は夏から秋にかけて活動し、さまざまな植物を食べます。昼行性の種類が多いです。

種類によって地上性・植上性と生活拠点が異なります。たとえばトノサマバッタは地上性、ショウリョウバッタは植上性です。植上性のバッタの脚先は吸盤のような器官が発達しており、これで植物はもちろん、ツルツルした突起がない面でもしがみつくことができます。

多くの種類は、秋になると土の中に卵を産み、卵のまま冬を越して春から初夏にかけて孵化。幼虫は成虫と同じような姿かたちをしています(不完全変態)。夏から秋にかけて成虫になり、秋頃に交尾を経て産卵……というサイクルをたどるのが一般的です。

成虫の寿命は数か月な種類が多いですが、「ツチイナゴ」のように成虫で越冬し、10か月ほど生きる珍しい種類もいます。

身近にいるバッタの種類 

身近にいるバッタの種類 

多くの場合、身近にいるバッタを捕まえて飼うことになるでしょう。国内でよく見られるバッタにはどのような種類がいるのか、代表的なものとその特徴をまとめました。

トノサマバッタ(殿様飛蝗・大名飛蝗)

体長約3.5~6.5cmほどの大型のバッタです。特徴的な名称から昆虫に詳しくない方でも聞いたことがあるのはないでしょうか。なぜ「殿様」と呼ばれるようになったのかは諸説ありますが「大きくしっかりとした体躯だから」といったシンプルな理由が有力です。

多くの仲間が周りにいる状態で育った個体(群生相)と、多くの仲間が周りにいない状態で育った個体(孤独相)がおり、群生相は茶褐色、孤独相は緑色な傾向にあります。身近でよく見かけるのは孤独相のトノサマバッタが多いでしょう。

ショウリョウバッタ(精霊飛蝗)

トノサマバッタと並んでよく見かける、頭が三角形になっているバッタです。オスは5cmほどですが、メスは8cm以上になる個体もおり、体長の大きさでいうと、ショウリョウバッタのメスが日本のバッタのなかでは最大級です。

メスに比べオスはよく飛び跳ね、前翅と後翅を打ち合わせて「キチキチ」と鳴くという性差もあります。また、メスの両後脚を手で持つと、逃げようとして前脚を上下に動かす仕草を取ります。このことから、オスを「キチキチバッタ」、メスを「ハタオリバッタ」と呼ぶこともあります。

ショウリョウバッタモドキ(精霊飛蝗疑)

ショウリョウバッタとよく似ているけれど、体長が3~5cmほどのバッタはショウリョウバッタモドキかもしれません。大きさのほか、「背中に赤みがある」「脚が短い」「ジャンプ力が低い」といった特徴が見られる場合は、ショウリョウバッタモドキの可能性が高いです。

クルマバッタ(車飛蝗)

一見トノサマバッタのように見えますが、トノサマバッタよりはやや小型で4~6cmほどです。また翅に白帯があることや、背中が盛り上がった体格をしている点も異なります。

後翅の中央部に黒い半月状の模様があるのも特徴で、飛び跳ねたときに車輪が回っているように見えるのが名前の由来です。

クルマバッタモドキ(車飛蝗疑)

クルマバッタに非常によく似た小型のバッタです。見分けるのは少々難しいですが、クルマバッタに比べると頭部の盛り上がりが低く、「く」の字のような模様が見られるのが一つの特徴です。

より正確に見分けるには後翅を広げて観察します。クルマバッタの後翅の内側は黄色いですが、クルマバッタモドキは透けて見えます。

オンブバッタ(負飛蝗)

その名の通り、バッタがバッタをオンブしている姿がかわいらしい小型のバッタです。下にいるのがメスで体長は4cmほど、上がオスで体長は2cmほどです。

牧田習さんプロフィール画像

牧田さん

決して、お母さんが子供をおんぶしているわけでななく、奥さんが旦那さんをおんぶしているのです。

オスがメスの上にいる理由は交尾をするために加え、交尾後も「ほかのオスに奪われないよう独占している」という意味合いもあります。

なお、もし後翅が赤く染まっているオンブバッタを見つけたら、アカハネオンブバッタの可能性が高いです。元々は中国や台湾、韓国、ハワイ、日本では南西諸島にしか生息していなかったものの、最近は各地で見つかっています。

