料理研究家・リュウジの簡単やばうまレシピ「手羽元と大根の塩煮込み」
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初夏の風物詩であるホタルは、古くから清流のシンボルとして愛されてきました。近年は環境の変化により個体数が激減したといわれていますが、ホタルの鑑賞スポットはまだまだたくさんあります。神秘的な姿に魅了され、飼ってみたくなる方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、ホタルの飼い方全般をわかりやすく解説します。といっても、成虫が美しい光を放つのはわずか10日程度。飼育のメインは幼虫のお世話であり、ペットとしてかわいがるというよりは「生態の観察」に近いでしょう。
ホタルはコウチュウ目ホタル科に分類される昆虫の総称です。漢字では「蛍」と書きますが、光るホタルの群れが「火が垂れている」ように見えたことから、「火垂」と書くこともあります。ちなみに、英語では、「Fire Fly」といいます。
世界には約2,000種のホタルが確認されており、日本にも約50種がいますが、すべてのホタルが光るわけではありません。多くの方がホタルと認識しているのは、ゲンジボタルやヘイケボタルであることが多いです。
ホタルの代名詞といえるゲンジボタルやヘイケボタルは、全身は黒とピンクで構成されており、お米のような細長い体をしています。全長はヘイケボタルで7~10mm、ゲンジボタルでも10~20mmと小型です。
お尻部分には「発光器」と呼ばれる組織があり、ここで「ルシフェリン」という発光物質と、発光を促進する「ルシフェラーゼ」という酵素が合わさって光を出しています。光を放てるのは成虫だけでなく、さなぎ、幼虫、卵と、実は一生を通して光っていることはあまり知られていません。
光を出すための物質はホタルによって異なるため、光の色は黄緑、黄やオレンジなどさまざまです。また、光を出す目的には、メスへのアプローチ、威嚇、驚きと3種類あるといわれており、光り方も違います。
多くのホタルは森や林など自然豊かな陸上で過ごしますが、ゲンジボタル、ヘイケボタル、クメジマボタルは、幼虫時代のみ水中で過ごします。きれいな水流や水田でしか生きられないことから、「ホタルがいる場所は美しい証拠」であるといわれていますが、生息できる条件はほかにもあります。たとえば水流の穏やかさや、餌となる巻貝の豊富さ、水底にある砂やレキの有無なども関係しています。
また、幼虫時代も陸生のヒメボタルは、東日本では山地で暮らしていますが、西日本では平地や河川敷にも現れます。
ホタルは、幼虫時代は肉食で、成虫になると水しか飲みません。ゲンジボタルの幼虫はカワニナ、ヘイケボタルの幼虫はモノアラガイやオタマジャクシ、ヤゴなどを食べています。また、ヒメボタルの幼虫はカタツムリをはじめとする陸生の小型巻貝が主食です。
ホタルの一生は種類によって異なるため、ここではゲンジボタルを例に紹介します。
ゲンジボタルの卵は7月~8月頃に孵化し、幼虫は約10か月間で6回脱皮を経た後に上陸します。柔らかい土に潜り込んだら、土まゆと呼ばれる部屋を作ってさなぎになります。
さなぎは1か月~2か月弱で羽化し、6月中旬頃から下旬頃をピークとして成虫へ。成虫になると水しか飲まず、次の命をつむぐために早速「婚活」にいそしみます。オスは光でメスにプロポーズし、受け入れてもらえると交尾。メスは交尾の翌日から数日かけて500個ほどの卵を産みます。
このように、ゲンジボタルは約1年かけて成虫になりますが、無事成虫になれるのは1~2%だといわれており、成虫になってからも約1週間しか生きられません。美しいホタルを毎年見たいのであれば、オスとメスとの出会いを邪魔しないことが大切です。鑑賞時に人工の光を当てる行為は絶対に止めましょう。
ホタルは日本だけでも約50種が生息していますが、ぴかぴかと光る種類は限られています。ここでは、一般的にホタル(=光る昆虫)と認識されているゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルの3種類を紹介します。
