意外と簡単。ホコリとカビまみれの浴室乾燥機を自分で掃除してみた
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植物の幹や枝などに、貝殻のような殻をかぶったり、ロウ状や粉状のものでおおわれたりした、動かない虫がいる。葉や茎が白くなっている――。あなたが大切に育てている花や観葉植物、樹木が、こんな被害に遭っていたりはしませんか?
もしかしたらそれは、カイガラムシが原因かもしれません。この記事では、ガーデニングの敵であるカイガラムシをきれいサッパリ駆除する方法と、奴らを寄せつけない予防策を詳しく解説します。
カイガラムシはカメムシの仲間
カイガラムシは、ほとんどの庭木、果樹、観葉植物、洋ラン、サボテンなどに1年中発生する害虫で、カメムシの仲間です。体長はおおよそ2~10mmほどと小さく、葉や茎に針のように細くなった口をさして植物の汁を吸います。
カイガラムシという名前が付いている種類だけでも日本に400種類以上が存在し、大きさや形はさまざまです。たとえば「カタカイガラムシ」科は、成熟すると体皮が硬くなる種が多いのが特徴で、逆に「コナカイガラムシ」科は綿毛のような粉状の物質をまとっている種が多いです。あえて大別すると、成虫になったときに足が退化して葉や枝についたままになる種類と、成虫になっても歩き回る種類に分けられます。
産卵・孵化は5月~7月頃が一般的です。晩春から初夏にかけて繁殖しはじめ、9月頃には成虫になるものが比較的多いです。したがって、繁殖を防ぐなら春から夏までの間が勝負です。
すす病や、こうやく病に注意
カイガラムシが植物の汁を吸うことで生育が悪くなり、新葉が出なくなったり、枝が枯れてしまったりするのが一番の被害です。また、不快害虫の一つで見た目が良いとはいえず、植物の美観を損ねるのも頭が痛いところでしょう。
カイガラムシの排泄物には糖分が多量に含まれており、これが原因で発生する「すす病」(=植物が黒いカビで覆われる病気)という二次被害も厄介です。すす病になると葉が黒くなり、見た目をさらに損ねるだけでなく、植物にとって欠かせない光合成が妨げられてしまいます。
ほかの二次被害としては、カイガラムシが付着することで、枝などに薄い敷物のようなカビが生える「こうやく病」(=菌が薄皮のように張り付く病気)にかかる点です。また、カイガラムシの排泄物に含まれる糖分を得るために、アリやその他の昆虫が寄ってくる場合もあります。
放っておくとすぐに増えてしまうとても厄介な害虫です。
カイガラムシは風に運ばれてきたり、人間の衣服について移動したりすることで、さまざまな植物に発生してしまいます。風に運ばれてくる場合、風に乗ったカイガラムシがそのまま外の植物に付着することはよくあります。また、部屋の窓を開けて換気しているときに室内に侵入し、観葉植物に寄生するケースも珍しくありません。
カイガラムシは暖かくなる5~7月に盛んに増える種類が多く、冬の寒い時期になると休眠しますが、温かい室内では活動を続けることがあります。幼虫は1mmよりも小さいものが多く、目視で見つけて駆除するには少々厄介な相手です。
基本的には風通しが悪くほこりっぽい場所や、暗くて狭い環境を好みます。したがって、室内の片隅に放置気味の植物がある場合は要注意です。気がつくと大量のカイガラムシが発生しているかもしれません。なかにはメスだけで卵を産んで増える種類もいるため、油断するとあっという間に増えてしまう恐れがあります。
以上から、カイガラムシは、
という強敵です。
カイガラムシによって植物が病気になることを防ぐためにも、早い段階でしっかりと駆除しておくことが重要です。カイガラムシの駆除方法は、卵、成虫と幼虫で方法が異なりますので、それぞれを分けて解説します。
カイガラムシの卵と疑われる異物を見つけたら、すぐに切り取るか、ハケなどで払うのが理想ですが、目視で見つけるのはなかなか難しいかもしれません。したがって、確実に駆除するなら幼虫になった段階でやっつけるのが確実です。
ちなみに、カイガラムシの種類によって卵の形状が異なります。例えばカタカイガラムシ科は、成虫の体内で発育してから孵化する種類がいます。一方でコナカイガラムシ科は、綿のような卵のうを分泌し、その中に小さな卵を産みつける種が多いです。
