湿気取りには重曹がおすすめ! 除湿剤の作り方や再利用術をご紹介
リンクをコピーしました
目次/ INDEX
カインズで一番「ミニトマト」に詳しく、いきすぎている社員、それが大島晋さんです。
ミニトマトのバイヤー歴15年のベテランで、休みの日も毎朝5時に起床し、ミニトマトを育て続けています。
自宅の庭は、ご覧の通り、ミニトマトのジャングルと化しており、近所からも注目を集めています。
ミニトマトの鉢で覆われた庭先
完全に趣味と仕事が同化しており、社内の生きる伝説と言っても過言ではありません。
そんな大島晋さんが、ミニトマトへの愛と、ミニトマト15種の栽培方法の極意、収穫後の保存方法まで、これまでの研究成果について、思いの丈を炸裂させます。
※編集部注:ミニトマトが苦手な方は、読むのはお控えください。
私は現在、ミニトマト70鉢以上を自宅で育てています。
庭が特別に広いわけでもないので、70鉢ともなるとスペースが足りません。足りないのなら邪魔になるものは処分してしまえ、と庭のキンモクセイたちには別れを告げました。
近所では、庭いっぱいにミニトマトが生っている家として有名になり、隣家に越してきた住人たちは、うちの庭を見てミニトマト作りを始めるというありさまです。
毎年新たに土を買い、使い終えた土を庭に捨てるものだから、あちこちに土の山ができて、再びスペースは圧迫されていきます。庭中にミニトマトの鉢があふれ、土の山ができている、そんな状況なので当然、家族からはひんしゅくを買っています。
妻と娘から「こんなに作ってどうするの」とか「邪魔だ」とか、容赦ない言葉を浴びますが、もう慣れっこです。私の家庭菜園は誰にも止められません。
2022年に栽培したミニトマトのごくごく一部
しかし、そんな小言をいわれつつも、妻は機嫌がいいと「スーパーで買うよりこっちの方が断然おいしいわ」と言ってくれることもあり、帰省した娘はいつも嬉しそうにミニトマトを持って帰ります。ご近所の方々にお裾分けすると、とても喜んでいただけるし、素敵なお返しもいただけます。
こうして気分を良くした私は、今日もまた早朝、カインズに出社する前に土をいじり、1本1本の成長の様子をチェックして……と、ミニトマト漬けの生活を送っているのであります。
私のミニトマトとの出会いは15年前、カインズに入社した頃のことでした。園芸雑誌を買って一生懸命に読み漁る中で見つけた「一番病気になりづらい野菜」、それがミニトマトでした。
そして、苗とプランターを買い、自宅での栽培をスタート。それ以降「どうやったらプランターで大量のミニトマトが作れるのか?」と、取り憑かれたように毎年毎年違う栽培方法に挑戦して、プランターごとに試行錯誤を続けてきました。
私は当時、園芸用品のプランター担当だったのですが、幸運だったのは「楽々菜園丸型」というプランターに出会ったことでした。
非常に使いやすいという噂を聞いて、さっそく自分でもこのプランターで育ててみると、ミニトマトの栽培に最適だと感じました。あくまで個人的な意見ではありますが、家庭菜園で一番便利です。
実際、私は現在も、すべてのミニトマトを「楽々菜園丸型」で栽培していて、とても気に入っています。運命的な出会いだったと感じています。
カインズが取り扱っている全品種のミニトマトを毎年、家庭菜園で育てつづけ、栽培歴がここまで長くなってくると、さまざまなノウハウが溜まってきます。しかし、いくらプランター栽培とはいえ、自然を相手にすることですので、ときには想定外のことも起こります。
例えば、2020年のこと。「今年は過去最高の出来になる!」と期待に胸を膨らませていたある日、自宅周辺で強烈な突風が吹きました。仕事を終えて帰宅すると、すでに収穫が始まっていた鉢の半分以上が倒れており、愕然としました。
結局、その年は思うような収穫ができずに終わってしまい、何をするにも元気が湧いてきませんでした。
でも、こうした失敗を経験すると、私のミニトマト栽培に関する知見もパワーアップします。