体長 | オス:約15mm メス:約20mm |
発光部 | オス:2節 メス:1節 |
分布 | 本州、四国、九州 |
住んでいる場所 | 流れの緩やかな河川 |
幼虫期の主な餌 | カワニナ |
成虫の活動時期 | 5月中旬~6月中旬 |
ゲンジボタルは国内最大級の大きさであり、認知度もナンバーワンといえるホタルです。命名の由来は紫式部の『源氏物語』に出てくる「源氏、蛍の光りを借りて玉鬘(たまかずら)の容姿を示す」という一節から。俳人・野々口立圃(りゅうほう)による「かがり火も 蛍もひかる 源氏哉」という句からきている説も有力です。
オスよりもメスのほうが大きく、体色は黒と淡いピンクの前胸が特徴。背面中央にはプラス(+)のような模様が見られ、後述するヘイケボタルと区別するポイントになっています。
メスは草の上などに止まり、第6節だけでリズムなく発光します。オスは第6節と第7節の2節で、飛びながらリズムを刻んで発光します。明滅するのは約2秒ですが、ほかのホタルよりも体が大きい分大迫力。木々に乱舞する数百のオスゲンジボタルは、「季節外れのクリスマスツリー」と形容されるほどです。
なお、光のパターンは西日本と東日本で異なる傾向があり、西日本のほうが明滅のテンポが早いといわれています。
体長 | オス:約10mm メス:約8mm |
発光部 | オス:2節 メス:1節 |
分布 | 北海道、本州、四国、九州 |
住んでいる場所 | 水田・池などの止水 |
幼虫期の主な餌 | タニシやモノアライガイ |
成虫の活動時期 | 5月下旬~7月初旬 |
ヘイケボタルはゲンジボタルに比べるとやや小型のホタルで、水田や湿地などの止水で暮らしています。稲作文化の広がりとともに生息範囲を拡大していきましたが、農薬の使用量が増えるにつれて激減。現在では絶滅が危惧されているほどです。なお、名前の由来はゲンジボタルの「源氏」に対する「平家」という説が有力です。
ゲンジボタルと同じく、オスよりもメスのほうが大きく、体色は黒と淡いピンクの前胸で構成されています。違いは背面中央に見られるマイナス(-)のような模様です。
メスは一節、オスは二節を光らせる点や、オスが飛行しながら発光する点はゲンジボタルとよく似ていますが、ゲンジボタルよりも明滅のテンポが早く、発光力は弱めです。
体長 | オス:約5mm メス:約6mm |
発光部 | オス:2節 メス:1節 |
分布 | 本州、四国、九州 |
住んでいる場所 | 山林などの陸地 |
幼虫期の主な餌 | 陸生の巻貝 |
成虫の活動時期 | 6月下旬~7月下旬 |
ヒメボタルは陸生のホタルで、「森のホタル」と呼ばれています。ゲンジボタルやヘイケボタルに比べるとマイナーですが、小さな黄金色を短く明滅させながら飛ぶ光が美しく、写真愛好家のファンが多いです。ちなみに、メスは羽を持たないため飛べません。
名称の由来は「小さくてかわいいから」だといわれていますが、定かではありません。ただ、ゲンジボタルやヘイケボタルよりは明らかに小さいため、外見上の区別はつきやすいでしょう。背面中央に模様がない点もポイントです。
メスは草の茎や枝などに捕まりながら一節で発光し、オスは飛行しながら二節を光らせます。明滅のテンポはオスが約0.5秒、メスは2~3秒。弱いながらもきれいな黄金色をチカっチカっと発光させ、森や神社を神秘的な空間へと変えてくれます。
ホタルはホタルを専門に扱う昆虫ショップで入手できます。きちんとした業者であれば幼虫・成虫を養殖しており、自然破壊をしているわけではないため、安心して購入できるでしょう。
価格は幼虫・成虫ともに1匹あたり数百円程度ですが、餌はkg単位で約4,000円、土(上陸用培養土)は約1,000円かかるのが一般的です。また、観賞用ケースや飼育セットは数万円することもあります。ビオトープを作る場合は規模によってさまざまなので、数社から見積もりを取ってみるとよいでしょう。
購入しない場合は自然にいる個体を捕まえて飼うことになりますが、ホタルの捕獲を禁止している市町村はたくさんあります。条例は必ず確認してください。違反すると罰金を含む罰則が科される可能性が高いです。
