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左右に大きく飛び出た眼球が特徴の出目金。金魚すくいで見かけることもあり、和金が多いなかでひときわ異彩を放っています。独特の姿かたちに引かれ、飼ってみたいと思う方もいるのではないでしょうか。
出目金も和金・琉金と並んで金魚の一種である以上、基本的には丈夫で飼いやすいといえます。ただ、飛び出した目は傷つきやすいため、水槽レイアウトには配慮しなければなりません。
この記事では、出目金の上手な飼い方を注意点と併せて解説します。
出目金はコイ科フナ属に属する金魚の一種です。日本では室町時代から和金・琉金の2種が親しまれていましたが、琉金から派生した種が出目金です。明治時代、金魚の原産国である中国から輸入されたことで認知されるようになりました。ちなみに、中国では出目金を「龍晴魚」と呼び、威厳が漂います。
小さな頭部に丸みを帯びた体型、立派な長いひれと琉金の特徴を引き継ぎながら、左右に大きく飛び出した目が異彩を放っています。ほかの種類の金魚であれば「ポップアイ」という病気のような見た目が、出目金では通常です。
体長は約8~25cm。体色は黒・赤が主流ですが、鯉のように色鮮やかな個体もいます。大きく、珍しい色の個体ほど販売価格が上がります。
金魚はフナの突然変異であり、そこから観賞用に品種改良を加えた魚です。原産国は中国ですが、現在は日本各地でも養殖されています。
金魚は祖先のフナと同じく雑食性です。水草や昆虫などのほか、人工飼料も問題なく食べます。大食漢で食いつきが良いため、餌の種類に悩むことは少ないでしょう。
出目金の寿命は5~6年といわれていますが、飼い方によっては10年以上生きることもあります。清潔な水質、適度な水温、健康的な食事を与え、ストレスのない生活をさせてあげましょう。
一般的に、出目金を含む金魚は生後8か月ぐらいから繁殖可能になり、暖かくなる3月頃から繁殖期を迎えます。メスは水草などに1,000以上の卵を産み付け、無事に(親魚に食べられず)育つと5日から1週間ほどで孵化。水温が高いと3日ほどで孵化することもありますが、あまりに孵化までの期間が短いと成長に支障が出るかもしれません。
産まれたての稚魚は親魚からもらった栄養源を持っており、それがなくなると餌を求めて泳ぎ回るようになります。栄養価の高いブラインシュリンプ(エビ)の幼生を孵化させ、スポイトで与えるとよいでしょう。なお、稚魚は黒っぽい体色をしていますが、成長とともに体色や体格に個体差が出てきて、2か月もすれば大人っぽい姿になります。
出目金の色や柄は大きく分けると「赤出目金」「黒出目金」「三色出目金(キャリコ)」の3種類ですが、現在は尾ひれの短いショートテール出目金や尾ひれが長く優雅な蝶尾などもいます。
販売価格は外見の珍しさと大きさで決まり、流通量の多い個体は1匹数百円、珍しい個体は2,000~1万円程度で販売されていることが多いです。
病気で目が飛び出た琉金が突然変異したもので、出目金の元祖です。名称通り赤い体が特徴ですが、幼魚の頃は色が薄く、3歳以降になるまで発色しない個体が多いです。
次に紹介する黒出目金と並んでポピュラーな種類ですが、黒出目金に比べると流通量が劣ります。
赤出目金の突然変異種で、全身が黒く染まっている品種です。流通量が多く、出目金といえば黒出目金をイメージする方が多いほどポピュラーな種類になりました。ペットショップはもちろん、金魚すくいでもよく見かけます。
赤・黒・白の三色模様を持つ改良品種です。三色がまだら模様になっていることからキャリコとも呼ばれます。美しい色のコントラストが魅力で、一匹として同じ柄の個体はいないことから、赤出目金・黒出目金よりも高価です。とはいえ、今では極端に珍しい種類ではありません。
出目金と和金の交配で生まれた品種です。出目金らしい身体の丸みはなく、和金寄りの細長い体型と一本尾が特徴です。このため、スタンダードな出目金よりも高い遊泳力を持ちます。
以前は市場に出回る前に除外されていましたが、現在ではペットショップで見かけることもあります。ただし、流通量が多いとはいえません。
赤×白の模様の出目金です。二色のメリハリが美しいと人気です。
体色が白く染まっている出目金ですが、少々の赤が混ざっていることがほとんどです。
出目金にも色素を持たないアルビノ品種がいますが、白色ではなく薄い黄金色のような体色をしています。また、瞳孔は毛細血管の透過により赤色となることから、ひときわ存在感を放っています。
