【乙女心に刺さる花言葉】ロマンチック花束選手権
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色鮮やかでかわいらしい赤とんぼや、大きく貫禄のあるオニヤンマなどを見て「飼ってみたい!」というお子さんは多いのではないでしょうか。子供に限らず、日本人は世界でも有数のトンボ好きといわれています。三木露風作詞・山田耕筰作曲の『赤とんぼ』は日本を代表する童謡といっても過言ではなく、国際トンボ学会の学会歌に制定されているほどです。
そこでこの記事では、トンボの飼い方を詳しく解説します。ヤゴ(幼虫)から飼ってみたい方向けに、ヤゴの捕まえ方から羽化させるまでの飼育法についてもまとめました。
トンボのように空中を自由に飛び回る昆虫を飼うのは難しいですが、ある程度飛び回れるスペースさえ確保できれば不可能ではありません。餌もペットショップや釣具店で入手できるため、諦める前に当記事で予習してみてください。
トンボは「トンボ亜目」に分類される昆虫で、世界には約5,500もの種類がいます。これらは「均翅亜目(きんしあもく)」「不均翅亜目(ふきんしあもく)」「ムカシトンボ亜目」の3グループに分けられます。
4枚の翅の形がほぼ同じで、止まる際には翅をたたむ種類が多いです。腹部は細身で、弱々しい印象も受けます。代表的な均翅亜目に「イトトンボ科」や「カワトンボ科」がいます。
前後の翅の形が異なり、後ろ翅の付け根が角ばっている種類が多いです。ほとんどの場合、木や葉に止まる際も広げた翅をたたみません。また、均翅亜目に比べると腹部は太く、がっしりとした印象を受けます。代表的な均翅亜目に「オニヤンマ科」や「ヤンマ科」「トンボ科」などがいます。
「生きた化石」と呼ばれる珍しい仲間で、日本・ヒマラヤ、中国のごく一部の限られた地域にしか生息していません。翅の形状は均翅亜目に近く、腹部は不均翅亜目に似ている中間的な存在です。属するのは「ムカシトンボ科」です。
トンボは肉食です。成虫は蚊やハエなどの小さな生き物、時には蜂やチョウなども捕まえて食べます。トンボの飛翔能力は非常に高く、素早く飛ぶのはもちろん、ホバリングや急な方向転換などのテクニックを駆使しながら獲物に近づきます。
小型の獲物であれば飛びながら、大型の獲物であれば近くの木や葉に止まって食事します。クモは多くのトンボにとって天敵ですが、大型のヤンマはクモを襲うこともあります。
幼虫(ヤゴ)時代も肉食であり、種類によって異なりますが、ミジンコやイトミミズ、オタマジャクシ、小魚といった水中の小動物を捕らえて食べることが多いです。食欲旺盛で何でも食べる傾向があるため、同種や別種の幼虫同士で食い合うケースもあります。
多くのトンボは短命です。孵化から羽化、産卵、死までの一生が1年間の種類、1年間に2世代を繰り返す種類が大半です。特に短命なのはウスバキトンボやアメイロトンボの仲間で、成虫は1~2か月で力尽きるといわれています。
一方で、ムカシトンボのように幼虫期間だけで5~8年ほども過ごす種類もいます。
成熟したトンボのオスは、メスがやってきそうな水辺を縄張りとし、メスを見つけると捕まえてタンデム飛行をしながら交尾します。交尾中でも器用に素早く飛び回れるのは、トンボならではの飛翔能力といえるでしょう。
メスの産卵場所は種類によってさまざまであり、飛行中に産む種類もいれば、水面に尾をつけて産む種類もいます。また、植物の中に産み付ける種類もいます。
卵が孵化するまでの期間も種類によってさまざまです。一般的に、卵のまま越冬する種類は孵化までの期間が長く、100日以上かかることもあります。
孵化した幼虫は水中を生活拠点とし、複数回の脱皮を経て羽化、成虫となります(さなぎにはなりません)。幼虫の皮から直立するように上半身を出すタイプ(直立型)と、上半身をのけぞるようにして出てくるタイプ(倒垂型)がいます。
成虫になったトンボは生活拠点としていた水辺を離れ、林や草原などで暮らします。繁殖期が近づくとまた戻ってきますが、自分が生まれた地に帰ってくるとは限りません。さまざまな場所を旅しながら、最適だと思った場所で次の命をつむぎます。
