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目次/ INDEX
水中を元気に勢い良く泳ぎ回るゲンゴロウ。タガメと並ぶ水生昆虫の代表種であり、丈夫で餌やりに困らず、常温管理で越冬もできる手間がかからない昆虫です。その格好良さから「飼ってみたい!」というお子さんもいるのではないでしょうか。
恰好が良いだけではなく、驚いて水槽内を泳ぎ回る姿や、のんびりと甲羅干し(陸に上がって体を乾かす行為)をしている姿、おいしそうに餌を食べる姿は、見ていてとても愛嬌があります。
ゲンゴロウの成虫の飼い方は比較的簡単ですが、幼虫から飼いたい方、繁殖させたい方はちょっとした注意が必要です。ゲンゴロウの幼虫は成虫よりも遥かにデリケートで、餌は生きた生物しか食べません。成虫の感覚で飼っていると、あっという間に死んでしまう恐れがあります。
そこでこの記事では、ゲンゴロウの上手な飼い方を必要なグッズと併せて解説します。うまく飼育すれば2年以上生きることもあるので、ぜひ参考にしてみてください。
なお本記事では、あくまで個人のレベルでゲンゴロウを採集したり、飼育したりすることを前提としております。最後まで責任を持って飼育することは必ず守ってください。また、種によっては法律や条例で採集や販売が禁止になっていますのでご注意ください。
北野さん
いくら法に触れないとしても、決して採りすぎないよう、くれぐれもモラルや節度を持った採集を心がけましょう。
学名 | Cybister chinensis |
分類 | ゲンゴロウ科・ゲンゴロウ属 |
分布 | 日本・中国・朝鮮半島など |
体長 | 約4cm |
体色 | 深みのある緑色(光の当たり方によっては暗褐色にも見える) |
食性 | 肉食 |
寿命 | 通常は1年程度。飼育下では2年以上生きる場合もある |
グループとしての「ゲンゴロウ」とは、国内ではコウチュウ目のゲンゴロウ科とコツブゲンゴロウ科に属する昆虫のことを指し、150種ほどが知られています。この仲間の特徴は何といっても水中生活に特化していることです。海域には生息していませんが(ただし、一時的に海域に出現する種や、海岸近くの水たまりに生息する種はいます)、池沼・田んぼといった止水域から、河川の流水域、なかには地下水に至るまで、種によって異なるもののさまざまな淡水域に生息しています。
名前の由来は、黒い鉄製の甲冑を意味する「玄甲(げんがわら)」がなまったのだという説もありますが、はっきりわかっていません。種としての「ゲンゴロウ」とは、グループとしての「ゲンゴロウ」の仲間のうち、ゲンゴロウ科ゲンゴロウ属に含まれる日本最大種のことを指します。
「ゲンゴロウ」という名前が、グループとしてのことを指すのか、種としてのことを指すのかわかりにくいため、種を指す場合には「ナミゲンゴロウ」・「オオゲンゴロウ」「ホンゲンゴロウ」などと呼ばれることもあります(ここからは、グループとしては「ゲンゴロウ類」、種としては単に「ゲンゴロウ」と呼ぶこととします)。
ここではまず、国内のゲンゴロウ類の代表種である「ゲンゴロウ」を例に、その特徴を紹介します。
とにかく水中活動に適した体をしています。上から見ると体は卵のような流線型で、大きく発達した後ろ脚には遊泳毛と呼ばれる水掻き状の毛が生えています。
成虫の体長は約4cmで、メスのほうがやや大きめのことが多いです。オスは交尾時にメスから離れないように、前脚が吸盤状になっています。
背中側の体色は深みのある緑色ですが、光の当たり方によっては暗褐色にも見えます。また、体の側面は黄色く縁取られています。
国内では北海道から九州までの日本各地に分布していますが、日本固有種ではなく中国、台湾や朝鮮半島、ロシア極東部などにも分布しています。
主な生息地は、平野部から山間部にかけての水質が良好で水草が豊富な池や沼、湿地といった止水域です。時には田んぼで見られることもあります。ただ近年は水田の減少や農薬の散布などにより、生息域は極めて局所的になりました。特に都市近郊では残念ながらほぼ絶滅状態といえるでしょう。また、悪質なマニアや業者による採りすぎも減少の要因といえます。
そのような状況から、群馬県と長崎県では条例で採集等が禁止されています。また、2023年1月11日より、種の保存法による特定第二種国内希少野生動植物種に指定され、販売目的の採集や販売そのものの行為が禁止されました。