桜を思わせる白×赤のコントラストと、キャリコと同じまだら模様の鱗を持つ出目金です。
通常の出目金より尾びれが短い出目金です。身体全体も短く引き締まっていますが、シルエットとしてはまん丸く、かわいい印象を受けます。泳ぎは比較的うまく、短い尾びれを揺らして優雅に泳ぎます。
黒×オレンジの掛け合わせを持つ出目金です。「レッサーパンダ」とも呼ばれています。黒い尾をヒラヒラさせて泳ぐ姿がかわいいと評判で、人気種の一つです。
赤出目金や黒出目金は金魚すくいでも入手可能ですが、「金魚すくいの出目金はすぐに死んでしまう」という声もあります。すべてとはいえませんが、なかには体調を崩している出目金がいるのも事実です。
すくった出目金がすでに弱っている理由の多くは、「狭いスペースに和金と混泳させられているから」と考えられます。和金は出目金よりも遊泳能力が高く、泳ぐスピードも違います。勢い余って出目金の目に衝突することも珍しくなく、出目金にとっては大きなダメージとなり得ます。そこに加えて、金魚すくいのポイです。人間に追われたり、すくわれたりするのも大きなストレスでしょう。
以上から、元気な出目金を飼いたい場合は、ペットショップやアクアショップできちんと管理されている子をお迎えしたほうが無難です。
出目金は琉金の改良品種なので、必要な飼育アイテムは琉金と変わりません。必要なもの、あると便利なものは、次の通りです。
■飼育アイテム一覧
以下で一つひとつ説明します。
出目金はやや大きめの水槽で飼うことをおすすめします。理由は次の通りです。
以上から、水槽は45〜60cmサイズのものをおすすめします。なお、金魚は1匹につき10Lの水が必要といわれていることから、45cmであれば3匹まで、60cmであれば6匹までが同居させてよい目安です(あくまで目安です)。
上記商品は後述するフィルター(ろ過装置)がセットになっています。
飼育水は水道水で問題ありませんが、塩素(カルキ)の除去が必要です。バケツなどに水を入れて半日~1日野外に置いておくか、水質調整剤を使いましょう。
水質調整剤は、カルキをはじめ魚にとって有害な物質をスピーディに取り除いてくれる便利なアイテムです。ただし入れすぎはよくないため、適量を守って使用してください。
底床材は、出目金だけを飼うのであれば必須アイテムではありません。底床材を入れることでメンテナンスの手間が増えるというデメリットもあります。
しかし、底床材を敷くことでバクテリアがそこに定着して水質が安定するメリットはあります。また、見栄えも良くなります。
使用する前に簡単にすすぎ、水槽の底から5cm程度になるように敷くとよいでしょう。
前述のように出目金をはじめとする金魚は水質を汚しやすいため、ろ過能力に優れたフィルターがあるとメンテナンスの手間が減ります。
フィルターには「上部式」「外部気」「投げ込み式」など種類があり、それぞれ特徴も違いますが、もっとも手頃かつ手軽に使えると評判なのは投げ込み式です。初心者向けともいわれていますが、確かなろ過効果を発揮し熟練者からも支持され続けています。ろ過能力だけでいえばほかのタイプに劣る面もありますが、きちんと定期的に水換えするのであれば投げ込み式でも十分でしょう。
なお、設置の際は、ろ過装置の水を吸い込む部分が塞がらないように注意してください。
水槽内に酸素を供給するため、エアーポンプを設置しましょう。フィルターにも酸素供給能力はありますが、エアーポンプも使ってしっかり送ってやることで成長を促せます。フィルターの吸込口から少し離れた場所に設置してください。
必須アイテムではありませんが、水槽内のアクセサリーとして、水草を置くとアクアリウムの雰囲気が出ます。お好みにレイアウトしてはいかがでしょうか。
ただし、出目金は水草を食べて食害に遭ったり、遊泳の際に当たってひれが傷ついたりすることがあります。水草を入れるなら、出目金が食べても問題なく、かつ柔らかいホテイアオイなどの浮き草やマツモなどが適しているでしょう。
見栄えだけを整えたいのであれば、人工の水草もおすすめです。
市販のバクテリア剤を入れると出目金のフンや餌の食べかすを分解してくれます。
常に水温をチェックするために水温計があると便利です。出目金の飼育適温は10~28℃と幅広いですが、急激な温度変化はよくありません。真夏や真冬は特に注意しましょう。
