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目次/ INDEX
冬は、多くの植物が休眠期に入り、植物に寄生する害虫も少なくなる季節です。ところが、油断すると大量発生してしまう厄介な害虫も潜んでいます。
今回は、冬に発生しやすい害虫に注目し、その種類から予防・対策方法、駆除の方法までを解説します。
ハダニは、植物に寄生するダニの仲間です。さまざまな種類のハダニがいますが、成虫でも体長0.3mm~0.5mmと非常に小さく、発見するには注意深い観察が必要です。
葉に白色や褐色の斑点が出てきたらハダニの疑いがあります。葉を軽くたたくと葉裏のハダニが落ちてきますので、葉の下に白い紙などを敷いて葉をたたいてみてください。もぞもぞ動く小さな虫がいればハダニです。大量発生して被害が大きくなる前に、早期発見しましょう。
ハダニは、観葉植物に寄生する典型的な害虫です。高温乾燥を好むため、冬場の屋外ではあまり見かけませんが、暖房のきいた室内の観葉植物にとっては冬でも手ごわい敵となります。
カイガラムシも、植物に寄生して吸汁する害虫の一種です。その名のとおり、貝殻のような殻をかぶったカイガラムシ、体の表面に粉のような物質を付着させているコナカイガラムシ、ろう状の物質で体表が覆われているロウムシなど、見た目も大きさもさまざまな種類のカイガラムシがいます。
庭木から草花、果樹、サボテンに至るまで、さまざまな植物に寄生し、被害をもたらします。冬場は幼虫として越冬したり、活動を休んで休眠したりする種類もいますが、ほとんど一年中発生しているタフな害虫です。
コナジラミは、成虫の体長が2~3mmほどのセミを小さくしたような形の白い虫です。オンシツコナジラミ、ミカンコナジラミ、ツツジコナジラミなど、多くの種類があり、中には淡緑色や黒色のものもいます。
草花、野菜、果樹など、多くの植物に寄生し、主に葉の裏に群生しています。卵から幼虫、さなぎ、成虫へのサイクルが2~4週間と短く、大量発生しやすい害虫です。
ハダニは、寄生する植物の汁を吸って吸汁被害を発生させます。ハダニが植物の表面に口針を刺して吸汁すると、その跡が白色や褐色の斑点として残ります。
葉の被害が拡大すると、葉が全体的に白っぽく色が抜けたようになり、光合成できずに落葉したり枯れたりしてしまいます。また、花が被害を受けると、花弁の色づきが悪化したり、開花期間が短くなったりします。
カイガラムシは、植物の葉や花、茎、根などに寄生して吸汁します。吸汁被害が進行すると、美観を損ねるだけでなく、生育を阻害したり枯れさせたりしまうため注意が必要です。
また、カイガラムシの排せつ物は、すす病を誘発したり、枝や幹にべったりとカビを生やすこうやく病の原因になったりします。
コナジラミは、カイガラムシ同様、植物の汁を吸って葉や果実の色をまだらにしてしまう吸汁被害に加えて、排せつ物がすす病の原因になったりウイルス病を媒介したりと、二次被害をもたらします。
なお、名称に「シラミ」と入っていますが、人や動物に寄生するものではありません。どちらかというとアブラムシやカイガラムシに近い昆虫で、植物に寄生して被害を発生させる害虫です。
冬の害虫といっても、必ずしも寒さを好むわけではありません。むしろ、温暖な環境下で活動が活発になる種類が多くいます。植物が元気に育つ気温は、害虫にとっても快適な環境なのです。
ですから、冬の害虫が寄生しやすい植物は、冬場でも温暖な室内で育てる観葉植物や、ビニールハウスで栽培している野菜など。冬場の室内、ビニールハウス内の害虫発生には要注意です。
冬の害虫は、乾燥を好むものが多いです。特に、ハダニは高温乾燥を好みます。エアコンで乾燥した暖かい室内は、ハダニにとってまさに天国。放っておくと大量発生する可能性の高い環境です。