幼虫の段階で駆除してしまうのが最も理想で現実的です。次の道具を用意します。
殺虫剤で駆除する場合は、カイガラムシの幼虫が卵からかえったばかりの時期に薬をまくと効果的です。つまりカイガラムシの活動が活発になる5~7月頃、殺虫剤を月に2~3回ほど丁寧にまいて駆除しましょう。
スプレー式の殺虫剤はすぐに使えて便利。含まれている油で呼吸器を覆い、窒息死させるタイプです。下のカダンKは庭木専用なので、ほかの植物には使えません。
また、カイガラムシの脱皮を妨げる成分で、成虫になるのを抑えることで退治するタイプの脱皮阻害剤も駆除に役立つでしょう。成虫に対しても、産む卵の数を抑えたり、かえらない卵を産ませたりする作用があります。
薬剤を使用する場合は、その薬剤の使用条件が合っていることを、ラベルなどで必ず確認してから駆除にあたりましょう。また、同じ薬剤を続けて使っていると、薬剤が効かなかったり聞きにくかったりする個体が増えることがあるので、複数の薬剤をローテーションで使うのがおすすめです。
カイガラムシの成虫は硬い殻を被っていたり、ロウ状の物質で覆われていたりするため、薬剤が効きにくいのが特徴です。したがって、卵や幼虫と比べると駆除の難易度が上がります。
といってもやることはシンプルで、こする、落とす、剪定するなどの物理攻撃を仕掛けることになります。次のものを用意しましょう。
カイガラムシの成虫が発生してしまったら、植物を傷つけないように、歯ブラシなどを使って植物からこすり落として駆除しましょう。歯ブラシは固いものを使用すると効果的。葉と葉の間に入り込んでいるものもいるので、見つけたら竹串などで歯を傷つけないようにひっかき出しましょう。
カイガラムシは成虫か幼虫かによって駆除方法が変わったり、駆除自体にも多大なエネルギーがかかってしまう厄介な害虫です。できるだけ事前に発生を防止できるよう、予防と対策をまとめておきます。
どんなに注意を払っても発生することはあるので、幼虫や成虫を見つけても反省する必要はありません。大切なのは、それ以上繁殖させないことです。
カイガラムシの発生に頭を悩ます方々からよく頂く質問をQ&Aとしてまとめました。すでにご紹介した内容も一部含みますが、知識のおさらいとしてお役立てください。
A. また枝に張り付いて復活する可能性があるため、ビニール袋に入れて捨てることをおすすめします。なお、駆除の際にカイガラムシが衣服に付着することもあるので、駆除するときはウインドブレーカーなどナイロン系の服を着て作業しましょう。
A. カイガラムシが及ぼす被害でも触れたとおり、カイガラムシの排泄物にはたくさんの糖類が含まれていて、アリが好んで寄ってきます。もしかしたら、まだどこかにカイガラムシがいるのかもしれません。アリの進路を確認して、本当に駆除しきったのか確認しましょう。
A. 身近なものであれば、牛乳を使った駆除がおすすめです。牛乳をスプレーボトルに入れてカイガラムシに向かって吹くと膜を作り、その後、窒息します。これはアブラムシなどにも効果のある方法です。ただし牛乳の匂いがつくので、室内の植物には使わないほうがよいかもしれません。市販の薬剤でマシン油は、牛乳スプレーと同様の効果を持っています。マシン油は要は「油」なので、いわゆる「薬剤」に抵抗がある方でも使ってみるとよいかもしれません。
A. 自然農法として理想ですが、結論から言うとなかなか難しいでしょう。カイガラムシの天敵といえばテントウムシですが、捕まえてこられたとしてもうまく定着してくれるかわかりませんし、両者の組み合わせによっては捕食対象にならないからです。
たとえば「ヒメアカホシテントウ」は「クワシロカイガラムシ」や「ウメシロカイガラムシ」を好んで食べ、「ベダリヤテントウ」は「イセリヤカイガラムシ」が大好物です。カイガラムシは種類が多く、どれがどのテントウムシのエサになるのか、見極めて捕まえるのは大変なのではないでしょうか。
テキストだけだとわかりにくい方向けに、カイガラムシを駆除する手順を動画にまとめています。
以上が、カイガラムシの発生を抑えるのに有効な対策です。大切な植物に付着しているのを発見したら、ぜひ今回ご紹介した方法で根気強く駆除に取り組んでみてください。