トンボを飼うには成虫を捕まえなければなりません。昔に比べると数は減ったものの、緑豊かな地域や水田近くにはたくさんのトンボが飛んでいます。ここでは、身近で見かけやすいトンボを7種類紹介します。
「赤とんぼ」の相性で親しまれている、全長約4cmの赤いとんぼです。赤くなるのは平地に降りてくる秋頃であり、はじめはオレンジ色をしています。日本では北海道から吸収に広く分布し、農作物に付く害虫を食べる「益虫」として愛されていますが、個体数は激減傾向にあるといわれています。
アキアカネと同じ「赤とんぼ」に「ナツアカネ」「ミヤマアカネ」「コノシメトンボ」もいます。
日本に生息する最大級のトンボで、全長10cmを超える個体もいます。黒い体に黄色の横縞が入っているのが特徴。グリーンの大きな眼も印象的です。
オニヤンマは非常に獰猛なハンターで、スズメバチの仲間を襲って食べることもあります。顎の力は非常に強く、人間が噛まれると血が出る恐れもあるほどです。夏空の王者とも呼べる存在でしょう。
オニヤンマと並ぶトンボ界の王者であり、子供たちの人気者。全長は約7cmとオニヤンマには敵いませんが、非常に風格のあるトンボです。
体色は頭・胸部が明るい緑色、腹部は黄褐々です。また、腹部第3節の下部が銀白色をしており、これがギンヤンマの名称の由来だといわれています。オスの場合、胸部と胸部の境界にあたる部分がきれいな水色になるのも特徴の一つです。
ウスバキトンボはお盆あたりによく見られることから、「盆とんぼ」「精霊とんぼ」などと呼ばれています。体長は約5cm、体色は黄~朱に近いオレンジのためアキアカネと混同されがちですが、完全に別種で、ウスバキトンボは「赤とんぼ」ですらありません。
ウスバキトンボは熱帯などの暖かい地域出身であり、海を超えて日本をはじめとする世界中へ飛んできます。しかし日本の冬には耐えられず、せっかく産んだ卵を含めて全滅する運命にあります。にもかかわらず、翌年には新たなウスバキトンボがやってきます。
シオカラトンボは市街地の水辺にも現れるポピュラーなトンボです。体長は約5cm、体色は黒と青みを帯びたグレーで構成されており、オスの腹部には塩を連想させる白い粉のような模様が見られます。メスの腹部は黄色っぽいため、見分けはつきやすいでしょう。
シオカラトンボに近縁の種類に「オオシオカラトンボ」「シオヤトンボ」などがいます。
イトトンボ科のトンボは、名称通り細長い糸のような体をしています。均翅亜目に属しており、4枚の翅をたたむようにして止まる姿が特徴的です。
湿地や田んぼなど水かさの少ないところを好み、水面近くをゆっくり飛んでいることが多いです。主なイトトンボに「アジアイトトンボ」「ホソミオツネントンボ」「ムスジイトトンボ」「モートンイトトンボ」などがいます。
ショウジョウトンボは、メスは茶色ですが、オスは頭部から足先まで真っ赤な体色をしています。体長は5cm程度で、アキアカネと違い初めから赤い正真正銘の「赤とんぼ」なのにもかかわらず、ウスバキトンボと同様にアカネ属に属さないため「赤とんぼ」と呼ぶことはありません。
オスの性格は非常に攻撃的です。縄張り意識も強く、ライバルたちを追い払っている姿を見かけることもあります。ちなみに、ショウジョウとは中国の想像上の生き物である「猩猩」という赤い猿から付けられたといわれています。
飼いたい種類が決まっていれば、そのトンボが好む場所へ向かいましょう。身近にいるトンボなら何でもよい場合、平地から山地の川沿いや湖畔、水田の付近を探してみてください。トンボは人間の目に付きやすい場所に姿を現すため、見つけること自体はそう苦労しないでしょう。
トンボは素手でも捕獲できます。どこかに止まり翅を休めていたら、ゆっくりと蛇行しながら近づくのがコツです。一直線に進むと驚異を与えやすく、逃げられてしまう可能性が高まります。
手が届く範囲まで近づけたら、