成虫・幼虫ともに肉食ですが、成虫は生きた個体を襲うことが得意ではなく、餌となる生物をやみくもに襲うことはあまりありません。基本的には、死んだり弱ったりしている生き物を食べることが多いでしょう。
ただし、幼虫時代は獰猛なハンターです。ヤゴをはじめとするほかの水生昆虫やオタマジャクシなどを襲って食べます。時には自分より大きな生き物を狙うこともあります。
水中抵抗が少ない流線型の体形とオール状の後脚を活かし、水中を素早く泳ぎ回ることができます。翅と腹部の間に空気を溜めておき、その空気を使って呼吸するため、長時間の潜水も可能です。
ゲンゴロウ類は水生昆虫ですが、飛べない一部の種を除き、多くの甲虫と変わらない飛翔能力も備えています。夜間には電灯などに飛来してくることもあります。
多くのゲンゴロウ類は、危険を感じると、頭と胸の間あたりから独特のにおいがある白い液を出します。手に付くと、洗ってもなかなか取れないほどのにおいです。この液はほかの生物に対し麻痺作用を示すとされ、防御物質であると考えられます。
また後ろ脚には立派なトゲがあり、手でつかむと結構痛いです。このトゲも、敵から身を守るために役だっていると考えられます。
ゲンゴロウの活動期は5月~10月頃です。夏頃にかけて交尾し、産卵を控えたメスは、ガマ、アシ、セリ、オモダカといった水草の茎をかじってその内部に卵を産み付けます。卵は15mmほどもあり、日本の昆虫のなかでも最大級です。シーズン中の産卵数は数十個ほどです。
卵は10日から2週間で孵化し、2回の脱皮を経て約40日間幼虫として過ごします。幼虫は細長くイモムシ状で、成虫とは似ても似つきません。大きな顎があり、手頃な水生生物を襲って食べます。とにかく食欲旺盛で、共食いすることも珍しくありません。最終的には最大8cmほどにもなります。
蛹になる準備ができると餌を食べなくなり、土手などの陸地に上陸します。土中に蛹室(ようしつ)を作って蛹となり、約10~14日で成虫の姿になります。成虫になってもすぐに泳ぎ回ることはできないため、約1週間は引き続き蛹室にこもります。
その後、新成虫は土の中から出てきて水中生活をはじめます。また成虫の姿で越冬します。自然界での寿命は、多くの場合は1年と考えられますが、飼育下では数年生きることもあります。
ゲンゴロウ類は、国内では約150種が知られています。大きさも異なりますが、種によって色模様が異なりまるで生きた宝石のようです。
どの種もゲンゴロウとは一味違った個性がありますが、ペットとしての飼い方はそれほど大きくは異なりません。ただし、種によっては法律や条例で採集や販売が禁止になっています。採集や購入の際には法や条例に触れないかよく調べましょう。
ここでは、飼育が可能なゲンゴロウ類のほんの一部を紹介します。
外見上の特徴 | ・体長:2~2.5cm ・真っ黒のボディ ・体に黄色の縁取りがない |
分布 | 本州、四国、九州 |
真っ黒で光沢のあるボディが特徴のクロゲンゴロウは、体長2~2.5cm程度と、ナミゲンゴロウよりも少し小型のゲンゴロウです。太陽や照明の当たり具合によっては、美しいエメラルド・グリーンに見えることもあります。
北海道や南西諸島を除く日本全土に分布しており、ナミゲンゴロウほどではありませんが、やはり減少傾向著しい種です(やみくもな採集はしないでください)。
外見上の特徴 | ・体長:2.5~3cm ・やや細みがかっており、お腹側が黒い |
分布 | 関東以南、四国、九州、南西諸島 |
名前の通りの小型のゲンゴロウですが、体長は、2.5cm前後と、クロゲンゴロウの大きさとさほど変わりません。関東以南の暖かい地域に分布し、かつてはそれほど珍しい存在ではなかったようですが、その後、南西諸島を除く多くの地域で姿を消し、国内からの絶滅さえ危惧されました。
近年はなぜか再び分布を広げており、西日本では多産する地域もありますが、愛媛県と鳥取県では条例で採集が禁止されていますので注意してください。
外見上の特徴 | ・体長:3~3.6cm ・前胸背が黄色く縁取られる |
分布 | 北海道、本州(青森県) |
ゲンゴロウモドキは、「モドキ」と呼ばれていますが、れっきとしたゲンゴロウの仲間です。見分けるポイントは前胸背(背中から見て、頭と前翅の間のところ)で、黄色く縁取られるのが特徴です。
