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手料理を通して憧れの作家と繋がる「向田邦子定食」

クリエイター

絶対終電を逃さない女

絶対終電を逃さない女

文筆家。1995年生まれ。エッセイを中心にWebメディア、雑誌、映画パンフレットなどに寄稿。著書に『シティガール未満』(柏書房、2023年)。

「ぼくのかんがえた最強の定食」は、カインズの食器やキッチングッズなどを使い、理想の定食を作る企画です。今日のメニューにはどんなこだわりがつまっているのでしょうか。読む定食を召し上がれ。

ぼくのかんがえた最強の定食のロゴマーク

品数の多さは孤食のさびしさを紛らわす

私が定食を好む理由は、3つあると思っている。下戸、貧乏、コミュ障、である。

一人で外食をしたい時、まずお酒が飲めないので居酒屋やバーという選択肢はない。食事メインのお店を痩せた財布と相談しながら探すと、一品料理を複数頼むよりも、たいていは定食のほうがお得な値段設定になっている。人と食事をする際には一品料理を複数頼んでシェアするスタイルになることは多いが、何を頼むか相談したり取り分けたりするコミュニケーションが正直少し苦手だ。

そうして気がつけば定食をよく食べていた。

やよい軒や大戸屋といったチェーン系にもよく行くし、昔ながらの渋い定食屋も、中華料理店の定食も大好きだ。

今回、カインズの商品を使って理想の定食を作って食べてレポートするというお仕事をいただいた。こんな夢のような仕事があっていいのだろうか。これで下戸と貧乏とコミュ障も少しは報われるような気がする。

理想の定食といえば、一昨年取材で行った老舗の定食屋を真っ先に思い出す。メインのおかずを2種類選ぶことができ、例えばマグロの山かけとハンバーグのセット、などということもできてしまう、夢のあるシステムが採用されていた。私にとっての理想の定食と言うからには、あれを超えるものでなければならない。超えなければ、この記事はフェイクになってしまう。

私は、考えた。が、料理上手でもない素人が同じ方向性で超えることは不可能に近いのではないか……。2週間近く悩んだ末に、私はオルタナティブな理想の定食を導き出した。

それは……

向田邦子の料理の本

向田邦子定食、である。

『向田邦子の手料理』に載っているレシピを元に作った料理のみで、定食を作るのだ。敬愛する作家の手料理を真似て構成された定食。それも一つの理想と言えよう。

私は『向田邦子の手料理』を熟読し、献立を練った。品数は多いほうが嬉しい。向田邦子はエッセイで、「私は、ひとり暮らしのくせに、膳の上に品数が並ばないとさびしいと思うたちである」(女の人差し指『眼があう』)と述べている。私も一人暮らしだが、個人的には一人暮らしなのに、というよりも、一人暮らしだからこそ、さびしいと感じるような気がする。例えば昔の恋人と付き合いたての頃に一緒に食べたコンビニのロコモコ丼は信じられないくらい美味しくて、その一品だけでもさびしくないどころかこの上なく満たされた気持ちになったものだが、一人だとそうはいかない。一人だからこそ、品数を増やして賑やかにすることで、孤食のさびしさを紛わすことができるように思う。

せっかくなので、普段は手を出しにくいものを作ってみたい。メインのおかずは「さわらのおろし蒸し」と「かに玉」にして、汁物は「みょうがと焼きなすのみそ汁」。小鉢は「ピーマンの揚げ浸し」と「焼きねぎ」、ご飯は雑穀米。あとはデザート付きの定食が好きなので、『向田邦子の手料理』唯一の甘味系、「いちじくのブランデー煮」。

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