今やるべき「火災対策」とは? 自宅でできる備え&行動を防災アドバイザーが教えます
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一見海藻のようにも見える、枝分かれした大きな葉が特徴のビカクシダ。その不思議な見た目と、大ぶりの気持ちがよいグリーンが人気で、今では園芸店だけではくインテリアショップでも多く販売されています。
お部屋に取り入れるだけでグッと印象が変わるビカクシダですが、名前の通りシダ植物なので、ほかの観葉植物などとはちょっと生態が違います。
今回は、ビカクシダの育て方や日当たり、水やりのコツなどの基本的な情報から、胞子葉などの聞きなれない言葉の説明、板付けの方法など、詳しくお伝えしていきます。
ビカクシダは熱帯に生息し、木や石に貼りつきながら生長する着生植物です。不思議な響きの名前ですが、「ビカク」は漢字では「麋角」と書き、「ヘラジカの角」を意味します。
特徴的な葉の形がシカの角に似ていることから、「麋角羊歯」と呼ばれるようになりました。また、垂れ下がった葉がコウモリの羽のように見えることから、別名「コウモリラン」とも呼ばれます。
この特徴的な葉は、種を実らせて増える植物と違って、繁殖を担当する「胞子葉」と、水分を集めて貯蔵する「貯水葉」のふたつの型があるのが特徴です。
ビカクシダは種類によって見た目や育て方が大きく変わってきます。そんなビカクシダの、代表的な種類をいくつかご紹介します。
ビフルカツムはビカクシダの中でもっとも一般的な種類で、園芸店だけでなくインテリアショップなどでも手に入りやすくなっています。
見た目はその名の通りヘラジカの角に似た大きな胞子葉と、根元をお皿のように覆い隠す貯水葉が特徴です。
丈夫で温度や明るさの変化にも強いため、初心者の方におすすめの品種です。
ビフルカツムをオランダで改良した種類がこのネザーランドです。大きな胞子葉が垂れにくくなり、また寒さにも強くなりました。
ビフルカツムと同じく園芸店やインテリアショップでの流通も多く、丈夫で育てやすく価格もお手頃なので、初めてビカクシダを育てる方にはおすすめです。
ビカクシダ リドレイは、ほかのビカクシダに比べて葉が細かく分岐しながら伸びるのが特徴です。また、リドレイはほかのビカクシダに比べて小型なので、飾る場所を選びません。
しかしほかのビカクシダと比べて気温の変化に弱かったり、貯水葉が薄く水を貯めておける量が少なかったりと、栽培難易度が高いので注意が必要です。
ビカクシダは、シダ植物特有の「胞子葉」と「貯水葉」と呼ばれるちょっと変わった葉を持っています。
裏側に胞子嚢(ほうしのう)を持つ、シダ植物特有の葉です。胞子を遠くに飛ばすため、ほかの葉に比べて縦に長く生長します。
貯水タンクの役割を持つ、水分を貯めこむための大きな葉です。断面がスポンジのようになっており、樹木に着生するビカクシダが水分を得るために重要な役割を果たしています。
このふたつの葉がどんな風に生えてきて、どんな姿の株に育つのか楽しみに見守るのがビカクシダの醍醐味です。
ビカクシダの成長点は葉の根元にあり、産毛の生えた芽のような形をしています。ここから新芽が生え、貯水葉や胞子葉に生長します。
ビカクシダが大きくなるためにとても大切な部分で、成長点を傷つけてしまうと新たな成長点が生えてくるまで時間がかかり、株全体の生育が遅れてしまうので注意が必要です。
ビカクシダは種のできないシダ植物なので、苗から育てるのが一般的です。
観葉植物として人気があるため、園芸店やホームセンターだけではなくインテリアショップで苗や株を販売しているところもあります。種類によって見た目や育てやすさが大きく変わってきますので、育てる場所を考えて自分に合った好みのものを選びましょう。
育て始めは苗が一般的ですが、ビカクシダを増やしたいときは水苔などに葉から集めた胞子をまくと1~3か月ほどで発芽します。
ビカクシダの育成適温は10~30℃です。気温が10℃より寒くなると苔に霜がおりて株が痛み、30℃を越すと葉が日光で焼けたり、水苔内の水が温まって根が傷む原因になります。
涼しく直射日光の当たらない場所であれば野外で育てることも可能ですが、今度は風で葉が折れたりと様々な手がかかります。
ビカクシダの育成に慣れてきた頃に、外でも育ててみることは新たな発見がありおすすめですが、初心者の方はまず室内で育ててみましょう。
ビカクシダを楽しむうえで欠かせないのが「板付け」です。板付けとは、ビカクシダを板に着生させ、壁に飾ることで、ビカクシダの最大の楽しみともいえます。
ここでは、初心者向けの簡単な板付けの方法をご紹介します。
• ビカクシダの苗
• ビカクシダを固定する専用穴のあいたプレート
• 水苔
• ヤシの実の繊維
• テグス
• テグスを切るカッター
まず板の上に水に浸しておいたヤシの実の繊維を置き、その上にビカクシダの苗を置きます。
ヤシの実の繊維がこぼれないように苗ごと水で戻した水苔で覆い、板に空いた穴を使ってテグスで苗全体を固定して完成です。