北方系の昆虫で、国内では北海道と本州北部(青森県)でしか見ることができません。
外見上の特徴 | ・体長:1~1.2cm ・翅は茶色で、頭部や頭胸背に模様がある |
分布 | 日本全土 |
ヒメゲンゴロウは体長1~1.2cmのゲンゴロウです。「小さい」と感じるかもしれませんが、実はゲンゴロウ類の多くは体長数mmであることが多いため、中型といえる大きさです。
体色はやや黄褐色で、際立った模様はありませんが、頭部の眼と眼の間や、前胸背に黒い模様があるのが特徴です。
北海道から南西諸島まで日本全土に分布し、個体数も多いことから見つけやすい種といえます。
外見上の特徴 | ・体長:1.2~1.4cm ・薄黄色の4本の縞模様 ・頭部近くに2点の薄黄色の模様 |
分布 | 沖縄を除くほぼ日本全土 |
シマゲンゴロウは、黒く丸みのあるボディに薄黄色の4本の縞模様がある美しいゲンゴロウです。前翅の基部付近に2つの斑点模様があるのもチャームポイントです。
北海道から九州まで広く分布し、地域によっては今も多産しますが、現在は全国的に個体数が減少しています。
外見上の特徴 | ・体長:9~11mm ・薄黄色の細く細かい縞模様 |
分布 | 沖縄を除くほぼ日本全土 |
コシマゲンゴロウは、シマゲンゴロウよりも一回りほど小さく、やや不連続な薄黄色の縞模様があるゲンゴロウです。
北海道から九州まで広く分布し、地域によっては減少傾向にあるようですが、都市部に近い田んぼにも生息していることがあり、比較的見つけやすいゲンゴロウといえます。
外見上の特徴 | ・体長:1~1.6cm ・体は灰色 ・前翅には黒い模様がある |
分布 | 日本全土 |
ハイイロゲンゴロウは、その名の通り体が灰色のゲンゴロウで、前翅にははっきりとしない黒い模様があります。北海道から九州まで広く分布し、特に夏場に多産します。
よく飛び回る種で、公園の池や学校のプールなど人工的な水域にも見られ、時には都心部でも見つかることがあります。
外見上の特徴 | ・体長:6.5~7.5mm ・頭や前胸背は黒い ・前翅は茶色 |
分布 | 日本全土 |
マメゲンゴロウは、個体によっては前翅が明るい茶褐色の個体もいますが、基本的には暗褐色で、黄色い模様もなく全体的に黒っぽく見えるゲンゴロウです。
ほかのゲンゴロウ類よりもやや暗めの場所で見られることが多いです。北海道から沖縄県まで広く分布しています。
外見上の特徴 | ・体長:2mm ・暗褐色に黄褐色の縦筋模様 |
分布 | 日本全土 |
チビゲンゴロウは、体長約2mmの小型のゲンゴロウです。南西諸島を除く日本全土で見られ、個体数も極めて多いですが、小さいためにその存在を知らなければ見つけることができないかもしれません。ただし、市街地の公園の池やプール、水たまりなどにも見られるので、認識さえしていれば見つけやすい種ともいえます。
飼育自体は特に難しくなく、小型のプラケースでも飼えます。小さくても立派なゲンゴロウの仲間であり、元気いっぱいに泳ぎ回る姿を観察できるでしょう。
ここではゲンゴロウの飼い方を代表に解説しますが、ほかのゲンゴロウでも基本的には同じです。ゲンゴロウを飼う際は、次のものを用意してください。
ガラス水槽でもプラケースでも問題なく飼えますが、飛んで逃げられないようにきちんとふたをする必要があること、頻繁に水替えをするために割れにくい素材であるほうがよいことなどから、プラケースのほうが適しています。大きさは30cm以上が理想です。ペアでの飼育や繁殖を考えているなら、できるだけ広めの水槽を用意してください。
少し観察はしにくいですが、ふた付きハードコンテナを利用してもよいでしょう。飼育容器があまりに小さいとストレスを受けるだけでなく、共食いにもつながります。反対に、小型種の飼育には、その対象種の大きさに応じて小型のプラケースやふた付きのプラスチックケースを用いましょう。
ゲンゴロウは肉食性で水を汚しやすいため、頻繁に水換えをしてください。
ゲンゴロウ類はお尻の先を水面に出して呼吸します。ろ過装置(フィルター)を設置すると水替えの頻度は抑えられますが、結果的に水面が揺れてしまうとうまく呼吸ができなくなることも考えられます。したがって、無理につける必要はありません。
北野さん
魚類と混泳させるのでなければ、エアレーションも特に必要としません。
