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ネジの困りごとは「ANEX」が解決。兼古製作所が考える、プロから信頼を集める工具ブランドの作り方

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兼古敦史

兼古敦史

株式会社兼古製作所 常務取締役。大学では4年間、大学ロボコンに参加。2012年の入社後は、企画開発部で新商品の開発を行う。その後に異動した営業部では、商品の製造的・機能的バックグラウンドの知識をもとに、商品PRだけでなく、お客様のニーズを結晶化し、次なる新製品の企画立ち上げにも携わった。現在は、生産の効率や品質を高めるための改善活動を中心に、経営全体に注力する。

グッドデザイン賞38年連続受賞の「ANEX」ブランド

個人ユーザーのみならず、プロユーザーからも圧倒的な支持を受けているドライバーブランド「ANEX(アネックス)」。

カラフルかつ機能的なデザインが特徴で、プロのあらゆる要望に応えると言っても過言ではない1,400点以上の商品ラインナップをそろえている。その実力と人気は、グッドデザイン賞38年連続受賞という実績が証明している。

この「ANEX」ブランドを開発しているのが、新潟県三条市に本社を置く兼古製作所だ。1949年の創業時から「クローバー」というブランドでドライバーを製造。しかし、「クローバー」ブランドの売り上げは総売上高の10%以下で、大半は産業・輸送機器の付属用工具の製造が占めていた。その後、世の中にホームセンターが登場して市場の中核となっていく流れを受け、新たな販路を獲得すべく2代目の兼古耕一社長が1986年に立ち上げたのが、新ブランド「ANEX」だった。

代表取締役 兼古耕一さん

代表取締役 兼古耕一さん

「以前は大量生産、一括納品が中心。『クローバー』というブランドはありましたが、自社ブランドという意識は社内であまりなかったんです。そこで、『ANEX』立ち上げにおいては徹底的に品質にこだわり、お客様に1つ1つ選ばれる商品を生み出そうという意識で取り組みました。まずはホームセンター向けの商品を『ANEX』ブランドで少量展開し、その後、少しずつラインナップを拡大していきました」(兼古耕一さん)

暗い工具売り場をカラフルに。デザインと機能性で差別化を図る

ドライバーは、パッと見では“ネジを回すだけ”の地味な商品。他社と差別化を図るために、同社がまず着目したのが「色」だった。

「40年くらい前の工具売場を思い出せる人は少ないでしょうが、当時の工具売場は並んでいる商品のほとんどが鉄色で、暗いイメージだったんです。そこで、カラフルな商品を提供して、家庭雑貨の売場のように明るく楽しい雰囲気に変えたいと思いました」(兼古耕一さん)

兼古製作所では創業当初から社内で一貫生産する体制を築いており、プラスチックの成形も自社で対応できるため、スピーディに試作品を開発できるという強みがある。こうしたなか、社長のリーダーシップのもと、「ANEX」ブランドの商品開発が進められた。

狙いどおり、店舗からは「『ANEX』があると売場が明るくなる」と好評を博した。さらに、色をカラフルにしたことで、機能面でも大きなメリットが生まれた。

「ネジにはいろいろなサイズがあります。しかし、従来のドライバーは“どのネジとドライバーが対応しているか”がパッと見でわかりにくかったんです。間違ったドライバーでネジを回してしまうと空回りしたり、なめてしまったり。その点、ドライバーの種類ごとに赤・緑・黄色と決まっていれば、直感的にどのドライバーを使えばいいかがわかります。使い勝手が良くなり、職人さんの生産性向上にもつながります」(兼古耕一さん)

カラフルなデザインが特徴的な「ANEX」ブランドの商品

カラフルなデザインが特徴的な「ANEX」ブランドの商品

実は、初期の「ANEX」ブランドの商品は、兼古社長が自ら設計・デザインしたもの。お客様のどんな課題を解決するのか──コンセプトが明確な商品開発の裏側には、トップ自らの強いコミットがあったがゆえと言えそうだ。

お客様の「ほしい」に応え、年間約50点の新商品を開発

何より、38年連続でのグッドデザイン賞受賞を支えているのが、毎年登場する新商品の数々だ。その数、年平均でなんと50点以上。ネジを回すだけのドライバーで、こんなにも多くの新商品を開発できるのはなぜなのか。

常務取締役 兼古敦史さん

常務取締役 兼古敦史さん

自身も多くの商品開発に携わる兼古敦史常務は、「お客様のニーズに応えているうちに、商品がどんどん細かく枝分かれして、結果として毎年約50点もの新商品ができてしまうんです」と笑顔で話す。