翌年からは、東と南に防風ネットを張りました。さらに、突風や台風対策として、背丈を伸ばしすぎず重心が低めになるように栽培するといった工夫を重ねました。それ以降、台風の時期でも被害をほとんど出さずに乗り切れるようになっています。
なぜ私がここまでしてミニトマトの栽培にハマっているかというと、「実際に自分でやってみて出会う “失敗” が尊いから」だと思っています。失敗すると、引き出しがどんどん増えていくのは面白いものです。
快感 「鈴なり」に生ったミニトマトの実
店頭でお客様と接していると、「上手く実がつかない」「病気や虫にやられてダメになってしまった」という言葉を耳にすることもあります。しかし、こういう時に、自分が失敗した経験をふまえて、受け売りの言葉ではなく、自分で発見した自分なりのやり方でお客様にアドバイスできることほど嬉しいことはないと感じています。
しかも、私自身、すべてカインズで取り扱っている資材を使って育てているので「カインズの資材を使って、こんなにいいものができるんだ」と示せることもまた、会社とメーカーさんに貢献できて嬉しかったりします。
せっかくミニトマトの栽培に挑戦したのに、一度の失敗でやめてしまうのはとても勿体ない! お客様から「美味しいミニトマトがいっぱい採れた」という声を聞きたい! そのためなら、庭がミニトマトと土の山でいっぱいになるのも、秋にいい匂いをさせるキンモクセイを伐採してしまうのも、まあいいかと思えるのです。ミニトマト栽培は、趣味と仕事が完全に一致していて、幸せです。
では、実際にお客様にどんなアドバイスをさせていただいているのか。いくつもの失敗を経て私が到達した現時点における、ミニトマト栽培を家庭菜園で楽しむための極意を紹介させていただきましょう。
ミニトマトとは、トマトの中でも10〜30グラムほどの大きさのもののこと。色は赤や黄、オレンジ、黄緑など、形は丸や卵型、いちご型などとバラエティが豊富で、強い甘みを持つものが多いのが特徴です。
また通常のトマトと比べ、ミニトマトには私たちの皮膚や粘膜の健康を保つのに必要な栄養素「β-カロテン」や「ビタミンC」がより多く含まれる傾向にあります。
そんなミニトマトの栽培面での特徴は大きく2つあります。
ミニトマトは地植えでも育てられますが、私はプランターで育てるのをおすすめします。
プランター栽培の一つ目のメリットは、「連作障害」を心配せずに済むことです。(ナス科の野菜を同じ土で作り続けることで、育ちが悪くなったり枯れてしまうことを「連作障害」といいます。)
二つ目のメリットは、毎年使い終えた土を捨てて新しいものを買ってくれば、毎年手軽に好きな野菜の栽培が楽しめること。(しかし、私のようにプランターの数が多いと、庭が土の山で埋まってくるので、くれぐれも気をつけてください。)
さらに、プランター栽培をおすすめする三つ目の理由は、鉢ごと移動できる点です。普段は日当たりのいい場所に置いておいて、台風が来たら家の中にしまってしまうこともできます。(私の場合は、70鉢もあるので室内への移動はできません。)
ミニトマトのプランター栽培で用意したいのは、次の5つです。
おすすめのプランターは私も愛用している「楽々菜園丸型」ですが、もちろん、ほかのプランターでも全く問題ありません。
プランター選びのコツは、ミニトマトが広いスペースに根を張れるように、深型の菜園プランターを使用することです。根がしっかりと広がれば、ミニトマトの収穫量も増えやすくなります。
私が初心者にも「楽々菜園丸型」をおすすめしている理由としては、鉢の底にある貯水層から土に水をしみ込ませ、根から水をやるかたちで野菜を育てることができるプランターだからです。夏場や留守がちなときでも、水涸れによる失敗を避けやすく、鉢の底にすのこ構造があるため、排水性を高める鉢底石とネットを用意する必要もありません。
また、鉢に支柱を固定するための器具も備えているので簡単です。
