八百屋歴10年のプロが指南。新鮮でおいしい産直野菜を選ぶコツ
リンクをコピーしました
目次/ INDEX
――カキってそんなに喜んで食べるものですか?
2022年の冬、鉄道趣味の仲間たちと、北海道の道東エリアを走る根室本線で貸切列車を楽しんだ。その夜のこと。打ち上げ会場となった釧路駅前のジンギスカン店で、メニューのなかに好物「生カキ」を発見。嬉々として注文したところ、地元の学生が冒頭の一言を放った。
彼はおもむろにスマホを取り出し「僕の実家ではこんな感じです」とカキてんこ盛り写真を見せつけてきた。さらに別の人は「近所のお手伝いをしたら、お礼にカキもらった」と言い始めた。ご存知の方も多いだろうけど、道東といえば厚岸に代表されるように、カキが有名な地域である。生産地が身近なこのエリアでは、「野菜のおすそ分け」感覚でカキが流通しているのだろうか。
釧路のやり取りを忘れかけていた頃、スチロール箱いっぱいの散布産カキが届いた。送り主は、あの夜をともに過ごした仲間だった。
職場の斡旋販売をおすそ分けいただいた。さすが北海道
散布は、厚岸の少し右に位置する。1枚、2枚、3枚……と数える私は、さながら皿屋敷のお菊。スチロール箱には総数30のカキが詰められていた。
嬉しい! とても嬉しい! しかし一つ大きな問題が立ちはだかった。私が独居であるということだ。生食用とはいえ、1人で30個をそのままいただくのは違う気がするし、何より食べきる自信がない。
あれこれ考えた末、「旅で出会ったカキ料理の再現」により食べつくすことにした。