上記のどちらかの方法で捕獲できます。まずは両手で包み込み、手の中のトンボが落ち着いたら翅をつまむやり方もあります。
なお、トンボが手を噛むことがあるため、安全を期すなら軍手や手袋の着用をおすすめします。
網があれば飛んでいるトンボも捕まえられます。飛行中のトンボの横からさっと網を被せましょう。止まっているトンボに対しての距離の詰め方は、素手で紹介した方法と同じです。
網から出す際は、せっかく網の中に入ったトンボが逃げないよう注意しましょう。
ブリとはトンボ釣りそのもの、あるいはトンボ釣りに使う自作アイテムのことを指します。主にギンヤンマなど大型のトンボを捕まえる方法として、京阪神を中心に広まったといわれています。
作り方は簡単。豆粒大の小石を紙や布で包んだものを2つ用意し、それらを1mほどの糸で結べば完成です。
これをトンボの正面から頭上を飛び越すように投げると、小石を虫(餌)だと勘違いしてブリを追います。結果、石の重みで回る糸に絡まって動けなくなり墜落します。ブリを外す際はゆっくり、体がちぎれないように丁寧に外してあげてください。
ここではトンボの成虫を飼育する際に必要なものを紹介します。ただしトンボは飼育が難しく、慣れていないとすぐに死なせてしまう恐れがあります。
トンボのように飛翔する昆虫を飼育ケースで飼うのは難しいといえます。できるだけ自由に動き回れるよう、鉢木を間隔をおきながらいくつか配置し、全体にネットを被せ 、広いスペースの中で飼育するのがよいでしょう。
室内にトンボ専用のスペースを設け、蚊帳や古いカーテンなどで覆う手もあります。
どうしても飼育ケースしか用意できない場合は、できるだけ大きいものを用意してあげましょう。ただし、1日に1回は飼育ケースから出し、自由に飛び回らせてあげてください。
トンボが体を休められるよう、足場となる止まり木を置いてあげましょう。飼育ケースの大きさに合わせて選んでください。自然にあるものを利用しても構いませんが、歓迎しない菌や寄生虫がいるケースがあるため要注意です。
トンボにはハエ、ガ、チョウなど生きている昆虫を与えるのが一番です。生き餌を捕獲するのが難しい場合は、爬虫類の餌用に販売されているコオロギや釣りに使うミルワーム、サバ虫などを購入するとよいでしょう。
なお、子供に「生き物を飼う大変さ」を理解してもらうために、餌集めを担ってもらうという手もあります。
トンボも他の昆虫同様に高温、日差し、乾燥に弱いため、霧吹きなどを使い適度に保湿してあげましょう。
牧田さん
飼育下の室内で、トンボを水の中に産卵させるのはかなりの難易度ですが、広いスペースとしっかりした水場が用意できれば、チャレンジしてみるのもありだと思います。
ここでは、トンボの上手な飼い方と注意点を併せて解説します。たとえ短期間でもペットとして接するのですから、できるだけ快適な環境を用意してあげましょう。
トンボにとって広いスペースを飛び回ることは極めて大事なので、なるべく広いスペースを用意してあげましょう。また、保湿も大事です。霧吹きで保湿したり、水場を作ったりしてあげましょう。特に真夏日はすぐに乾燥したり、水場の水も痛むため、適度な水の交換が必要です。
トンボの種類にもよりますが、基本的に直射日光は避けたほうが無難です。飼育ケースの置き場所には注意しましょう。
トンボはスマートな見た目とは裏腹にかなりの大食いです。例えばサバ虫であれば、1日に3~5個食べることもあります。餓死させないよう、生き餌はたっぷり与えてください。
どうしても虫が苦手な方や、捕まえるのが難しいという方は、ひき肉など細かく柔らかい肉でも代用可能です。口の前に持っていき、生きているかのように震わせると食べてくれることがあります。ただ、やはり生き餌に比べると食いつきはよくありません。
成虫ではなく、「ヤゴ」と呼ばれる幼虫を捕まえて羽化するまで育ててみたい方もいるでしょう。幼虫は水生昆虫であり、成虫とは飼い方・育て方がまったく異なります。ここでは、ヤゴを羽化させるまでの流れを解説します。
ちなみに、「ヤゴ」とは「ヤンマの子」の略称・通称です。