※この時、成長点を傷つけないように注意しましょう。
ビカクシダは日当たりのいい場所を好み、1年を通して10℃以上あれば室内でも屋外でも育てることができます。
室内で育てる場合は、夏場の直射日光を避け、なるべく明るく日当たりのいい場所で育てましょう。
また、ビカクシダは寒さに弱い植物でもあります。冬は窓際の気温が下がりますので、気温の変化の少ない場所へ移動させましょう。
ビカクシダは高温多湿を好み、寒さが苦手なため、夏と冬で水やりの方法が変わってきます。
まず、夏は2~3日に1度、水苔が乾いてきたらその都度水をあげましょう。貯水葉に水が貯えられるように、水苔だけではなく葉にも霧吹きで水をあげると効果的です。
冬は休眠期に入り、あまり水は必要としないため夏に比べて乾かし気味に育てます。常に水苔が湿った状態にしていると、寒さで株が冷えて枯れる原因になるので注意しましょう。
木に貼りついて空中で育つシダ植物のビカクシダは、土ではなく水苔で育てるのが一般的です。水苔に植えつける際は、水苔を水でよく戻してから根の土を取り除いて綺麗にし、丸めた水苔で覆います。
ビカクシダは鉢植えだけではなく、ハンギングでつるしたり、板に着けて壁に飾ったりできるのでインテリアにとても人気があります。水苔に植えた後は、好みに合わせて鉢に植えたり板に着生させたりしましょう。
肥料には、ビカクシダの葉を大きくし、色を濃くする働きがあります。また、根を強くしたり、葉の分岐をサポートする役割もあります。
肥料を施すのは、春から秋の生育期に2~3か月に1回ほど、緩効性化成肥料を水苔に挿して与えましょう。肥料をあげるときは、胞子葉と胞子葉の間に置くのが効果的です。
ビカクシダの生長に大きく関わる肥料ですが、あげすぎると肥料焼けを起こして株が痛む原因になりますので、量に注意し、肥料を根っこに近づけすぎないようにしましょう。
春から夏はビカクシダの成長期のため剪定に適した季節です。
ビカクシダの胞子葉が伸びすぎて混みあってきたり、ほかの葉の日光を遮っていたり、葉が古くなってきたときは剪定を行いましょう。
剪定を行うことで風通しがよくなりますが、光合成する面積が減ってしまうので葉の減らし過ぎには注意が必要です。
ビカクシダはよほど大きくならない限り植え替えの必要はありません。2~3年を目安に、株が大きくなりすぎたり、ほかの形に変えて楽しみたいときは、5~8月の間に植え替えを行うようにしましょう。
植え替えの手順は植え付けの時と同じで、根をほぐして新しい水苔で覆い、板付けや鉢植えに植えます。この時、胞子葉の裏にある胞子を取らないように注意しましょう。
また、植え替えの際に胞子葉の枯れ葉は取り除きますが、貯水葉は茶色く硬くなっていても枯れているわけではありません。茶色くなった貯水葉は周囲から株をガードしており、最終的には苗の肥料になりますので、とらないようにしましょう。
ビカクシダの増やし方には、「株分け」と「胞子」で増やす方法があります。
株分けは、大きくなった親株の外套葉の下の部分にできた子株を、胞子葉が三枚ほどついた状態で切り取ります。
この切り取った子株を板や鉢に植え付け、一か月ほど明るい場所に置いておくとここからまた荒らしい株が育っていきます。
ビカクシダの胞子での増やし方は、胞子葉についた胞子をスプーンなどですくい取り、湿った土をしきつめた深めの器に胞子をまきます。土は常に湿らせておく必要があるため、ラップなどで覆いましょう。
常に室温を20℃前後にし、胞子は明るい日陰で管理します。土の表面が乾きかけたら、霧吹きで湿らせてあげましょう。
1~3か月ほどするとたこ焼きにかかった海苔のようにコウモリランの小さな芽がでてきますので、さらなる成長を見守りましょう。
ビカクシダのかかりやすい病気のひとつとして、春から秋にかけて葉っぱが高温多湿の状態になるとかかりやすい「炭そ病」があります。
炭そ病にかかると葉っぱに黒褐色の斑点ができ、そのままにしておくと徐々に範囲が広がって最終的には葉に穴があいて枯れてしまいます。
炭そ病を発病した時は、発病している歯を取り除いてから薬剤を散布しましょう。
ビカクシダにつきやすい害虫はカイガラムシです。発生しやすいのは5~7月で、そのまま放っておくとカイガラムシのフンが原因ですす病になってしまいます。
すす病にかかると茎や葉が黒いすすのようなものに覆われ、見た目が悪くなるだけではなく、光合成が阻害されて徐々に株が弱ってしまいます。
カイガラムシがついてしまったら、まずビカクシダ全体を水でよく洗い流し、薬剤を散布しましょう。
特徴的でパッと目を引くゴージャスなビカクシダは、インテリアの主役にぴったりです。どんな形の葉が生えてくるのか成長を見守る楽しさもあり、ついつい色々な種類を集めたくなってしまいます。
種類だけではなく、飾る板やハンギングにもこだわれば、世界にひとつだけのビカクシダができあがりです。本格的なものは育てるのに知識が必要ですが、初心者向けのものであれば見た目ほど難しくありません。
ぜひお部屋に、ビカクシダの洗練されたおしゃれなグリーンを取り入れてみてください。