「当社の工具は建築・建設関係、配管や電気工事といった設備関係の方に多く使っていただいています。これらは現場ごとに設置環境が違いますし、PCや家電、精密機械の組立ラインでは規格の異なる新製品も次々と出てきます。そのため、あらゆる条件、あらゆるネジに対応できるよう、多種多様な工具が必要です。ありがたいことに、お客様から『こういう工具がほしい』といった要望がたくさん届くので、それを実現するためにさまざまな商品を開発していきます」(兼古敦史さん)

バイヤーを通してアイデアをもらうこともあれば、職人から直接「こういう道具がほしい」と電話がかかってくることもあるそう。どんなに小さな要望も見逃さず、どうしたら実現できるかを考える。これが兼古製作所のものづくりの根幹にある姿勢なのだ。

お客様の声をもとに開発した商品で近年ヒットしているもののひとつが、「絶縁ビット」だ。今までも電気を通さない手回しの絶縁ドライバーはあった。しかし、近年は作業の効率化のため工具の電動化が進んでおり、電動対応の絶縁ビットのニーズが高まっていたそう。登場以来、電気工事士から安全性と作業性が高く評価されたという。

電気工事のプロから高い評価を受けた「絶縁ビット」

電気工事のプロから高い評価を受けた「絶縁ビット」

鋼材を分断して電気を遮断していることが視覚的にわかるよう、デザインにも工夫が凝らされている

鋼材を分断して電気を遮断していることが視覚的にわかるよう、デザインにも工夫が凝らされている

また、看板商品のひとつとなっているのが「龍靱ビット」だ。パワーのあるインパクトドライバーでドリルビスを打ち込む際の先端の負荷を抑え、一般的なビットより3倍も長持ちするという画期的な商品だ。

一般的なビットの約3倍の強度を誇る「龍靱ビット」

一般的なビットの約3倍の強度を誇る「龍靱ビット」

軸の中央部を細くすることで、応力を分散して長寿命化を実現。細くした軸を覆う樹脂は、色による種類の判別だけでなく、折れた場合に鋭利な破断面が露出することも防ぐ

軸の中央部を細くすることで、応力を分散して長寿命化を実現。細くした軸を覆う樹脂は、色による種類の判別だけでなく、折れた場合に鋭利な破断面が露出することも防ぐ

一般ユーザーからの評価が高いアイテムとしては、「ネジとりインパクト」も大ヒット。なめてしまったネジにくいこんで取り外すことができる、特殊な機構を備えたインパクトドライバーだ。ちなみに兼古製作所では、ネジを外すことに特化した商品だけでも30種類以上あるという。

DIYで起こりがちなミスを解消してくれる「ネジとりインパクト」

DIYで起こりがちなミスを解消してくれる「ネジとりインパクト」

「ネジがなめている状況はさまざまです。上から叩ける場所か、叩けないならネジ滑り止め液をたらすか、十字が完全に消えているなら新しく溝を作るか……など、いろいろな状況に対応できるように、多種多様なネジ取り方法を提案してきました。困っている人の課題を解決することこそが、売り上げアップにつながると考えています」(兼古敦史さん)

ネジ取り用だけでも、さまざまな商品を取りそろえる

ネジ取り用だけでも、さまざまな商品を取りそろえる

「多品種微量生産」で、ネジのあらゆる困りごとを解決する

徹底してお客様の声に応える商品開発を続けている兼古製作所。しかし、用途がニッチになればなるほど大量生産は難しくなり、開発や生産、商品管理の負担は増えていく。ニッチを突き詰める同社では、この課題とどのように向き合っているのだろうか。

インタビューに応じる兼古敦史さん

「極端に言うと、『多品種微量生産』が我々の使命であり、社会貢献につながると思っています。海外製の安価なネジやドライバーも国内に入ってきていますが、何か問題が起きたときに解決できるメーカーが国内にいる必要があります。また、価格よりも、細かい品質や使い勝手を重視するお客様もいます。となると、千差万別なニーズに対応できるメーカーも必要不可欠。ネジで困っているお客様に対して、『これ使ってみます?』『ダメなら、こっちの商品はどうですか?』と、さまざまな提案ができる会社であり続けたいと思います」(兼古敦史さん)

「ANEX」ブランドは、いわば、ネジの困りごとの“駆け込み寺”。お客様の声をもれなく聞き、本当は何がほしいのかを突き詰め、使いやすい商品を作り続けている限りは、駆け込んでくるユーザーは尽きないだろう。新たな困りごとを解決してくれる、次なる新商品の登場が楽しみだ。

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