出目金は10℃以下になると冬眠を試みます。冬眠にあたっては十分に準備できていないと失敗して死んでしまう恐れがあるため、ヒーターもあったほうが安心です。水槽内に設置するタイプのほか、水槽の下に敷くパネルヒーターもあります。
餌は総合栄養食である人工飼料で問題ありませんが、成長を促すために生き餌も与えるほうがベターです。(生きてはいませんが)冷凍アカムシなど保管に便利な餌もあるため、時おり与えてあげましょう。
必要なアイテムを一つひとつ買いそろえるのもよいですが、初心者の方向けの便利な飼育セットもあります。蓋付きの水槽をはじめ、フィルター、エアーポンプ、エアーチューブ、バックスクリーン、人工プランツ、水質調整剤などが一度でそろうため、何を購入してよいかわからない方にはおすすめです。
上記の水槽の水量は23Lのため、出目金は2匹までが目安です。
飼育アイテム同様、出目金の飼い方は基本的に琉金と同じです。しかし、出目金ならではのポイントもあります。ここでは、出目金の上手な飼い方を紹介します。
出目金はほかの金魚より泳ぎが得意ではなく、飛び出た目により視力が弱いとされています。水槽内にいろいろなアクセサリーがあると、誤って接触してしまうかもしれません。角張った岩などに無防備な眼球が当たると傷を負う可能性があり、傷口から水カビ病や細菌が入ると病気になってしまいます。
したがって、レイアウトはできるだけシンプルに、アクセサリー類の数も増やしすぎないようにしましょう。岩や流木を入れても構いませんが、尖っていたりゴツゴツしていたりするものは避けたほうが無難です。
西村さん
金魚の体表やひれは繊細なため、硬いものに触れると裂けたり鱗が取れてしまったりします。なるべくシンプルなレイアウトにしましょう。また石や流木の間に餌が入るとそのまま腐敗して水質悪化につながることもあります。
餌は1日1~2回、5分程度で食べ切れる量が適量だといわれています。しかし、実際には体調や水温などによって変わり、また個体差もあります。毎日の餌やりのなかで我が子の健康状態を観察し、ほどほどに良い量・回数を与えてください。
大きく育てたいなら、栄養価の高い餌を与えることが大切です。ときには冷凍アカムシなどの生き餌も食べさせましょう。ただし、ほかの餌と同じく一度に大量に与えるのはよくありません。
出目金の飼育適温は10~28℃と幅広く、日本でブリードされた個体は水道水の水質にも適応しています(カルキ抜きは必須です)。とはいえ、和金などに比べると環境の変化に弱く、急激な水温や水質の変化があると戸惑ってしまいます。
これらを守って快適な環境を保持してあげてください。
出目金は泳ぎが下手でスピードも遅いため、和金など素早い金魚との混泳には向いていません。衝突事故の危険があるうえ、餌にありつけない可能性もあります。
複数匹を遊泳させて水槽内をにぎやかにしたい場合は、同じ出目金か出目金の祖先である琉金、またはピンポンパールなど遊泳能力が低い金魚がおすすめです。金魚以外の観賞魚は金魚にストレスになる可能性もあるので、入れないようにしましょう。
水槽内のお掃除部隊として活躍するエビや貝類と混泳させたい方もいるでしょうが、エビにとって出目金は捕食者なので相性は最悪といえます。また、エビを追い回した結果、水槽内のアクセサリーに目をぶつける恐れもあります。貝類であれば混泳可能ですが、口に入るサイズの貝だとやはり食べられてしまうかもしれません。タニシなどであれば問題ないでしょう。
飼い主さんの存在になれた出目金は、水槽内のゴミを吸い出しているときでもポンプのホースに寄ってくることがあります。勢い余って目をぶつける恐れもあるため、安全確認を怠らないようにしましょう。
出目金特有の病気はありませんが、観賞魚全般がかかる病気は出目金にとっても他人事ではありません。「いつもと違う」と異変を感じたら早急に対処することが大切です。なかには厄介なものもあるため、健康状態は日頃からチェックしてあげてください。
白点病は体表に白い斑点ができる病気で、原因は水中に常在する「ウオノカイセンチュウ」による感染です。出目金が健康体であれば問題ありませんが、体調を崩していると感染・発症します。白点病を患った個体は、体を壁面や底床材などに擦り付けるような動きをするのが特徴です。
初期段階であれば、飼育水に対し約0.5%の粗塩を入れる塩浴で回復する見込みがあります。それでも症状が変わらなければ、専用の薬を投与する薬浴を試してみてください。
転覆病は、出目金が引っくり返ったり、横向き状態のまま元に戻れなくなったりする病気です。主な原因は消化不良によるフン詰まりや細菌性の病気による内蔵障害ですが、先天的な浮袋不全を抱えている個体もいます。また、出目金のような丸形体型の金魚は転覆病になりやすいといわれています。