簡単! バッタの捕まえ方

簡単! バッタの捕まえ方

バッタを捕まえるのはそう難しくありませんが、なかなか捕獲できないという方向けに、用意するものやちょっとしたコツなどを紹介します。

用意する道具

  • 虫かご(捕獲ケース)
  • 虫取り網

気温が低い朝方などはバッタの動きが鈍く、捕まえられる可能性が上がります。慣れていれば素手でも捕獲可能ですが、虫取り網を使うほうが成功しやすいです。網で草むらをはらうようにすくうと、うまく入ってくれるでしょう。

捕まえたら虫カゴに入れ、念のため周囲にある草も入れてあげてください。

赤ちゃんバッタを捕まえる場合

小さなバッタは成虫のように丈夫ではないので、虫取り網でそっとすくうように優しく捕まえましょう。虫カゴに入れるときも傷つけないように慎重に。

虫取り網で傷つけるのが心配な場合は、ペットボトルを使って捕まえる方法もあります。キャップを取り、飲み口から5~10cmくらいを真横に切断して二つに分けたら、カットした上部分を逆さにしてはめましょう。

これで中に入ったバッタが脱出しにくい形状になるので、あとは赤ちゃんバッタを見つけたら手とペットボトルで挟み撃ちにするようにし、ペットボトル内に誘導します。

バッタのエサや飼育環境

バッタのエサや飼育環境

バッタを手に入れたら、できるだけ長く元気に生きられるよう環境を整えてあげましょう。必要なものは次の通りです。

  • 飼育ケース
  • エサ
  • 水・水差し(瓶)
  • 土・プラスチック容器

飼育ケース

一般的な虫かごで問題ありません。小さいものだとバッタが飛び跳ねた際に頭などをぶつける恐れがあるので、多少余裕のあるもののほうがよいでしょう。繁殖を考えているなら、なおさら広めのタイプをおすすめします。下記は、中が観察しやすく、観賞用にも適したケースです。

エサ

バッタはイネ科の植物を好む種類と、そうでない種類とに分かれます。したがって、基本的にはバッタを捕まえた場所に生えている植物を与えてください。

種類 植物
イネ科を植物を好むバッタ ・トノサマバッタ
・ショウリョウバッタ
・クルマバッタ
・ヒナバッタ など
・エノクログサ
・オヒシバ
・ススキ
・ササ など
それ以外の植物を好むバッタ ・オンブバッタ
・フキバッタ
・ツチイナゴ など
・シュンギク
・ヨモギ
・オオバコ など

薄く切ったリンゴ、梨といった果実を食べることもあるので、たまにはデザートとして用意してあげるとよいでしょう。

水・水差し(瓶)

水分は植物から摂取するので、水入れなどに入れて与える必要はありません。しかし、たまには霧吹きなどで葉の上を濡らしてあげましょう。水滴を舐めて補給することもあります。

水差しは、エサの植物の鮮度を保つために使用します。特にイネ科の植物は水なしだと枯れてしまうため、水差しに挿しておきましょう。

土・プラスチック容器

産卵させることを考えているなら土も入れてあげます。土はバッタを捕まえた現地のものを持ち帰って使用するのもよいですが、良からぬ菌が繁殖している恐れがあるため、電子レンジやフライパンなどで加熱処理したほうが無難です。

面倒であれば、園芸用のバーミキュライトでも代用できます。

改良用土 バーミキュライト3L

改良用土 バーミキュライト3L

土を飼育ケースに直接敷くと掃除や管理が大変なので、薄型のプラスチック容器を別途用意し、そこに敷き詰めましょう。土の深さの目安は種類にもよりますが、10cmほどあると安心です。これは、バッタは産卵するときにある程度の深さがないと産卵しないためです。

