日傘のスキをなくしたら妖怪っぽくなった話
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目次/ INDEX
スパイスカレーが流行っている。
固形ルーを溶かして作るお家カレーとは違い、数種類のスパイスを混合し奥深い味に仕上げたカレーは、専門店でしか食べられない複雑な味わいが魅力だ。
しかし、そんなスパイスカレーも「基本さえ覚えておけば、簡単に作れる」と、南インド料理エリックサウスで総料理長を務めるイナダシュンスケさんは豪語する。
そこでイナダシュンスケさんに、自宅で誰でも簡単にできる基本レシピを実践して教えてもらいました。さらに具体的な辛いのが苦手な人用のアレンジ方法、逆にスパイスの奥深さを求める上級者用のアレンジ方法など、スパイスカレーの奥深さを堪能できるテクニックも詳しく紹介。
最後には、電子レンジで本格的なスパイスカレーを作る、とっておきのお手軽レシピも教えてもらいました。
スパイスカレーを初めて作るなら、まず挑戦したいのがチキンカレー。
長時間煮込む必要もなく旨味がたっぷり含まれているチキンは、スパイスカレー入門に最適の食材です。だいたい30分もあれば、誰でも最初からおいしいカレーが作れるはずです。
[材料 4人前]
材料はグラムで測るのがおすすめです。
冷たいままの鍋をデジタルスケールに置いて、そこにまずはサラダオイル、玉ねぎ、にんにく、しょうがを指定重量通りに入れていってください。多少のズレは気にする必要はありません。
(この時、最初に空の鍋の重量を測ってメモしておくと後々便利です。どう便利かは最後に分かります。)
鍋は冷たいままで大丈夫。できればテフロン加工のものが焦げ付きにくく作りやすいのでおすすめです。
鍋を中火にかけて混ぜながら炒めていきます。1分ほどでジュウジュウと音がし始めます。
そしたら、火を弱火にして蓋をし、10分間加熱します。
カレーと言うと鍋につきっきりで玉ねぎが「アメ色」になるまで長時間炒めなければいけないと思われている方も多いかもしれませんが、実はそれは別に必須ではありません。
蓋をして基本放置で大丈夫なのですが、焦げ付かないよう念のため途中で1、2回蓋をとって混ぜてください。
玉ねぎにしっかり火が通って柔らかくなっているのを確認したら、いったん火を止めて、スパイス5種類と塩を入れます。
(ちなみにこの時もまたデジタルスケールを使うという裏技があります。鍋が熱くなっているのでデジタルスケールに必ずコルクなどの鍋敷きを乗せて、そこで直接スパイスや塩を計量すれば洗い物も増えません。)
再び中火で鍋を火にかけ、混ぜながら炒めていきます。30秒ほどでジュウジュウ言い始め、同時にスパイスのいい香りが強まっていくはずです。更に30秒ほど炒めると、表面にうっすらとオイルがにじんできて、スパイスの香りは最高潮に達します。
鶏肉を加え、さらに炒めます。肉の表面がだいたい色がかわったらつぎの工程に移ります。
スパイスや玉ねぎを焦がさないようにだけ少し注意してください。
そこに、トマト缶と水を加えます。この時もデジタルスケールに乗せて計ると楽ちんです。
中火にかけて時々混ぜながら加熱し、全体が沸騰したら弱火にし、蓋をして15分煮込みます。
蓋を取って全体を混ぜたら完成です!
デジタルスケールがあって、さらに最初に鍋の重量を測っておいたら、ここで「カレーが理想的なおいしさに仕上がっているかどうか」の確認ができます!
鍋敷きを敷いたスケールで重量を測ると、カレーの最終仕上がり量が分かります。このレシピなら、それが800gになっていれば理想的。それより多ければ少し煮詰めて水分を飛ばして、それより少なければ水を足してもう一度軽く沸かします。レシピの再現度、つまりカレーの完成度が更に上がるというわけです。
せっかくの手作りスパイスカレー、やっぱり家族みんなで楽しみたいですよね!
しかしそこで問題になってくるのは「辛さ」。紹介した基本のチキンカレーレシピは一般的なカレーよりやや辛めの仕上がりになりますので、お子様にはちょっとつらいかもしれません。
辛さが気になるという時に役に立つのが「パプリカパウダー」というスパイス。パプリカパウダーとは、簡単に言えば「全く辛くない唐辛子」。辛さを抑えたい場合は、レシピの「カイエンペッパー」を減らして、その減らした分パプリカパウダーを加えるのがおすすめです。極端な話、カイエンペッパーをゼロにしてすべてパプリカパウダーで置き換えてもちゃんとカレーになります。
とは言え、辛さはカレーのおいしさを作る重要な要素でもあります。なので、お子様に合わせて辛くないカレーを作った時は、先にお子様の分だけ取り分けて、残ったカレーにカイエンペッパーを足してもう一度軽く煮込んで大人用に再アレンジするのもおすすめです。
基本のチキンカレーレシピに使われているスパイスの中で、ガラムマサラ以外は比較的風味のおとなしいスパイス。逆に言えば、いかにもスパイスカレーらしい強い香りを演出している主役がガラムマサラとも言えます。その分、特に小さなお子様にとっては少しその香りが強すぎるかもしれません。
なのでこのガラムマサラも、最初は1/3程度を入れてお子様用を作り、取り分けた後に残りを加えてカイエンペッパーの時と同様軽く煮込むという方法があります。
ガラムマサラに関してはもう一点注意すべき点があります。ガラムマサラは本来、辛さの要素は無い「香り」のスパイスなのですが、日本で市販されているものはなぜか辛味を加えたものも結構あるのです。なので、購入する際は裏ラベルの成分表記を確認して「チリ」(もしくは「唐辛子」と記載されているものもあります)の含まれていないものを選ぶのがおすすめです。
基本レシピを作ってみて、もし「もっとスパイスをギンギンに効かせたい」と思ったら、次に作る時は一部のスパイスを増量してみましょう。
辛さを増したかったらカイエンペッパーを、いかにもインドカレーらしい風味はクミンの増量で。これらのスパイスを増やすときは一緒にコリアンダーも増やすとバランスの取れた風味になりやすいです。ターメリックは増やしてもあまり意味が無い上に苦味が強くなってしまうのであまりいじらない方がいいと思います。
ガラムマサラを増やすとスパイスカレーらしい個性的な香りが強まりますが、むしろガラムマサラはそのままで他の単体スパイスを増やす方が効果的です。おすすめはカルダモン。ごく少量で、爽やかで高貴な香りが増す上に、多少なら入れすぎてもバランスが壊れることはありません。(と言っても程度の問題ですが……。) ブラックペッパーも足しやすいスパイスですが、こちらはチリほどではありませんが辛味も増すのでそこだけ注意です。クローブやシナモンも効果的ですが、この2つ、特にクローブはちょっと入れすぎるだけでとても食べられないキテレツな味になってしまう可能性があるので初心者のうちは避けた方が無難でしょう。
そのあたりに慣れてきたら、ガラムマサラの自家製に挑戦するという楽しみも待っています!