プランターを用意したら次は、ミニトマトが倒れてしまわないように、支えとなる棒(支柱)と、ミニトマトの茎を支柱に固定するクリップもしくは紐を用意します。トマトは背丈1.5mほどにまで成長するため、支柱は1.6m以上あるものを選ぶことをおすすめします。
支柱に茎を固定するのはクリップ式のほうが、紐を使用するよりも成長に合わせた付け替えが簡単なので初心者にもおすすめです。
プランターのサイズの目安としては、長さ70cm・高さ29cm・奥行き40cm、50リットルの深型菜園プランターで、だいたい2〜4株ほどのミニトマトを育てることができます。
より具体的な準備の手順は、この動画が分かりやすいので見てください。
ミニトマトを育てる準備が整ったところで、栽培の上で一番重要と言っても過言ではない「苗」の選び方を紹介します。
良いミニトマトを育てるには、良い苗を選ぶことが何よりも重要です。
ミニトマトを種から育てるのはなかなか難しいため、まずは苗を買って植えること、そして、苗選びに少しこだわることをおすすめします。
一度試してみていただきたいのが「接木苗」です。接木苗とは、ミニトマトの茎を切ってナス科の別の植物の茎に付けた苗のこと。自分の根から養分を吸い上げて育つ通常の苗と比べて、病気への抵抗性が高いので初心者におすすめです。
さまざまな苗を試した結果、私自身も接木苗を中心に育てています。少し値は張るものの、栽培に失敗しにくいため、一度試してみる価値はあると思います。
具体的なミニトマトの苗の選び方としては、次の7つのポイントを意識しましょう。元気な苗を選ぶことが大事です。
■元気なミニトマトの苗を見分けるポイント
ミニトマトの苗の種類については、ひとまず育てやすさの観点から、下記3種をおすすめします。(ただし、ほかの種類のミニトマトも個性的で、甲乙つけがたいため、本文の最後に網羅的な解説を付けています。)
皮が薄く柔らかい(=食べやすい)が弾力があるため破れづらく、育てやすい品種。また1株でも収穫量が多いのも嬉しいポイントです。
鮮やかなレモンイエローが特徴的なミニトマト。ピンキーと同様に皮が薄いものの破れづらく、また収穫量も多いため家庭菜園向きです。
病気に強く、育てやすいのが魅力の品種です。甘みの強いミニトマトをたくさん収穫できるため、初めての家庭菜園におすすめ。
培養土は、チッソ・リン酸・カリなどの基本的な肥料や数種類の用土が配合されている、野菜栽培専用のものを選びます。
具体的にいうと、カインズで取り扱っているおすすめ商品は、次のとおりです。
一般的な野菜全般に使える培養土です。高品質で長持ちする肥料・マグアンプKが入っていることで、根を強くし、野菜を育てる力を高めてくれます。
また、土の材料となるヤシ殻繊維、バーク堆肥、赤玉土など複数の土がバランス良く配合されていることで自分で混ぜ合わせる必要がなく、初心者にも簡単に使えます。
窒素・リン酸・カリ配合の培養土です。ミニトマト以外にも、ナスやピーマン、花き類にも使えます。
保水性・排水性にも優れる、元気な野菜を育てやすい培養土です。
ミニトマトの育ちをよくし、また病気を防いだり治療したりするためには、成長段階に合わせて適宜、肥料や薬剤を与えることも重要です。
苗を植えるとき、殺虫剤を土に混ぜ込んでやる。実の成長・肥大を促進する薬剤を使い、実が落ちないようにしてやる。こういった、ひと手間が大切です。
たとえば、わが家の庭に触発されてミニトマトの栽培を始めた隣家の住人は、肥料を上手く使わなかったため、1年目は全く実がなりませんでした。2年目には私の作業を見ながら薬剤散布を丁寧にしたことで、念願の収穫を叶えました。
ミニトマトの育ちをよくし、また病気を防いだり治療したりするために、成長段階に合わせて適宜肥料や薬剤を与えていきましょう。そうすると、プロ顔負けの「鈴なり」のミニトマトを育てられます。
カインズで取り扱いのある、おすすめの薬剤は次の通りです。
土に混ぜ込むだけで、肥料やりと害虫の予防・退治が同時にできる肥料+農薬の珍しい薬剤です。
