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「フリースタイル陶芸?」
……と初対面の方にはほぼ例外無く聞かれますが、私は美術作家としての活動と並行し、「フリースタイル陶芸」という名の陶芸教室を主宰しています。
フリースタイル陶芸教室とはどのような陶芸教室なのかと言うと、その名の通り、〝何を作っても良い、誰でも参加出来る、自由をモットー〟とした陶芸教室です。
フリースタイル陶芸を始めたのは6年前の2017年に遡るのですが、最初からこんな陶芸教室をやりたい! という確固とした強い気持ちがあったわけでも、何か崇高な理念等を持って始めたわけでもありませんでした。
きっかけは自身の美術作家としての制作・展示などの活動を継続させる為に、ある程度纏まった定期収入を得られる副業が欲しかったこと。どのような仕事であればそれが叶えられるか、会社員を辞めた後3~4年程さまざまなアルバイトを転々としながら模索していました。そんな時、たまたまアルバイト先で知り合った女の子から「陶で作品を作っているなら陶芸をやらせてほしい! 教えてほしいです!」と猛プッシュを受けたんです。果たして自分が教えられるのか……? と不安になりながらも完全に自己流で教えてみたところ、思いのほか喜んでもらえた、というのが今振り返ると1番最初の教室の始まりでした。
たった1人であってもこんなに喜んでもらえるということは、これはもしかしたら自分が想像している以上に需要があることなのでは……? と考えた私は、その様子をFacebookにアップ。たちまち体験希望者が殺到し、その後紆余曲折はあったものの、都度形を変えながらも無理し過ぎない範囲で地道に1人で陶芸教室を運営していました。
美術作家としての活動の彫刻作品「dromen」この作品も陶の素材で出来ています。
突如襲ってきたコロナ禍。このままいつまで続くか先の見えないなかで個人事業主として生き残るには、ここで勝負に出るしか無い……一昨年(2021年)の段階でコロナ禍において個人事業主でも申請出来る持続化補助金(コロナ特別枠)の存在を知り、書類を作り申請しました。
一か八かの気持ちで初めて本格的な補助金申請に取り組み、不安を抱えながら結果を待っていましたが、無事採択。その資金を用い、それまでは存在していなかったフリースタイル陶芸のメインビジュアルを人気イラストレーターでありフリースタイル陶芸のお客さんでもあるunpisさんにお願いしました。お忙しいなか快諾してくださり、メインビジュアルが完成しました。
アイデアとしてずっと頭のなかにあったろくろのポーズ(インタビューなどで頻繁に見られるろくろのポーズと陶芸では基本のアイテムであるろくろを洒落的にかけ合わせたビジュアル)を誰に頼めば的確に表してもらえるだろうか。ずっと考えていたなかでのunpisさんとの出会いは、もはや奇跡だったと言っても過言では無い……と1年経った今、改めて思っています。
またロゴ&デザインのディレクションを以前よりお世話になっており、美術館の展示やアートイベント関係のデザインを数多く手掛けられているデザイナーの丸山晶崇さんにお願いし、ビジュアル面での訴求力に力を入れました。
この段階で予想していた以上に更にお客さんが増え、遂に私1人で手に負える規模を超え、講師や事務、受注担当といったアルバイトさんをお願いするようになり、現在は私を含め6人体制で教室を運営しています。
6年前に1人で細々と始めた頃に想定していた規模を大幅に超え、収入の柱として機能している、といった状況となりました。
unpisさんのメインビジュアルを用いたTシャツなどのグッズも同時期に制作
男女年齢問わず様々方にご購入頂いています
現在、1番人気のある海外製の絵の具ヒューステン
そんなフリースタイル陶芸教室での体験プログラムは〝超フリースタイル陶芸〟というプログラムたった1つと凄くシンプルな体系になっています。
超フリースタイル陶芸は、港区白金高輪のアトリエにて1回につきMAX5名までの少人数制で体験して頂く陶芸教室となります。個人アトリエの為、住所は参加される方にのみ、お送りしております。
超フリースタイル陶芸は2回セット講座となっており、1回につき税込6600円(1回目2回目合計すると1万3200円)いずれも材料費・焼成費含み、お茶・お菓子付きとなります。1回目は粘土600gを使い、自由に造形を行って頂きます。2回目はやすりがけ&絵付け&釉掛けの全工程を行って頂くという内容です。
