潮干狩り歴70年の超人から潮干狩りに必要な持ち物、時期、場所、注意ポイントを超伝授された
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ネジザウルスという商品をご存知だろうか?
一度付けたものの山が潰れてしまったネジを力強く取り除いてくれる、ペンチのような見た目の工具である。現在、総売り上げはシリーズ累計500万本にも及ぶメガヒット商品だ。特徴的なネーミングはネジをつかんで最後まで離さない様子が、恐竜が噛みつくイメージだったことから。
商品自体の特徴として挙げられるのは、縦溝と摩擦力の大きく2点。従来のペンチは横溝しか付いていないので、せっかくネジを掴んでも滑ってしまって回すことができない。一方、ネジザウルスは先端の内側にあしらわれた縦溝により、しっかり回すことが可能なのだ。その縦溝の角度も最適化されていることで高い摩擦力を得ることに成功。頭を確実に掴むことができる。
現場の設備機器はもちろん、自転車やDIYにも使えるため家庭用の需要も根強い。アメリカを中心にヨーロッパ、東アジアなど海外でも販売されており、ネジザウルスの総売り上げの10%程度は海外での売り上げが占めている。
このネジザウルスを製造しているのが、中小の町工場が多い大阪府は大阪市の東成区に本社を置く株式会社エンジニアだ。
株式会社エンジニアの外観。壁には一面にネジザウルスのイラストが描かれている
株式会社エンジニア 代表取締役社長 高崎充弘さん
「うちは終戦直後の昭和23年、父とおじが2人で始めた双葉工具製作所が前身です。ラジオがハイテクだった当時、ラジオペンチやニッパ、ねじ回しを作って秋葉原や日本橋などで商売していたそうです。それから徐々に工場向けの製品群を始めて法人化していきました」
こう話してくれたのは、株式会社エンジニアの代表取締役社長の高崎充弘さん。東京大学卒業後、造船会社に勤務し10年間エンジンの技術者をしていたという。
「軸受けやベアリングを始め、潤滑や摩耗に関わるトライボロジーの分野を主に担当していました。仕事はとても充実していたのですが、父から帰ってこないかと言われ、昭和の終わり頃に大阪に帰ってきました。ずっと船の仕事をしていたので、当初はこちらで扱うモノが小さくてカルチャーショックを受けましたね(笑)」
帰阪後、高崎青年は「大きな会社の歯車になるよりは」と中小企業の強みを活かし、新商品の開発に燃えていた。
「造船会社では役割が固定化されていましたが、ここでは自分の自由に作って自由に売れますからね。開発部長という肩書きで次から次へと新しいアイテムを開発していました。ところが、全部が鳴かず飛ばずなんです。商品がヒットするには公式があるんじゃないか?と考えはするのですが、全く答えが見つかりませんでした」
じわじわ業績が悪化し追い詰められるなか、とどめを刺されるような事態が発生した。2008年のリーマンショックだ。
エンジニア社内にある開発用のスペース。様々な機材が並ぶ。ここで新しい商品が産声を上げる