ホタルは光で自分の居場所を知らせてくれるうえ、動きも遅いため捕獲自体は難しくありません。日没後の19時頃以降、捕まえたいホタルの成虫が現れる時期、場所へ出向き、網などで捕まえるとよいでしょう。
のびーるネット カモフラージュ N-01
風がなく、月明かりが少ない日を選ぶとより見つけやすいですが、光る時間帯は地域によって異なる場合があります。また、ゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルともにメスは草の上などに止まって発光しているため、オスよりも注意深く探す必要があります。
無事にオスとメスを捕まえたら、濡れた水草などを入れた虫かごで持ち帰るとよいでしょう。なお、オスとメスの割合は3:1が目安です。
釘を刺すようですが、ただ光るホタルを眺めたいのであれば捕獲するのは止めましょう。成虫のホタルの寿命は10日ほどであり、激減しているホタルの繁殖をいたずらに邪魔することになります。雌雄を出会わせて交尾・産卵させ、幼虫を成虫にまで育てあげるのが「ホタルを飼う」ということです。
ここでは、ゲンジボタルの飼い方を代表に解説します。「ホタルの飼育セット」も販売されていますが、安価なものを個別で購入しても育てられます。オスとメスを入手したら、次のものを用意してください。
交尾して繁殖するまでの間の飼育ケースが必要です。木箱で育てるのが一般的ですが、虫かご、水槽でもかまいませんし、プラスチックケースでも代用可能です。ただ、水槽であれば幼虫を育てる際に引き続き使えます。
浅く広いトレーなどに水分を含ませた水苔をたくさん敷いてください。ゲンジボタルの飲み水となり、産卵床ともなります。また、ヨモギなどの水草も立ててあげます。
湿らせたガーゼやスポンジでも代用可能ですが、孵化した幼虫がうまく出てこられない可能性があるため、おすすめはしません。
ゲンジボタルの幼虫は水中で暮らすため、水槽が必要です。メダカ用など、一般的な水槽でかまわないでしょう。
成虫は水を飲むだけで過ごせますが、幼虫はカワニナを食べます。幼虫の成長度合いに合わせ、適度なサイズのカワニナを用意することが大切です。自然採取するのは大変なので、ペットショップやオンラインショップで購入するとよいでしょう
餌のカワニナを生かしておくために別途水槽を用意しましょう。オオカナダモやセキショウモなどの水草を植え、採取現場にあった小石や砂、落ち葉なども入れます。カワニナ用の餌は必要ありません(水草や水槽内に発生する藻を食べます)。
幼虫の飼育水は水道水でもかまいませんが、カルキ抜きは必要です。1日ほど汲み置きしたものを使用するか、カルキ抜きを使用しましょう。
先に紹介した水槽のように、カルキ抜きがセットで付いているものもあります。
水中に酸素を送るために必要です。先に紹介した水槽にはセットで付いています。
ゲンジボタルは25℃以下の水温を好みます。それ以上になると食欲が減退し、30℃以上が続くと衰弱、やがて死んでしまいます。
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ピンセットやスポイトは、水槽内のゴミやカワニナの殻(食べ残し)を取り除く際に使用します。また、水槽内のメンテナンスでホタルの幼虫を一時的に移動させるときにも役立ちます。
幼虫からさなぎになる際には柔らかい土が必要です。生息地にある土を採取するのが一番ですが、難しい場合は黒土や赤玉土、川砂、ピ-トモスといった園芸用の土を混ぜ合わせたものでも代用可能です。
必要なものがそろっても、ホタルを飼うのは一筋縄ではいきません。引き続きゲンジボタルの飼育方法を例とし、上手な育て方を注意点と併せて解説します。
ゲンジボタルの全体数はオスのほうが多く、発生最盛期はオスとメスで3:1程度の割合だといわれています。プロポーズの際には一匹のメスに数匹のオスが集まることは珍しくないため、飼育下でも類似する環境にしてやると交尾しやすいでしょう。
水苔は霧吹きで濡らす必要があります。1日に最低1回は水を吹きかけますが、濡れすぎていても乾きすぎていてもいけません。適度にしめっている程度を保ちましょう。なお、霧吹き用の水もカルキを除去したものを使用してください。
