水筒や製氷機って実は超汚い! ズボラ主婦感動のプロ仕様クリーナー
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こんにちは、アイドル大好き・イケメン大好きライターのトノです。
突然ですが、こちらの写真は一体なんだと思いますか?
「さ、魚? にしては少し不気味な見た目......」
「捌かれているから、お刺し身......いや、お造り......?」
「これ、は、食べられるの......?」
といった反応が目に浮かびますが、ワラスボという魚の「姿造り」なんです。
これって最終的に食べたのかな......などなど気になることしかないのですが、実際にこのお造りを世に生み出したアーティストのおかむさんに突撃してみたら、とにかくギャップに驚かされっぱなし。
おかむさん、想像の50倍はイケメンでした。
おかむさん
はい?
トノ
イ、イケメンですね!!!!!!
おかむさん
え? あ、ありがとうございます(笑)
メンダコのTシャツを着て微笑むイケメンおかむさん
トノ
いや、もう、冒頭から本当にごめんなさい。お会いした瞬間の第一印象が強すぎて我慢できませんでした。それはそうと、おかむさん、本日はよろしくお願いします。姿造りについて、色々と教えてください。
おかむさん
静岡県にある魚屋で副店長をしているおかむです。よろしくお願いします。早速ですが、1つ言わせてください。
トノ
え、あ、はい! 冒頭では大変失礼しました! ゴメンナサイ!
おかむさん
いえ、そこではなく、さきほどトノさんが言っていた「姿造り」と僕が表現している「姿創り」は違います。「姿創り」は、一般的に知られている「姿造り」に、美しさ・芸術性が加わったもののことを指します。と、言っても僕が勝手に名付けたんですけど(笑)
トノ
大変失礼しました...... 今から「姿創り」と呼ばせていただきます! その「姿創り」はどんなキッカケで始めたんですか?
おかむさん
キッカケはSNSです。お店で働いているアルバイトの男の子に言われた一言にイラッとしたことでInstagramを始めました。
トノ
イラッと!? アルバイトの男の子からは一体なにを言われたんですか?
おかむさん
「僕、Instagramのフォロワー1000人いるんですよ。すごくないですか? 」って、軽くマウントを取られました(笑)
トノ
悔しかったんですね。
おかむさん
はい、ものすごく(笑)。そこから、魚を捌いて花の形に盛り付けた写真を投稿し始めると反響を呼んで、9ヶ月ほどでフォロワーが1万人ほどになりました。
実際におかむさんが造られた花造り
おかむさん
気付いたら、それまでどっぷりはまっていたSNSのオンラインゲームを卒業するくらい没頭していました。この2年間でここまで変わるとは思いもよらなかったです。
トノ
ゲームを卒業するくらい魅力的とは......現在は魚屋に勤務しながら投稿されているとのことでしたが、そもそもおかむさんはなぜ魚屋さんになろうと思ったのですか?
おかむさん
たまたま家の近くのスーパーでバイトを募集していたのがキッカケです。そのアルバイトが楽しくて、そのまま就職先を魚屋にすると決めました。高校生ながら実際に包丁を持たせてもらえたんです。高校の家庭科の調理実習でも姿造りをやったなあ......
トノ
高校の家庭科でも姿造り!?
おかむさん
もちろん、なんちゃって姿造りですけどね(笑)調理実習で各班自由に作っていいという時に、朝からお店に行って鯛を調達。鯛をそのまま鞄に入れて通学しました。
トノ
鞄に鯛を入れて通学する高校生がツボでした(笑)
高校生時代の自分を思い出し、はにかむおかむさん
トノ
「姿創り」自体はどんなタイミングで始められたんですか?
おかむさん
フォロワーが伸びるにつれて、市場の仲卸さんから「僕が仕立てた魚で姿造りをしないか」と声をかけていただくようになりました。触ったことのない魚を買える機会となり、これを機に「姿創り」を始めました。
トノ
ご自身の魚屋さんだけでなく、別のところから魚を仕入れられると、魚の種類の幅も広がりますね。
おかむさん
勤めている魚屋は関東や関西の店舗を持っていますが、扱う魚の種類は限られています。タイ、ブリ、カンパチなど主要な魚がほとんどで、マニアックな魚になってくると買うことが難しいんです。
これまで数百種類の魚を捌かれてきたおかむさんに、中でも印象に残っている魚について伺ってみました。
ワラスボの姿創り
おかむさん
インパクトがあって反響もあったのはワラスボです。これにはアンチコメントもありましたが、それも含めてたくさんのリアクションをいただきました。Instagramでアンケートを取ったこともあるのですが、やっぱりワラスボがダントツ人気でした。
トノ
ポイントとしてはやはりこの見た目ですか?