ヤゴは公園の池や水田、小川、学校のプールなどの水辺にいます。種類によっている場所が異なりますが、育てやすいのは田んぼや池などにいる、アキアカネなどのヤゴです。流れのある川にいるヤンマなどのヤゴは少々難しいといえます。
タモなどで直接すくいますが、目を凝らしても見つからない場合は、水草や砂の中なども探してみましょう。足でかきまぜると出てくることがあります。捕まえたら、水と水草を入れたバケツなどに入れて持ち帰りましょう。
水槽を用意し、底砂の砂利と足場や隠れ家となる水草、小石、木の棒などを入れてあげましょう。砂利は4~5cmあれば十分です。
飼育水は水道水で構いませんが、カルキ抜きは必要です。水道水を1日汲み置きしてから使うか、カルキ抜きを使用しましょう。また、水温は高すぎても低すぎてもいけません。20〜25℃を目安に調整してください。飼育ケースが小さな場合は、ろ過装置もあったほうが安全です。
餌は成虫と変わらず、生きた昆虫や魚を食べています。ミミズ、ミジンコ、ヒメダカ、オタマジャクシ、アカムシなどを与えてください。餌の量は多すぎず、少なすぎずと調整が難しいため、毎日のお世話のなかで適量を覚えましょう。複数匹を飼う場合、餌が少ないと共食いを始めるため要注意です。
食べかすは水を汚す原因となるため、網などを使って取り除いてください。
ヤゴの食欲が減退し、翅部分が盛り上がってきたら羽化が近いと考えられます。羽化は水辺から上がって行うため、水面から10cm程度出るような棒を立ててあげるとよいでしょう。飼育ケースの天井が低い場合は、水量を少なくしてやるのもコツです。
通常、羽化は夜間に行われます。羽化が終わり、翅が伸びて乾いていたら逃してあげましょう。
トンボを飼うにあたり、もう少し気になる疑問や不安をQ&A形式でお答えします。
A.この程度のことで、トンボの頭は取れないでしょう。そのような経験をした方はおそらく、元々頭が取れかかっていたトンボに対して行い、風か何かで頭が取れてしまったのではないでしょうか。
A.真夏によく見られる光景ですね。お尻を持ち上げて止まっているトンボは、日差し対策をしていると考えられます。逆立ちのような体勢になることで、太陽の光を浴びる面積を減らしているのでしょう。
ずっと観察していると、時間帯によってお尻の高さを変えたり、風向きによって体の向きを変えたりしている様子を観察できます。このように、トンボのなかには暑さが苦手な種類がいるため、飼育ケースの置き場所にはご注意ください。
A.トンボは丸くて大きな複眼を持っているため視野が広く、動体視力も優れています。視力は人間の基準でいえば0.01程度ですが、動体視力は10倍以上あります。加えて、ホバリングやバック、宙返りといった高い飛翔能力も生かしています。
牧田さん
さらにトンボはものすごく素早く飛ぶことができます。オニヤンマの場合、時速70kmほどのスピードを出すこともできてしまいます!
成虫のトンボは飼うのが難しい昆虫です。相応のスペースや豊富な餌を確保できない場合、数日観察したら逃してあげてはいかがでしょうか。
元気なトンボとたくさん触れ合いたい場合、トンボのほうから自宅に来てもらう方法もあります。庭やベランダに、簡易的なミニビオトープ(いろいろな生物が暮らす場所)を作ることです。
まず用意するものは、プランターや水鉢などの容器と黒土、川砂、小石など。土や砂を入れ、水を入れたらアシやガマなどの水草を植えます。ボウフラ対策、汚れ対策としてヒメダカ、タニシを数匹入れるとよいでしょう。小さな生態系を作ることが目的なので、餌を与える必要はありません。
トンボが発見してくれれば、自宅のミニビオトープを縄張りとし、居付いてくれるかもしれません。立地によってはトンボが来てくれないかもしれませんが、試してみる価値は十分あります。ミニビオトープに使う素材はセット販売していることもあるので、興味があればぜひお試しください。
牧田さん
ある程度観察したら捕まえた元の場所に帰してあげるにも一つの選択肢です。