なお、飼育ケースの一番下に紙などを敷くとさらに掃除が楽になります。

バッタの上手な飼い方と注意点

バッタの上手な飼い方と注意点

バッタが元気いっぱい生活できるよう、上手な飼い方とやってはいけない注意点を解説します。

日光浴は大事

バッタは適度に紫外線を浴びることで健康を保っているため、1日数時間は日光浴をさせてあげましょう。といっても、直射日光が当たりすぎるのは危険です。飼育ケージは日差しが届く、風通しの良い場所に置いてください。

たまには霧吹きを

水分は水差しに刺した植物から補給できますが、ケース内があまりに乾燥している場合は水不足になる可能性もあります。時折でよいので、霧吹きをかけて雨が降ったような状態にしてあげましょう。

フン掃除はこまめに

バッタは大量のフンをします。放置していると虫カゴ内がフンだらけになり、そのうちカビが生えます。バッタが弱る原因になるため、掃除はマメにしてあげましょう。

キリギリスに要注意!

キリギリス

バッタは同じ飼育ケース内で複数匹飼ってもよいですが、バッタと間違えてキリギリスを入れてしまうと大変です。キリギリスはバッタとよく似ているものの、肉食寄りの雑食なので、お腹が減ったらバッタを襲います。

キリギリスはバッタよりも触覚が長く、後脚は大きく発達しています。また、前脚にはたくさんのトゲのようなものも見られます。誤って同じ空間に入れないようにしましょう。

もうちょっと知りたい! バッタの飼い方Q&A

もうちょっと知りたい! バッタの飼い方Q&A

バッタの飼い方についてよく頂く質問をQ&Aにしてまとめましたので、役に立ちそうであれば参考にしてください。

Q.キャベツなど別の葉物をあげてもよいでしょうか?

A.ばくばく食べてくれるかどうかは明言できませんが、バッタの食性は幅広いため問題はないでしょう。ただ、あまり食べない可能性もあるため、バッタ用に新しく用意するというよりは、残りものをあげてみてはいかがでしょうか。

Q.エサを食べないのですが……

A.バッタは種類によって好みの植物が異なります。詳細はエサの項目に譲りますが、もし飼っているバッタがどの種類かわからない場合は、バッタを捕まえた辺りの草を数種類採取してみてください。それでも食べない場合は飼育環境が合っていない可能性もあるため、元いた場所に逃してあげるのも一案です。

Q.繁殖させたいのですが初心者でもできるでしょうか?

A.バッタの繁殖は少し難しいですが、ぜひチャレンジしてみてください。代表的なバッタ・トノサマバッタの場合、オスとメスを一緒の飼育ケースに入れていれば交尾することでしょう。

牧田習さんプロフィール画像

牧田さん

その後、トノサマバッタのお母さんは土にお尻を突き刺して卵を生むため、深さ10cmほどの土はあるといいかと思います。ちなみに、卵は卵鞘(らんしょう)という塊になっていて、泡に包まれ守られています。トノサマバッタの場合、この卵鞘内には50~100個の卵があるといわれています。

土に産卵した形跡が確認できたら、土が入った容器を取り出し、できるだけ温度変化の少ない場所で保管しましょう。土が乾燥しないよう適度に霧吹きをすることも大切です。

そうして春になり、暖かくなってくるとかわいい赤ちゃんバッタがたくさん生まれてくるでしょう。

まとめ

バッタの飼い方まとめ

バッタを飼うのに用意する主な必需品は飼育ケース、エサ、エサの植物を指す瓶、霧吹きです。産卵・繁殖させたい場合は土も用意しましょう。エサは、イネ科の植物を好む種類とそれ以外の種類に分かれるので、飼うバッタに合わせます。

飼育にかかる手間は、カブトムシやクワガタムシなどに比べるとかからないほうかもしれません。お子さんが「飼いたい!」といっても、一緒に飼育を楽しめるかと思います。

牧田習さんプロフィール画像

牧田さん

成虫のまま冬は越せないため数か月間しか一緒にいることができませんが、ペットとしてお迎えするのですから、愛情を込めてお世話してあげてくださいね。

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