ガラス水槽や新品のプラケースは底がつるつるしているため、繁殖のために用いる雄の吸盤状の前脚が勝手に張り付いてしまい、溺れて死んでしまうことがあります。それを防止する意味でも、床材があったほうが無難です。床材の種類は特に決まっていませんが、飼育用として売られている観賞魚の砂がおすすめです。
ゲンゴロウにとって水草は、隠れ家、足場、産卵床と、さまざまな役割を果たすアイテムです。足場用にはオオカナダモやマツモ、産卵用にはホテイアオイ、オモダカ、セリなどがよく選ばれています。複数を植えておくとよいでしょう。
ただしこの水草も、動物と同じく、野外に放すことは絶対にしないでください。かじられて弱ってきたり、枯れかけてきたりしたら廃棄しましょう。
北野さん
光合成ができるよう、日当たりの良い場所に置くか、ライトの設置もお忘れなく。ただし、あまり日当たりが良すぎる場所は、日中暑くなりすぎたり、昼と夜とで温度の差が激しくなったりしてしまい、それによってゲンゴロウが弱ってしまうことも考えられますので、ライトを設けるか、日当たりの強すぎない場所で飼育するのが無難です。
ゲンゴロウは陸地に上がって甲羅干しを行うことがあります。水草では足場が心もとないため、がっちりとした流木を置いておきましょう。木の先端が水面上に出るようにレイアウトする必要があります。
飼育水は水道水で構いません。気になる方はバケツなどに半日以上汲み置きしてください。
餌は動物性たんぱく質ならほとんど何でも食べますが、人が食べるものは油分が多かったり、添加物が入っていたりすることがあるため、あまりおすすめめしません。最近は、主に両生爬虫類の餌として、冷凍や乾燥のコオロギが売られるようになりましたが、栄養価も高く、ゲンゴロウ類の餌にも適しています。
小型種には、市販の冷凍アカムシを与えてもよいでしょう。観賞魚用のペレットも食べますが、ぼろぼろとよくこぼします。どの餌を与えた場合でも、水が汚れたらすぐに換えてください。
一方、幼虫には生きた餌のほうがよく、コオロギやヤゴ、オタマジャクシなどを与えてください。食い付きはやや悪いものの、冷凍コオロギも代用できます。ヤゴやオタマジャクシは野外から採集してくる必要があるため、手間もかかるうえ、自然に負荷をかけることにもつながります。その点、コオロギは栄養価が高く、最近はペットショップでも売られるようになったため、幼虫から飼う場合はコオロギを用意するとよいでしょう。
北野さん
また近年は、ゲンゴロウ類の種によって、幼虫期に好む餌が異なることも明らかになってきています。幼虫の飼育で、餌食いが悪いと感じられましたら、いろんな餌を与えてみることをおすすめします。
ゲンゴロウは一年を通して常温で管理できます。また、オスとメスを同居させれば、繁殖させることもできます。成虫を飼うのは比較的簡単ですが、それでも注意したほうがよいポイントはあります。ここでは、成虫を上手に飼う方法を紹介します。
ゲンゴロウは、1週間ほどは餌なしでも生きられる場合がありますが、あまりにお腹が空くと共食いのリスクが増します。餌は基本的に1日1回、食べ切れる量を与えましょう。
ただし、ゲンゴロウ類はかじるようにして餌を食べるので、すぐに水が汚れます。特に与えすぎには要注意です。
また、冬季にはあまり餌を食べなくなります。様子を見て餌の量を減らしたり、与える頻度を数日に一度程度にしたりしましょう。
前述のように、多くのゲンゴロウ類は、危険を感じると、頭と胸の間あたりから独特のにおいがある白い液を出します。この液はほかの生物に対し麻痺作用を示すとされるため、混泳は避けた方が無難でしょう。併せてゲンゴロウがほかの水生生物を食べることはもちろん、同居する生物によっては逆に食べられる恐れもあります。
どうしても混泳させたい方は、小型でおとなしいメダカや、遊泳層が異なるドジョウ、タニシなどを入れるとよいでしょう。また、ヌマエビの類はゲンゴロウの食べ残しを食べてくれ、水槽クリーナーとして活躍してくれるかもしれません。
北野さん
観賞の楽しみを上げる意味では、ほかの水生生物と混泳させてもよいかもしれませんが、その場合には餌をきちんと与え、ゲンゴロウが出す液が水中に残らないよう、さらに水を換えるとよいでしょう。
ゲンゴロウは寒さに強く、多くの水生生物で必要になるヒーター類は不要ですが、暑さには弱い一面があります。直射日光が当たる場所に飼育容器を置いておくと、暑さにやられて死んでしまうかもしれません。飼育容器は日陰や半日陰になる、風通しが良い場所に置きましょう。