ナス、ミニトマト、ナスなどの野菜には使えますが、使える種類が限られていたり、使用回数の制限があるので複数の野菜を栽培している場合はしっかり説明書きを読んでから使用してください。ミニトマトの場合は、定植時に1回(5g/株)使用します。
花に散布することで実の付きをよくし、トマトの成長・肥大を促進させる効果があります。希釈の必要がないので、そのまま使用するので楽ちんです。
散布タイミングは、トマトの開花3日前〜開花後3日に1花房に1回散布します。
病気の予防・治療効果に優れた殺菌剤です。効果が長く続き、薬害も少ないのが魅力です。
希釈液をつくる必要がありますが、とても簡単なので安心してください。
1500倍希釈液を作るには、1.5Lのペットボトルに一袋入れるだけで簡単にできます。
また、薬剤を虫や葉につきやすくするダインを、一滴入れると効果が高まります。噴霧器がない場合は、家にあるスプレー容器などに入れ替えて散布しましょう。
植え付け時に土に混ぜ込むか、植え付け後に株元に撒いておくことで、病気への耐性を高められる粒状の薬剤です。
カビなどの病気の予防・治療に効果を発揮する殺菌剤です。収穫前までに、2000倍の希釈液を散布します。
2.0Lのペットボトルに0.5gを入れれば希釈液の完成です。こちらもまた、薬剤を虫や葉につきやすくするダインを、一滴入れると効果が高まります。
せっかく自分で大事に育てたミニトマトであれば、なおさら「美味しくいただきたい!」という気持ちが高まります。そのためには、収穫方法と保存方法にも注意が必要です。
せっかく上手に育てても、収穫方法を間違えると、おいしさが減ってしまいます。
■ミニトマトをおいしく食べるための収穫方法
まだ食べないのに水で洗ってしまうと傷みが早くなってしまうため、野菜庫に入れておくなら保存前に洗わないこと。
また、サラダボールなどに目一杯入れてしまうと、下のほうのミニトマトが重さで潰れてしまうため、なるべく重ねずに保存することが大切です。
野菜庫に入り切らないほど大量なら、洗って冷凍保存するか、トマトピューレなどに加工してしまうとよいでしょう。
では、いよいよミニトマトのプランター栽培を家庭菜園で成功させるポイントを、10工程に分けて紹介していきます。
2023年のミニトマト定植後の様子
ミニトマトの植え付けは、日中の気温が十分に上がる時期におこないます。地域によって異なりますが、4月中旬から5月頃を目安に植え付けするとよいです。
野菜栽培用の培養土をプランターの縁の2〜3cm下辺りまで入れてから、根鉢(根と土が固まりになった部分)が崩れないよう苗にあらかじめ水を与え、植え付けます。
このとき、薬剤を使って病気の予防をしっかりとおこなうのがポイント。薬剤の使用方法に従って、植え付け時に土に混ぜ込むか、植え付け後に株元に撒いておくことで、病気に対するミニトマトの抵抗力を高められます。
家庭菜園でよくある病気も紹介します。
1.うどんこ病
名前の通り、ミニトマトの葉っぱに白いカビが生えてしまい、うどんの粉がまぶされたように見えるものです。ひどくなると葉っぱだけでなく全体にまでカビが広がってしまいます。
連作障害がおこっていると同時にうどんこ病になる可能性もあります。
葉っぱの白いカビを見つけたらすぐに取り除き、薬剤も使いながら初期段階で予防しましょう。
2.生理障害
ミニトマトだけでなく、他の野菜も同じですが、栄養素は多すぎても少なすぎても悪影響があります。
・窒素過剰
症状:茎葉に異常が出てしまい、葉が通常よりも多く、茎が通常よりも太くなります。花は咲いても、実らないか実が成長しなくなってしまう。
・カルシウム欠乏
症状:カルシウムが足りないため、ミニトマトのお尻部分の色が変色したり陥没する異常が発生(尻腐れ)する。
・マグネシウム欠乏
症状:葉脈は緑色のままで、葉っぱの色が黄色くなる。ひどくなると、葉が枯れてしまいます。
ミニトマトの茎が成長過程で折れてしまわないよう、1.6m以上の支柱を用意して立てておきます。苗のすぐ近くに支柱を立てると根を傷めてしまいかねないため、少し離れた場所に立てるのがポイントです。