フリースタイル陶芸の最大の特徴は、理念として掲げている〝何を作っても良い、誰でも参加出来る、自由をモットー〟です。一般的な陶芸教室のようなお茶碗や湯呑み、マグカップなどしか作ってはいけないという制約は一切なく、全くの初心者の方であっても基本的にご自身が作りたいものを自由に作って良いというスタンスで運営しています。
その為、毎回講師や私といった運営側も「この発想は無かった……!」と驚くような作品が次から次へと生み出され、とても刺激的で面白い教室になっているのではないかと自負しています。
そんな教室で日々生まれている作品の一部をご紹介させて頂きます。
イラストレーターのタテヤマフユコさんの陶器作品
イラストレーター竹浪音羽さんの作品
フリースタイル陶芸では陶芸教室運営の他に、昨年より受注業務と、今年からギャラリーやショップと連携し展示企画を行う仕事も請け負っています。
これらもこちらから営業等を行ったわけでは無く、全てフリースタイル陶芸の活動をSNSなどで見たり人づてで聞いて頂いたりした各取引先様からお仕事の打診を頂いたもの。依頼内容を伺った上で求められていることに対しどのようなアプローチで答えられるかを考え、各仕事を都度構築しています。
萩原亮さんの3Dプリント作品を陶器化した作品「emperor penguin(baby)」
こちらは昨年彫刻家の萩原亮さんからご依頼を頂き、現在もフリースタイル陶芸で継続して行っている受注業務です。
萩原さんの作品の特徴である3Dデータで作った動物の作品の〝型〟を3Dプリンターで出力して頂き、その型に土を押し込んで作る〝押し型〟の技法で陶器として複製。最後に独自の配合や掛け方により工夫を凝らした釉薬で美しく見せる陶彫刻の制作を承っています。
こちらは私(近藤)が担当している業務ではなく、フリースタイル陶芸の受注業務担当であり3年間福岡の窯元で修行を行ってきた陶芸家の檀上仁美さんにお願いしているもの。受注が入ったら都度檀上さんに制作して頂き、お客さんの手元に届けるという流れとなっています。
萩原さんという作家の作家性と、それを陶器に変換出来る力を持つ檀上さんの圧倒的な技術力が組み合わさることで初めて生まれた作品です。一見受注で量産品に見えるものであっても、人の手が介在する、1点1点少しずつ異なる完全オリジナルな唯一無二の作品となっています。
東京都現代美術館内ミュージアムショップ・ナディッフコンテンポラリー様でのポップアップ
(2022年7/16~10/16まで開催)
その他、企画展も随時行っています。2022年に開催していた東京都現代美術館内ミュージアムショップ・ナディッフコンテンポラリー様でのポップアップを皮切りに、2022年は年末に2件、2023年は京都で1件、ギャラリーやキュレーターさんとのコラボレーション企画展を予定しています
主にこれまで平面で活動されてきたイラストレーターさんや美術作家さんの作品が、陶器になった時にどのような面白さ・楽しさ・親しみやすさ・手に取りやすさが生まれるだろうか、等といった各ショップやギャラリーさんの意向を踏まえた上で都度打ち合わせを行っています。
その後フリースタイル陶芸サイドが選定した作家さんとギャラリーサイドが選定した作家さんを交え、実際に作家さん自らフリースタイル陶芸教室に作りに来て頂き、出来上がった作品をそれぞれのギャラリーやショップで展示販売しています。
こちらも非常に面白い試みで、作家さんはそれぞれ独自の個性がある為、出来上がる作品も非常に魅力的で窯を開けた時にとてもワクワクした気持ちになるんです。
共同企画においては作家さんの良さをどのように引き出そうかと、講師間でも都度連携を取り合い、各作家さんがやりたいことをヒアリングしながら、1人1人に対し最も適していると思われる技法やアプローチの仕方をお伝えしています。
最後になりましたが、最初にフリースタイル陶芸を初めてからこれまで、沢山のお客さんがずっと伝えて下さるのが、
こんなになんでも自由に作れてとても嬉しい。楽しい。また来たいです!
といったとても温かい言葉です。
私自身はもの作りに本格的に取り組み初めてからかれこれもう15年以上経っているので、どうしても感覚が麻痺してきて新鮮味も薄れてしまっていることもあります。ですが、自らの手でものを生み出す行為は原始的な喜びであり、とても楽しいこと、嬉しいこと、そして尊いことであることを、お客さんがかけてくれる言葉からいつも思い出させてもらっています。
はじめはただ自分が自由に生きていく為に始めた活動でしたが、今は沢山の人にものを作り出す喜びを伝えていける場になっているのかなと考えたら、フリースタイル陶芸という場を構築出来たこと自体が他者にとっても、自分にとっても1つの大きな財産なのではないかと考えています。