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公園の草むらや石の下などに潜んでいるハサミムシ。道路脇などを歩いていることもあり、その独特の容姿に驚いたことがある方もいるでしょう。名称の通り、尾部にクワガタムシのようなハサミを持っているのが特徴です。
見た目のインパクトから、虫が苦手な方には怖がられることもありますが、一方で「かっこいい!」と観賞価値を見出す方も多くいます。そこでこの記事では、ハサミムシの飼い方を必要なアイテムや注意点と併せて解説します。
ハサミムシはハサミムシ目の昆虫の総称であり、一部の和名です。昔は和式便所でよく見かけたことから、ダンゴムシなどと同じく「便所虫」扱いされていました。さらに、独特の見た目から「ちんぼきり」「ちんぽばさみ」といった(ひどい)俗称もあります。
なお、英語では「earwig(耳の虫)」と呼びますが、これは「眠っている間に耳の穴に入り込む」という言い伝えのためだといわれています。
細長い体に長い触覚、お尻にはクワガタムシのようなハサミを持っているのが特徴です。カラーは全体的に光沢のある茶褐色や黒色の種類が多く、長く平べったい腹部は可動域が広く、お尻のハサミを持ち上げやすい構造をしています。
このハサミはバッタやゴキブリなどに見られる尾毛が発達したもので、天敵から身を守るときやハサミムシ同士で戦うときに利用します。国内にいる種類の大きさは1〜3cmほどが多いですが、小柄とはいえハサミに挟まれると少し痛いこともあります。
オスとメスはハサミの形で見分けやすいです。オスのハサミはカーブを描いているのに対し、メスのハサミは比較的まっすぐです。なお、一部のハサミムシのオスは、ハサミだけでなくペニスも2本所有していることがわかっています。
日本だけでなく世界各地に分布しており、草むらや朽木、石の下、時にはゴミ捨て場など、直射日光が当たらない湿った場所にいることが多いです。
多くのハサミムシは肉食寄りの雑食で、自分より弱い昆虫や生き物の死骸を食べています。コナガやヨトウムシなど、人間にとって害となる虫を捕らえて食べることもあり、基本的には益虫です。ただし、農作物や観賞食物の花粉や果実を食べる種類も一部います。
ちなみに、天敵は大きなクモやハチといった節足動物、爬虫類や鳥類などです。強力なハサミを振りかざしても歯が立たない相手はたくさんいます。
国内にいるハサミムシの活動時期は、主に春から秋までです。気温が下がると、活動は鈍くなりますが、成虫の状態で越冬することができます。
世界には約1,900種、国内だけでも約40種のハサミムシがいます。ここでは、身近でよく見かけるハサミムシの種類をいくつか紹介します。
北海道から沖縄まで幅広く分布する、もっとも一般的なハサミムシです。ハサミムシを大まかな仲間のことではなく、種類として「ハサミムシ」と呼ぶときは、ハマベハサミムシを指すことが多いです。大きさは2cm弱から3cm強で、黒色の体をしています。
名前の通り触覚の先端付近に白い節があるハサミムシです。脚にも乳白色が見られますが、付け根は黒く、体色全体も黒色です。大きさは1.8~3cmと、ハマベハサミムシとほとんど変わりません。
大きさ2.5~3.5cmと、大柄で迫力のあるハサミムシです。頭部や体の一部に赤みのある茶色が見られ、多少カラフルな印象も受けます。
コブハサミムシは山地など緑が豊かな場所でよく見かけるハサミムシです。大きさは1.2~2cmとやや小さく、体色は赤茶色がかかった黒色ですが、翅の先は黄褐色をしています。ほかのハサミとの大きな違いは、母親が子育てにおいて自分を餌として差し出す点です(そのため、繁殖を視野に入れた飼育ではショックを受けるかもしれません)。
名称に「蝦夷」と付きますが、北海道以外にも幅広く生息する山地性のハサミムシです。大きさは1.5~2cmと小さめで、コブハサミムシとよく似ていますが、エゾハサミムシには飛翔可能な翅があります。
前羽が黄褐色をしているハサミムシです。エゾハサミムシと同じく飛ぶことができ、山地の草木や葉上に止まっていることがあります。大きさは1~2cmと小さく、小さな昆虫のほか花粉を一生懸命食べている姿も見かけます。
ハサミムシは昆虫専門のペットショップで取り扱っていることがありますが、身近でも採集できるためか、どこの店でも見かける存在ではありません。オークションサイトであれば、数百円単位で出品されていることが多いです。ただし外国産の珍しいハサミムシの場合は、5,000円以上で取引されていることもあります。
身近にもいるハサミムシでよければ、自らで採集するとよいでしょう。草むらや朽木、石の下など直射日光が当たらない場所のほか、物置の隙間などにも潜んでいます。捕まえ方も以下の通り簡単です。
軍手がない場合は、ハサミ部分を封じるようにしてつかむのがコツです。慣れていないと反撃を受けることもありますが、たとえハサミで挟まれても少し痛い程度でしょう。ただし、万が一出血を伴う場合はきちんと洗浄・消毒することをおすすめします。ハサミムシに毒はありませんが、傷口からばい菌が繁殖する恐れがあるためです。