オスとメスを同居させておけば、繁殖することも珍しくありません。一般的には、水温が25℃以上で、日照時間が13時間以上の状態を維持すれば繁殖します。四季を通して自然条件に近づけて飼育した場合では、早ければ5月頃から産卵が始まるでしょう。
ゲンゴロウの幼虫には基本的には生き餌が必要であり、成虫よりも何かと手間がかかることがほとんどです。また、幼虫は放っておくと共食いをし始めるため、単独飼育をするための飼育容器も必要です。ここでは、ゲンゴロウの幼虫の飼い方を注意点とともに紹介します。
ゲンゴロウが交尾し、水草をかじった跡があれば、水草の内部に卵を産み付けている可能性が高いです。生育環境が良好であれば2週間程度で孵化します。
そのまま放っておくと幼虫同士で共食いを始める恐れがあるため、即座に別容器に移してください。幼虫は15mm程度なので、プリンカップなどの大きさの容器があれば十分です。
なお、ゲンゴロウの幼虫は、生まれた直後は白っぽい体色をしていますが、徐々に黒い模様が出始めます。
餌は市販のコオロギがおすすめです。慣れると、冷凍コオロギでも水面に浮かべておけば食べます。
SSサイズのコオロギを、できれば1日数回に分けて与えます。順調に育てば約1週間で脱皮、2齢幼虫になります。
Sサイズのコオロギが適当。順調に育てば約1週間で脱皮、3齢幼虫になります。
Mサイズのコオロギでも食べられます。2週間強で蛹化のための準備に入ります。
北野さん
このほか、どの齢期であってもトンボのヤゴは非常に良い餌です。屋外に水を張ったプラ舟をいくつか置いておけば、シオカラトンボの仲間やウスバキトンボが産卵をしにやってきます。手間はかかりますが、庭や屋上にプラ舟を置いてヤゴを増やし、それを餌にすることができれば幼虫を速く大きく育てることが可能です。
ゲンゴロウの幼虫は生き餌さが必要な関係から、飼育水が汚れやすくなります。幼虫は水質の悪化に弱いため、水換えをさぼるとあっという間に死んでしまう恐れも……。基本的に、毎日水換えしましょう。
なお、幼虫のゲンゴロウは非常に獰猛で、指を入れれば餌と勘違いし咬みついてくることがあります。ゲンゴロウの幼虫は、するどい顎の先から消化液を餌の体内に送り込み、その後吸うようにして食べます。指を咬まれると、その消化液によって非常に痛みますので、水換えの際は十分に注意してください。
3齢幼虫が2週間ほど経って十分に成長すると8cmほどになります。
その後、蛹化のために上陸しますが、蛹化前には以下のような兆候があります。
3齢幼虫となって上記のような動きが見られたら、上陸準備が整ったサインです。この機会を逃すと溺死してしまうため、上陸させる必要があります。幼虫が自ら陸地に上がるための足場を用意する方法もありますが、強制的にさせてしまった方が管理は楽です。
通常、土に移動させたゲンゴロウの幼虫は、しばらくすると穴を掘り始めます。半日ほどしても土に潜る様子が見られない場合は、蛹化には早いのかもしれません。一度元の飼育水に戻し、様子を見ましょう。
ゲンゴロウの幼虫は、土の中で部屋(蛹室)をつくり、その中で蛹(さなぎ)となります。
蛹室で成虫へと羽化してから数日後、地上に出てきます。幼虫が上陸してから成虫となり土から出てくるまでは30~40日ほどです。
ただ、新成虫の体はまだ柔らかく、他の個体と一緒にすると共食いされてしまう恐れが高いです。少なくとも1週間は個別飼育し、その後、水槽に移してください。
ゲンゴロウの飼い方は成虫と幼虫とで大きく異なり、お世話の手間もかなりの差があります。幼虫は1匹ずつの個別飼育が必須であり、1日に数度餌を与える必要もあります。水が汚れると成虫よりも死にやすいので、こまめな水換えも怠ってはいけません。
成虫をお迎えしても、オスとメスがいて繁殖環境が整えば、自然に交尾・繁殖します。幼虫のお世話までできるかどうか、十分に考えてから入手しましょう。
北野さん
飼育下では2年以上生きることもあるため、快適な環境を維持してあげてくださいね。
北野さん
また、ゲンゴロウに限ったことではありませんが、飼育を通して生き物を詳しく観察していくことで、生き物や自然に対する興味関心が醸成されるとともに、その生き物の今まで知られていなかった新しい習性が発見されることもあります。それが、その生き物を守るための重要な情報につながる場合もあるのです。