日傘のスキをなくしたら妖怪っぽくなった話
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籾殻くん炭は、土壌改良に優れた効果を発揮し、作物が育ちやすい土を簡単に作ってくれる園芸資材です。農家さんにはなじみ深いものですが、家庭菜園で使用している人は少ないかもしれません。
しかし、初心者にも使いやすく、鶏や牛の餌にも使われるほど安全で、有機栽培を目指す人に最適な資材でもあります。ここでは、籾殻くん炭の詳しい使い方や効果、作り方について紹介します。
そもそも「籾殻(もみがら)」とは何を指すのでしょうか。
籾殻とは、稲の一番外側の硬い殻のことで、脱穀する過程で大量にとれるものです。収穫が終わった田んぼで、山積みになっている籾殻を見たことがある人も多いかもしれません。この籾殻を400℃ほどの比較的低温で蒸し焼きにして炭化させたものが「籾殻くん炭」です。
空気をたくさん含んでいるためとても軽いのが特徴で、1リットルで100gほどしかありません。挿し木や水耕栽培に使われるバーミキュライトと同じくらいの重さになります。
主成分はケイ酸と炭素がほとんどで、あとは窒素と水素がわずかに入っているだけです。そのため、肥料として使われることはほとんどありません。籾殻のままでも使えますが、籾殻くん炭にすることで、土に混ぜた時の分解スピードが上がり、よりスムーズに土壌改良ができます。
籾殻くん炭は、アルカリ性の性質で、土壌を中和する力があります。
日本は強い酸性の雨が降るため、土壌が酸性になりがちです。酸性の土壌では作物は育ちにくく、収穫量アップは見込めません。そのため、籾殻くん炭を使って中和する必要があるのです。
土の酸度調整には、一般的に苦土石灰が使われますが、籾殻くん炭も同じくらいの中和能力があります。また、消石灰ほどアルカリ分が多くないので、作物の根に悪い影響が出づらく、散布後すぐに種まきや植え付けができるのもメリットです。
籾殻くん炭は、土の保水性・排水性を改善する資材でもあります。籾殻は、炭化させると目に見えないほどの小さな穴がたくさん開くため、土に混ぜ込むとその穴を空気や水が通り、通気性や排水性が改善されます。
また、籾殻くん炭は自重の680%もの水分を蓄えることができる、優れた保水性があります。通気性や排水性が改善されると植物の根腐れを防ぐことができ、保水性が改善されると夏場の水切れを防ぐことができます。
籾殻くん炭を混ぜ込み、保水性や排水性が改善された畑は、微生物にとって過ごしやすい環境になります。微生物が増えると土はフカフカになり、病気にもかかりにくく、植物にとっても最適な環境となります。
籾殻くん炭は土に混ぜ込んで使うのが一般的です。土全体の1割の量を目安に混ぜ込みましょう。
畑全体に散布したら、地中10cmくらいまでよく混ぜ込みます。少なすぎると土壌改良効果が出にくいですが、多すぎても生育に悪い影響が出るため、適量の散布を心がけましょう。
籾殻くん炭を苗の周りに1〜3cmほどの厚みでまく方法です。これは「マルチング」という方法で、土の表面を覆うことで乾燥を防いだり、雑草を防止するのが目的です。ビニール製のマルチが使われることが多いですが、籾殻くん炭やワラで代用することもできます。
籾殻くん炭の黒色は太陽の熱を吸収しやすく、寒さに弱い植物の保温用としても重宝してくれます。
籾殻くん炭は土よりも比重が軽いので、使いすぎると土の強度が落ちて植物が倒れやすくなります。使用量は全体の10%ほどにとどめましょう。
籾殻くん炭を使いすぎると土壌がアルカリに傾きすぎてしまいます。ほとんどの作物はアルカリ性の土壌ではうまく育ちません。
一般的な作物が好むpH5.5〜pH7.0になるよう、酸度測定器を使いながら使用量を調整しましょう。
籾殻くん炭は、くん炭器という煙突状の道具を使って作ります。トタン製とステンレス製がありますが、トタン製は傷むのが早いため、ステンレス製の使用がおすすめです。
※ドラム缶が用意できない場合は土の上でも作れます。籾殻が風で飛ばされないよう十分注意してください。
籾殻くん炭を作るには火を使います。大量の煙と匂いが発生するため、住宅密集地で作るのはやめましょう。
また、住宅が密集していなくても風がある日は避けてください。火の粉が飛んで非常に危険です。
籾殻くん炭を作るには丸一日以上かかります。火がついている間は火のそばを離れてはいけません。時間に余裕を持って行いましょう。
温度が上がりすぎると炭化せずに灰になります。籾殻が灰になっていたり、火がついていたら、水をかけて温度を下げてください。
炭化した籾殻は、火がついていなくても非常に高温です。少しでも火種が残っていると、そこから発火する恐れもあります。大量の水をかけて消火してください。
籾殻くん炭は、化学資材を一切使わない安全な土壌改良資材です。使いすぎに注意すれば、野菜作りがはじめてでも手軽に使うことができます。
また、籾殻くん炭をベースに米ぬかを加えて発酵させることで、「籾殻くん炭ぼかし」という資材も手作りできます。自作するのは少し手間がかかりますが、野菜栽培に慣れてきたらぜひ挑戦してみてくださいね。