出目金のフンがいつもと違ったり、便秘が続いたりした場合は、大事にいたる前に治療体制に入りましょう。具体的には、餌抜きをしたうえで、水温は28℃と暖かめにして活性を上げてやります。約0.5%の塩浴を行うのも改善を期待できます。
松かさ病にかかった出目金は鱗が逆立ち、松ぼっくりのような状態になってしまうのが特徴です。結果、鱗が体から剥がれやすくなり、やがて衰弱死します。原因は水質の汚れなどから「エロモナス」という菌が増殖したことだと考えられますが、感染経緯はさまざまであり、厄介な病気といえます。
松かさ病は早期発見・早期治療が何より大切です。塩浴と薬浴を並行させ、長い目で治療を続けましょう。
尾腐れ病は、その名の通り尾ひれを中心とする各ひれが腐ったようにボロボロになってしまう病気です。原因は「カラムナリス」という水中の常在菌で、水質の悪化などで出目金の体が弱っていると感染する傾向があります。
治療法は約0.5%程度の塩浴と、専用薬での薬浴が効果的です。ほかの出目金や金魚にも伝染するため、尾腐れ病にかかった個体は治療用の水槽に移動させましょう。
水質が不衛生でカビが発生すると、出目金の体に白い綿のような水カビが付着・繁殖します。水カビ病にかかった出目金はほとんど動かなくなり、水槽の隅のほうでぐったりするようになります。免疫力が低下している出目金はすべて感染する可能性があるため、まずはきれいな飼育水に水換えしてください。
症状がひどい個体は、水温を28℃程度まで上げたうえで約0.5%の濃度で塩浴させるほか、専用の薬で薬浴させましょう。
ポップアイとは、魚の両目が異常なほど飛び出る病気のことです。出目金は元々飛び出ているため判断が付きにくいですが、お迎えした当初より腫れていたり、おかしなところが膨らんでいたりする場合はポップアイの疑いがあります。眼球が白く濁っている、あるいは充血している場合も要注意です。末期症状になると目がぽろりと取れてしまいます。
ポップアイの原因ははっきり分かっておらず、一度かかると簡単には治らない厄介な病気といえます。適度な水質・水温で安静にさせれば自然治癒するケースもありますが、薬浴で患部を殺菌するほうが治療効果を望めるでしょう。
出目金を飼うにあたっての疑問や不安をQ&A形式でまとめました。役立ちそうなものがあれば、ぜひ参考にしてください。
A.俗にいう「色落ち」という症状です。出目金を含む金魚はフナの改良品種である以上、本来の赤っぽいカラーが出てきても珍しい話ではありません。
その子の個性と考えるとよいですが、せっかくの美しい色を保ちたい方もいるでしょう。金魚の色落ちには飼育環境が関わっていることも多いため、次の点に注意して飼育してみてください。
なお、「3」で代表的なのは、赤色の色上げ効果があるカロチノイド成分を含む餌です。人工飼料のほか、冷凍アカムシでも効果を期待できます。
A.蝶尾出目金は、出目金から作出された改良品種です。そのため両者は非常に似ていますが、次のような違いがあります。
出目金 | 蝶尾出目金 | |
尾ひれの形状 | 三つ尾、四つ尾、さくら尾など | 上から見ると蝶の羽のよう |
大きさ | 15~25cm | 15~20cm |
遊泳力 | 蝶尾よりはうまい | 独特の尾ひれのため出目金より下手 |
値段 | 数百円 | 数百円~数千円 |
三色蝶尾出目金
蝶尾出目金
鑑賞性を重視するなら蝶尾出目金だといわれていますが、どちらにも違った魅力があります。近似種で混泳も可能なため、両方を混泳させるのもよいでしょう。
出目金の基本的な飼い方は琉金と同じですが、チャームポイントである飛び出た目に気を配ってやることが大切です。「レイアウトを複雑にしない」「泳ぎの早い魚と同居させない」といった基本を守っていれば、初心者の方でも元気に飼育できるでしょう。
西村さん
なかには購入時の色が抜けていく「色落ち」する子もいますが、遺伝のため避けられないケースもあります。それも含めて個性だと受け止め、末永くお世話してあげてくださいね。金魚の体色は遺伝により変化することが多く、色変わり、色落ちも自然なことです。変わっていく様子も楽しみの一つとして飼育しましょう。
西村さん
金魚すくいの金魚を持って帰ってきたら、まずは塩水0.5パーセントの飼育水で休ませてあげましょう。病気の感染も疑いグリーンFゴールド顆粒も入れたほうが安心です。