幼虫が孵化したらにすぐに入水できるよう、卵のある水苔は水辺の近くへ置きましょう。水苔を斜めに傾けるように置けば、幼虫が水面までたどり着きやすくなります。園芸用の網に水苔を置き、その下に水が入ったバットまたは水盤を置く手もあります。こうすることで、孵化した幼虫が下の飼育水に落ちていきます。
飼育水はカルキを抜いたものを使用し、水温は25℃を超えないよう注意してください。ホタルは寒さには強いですが、25℃を超えると夏バテ状態になります。
幼虫は孵化後すぐに餌を必要とするので、幼虫のサイズに合わせたカワニナを与えてください。小さな幼虫に大きなカワニナを与えても食べられません。適度なサイズのカワニナが見つからない場合は、カワニナの殻をペンチなどで割ってから与えます。
カワニナの食べ残しはあっという間に水質を悪化させます。殻はピンセットなどで取り除き、一時保存用の飼育水に付けておきましょう。すぐに捨てない理由は、ホタルの幼虫が殻の中に隠れているケースがあるためです。また、食べられたと思ったカワニナが実は無傷でいることもあります。
水替えは、夏場は3日に一度、冬場は1週間に一度の目安で行いましょう。一度にすべての飼育水を入れ替えると幼虫の負担となるため、1/3程度をこまめに、ゆっくりとしたスピードで替えてやるのがこつです。
別にバケツなどを用意し、チューブで水を抜くと変えやすいですが、誤って幼虫を吸い込んでしまう場合があります。スポイトやピンネットで優しく戻してあげてください。
無事に冬越しを終えた幼虫は、さなぎになるため陸に上がろうとします。水槽の壁面を水面まで登っている個体がいたら、上陸の準備が整ったと考えてよいでしょう。
新たに上陸用の環境を作ってやる必要がありますが、このとき大切なのが通気性・保水性・排水性のある土壌です。自然界では雨が降らないと上陸しない(できない)ため、霧吹きで擬似的な雨をふらしてやるとよいでしょう。
土中に潜り、さなぎになったらできるだけ容器を動かさないでください。ただし保湿は大切です。2~3日に一度、霧吹きで土を濡らしましょう。うまくいけば1~2か月で羽化しますが、残念ながらここで死んでしまうケースも多いです……。ホタルを育てるのは一筋縄ではいかないことを知ったうえで飼ってください。
ホタルを飼うにあたっての疑問や不安などをQ&A形式でまとめました。役立ちそうなものがあれば、ぜひ参考にしてください。
A.温度変化が少なく、日光や照明が当たらない暗い場所が理想です。繰り返しになりますが、夏場は水温が25℃以上にならないよう注意してください。寒さには強いため、5℃を下回らなければ活動します。
また、ホタルは夜行性のため、明るい場所では本調子で活動できません。蓋を締めて暗くし続ける必要はありませんが、不自然な明るさが続くと成長が遅れる大きな原因になります。
A.自然界の環境を実現するなら、ホタルの幼虫と適度なカワニナの数を同居させたほうが自然でしょう。メンテナンスの手間暇を惜しまないのであれば、ミニビオトープを作成するのが理想です。自然界では共存するスジエビやヌマエビを同居させれば、カワニナの食べ残しを掃除してくれるという観察記録もあります(ホタルの幼虫は襲いません)。
A.冬越しまでの間、十分な餌を食べていない個体ではないでしょうか。さなぎになる準備ができていない個体は、もう1年水中で過ごすことになります。
成長が遅れている幼虫は、冬間も水温を暖かく保ち、たっぷりと餌を食べさせましょう。なお、冬はカワニナが入手しづらくなるため、切らさないように注意してください。
都市化の進展やそれに伴う人工光の増加により、ホタルの個体数が激減しているといわれています。ホタルを鑑賞できるスポットはまだまだありますが、この先も変わらず見られるとは限りません。
個体数が十分にいる自然豊かな地域を除き、ホタルはペットに適した昆虫とはいえないでしょう。これ以上個体数を減らさないためにも、できれば保全目的や学術的な研究・観察目的で飼いたいものです。
※専門家・有識者のみなさま
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