支柱を立てたら苗がぐらつかないように、支柱と茎を紐などで結んで固定します。クリップ式の「しちゅうキャッチ」を使うと、固定や成長に応じた付け替えが簡単です。
目安として、1本の茎に対して3〜4箇所固定しておくとよいでしょう。
病気を防ぐとともに、より実の付きをよくするためには、ミニトマトにとって苦手な場所を理解しておきましょう。
ミニトマトは雨に弱く、直接雨の当たる場所では皮が裂けてしまう可能性があるほか、土の中の湿度が高くなると、病気も発生しやすくなるため注意が必要です。
実が付きはじめたら雨の当たらない場所に移動させるか、スペースの都合で難しい場合は雨よけを作るようにしましょう。
また、日当たりを好むものの熱には弱いため、ベランダにプランターを置く際はレンガやパネルなどを敷いて地面からの熱を遮ったり、直射日光が当たる場合はプランターを二重にしたりする工夫が求められます。
ミニトマトは、
で育てましょう。
ミニトマトの水やりにおいては、成長段階に合わせて、水分量を変えることが大切です。
植え付けから2週間ほどはまだ根付いていない状態のため、あまり乾燥させないよう注意します。土の表面が乾いたタイミングで、プランターの底から水が出てくるまでたっぷり水を与えましょう。
1段目の実の付きが大きくなってきたら、与える水の量を減らすのがポイント。土が乾き、ミニトマトの葉が少し萎れたようになったタイミングで水やりをするようにしてみてください。
ミニトマトが成長するに従って、葉の付け根部分から「脇芽」が伸びてきます。そのまま伸ばしてしまうと、養分が分散して実がうまく育たなくなることもあるため、5cm以下の小さいうちに摘み取ります。
その際、切り口から菌が入ってしまうことを防ぐため、晴れた日にハサミを使わず手で摘み取るのがおすすめです。
ミニトマトの育て方には、主枝を1本で育てる「1本立て」や、脇芽を残して主枝を増やす「2本立て」「3本立て」などがあります。
主枝が2本以上になるように仕立てると、その分収穫できる量も多くなりますが、一方でミニトマトに負担がかかり、育てるのは難しくなります。
初心者の方には、1本立てにするか、初めについた花の下の脇芽を残して2本立てとするのがおすすめです。
1段目の実が大きくなりはじめたら、追肥を始めます。2〜3週間に1度のペースで、規定通りに薄めた液体肥料を水の代わりに与えましょう。
植え付け後も、定期的に薬剤を与え、病気の予防や治療をおこないます。
植え付け3週間後から、3週間隔で2度粒状の殺虫剤を株元に散布。その後、生育が進んだら粒ではなく希釈タイプの殺虫剤を噴霧器で散布するようにします。
また各段の花が咲きはじめたら、花びらに「トマトトーンスプレー 420ml」を散布して肥大を促進するとともに低温時の落下を防止したり、ミニトマトのお尻部分が黒くなる「尻腐れ病」を防ぐためにカルシウム剤を散布したりするのも有効です。
ミニトマトが伸びてきたら、その都度、クリップや紐などを使って支柱に誘引します。ここでらせん状にしたい場合は、紐を使って優しく徐々に曲げていくのがポイント。一挙に曲げようとすると茎が折れてしまうため注意が必要です。
1.6mほどの支柱の高さまで主枝が伸びたら、先端部分を切る「摘芯」をおこないます。
このとき、一番上の花よりも上に出ている葉を2〜3枚残しておくことで、実に養分が届きやすくなります。
ミニトマトを収穫するタイミングは、実の色とヘタの様子で判断します。
この状態になっているミニトマトはしっかりと熟しており、実に軽く触れれば枝から簡単に外れるはず。これ以上成長させると、実が裂けて傷んでしまいやすくなるため、ベストタイミングを逃さず収穫しましょう。
ミニトマトの栽培の仕方について詳しくご説明しましたが、いざお店に苗を買いに行ってみたら品種が多すぎて選べない......そんな声もよく聞きます。
ここからはミニトマトの各品種の特徴や育てやすさについてお話します。
ミニトマトとひとくくりに言っても大きさや甘さ、色でそれぞれ異なるって知っていましたか?