おかむさん
そうですね。魚っぽくないしグロテスクだし、それを姿創りにするという発想がそもそもイカれているんだと思います。味はそんなに美味しくなかったんですけどね(笑)
トノ
ワラスボの味は怖いもの見たさで気になります......
タチウオの姿創り
おかむさん
僕が1番好きなのはタチウオ。1番得意で、造っていて自分も楽しいと思う魚です。今まで8回ほどInstagramにも投稿していますが、毎回表現が変わってきている感じがします。
タチウオの姿創り変遷
トノ
おおお! 全然違いますね! どんどん高さが出て立体的になっている感じがします。同じ魚でも、造り方が違えば見え方が異なると別物になりますね。
オオカミウオVSタチウオ
おかむさん
常にどう盛り付けたらかっこいいのかを考えてやっています。そうすると、自然と高さが出てきたり、花造りの配置が換わったり......同じ魚でもかなり印象も変わります。
シマアジの姿創り
マアジの姿創り
おかむさん
アジは、皮目と銀皮、血合いの鮮やかさが姿造り映えする魚です。多くの人が最初に使う魚ですが、個人のセンスによって変わるので、造り方はそれぞれ違います。姿造りは8割がその人のセンスだと思っています。
トノ
アジは入り口でやる魚というお話がありましたが、初めて魚を捌く際にもオススメということですか?
おかむさん
むしろアジしかオススメしないですね。アジ1匹できれば、あとは何でもできるようになると思います。
もはや芸術作品とも言える「姿創り」の数々。“美しい魚を見る場所=水族館”なんて思っていましたが、またそれとは変わった形で美しい魚に出会える場所を見つけました。
アカイサキの姿創り
さて、これまではそもそも「姿創り」が何なのかを中心にお話してきましたが、実際どのように造られているのか。魚選びのポイントから造り方、実際にこれから魚を捌いてみようと考えている方向けのアドバイスまで伺いました。
トノ
まず魚選びから始まると思うんですが、選ぶ際のポイントはありますか?
おかむさん
基本的には“触ったことがない魚種”という軸で選んでいます。あと、僕が買っている魚の中には「津本式究極の血抜き」という方法で仕立てられた魚が多くあります。血抜きをすることで魚を長持ちさせることができ、魚の状態にもよりますが1〜2週間は平気でもちます。
トノ
1〜2週間......! そんなにもつとは思っていなかったです。
「津本式」シマホッケの姿創り
おかむさん
もちろん血抜きだけでなく、内蔵処理や温度管理など、水分と空気から遠ざけた環境で寝かせることが大事です。津本式や熟成魚は僕もInstagramを始めて知ったことなのですが、自分の好きなタイミングで造れるのがありがたいですね。
おかむさん
鮮度でいうと、魚が生きている状態の場合、お刺し身は締めて2〜3日目くらいが食べ頃というんですけど、熟成魚の場合は、寝かせることで旨味成分が増加し、また違った味わいや食感が楽しめるんです。
血抜きがしっかりとされ、脂が輝くシマホッケの身
トノ
熟成ならではの美味しさが味わえるのはいいですね。これまで触ったことのない魚を捌くにあたって、そういった知識や事前情報はどのように得られているんですか?
おかむさん
まずはインターネット検索ですね。あとは、『WEB魚図鑑』『市場魚貝類図鑑 ぼうずコンニャク』などを見て、毒の有無などを把握してから行うようにしています。
トノ
こんなありがたいサイトがあるんですね〜
おかむさん
魚の名前で検索すると、この2つのサイトは必ずと言っていいほど出てきます。希少性や味の評価なども載っているので参考にしています。まずは、触る前に予備知識を入れてから取り掛かるようにしていますね。
トノ
色んな切り方や技法、盛り付け方などの情報収集はどうされているんですか?