ハサミムシを飼うにあたって特別なものは必要ありません。強いていうならダンゴムシやイモムシなどの生き餌ですが、観賞魚用の配合飼料でも代用可能です。
一般的な昆虫用のケースがあれば十分です。ハサミムシは活発に動き回るタイプの昆虫でもないため、サイズは小~中程度で問題ないでしょう。風通しの良い蓋付きのものがおすすめです。
ハサミムシは土中に潜ることも多いため、腐葉土や園芸用の土、ヤシ殻マットなどを入れてあげます。
ハサミムシを採集した場所の土を使うのもよいですが、持ち帰ってもよい場所かどうかの確認は必ず必要です。また、時おり歓迎しない虫や寄生虫まで付いてくることがある点も理解しておきましょう。
ハサミムシは乾燥を嫌います。かといって水浸しの環境でもうまく生きられないため、底床材は霧吹きで適度に湿らせておきます。手で握ると軽く固まりができる程度が目安です。
落ち葉、石、流木など隠れ家となるものも一緒に入れてあげてください。砂土と同じく、採集現場で拾えるのであればそれを利用しても構いません。自宅に妙なものを持ち込みたくない場合は、ショップで売られているものを使うのがおすすめです。
小さな昆虫をはじめ、肉、野菜、昆虫ゼリー、ペットフードなど、基本的には大体何でも食べます。
したがって餌は何でもよいといえますが、基本的には動物性タンパク質を必要とするため、ダンゴムシや蛾の幼虫といった小さな生き物を与えるのがベストです。カマキリと違い、死骸でも食べます。
ハサミムシのお世話はほとんど手間がかかりませんが、意外なことで弱らせてしまうことがあります。ここでは、ハサミムシの上手な飼い方を、やってしまいがちな注意点と併せて解説します。
ほかの昆虫と一緒に飼うと、ハサミムシが餌とみなして襲う可能性があります。また、オス同士だと喧嘩が勃発し、どちらかが命を落とすかもしれません。したがって、基本的には単独飼育をおすすめします。
ハサミムシの子育てを観察したいのであれば、オスとメスの1ペアで飼うのもよいでしょう。交尾し、メスが産卵するとメスは卵を守りますが、種類によっては生まれた子供がお母さんハサミムシを食べてしまうこともあります(コブハサミムシ)。子供のハサミムシがある程度育ってくると、別々に飼育する必要があります。
日光が直射する場所に飼育ケースを置くのは止めましょう。ハサミムシは薄暗くじめじめした場所を好みます。ただ、湿気が必要だからといって霧吹きをかけすぎるのはよくありません。底床材が乾いてきたら2~3回濡らす程度で十分です。飼育ケースの壁やレイアウト材に付いた水滴から水分補給することもあります。
ハサミムシは大食漢ではなく、餌を与えすぎると食べ残しが出ます。餌は少なめにし、食べ切れる量を様子見するとよいでしょう。
頻度は1日1回で十分なことが多いですが、子育て中のハサミムシのメスは、我が子のために多くの食料を必要とします。幼虫は成虫ほど飢餓に強くないため、餌切れを起こさないよう少し多めに与えてください。
なお、食べ残しは飼育ケース内をあっという間に不衛生にし、異臭の原因となります。昆虫ゼリーなど腐敗しにくい餌なら数日置いていても問題ありませんが、野菜くずなどはできるだけ早く取り除きましょう。
ハサミムシの餌は昆虫でなくとも構いませんが、基本的には動物性たんぱく質を好むため、たまには小さな生き物を食べさせてあげましょう。都心でイモムシなどを捕まえるのは難しいかもしれませんが、ダンゴムシなどであれば公園に行けば採集できるはずです。
ハサミムシを飼う醍醐味の一つが、子育ての観察です。メスはカビが生えてこないよう卵をなめて守り、巣穴を清潔に保ちます。孵化後は餌をせっせと与え、子どもが立派になるまで丹念にお世話します。
じっくり観察したいところですが、この様子をたびたび眺めていると、メスが危険を察知して卵や幼虫を隠してしまうことがあります。母性が強い母ハサミムシにとって多大なストレスとなるため、観察はほどほどにしてあげてください。
ハサミムシは採集も飼育も簡単にできる昆虫です。飼育容器は一般的な虫かごで問題なく、餌は基本的には大体何でも食べます。肉食傾向が強いため、たまには昆虫を与えてあげたいですが、観賞魚用の餌や昆虫ゼリーなどで代用しても構いません。
自然界では暗くじめじめした場所を好むことから、飼育容器の置き場所や容器内の湿度には気を配ってあげましょう。また、複数匹をまとめて買うと喧嘩が勃発し、共食いをするケースもあります。トラブルを避けるためにも、単独飼育かオスとメスの1ペアで飼うことをおすすめします。
牧田さん
つがいで飼うと自然に交尾・繁殖し、子育てするメスの様子を観察することもできます。ただし、観察のしすぎはメスにとって大きなストレスになるため、ほどほどにしてあげてくださいね。
※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。
牧田さん
ちなみに、ハサミムシのメスには子育てをする習性がある種類がかなり多いです。一つの場所にまとめて卵を産み、幼虫が独り立ちするまで丹念にお世話するのが特徴です。幼虫は脱皮を繰り返し、数か月で立派な成虫となって独立します。ハサミムシを飼うなら、繁殖にチャレンジしてみるのも面白いでしょう。