八百屋歴10年のプロが指南。新鮮でおいしい産直野菜を選ぶコツ
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消石灰は、石灰でできた農業・園芸資材のひとつで、畑の土壌改良に使われます。おいしい野菜を作るために必要なリン酸を多く含むことから、家庭菜園でも活用したい資材です。
かつては小学校のグラウンドで、ライン引きとして使われていたほか、家畜の消毒や虫除けに効果があるとして重宝されてきました。一方で、使い方を間違えるとケガにつながる危険な薬品でもあります。
この記事では、園芸や家庭菜園における消石灰の正しい使い方や、苦土石灰、有機石灰、生石灰との違いについても詳しくご紹介します。
消石灰の原料は石灰石です。 石灰石を粉砕したのち、焼成、加水、消化、熟成の工程を経て、消石灰となります。
消石灰のアルカリ分は65%で「強アルカリ性」が特徴です。形状は、粉または塊状で、散布しやすいように粒状に加工したものも販売されています。
また、石灰石を粉砕したものを「重質炭酸カルシウム」と呼び、塗料や建材、接着剤など、幅広く利用されています。
園芸では、土壌改良に効果を発揮します。
雨が多い日本は土壌が酸性に傾きやすく、作物にとって育ちにくい環境です。また、雨によって土壌のカルシウムやマグネシウムが流されると、作物が育つのに必要な栄養が不足します。
カルシウムとマグネシウムの不足は、病気を引き起こし収穫量が減る原因となります。
その問題を解決するには、消石灰が有効です。消石灰は、酸性に傾いた土壌を中和し、カルシウムを補給する働きがあります。
ただし、消石灰ではマグネシウムの補給はできません。マグネシウムの補給が目的であれば、苦土石灰の使用がおすすめです。
長く使っていない畑や、耕作放棄地などに手を加えるときは、消石灰が良いでしょう。
苦土石灰は、消石灰よりアルカリ分が少なく、消石灰に入っていないマグネシウムを含む石灰資材です。
苦土石灰は「ドロマイト」という鉱石を、使いやすいように粉状や粒状にしています。アルカリ分が53%と消石灰よりも少なく、土壌改良の効き目が比較的ゆっくりなのが特徴です。
また、苦土石灰に含まれるマグネシウムは、植物の酵素を活性化させ、リン酸の吸収を助ける働きがあります。リン酸は、ナスやトマト、ピーマンなどの実野菜を元気にする力があるので、結果的に収穫量の増加につながります。
苦土石灰は、植え付けと同時に撒くこともできますが、肥料焼けを防ぐために数日〜1週間前に撒くと良いでしょう。撒く量の目安は、1㎡あたり100gです。
有機石灰は、カキ殻や卵の殻を原料としています。アルカリ分は苦土石灰よりさらに少ない40%で、土壌改良の効き目は非常に遅くなります。
こうした特性から、肥料や堆肥と一緒に混ぜて使っても問題ありません。石灰や肥料の散布と同時に植え付けもできるのは、他の石灰資材にないメリットです。
また、畑や家庭菜園に不足しがちなミネラルやカルシウム、フミン酸などを補給できます。はじめての野菜作りでも安心して使用できる、使いやすい石灰資材といえるでしょう。
消石灰と似た名前の石灰資材に「生石灰」がありますが、これは園芸や農業には使いません。
生石灰はアルカリ分が80%あり、水を加えると発火するほどの高温になります。乾燥剤やお弁当の加温剤に使われるほか、工業用として鉄鋼や紙パルプの安定処理にも使われます。
消石灰は、酸性土壌の中和に最適です。
土壌の水素イオン濃度を現す「pH(ペーハー)」の値は、0が酸性、14がアルカリ性ですが、消石灰はpH12の「強アルカリ性」の性質を持っています。これは、台所用の漂白剤とほぼ同じ数値です。
この強いアルカリ性の消石灰が、酸性寄りの土壌を強力に中和してくれるのです。
消石灰には消毒作用があるため、細菌やウイルスの除菌や、農具や農機の消毒にも使われます。その特性は、ダニやコクシジウムといった害虫の防除にも効果的です。
ただ、殺虫効果はありません。あくまで防虫です。そのため、畑や家庭菜園で虫が出た場合は、殺虫剤を使う必要があります。
酸性が強い土壌では、野菜の根が傷んだり生育が悪くなったりします。
生育不良を防ぐには、土壌の酸度測定が大切です。作物によって適正なpHは違うため、育てる野菜に応じて酸度を調整してあげましょう。
例えば、さつまいもやじゃがいもの適正pHは5.5〜6.0、きゅうり、なす、トマトの適正pHは6.0〜6.5です。
pHを1.0あげるには、1㎡あたり消石灰が80g必要です。また、苦土石灰の場合は100g、有機石灰なら130g必要です。
酸度測定は「土壌酸度計」で行います。数百円から数千円で購入でき、土に挿して簡単に測定できるので、ぜひ取り入れてみてくださいね。
TKG デジタル酸度計 PH
消石灰を使った土づくりの手順を紹介します。消石灰の飛散や水濡れに十分注意して作業を行ってください。
苦土石灰や有機石灰を使う場合でも、4までは同じ手順になります。苦土石灰は、散布から数日〜1週間あけ、有機石灰は散布後すぐに植え付けしても大丈夫です。
石灰は、カルシウムの補給に役立つ資材ですが、使いすぎに注意しましょう。石灰の撒きすぎで土壌がアルカリ性に大きく傾くと、根からの吸収率が落ちて生育不良を起こします。
不足しているカルシウムの補給は簡単ですが、過剰なカルシウムを減らすのは簡単ではありません。石灰を撒く量の目安は、1㎡あたり100g。使う分量はしっかり守りましょう。
なお、撒いてもいいとされる限度は以下の通りです。
【1㎡あたりの使用限度】
上記の量以上を散布すると、土の中の栄養バランスが崩れます。適正量を守って正しく散布しましょう。
強アルカリ性の消石灰は、目に入ると角膜や結膜を傷つけ、後遺症が残ることもあります。過去には、失明する事故も起きています。
消石灰を使うときは、長袖・長ズボン・保護メガネ・マスクを必ず装着し作業を行いましょう。また、小さな子どもや動物がそばにいる状況で使わないように気を付けてください。
消石灰は効き目がとても強いため、種まき・植え付けを行う際は、最低でも2週間、できれば1ヶ月あけてから行うようにしましょう。消石灰の散布と同時に植え付けると、肥料焼けを起こして、葉がしおれたり、焼けたりすることがあります。
また、消石灰とチッ素分を含む肥料などを混ぜると、土の中でアンモニアガスが発生し、作物の根を痛める原因となります。
もし、どうしても肥料と石灰を同時に撒く必要があるときは、有機石灰を使うとよいでしょう。
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