おかむさん
姿創りは個人のセンスでやっています。人によっては、蓋に切り込みを入れて頭を立てたり、顔を見せるように横にして見せる、など様々です。
ジェスチャーを交えて説明するおかむさん
おかむさん
僕が特に意識しているのは躍動感です。また、盛り付けについては、魚を1匹ではなく半分だけ捌いて、もう半分は骨に身がついた状態で盛り付けています。魚は身体の表面に特徴がある場合も多く、捌いて皮を引くとその魚種と判別できなくなるので、意図的に皮はそのままにして盛り付けています。
2種の花造りから成るタチウオの姿創り
トノ
半身と言っても結構時間がかかりそうですが、1回あたりどれくらい時間がかかるものなのですか?
おかむさん
盛り付けるところからだと大体2〜30分ほど。1つのお皿に何種類もの魚を盛りつけるとなると1時間を超えることもありますが、1匹の魚を1つのお皿に盛る場合はそんなにかからないです。あと、僕の場合は花などの飾りも簡単なものにしているので、それもあるかもしれません。人によっては飾りにすごい時間をかけたりするので......
トノ
はやい! それだったら仕事終わりのスキマ時間にできそうですね。ちなみに、これまでの姿創りの品々はすべて食べられているのですか?
おかむさん
もちろん食べています。先程毒のお話もしましたが、相当な種類を食べてきていますがいまのところ無傷です(笑)自分で食べるだけでなく、仕事では絶対に扱うことのない魚なので、僕以外の人にも味わってもらいたいなと思っていて、次の日にお店で働いている仲間にも食べてもらうこともあります。
ダツの姿創り
トノ
次に、包丁など道具面のこだわりをお聞きしたいのですが、どんなポイントを大事にされていますか?
おかむさん
元々は包丁にこだわりがなくて、会社支給のものを使っていました。Instagramを通じて「津本式」を初めて知って、その考案者である津本氏と老舗包丁メーカーの「堺孝行(青木刃物)」さんががコラボして製作した包丁と出会いました。切っ先が長くて、小回りがきく。さらに錆びにくく、メンテナンスが楽です。今では仕事でも使っています。
おかむさんが実際に利用されている包丁「津本式」×「堺孝行」シリーズ
おかむさん
魚を捌く包丁は、なるべく切っ先が長く鋭い包丁の方が中骨を捉えやすいです。魚の骨の構造はどの魚もそんなに変わらず、骨に沿って包丁を入れて捌いていきます。この「津本式包丁」は、今まで使った包丁の中で1番鋭い切っ先をしているため、中骨を捉えやすくて綺麗に捌くことができて気に入っています。
トノ
切っ先が長く鋭い包丁がオススメということですね。まずは包丁を入手してアジを捌いてみようと思います! ちなみに、初心者なのでなかなか最初からプロが使うようなものは使いこなせる自信がないので、カインズで売っている魚の3枚おろしに使えるような包丁だとどうですか......?
おかむさん
「魚を捌く=出刃包丁」というイメージがありますが、個人的には牛刀がオススメです。というか好きです!
薄刃な事と、汎用性の高さから、僕は魚屋で働き始めてからずっと牛刀を愛用しています。
トノ
魚には出刃包丁を使うものだと思い込んでいたので新発見でした! 捌き方を勉強するためのオススメのサイトや方法はありますか?
おかむさん
僕は会社で教わった人間なのですが、今はWeb上でいくらでも情報を集められる時代なので、捌き方に関してはすぐ勉強ができると思います。
トノ
メモメモ......事前に情報をしっかり調べ、こだわって捌いていたら失敗したこともあまりなさそうですね。
おかむさん
自分の買った魚を好きなように盛り付けて写真を撮るだけなので、投稿する上での失敗はそんなにないですね。強いていうなら、毒のある魚やリスクのある魚の注意喚起が足りないと気がついて、後で投稿を編集するなどはありました。
ゴテンアナゴと内臓に毒があるソウシハギの姿創り
おかむさん
魚によっては、内蔵や表面の粘膜、寄生虫など気をつけないといけない部分もあり、自己責任になるような魚も扱っています。
トノ
そういう魚もいますもんね。私も魚を捌く時には、きちんと事前に情報を調べるようにします。
ヨシキリザメの姿創り
今や自身のInstagramでは、3万人近いフォロワー数を持つおかむさん。SNSを通じて感じた新たな繋がりや気付きについて伺いました。
トノ
Instagramを通じて感じた人との繋がりや影響はありますか?