冬の害虫に限ったことではありませんが、植物に寄生する害虫は、風通しの悪い場所を好みます。
葉が茂っていると、風通しが阻害されて害虫が発生しやすいです。まして、冬場の室内やビニールハウスは、温度を保つために締め切っていることがほとんど。空気の流れが滞りやすいので、害虫たちにとって快適この上ない環境といえるでしょう。
冬の害虫対策の第一歩は、冬の害虫にとってなるべく居心地の悪い環境をつくることです。ただし、「冬の害虫が暖かい場所を好むから」と、植物を寒い場所に置いてしまっては、害虫と一緒に植物も傷んでしまいます。適温を確保することを前提に、湿度や肥料で対策しましょう。
すでに紹介したとおり、冬の害虫は乾燥した環境や風通しの悪い場所を好みます。ハダニが寄生しやすい室内の観葉植物は、定期的に葉の表裏のホコリをふき取り、霧吹きでしめらせるとよいでしょう。
ハダニは、肥料ぎれした植物にもつきやすい害虫です。肥料のやりすぎは禁物ですが、植物の生育状況をみながら適切な施肥管理を怠らないよう気をつけましょう。また、混みあった枝や茂った葉をこまめに剪定することで、植物の風通しを良くしておくことも大切です。
冬の害虫は、寒さを逃れるために暖かい室内やビニールハウス内で冬越しをしようとします。そこで、冬の害虫の侵入を防ぐ対策が有効です。
まず、温室などの周囲に生えている雑草の除草や落ち葉の処理を徹底すること。雑草や落ち葉は害虫の住み処になりやすいので、予め除去してなるべく害虫を寄せ付けないようにしましょう。
収穫した後の作物の残渣や花がらも、害虫が潜みやすい場所です。特に、被害を受けた作物や雑草は、成虫の姿は見えなくても卵がついている可能性が高いので、しっかり除去しておきます。
冬の害虫を駆除するには殺虫剤が効果的ですが、室内で使うには抵抗があるかもしれません。室内の植物についた害虫には、まず水洗いによる駆除を試してみましょう。霧吹きで葉に水を吹きかけて洗うと乾燥防止にもなり、一石二鳥です。
水洗いしてもすぐにまた害虫が発生する場合は、中性洗剤の出番です。中性洗剤を薄めたものを布にしみ込ませて葉の両面に塗り、その後水洗いすると、より高い駆除効果を発揮します。
水や中性洗剤で駆除しきれない場合は、殺虫剤を使いましょう。ただし、害虫や植物の生育段階や種類によって、使用すべき薬剤が異なります。説明書をよく読んで、適切な薬剤を選びましょう。
ハダニには、バロックフロアブルなどのハダニ専用殺虫剤が有効です。また、食用のデンプンを利用した、化学殺虫成分を含まない薬剤もあります。植物の用途に合わせて使い分けるとよいでしょう。
コナジラミについては、成虫の発生の初期段階にベニカJスプレーなどの殺虫剤を散布する駆除方法のほか、卵や幼虫の駆除を目的に、株元にオルトラン粒剤を散布して成虫の発生を抑える駆除方法もあります。ビニールハウスや温室内では、黄色の粘着テープで捕獲する方法も有効です。
カイガラムシを殺虫剤で駆除するには、体表が殻などで覆われる前の幼虫を狙います。幼虫が現れる5~7月頃に、オルトラン水和剤やアクテリック乳剤を使って駆除しておきましょう。
冬場になると成虫へと育ってしまっているので、殻をもつ種類のカイガラムシにはこれら薬剤の効き目は期待できません。散布時期を逃さないようにしましょう。
今回は、冬場の害虫の種類と防除方法について解説してきました。
冬場は、比較的虫の発生が少なく、害虫対策しやすい季節かもしれません。一方で、油断していると「いつの間にか害虫が大量発生して植物が枯れてしまった!」なんてことも。
異変があれば、害虫によるものか、病気など他の原因によるものなのかを見極めたうえで、いち早く対処しましょう。