基本のカレーにもう少し副材料を足してコクや深みをプラスします。おすすめはココナツミルク。煮込む時の水を減らしていったん濃い目のカレーに仕上げた後、最後にココナツミルクを100〜200ccほど加えて軽く煮込みます。カレーがマイルドにコク深くなるだけではなくココナッツのエキゾチックな風味がスパイスの香りをより引き立ててくれます。
酸味とコクを引き立てるにはヨーグルトも効果的。こちらは煮込みの途中で最大60g程度加えます。その際は、ホイッパーなどでなめらかに攪拌する必要があります。これを省略すると、白いブツブツがダマになって残ってしまうので注意してください。ヨーグルトは加えてしばらく煮込んだ方が味が馴染みます。
仕上げにパクチーを細かく刻んで加えるのもおすすめ。パクチーは苦手な方も多いかもしれませんが、さっと火を通すと不思議と独特の青臭いクセが飛び、スパイシーな芳香が立ってきます。パクチーは食べる時にトッピングする方法もありますが、一緒に煮込む方が断然おすすめです。
材料のチキンを他の肉に置き換えることで、ポークカレーやマトンカレーにも応用が可能です。
豚肉の場合はチキンと全く同じ工程で。ただし、肉が柔らかくなるのにチキンより時間がかかりますので、適宜、蒸発した分の水を足しながら長めに煮込みます。ビーフやマトンも同じように作ることは可能ですが、部位によっては更に長い煮込み時間が必要なので、まずは肉だけをひたひたの水で煮込んでおくのがおすすめ。香味野菜とスパイスを炒めたら、そこに柔らかくなった肉を煮汁ごと加えて更に煮込んでいきます。ひき肉はチキンと全く同様の工程で「キーマカレー」が作れます。
肉ではなく各種野菜に置き換えることも可能ですが、その場合は肉からの「ダシ」が出ないため日本人には味気なく感じられるものになってしまう可能性もあります。なので、インドカレーとしてはやや邪道なのですが、野菜と肉を半々にして作るのがおすすめです。「ジャガイモとチキン」「ナスとひき肉」などがおすすめです。
材料の玉ねぎを減らして、水やココナツミルクを増やすと、よりサラッとしたスープ状に近いキレの良いカレーになります。その場合、トマトを増やすと酸味とコクがプラスされます。
逆に、レシピ通りに作ったカレーをさらに煮詰めると、まったり濃厚なカレーも楽しめます。
こういったアレンジを行う場合は塩の加減がずれてくる可能性がありますので、最初は塩をやや少なめにしておいて仕上げで味を見ながら調整した方が良いでしょう。
玉ねぎ炒めは10分放置で充分、と書きましたが、もっと長時間炒めても別のコク感や滑らかさが生まれます。
ニンニクか生姜、あるいはその両方を増量するのも個性的な味わいになります。ただしこれもやりすぎは禁物ですのでほどほどに。
このように、基本のチキンカレーをひとつマスターするだけで、その応用は無限大です。
さらにスパイスカレーの基本型自体が実はこのチキンカレー以外にも様々。
最後にその中から南インドカレーの基本型を、しかも電子レンジだけで仕上げられるレシピにアレンジしたものをご紹介します。
チキンカレーのアレンジ同様にカイエンペッパーやガラムマサラの量を調整すれば、お子様と一緒に作るのにもぴったりです。
ココナツミルクで仕上げる南インドでたいへんポピュラーなタイプのチキンカレーです。最初に固形物だけをしっかり加熱してスパイスの香りを引き出すのがコツ。
[材料 2人前]
サラダオイル〜ガラムマサラ までの材料をすべて耐熱皿に入れ、材料すべてをよく混ぜる。
ラップをかけて電子レンジに入れる。600wで8分
取り出してラップを外すと、こんな感じ。
取り出したらラップを外し、トマト、ココナツミルクを加えて混ぜます。
再び600wの電子レンジに入れて4分。
本格的なケララチキンカラーの完成! レンジでも美味しく作れますね。
ここまで入門レシピを紹介しましたが、まだまだ奥深い世界が広がっているのもスパイスカレーの魅力です。そんな奥深き世界の入り口となるスパイスカレーの歴史と基本知識をまとめましたので、ぜひご覧ください。「スパイスカレーの沼」にハマってみませんか?
※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。