おかむさん
自分は今百貨店のテナントとして入っているお店で副店長をやっているのですが、他テナントの従業員の方もおかむとして認知してくれています。あとは、海外の方も見てくれています。海外だと、アメリカ、ブラジル、韓国あたりが多いです。
トノ
すっかりグローバルで有名人ですね(笑)他にはどうですか?
おかむさん
漁師さんと直接繋がることができたのは、本職では経験できないことだったのでとても刺激になりました。また、愛知県の市場に行った時に、大阪の魚屋さんや一般の方が何人か来てくれて、直接お話できる機会もありました。
トノ
Instagramだとタグ付けという形で、他の方が“実際にやってみた”投稿をされていたのも拝見しています。そういった読者との繋がりもSNS上で生まれているなと感じています。
おかむさん
主婦の方から実際にやってみました! という連絡もいただくなど、皆さん興味を持ってくださっているようです。
2021年4月にフォロワー1万人記念で投稿されていた画像
おかむさん
あと、花造りをInstagram上で流行らせたのは僕だと思っています。当時は「#花造り」というハッシュタグも数十件しかなかったんですけど、今は2000件以上投稿されていています。一般の方だけでなく同じ魚屋さんの人も僕の投稿を見たことがきっかけで花造りを撮って投稿しはじめたそうで、「やりがいを感じています」と嬉しい言葉をいただきました。
トノ
同業種の方だけでなく、色々な繋がりがあることを感じました。
おかむさん
その他にも未利用魚との出会いもありました。未利用魚は、商品価値のない大きさが小さかったり、数がまとまって漁れなかったりして値段がつかず、そのまま廃棄されてしまうような魚たちのことを指します。
未利用魚の姿創り
おかむさん
人間の都合で値段がつかない・捨てられるという魚でも、人によっては需要がありますし、お刺し身で食べられる鮮度もあります。未利用魚について投稿したところ、「私も買ってみます」と実際に買ってくださった方もいますし、そういうところから生産の時点で始まっているフードロスをいい方に変えるようなキッカケになればいいなと思いました。
おかむさん
未利用魚は普段仕事では関わりのない魚なので、そういう問題もInstagramを通して考えることができたのは収穫ですね。
残った片身はお鍋にして召し上がったのだそう
おかむさん
あと、Instagramを通じて生産者の方の顔を見て、その人が触った魚や、血抜きをして仕立てた魚が僕の手元に届くので、モノとしてというよりもヒト同士が繋がって僕の元に届くというドラマに感動しました。いろんな人たちの想いが繋がって僕の元へ来たので、それに応えなきゃという気持ちで緊張感を持って毎日造っています。
おかむさん
基本的にその種類は1匹しか買っていないので失敗もできないんです。そういう緊張感は心地がいいですね。
トノ
モノだけではなくヒトを含めて姿創りをされている点は、Instagramを通じて様々な繋がりが増えたからこそ実現できたことなのかなと感じました。珍しい魚になればなるほど数も限られるので、やはり失敗できないですよね......そういったドキドキ感を持ちつつ、創られているのだと改めて感じました。
トノ
Instagramのプロフィールに書かれている通り、今後も『姿創り図鑑』を遺すべく沢山魚を造り更新されていかれると思いますが、今後の目標や取り組んでいきたいことはありますか?
おかむさん
正直活動の幅を広げるかどうかは全く分からないです。フォロワーの方からYoutubeチャンネルを聞かれることもありますが、現状やろうとは思っていないです。
おかむさん
今は400種を超えましたが、これからも図鑑の数をどんどん増やしてInstagramのフィードに残していきたいです。これから魚屋になりたい人が僕の「姿創り」を見て参考にしてくれるのが1番嬉しいです。
おかむさん
姿造りというのは魚屋の1つの技術。その教科書というのはおこがましいかもしれないですが、後輩たちに遺していくのもモチベーションになっています。今後は更に表現力を高めて、もっと上手くなりたいと思っています。水産業界に爪痕を残していきたいですね。
トノ
魚への愛、そしてそのルーツがどこにあるのか最後に聞けて良かったです。ありがとうございました。
タテジマキンチャクダイの姿創り
正直突撃当初はおかむさんのイケメンっぷりに驚いていましたが、話を聞けば聞くほど「姿創り」の魅力、奥深さ......そして何よりおかむさんの魚に対する熱い想いにこちらも胸が熱くなりました。イケメンキッカケだっていいじゃない、是非皆さんこの魚の世界を覗いてみませんか?
トノ
あの、おかむさん。