スーパーでは赤くて丸いミニトマトをよく見かけますが、赤系だけでなく、ピンク系、黄系、緑系、黒系、形も球体や卵型など様々あります。
家庭菜園においても初心者におすすめなものもあれば、少しコツがいる品種もあるため、私が育ててきた15品種を「育てやすさ」「甘さ」の観点で紹介させていただきます。
※育てやすさ(3段階評価) ★1つ:育てづらい ★2つ:ふつう ★3つ:初心者にもおすすめ
※甘さ(3段階評価) ★1つ:酸味が強い ★2つ:バランスがいい ★3つ:甘みが強い
果重は10〜15g、糖度は10度ほどで少し小さめの真っ赤な実が特徴のミニトマトです。小さい分甘みがギュッとつまっていて、「ぶどうのようにたくさん実る」のキャッチフレーズ通りに一度にたくさん実ります。
全国の小学校の家庭菜園の指導でも使われている品種のため、家庭菜園でも取り入れやすく、初心者にもおすすめな品種です。
育てやすさ ★★★
甘さ ★★★
果重10~15g、平均糖度8~11度の甘みの強いミニトマトです。他の品種と比較して旨味成分であるアミノ酸の一つ「グルタミン酸」や抗酸化作用をもつ「リコピン」を多く含んでいるため、デザート感覚の甘さが特徴です。
甘さが強いことと、皮が薄くぶどうのような弾力のある食感なので、トマトが苦手なお子さんにもおすすめしたいです。縦に長い実がたくさん実り、初心者にもおすすめの品種です。
育てやすさ ★★★
甘さ ★★★
果重15~20gと平均的なミニトマトに比べると少し大きめで、糖度は8~11程度の甘いミニトマトです。鮮やかなオレンジ色で見た目の美しさも特徴で、オレンジトマトによくあるにんじんのような風味(βカロテンの臭い)も少なく、サラダ等生食がおすすめです。
多重果房で多く実がなり、実割れもしにくく作りやすい品種です。
育てやすさ ★★★
甘さ ★★★
果重10〜15g、糖度8〜10度でオレンジがかったイエローのミニトマトです。サントリー本気野菜とカインズがコラボした品種で、味が濃く、皮が厚めで食べごたえがあります。
育てやすさ ★★★
甘さ ★★★
果重20~25gと平均的なミニトマトより大きめで、糖度は7〜9度。青紫色の天然色素のアントシアニンを含むため、赤紫(バイオレット)色の珍しいミニトマトです。
トスカーナにあるブドウ畑をイメージして「トスカーナバイオレット」と名付けられていて、食感もぶどうのようなやわらかさと酸味が特徴です。赤紫色で完熟の判断が難しいとおもわれがちですが、ヘタの周りが緑色から赤紫色になったら食べごろですよ。
育てやすさ ★★
甘さ ★★
果重15〜20g、糖度8〜10程度の緑色のミニトマトです。イタリアのサリーナ島をイメージした緑色の縦長の品種。一見すると甘くなさそうですが、糖度は8~10程度と酸味よりも甘さが強いのが特徴です。
完熟したタイミングが難しく割れてしまう事が多く早くとりすぎると固く酸味が強いです。
昨年から実を指で押してみて柔らかくなったところで採るようにした結果収量が上がりました。実の下〜真ん中あたりまでの半分が緑から黄緑色に変化したタイミングが完熟の合図です。
他のミニトマトと組み合わせて食卓に出したりパックに詰めるとカラーバリエーションが豊富になって見た目でも楽しめますよ。
育てやすさ ★★
甘さ ★★★
果重15~20g、糖度9~10度で「ロゼ」と名前にあるようにピンク色のミニトマトです。珍しい品種で、スーパーなどではほとんど見かけません。
酸味もあり、甘さも強いのでバランスのいい品種です。
2022年に育てた際に、置いた場所が悪く、日照時間が短いのか他の種類から比べると各果房の数量が少なくなってしまいました。そのため、今年は日差しを遮る植木を低くなるよう強剪定しました。
育てやすさ ★★
甘さ ★★★
果重20g位、糖度は8~10程度、甘さも、酸味もどちらも感じられてフルーツ感覚でぱくぱく食べすすめられるミニトマトです。表面はつるっとしていて、果実の割れも少なく、数多く収穫できる品種です。育てやすいので初心者にもおすすめです。
育てやすさ ★★★
甘さ ★★
果重15~20g、糖度は8~10程度の黄系ミニトマトです。イエローミニトマトは、赤いミニトマトよりも酸味が柔らかいので、フルーツのような甘みが特徴です。
プランター向けの品種で、収穫数も多いので初心者にも育てやすい品種ですよ。
育てやすさ ★★★
甘さ ★★★
果重20g前後で大きめのミニトマト。糖度は9〜10程度で、甘さと酸味のバランスの良い品種です。1株でも収穫数が多く、病気にも強いため初心者におすすめです。下で紹介するきら〜ずと姉妹品種です。
育てやすさ ★★★
甘さ ★★
果重20g前後、糖度は9~10程度で皮が薄いイエローミニトマトです。イエローミニトマトなので酸味が少なく、甘いのが特徴として挙げられます。
ピンキーと同様に皮が薄いですが、実割れがしづらいのがおすすめポイントです。また収穫量も多く、プランター栽培もしやすいので家庭菜園でおすすめの品種です。
育てやすさ ★★★
甘さ ★★★
果重18~25g、年間を通してスーパーなどでもよく見かけるミニトマトで、家庭菜園でも人気の品種です。縦長の形が特徴的で、果肉が厚く、中のゼリーは少なめでしっかりめの食感です。また、収穫数も多く、病気にも強いため初心者にもおすすめです。
育てやすさ ★★★
甘さ ★★
果重18~25g、糖度7~8度の黄系ミニトマトです。レッドアイコと同様、病気に強くて、果実の割れも少なく、数多く収穫できる品種です。房取り(房がついたままの状態で収穫すること)もできます。
育てやすさ ★★★
甘さ ★★
果重は15〜20g、糖度は8〜10度の赤系でツヤのある果色のミニトマトです。花穂整形(開花期の花穂から不要な副穂や支梗を取り除くこと)や摘粒(実を間引きする作業)が必要ないので、初心者にも作りやすい品種です。
育てやすさ ★★★
甘さ ★★★
果重は15〜20g、糖度は6〜8度のきれいな丸型のミニトマトです。一般的な品種と比較して抗酸化作用をもつ「リコピン」を2倍多く含みます。
「疫病に強い! 丈夫で多収!」のキャッチコピー通り、葉カビ病などの疫病への耐病性があってプランター栽培にもおすすめな品種です。
育てやすさ ★★★
甘さ ★★★
ここまで15種を紹介しましたが、ミニトマトは、ベランダの限られたスペースでプランターを使って手軽に栽培が始められるので家庭菜園デビューにぴったりな野菜です。
品種が多く、どれにするか迷ってしまう場合は複数品種試してみるのもおすすめですよ。
もちろん、我が家のように70鉢となると大変ですが、ご自宅のスペースや家族と相談しながら選んでみてくださいね。
ミニトマトの品種も様々、ということも知っていただいた上で、プランター栽培について、よく質問される内容がありますので、回答させていただきます。
プランターで育てる場合、一般的には1株から100個以上のミニトマトが収穫できると言われます。比較的育てやすく多作なのがミニトマトの大きな魅力ですね。
まずはミニトマトを健康な状態で生育させるために、日当たりのよい場所にプランターを置くこと、脇芽をしっかりと摘み取って栄養分が行き渡るようにすること、「トマトトーン」など成長を促進する薬剤をうまく活用することが大切です。
それでもなかなか実がつかない場合は、最初の花が咲いた時点で指で軽く弾いて花粉を飛ばしたり、綿棒で軽く擦ったりして人工的に受粉させる方法を試してみてもよいでしょう。
しっかりと寒さ対策を行えば、プランターで栽培しているミニトマトに越冬させることができます。プランターを暖かい室内に移動するか、難しい場合はビニールハウスを立てたり土の上に藁や落ち葉をかぶせたりと、寒さが伝わりづらいように工夫してみてください。
今年もミニトマト栽培に勤しむための準備があるのでこのへんで筆を置かせてください。
新たに家庭菜園に挑戦したい方、挑戦したいけれど、「野菜の種類が多くて何から始めるべきか分からない」「初めての家庭菜園で野菜を枯らしてしまった」そんなお悩みの皆さん。
ぜひわたしの失敗も参考にしながら、ミニトマト栽培の奥深い世界へ一歩踏み出してみてください。
※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。