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家庭菜園で石灰を使うのは知っているけど、どれを選べば良いかよく分からない。そんな方も多いのではないでしょうか。
石灰にはいくつか種類がありますが、その中でも苦土石灰は、土壌改良と栄養補給が同時にできる優れた資材です。初めてでも扱いやすい資材なので、この記事を参考にぜひ苦土石灰を使ってみてください。
苦土石灰は、酸性の土壌をアルカリ性に傾けるための資材です。
一般的な野菜は、土壌の酸性値が「pH5.5〜pH7.0」程度の、弱酸性から中性の土壌を好みます。しかし、日本では酸性の雨が降るため、畑の土が酸性に傾きやすく、野菜栽培には不向きな環境なのです。そのため、苦土石灰を利用して野菜が育ちやすい環境をつくる必要があります。
もちろんすべての畑に苦土石灰が必要な訳ではなく、育てたい作物の適正pHになっていれば必要ありません。作物によって好む土壌環境は違うので、まずは育てたい作物のpHを知るところから始めましょう。
苦土石灰は製鉄やガラスの原料として使用される鉱物「ドロマイト」を粉砕後、粒度調整したものです。苦土石灰の主な成分はマグネシウム(苦土)とカルシウム(石灰)で、化学式ではCa・Mg(CO3)2と表記します。
植物が光合成を行うには「葉緑素」が必要ですが、この葉緑素にはマグネシウム(Mg)が不可欠です。マグネシウムが不足すると葉は黄色く変色し、最終的には枯れてしまうこともあります。
また、カルシウム(Ca)は植物の細胞膜や細胞壁を作るのに大切な成分です。カルシウムが不足すると細胞膜や細胞壁がうまく作れず、トマトの「尻腐れ病」や、キャベツの「芯腐れ」、サトイモの「芽つぶれ」など、多くの作物で生育障害が発生します。
このように、苦土石灰は酸度調整と栄養補給ができる優れた資材なのです。
苦土石灰と名前の似た、「消石灰」や「有機石灰」というものもあります。これらの一番の違いは、アルカリ分の含有量です。
苦土石灰のアルカリ分は50~55%、消石灰は60%以上、有機石灰は40〜45%程度です。アルカリ分が多いほど、酸性に傾いた土壌を早く中和してくれます。
有機石灰は、カキ殻や卵の殻などの有機物から作った石灰で、土壌を中和する力は弱いですが、カルシウムの補給用として広く使われています。散布した直後でも植え付けができるので、植え付けまでに時間がない時に重宝する資材です。
有機石灰(かきがら)
苦土石灰には、粉状のものと粒状に加工したものがあります。どちらを使用しても大丈夫ですが、粒状のほうが風で飛ばされることがなく使いやすいです。ただ、溶けるまでに時間がかかるので、粉状よりも効果がゆっくりあらわれます。
苦土石灰(粉末)
苦土石灰(粒状)
苦土石灰は効果がでるまでに時間がかかるため、粉状も粒状も植え付けの1〜2週間前に散布し、土としっかり混ぜ合わせましょう。雨が降る前に散布すると、溶け出しがスムーズで効率よく中和が進みますよ。
苦土石灰の使用量は土の質によって変わります。一般的な畑や菜園の場合、pHを1上げる目安は、1㎡あたり100g~200gになります。
土壌pHを知るには、土壌酸度計を使えば簡単に調べられます。作物によって好む土壌環境は違うので、育てたい野菜に合ったpHに調整するよう心がけましょう。
苦土石灰は撒いて土と混ぜ合わせた後、すぐに植え付けができます。その理由は、消石灰に比べアルカリ分が少なく、根を傷める可能性が低いからです。
ただ、苦土石灰は緩効性のため効果が出るまでに1〜2週間かかります。散布後にすぐ植えても土壌は酸性のままなので、効果をすぐ得ることはできません。作物のためにも、植え付けの1〜2週間前には散布しておきましょう。
苦土石灰を撒きすぎると2つの弊害が起こります。
1つ目は微量要素の欠乏です。
苦土石灰はアルカリ性のため、撒きすぎると土壌が強いアルカリ性に傾きます。アルカリ性土壌では、鉄や亜鉛・マンガンなどの微量要素を吸収できなくなり、植物は微量要素欠乏を引き起こします。
2つ目は土が硬くなることです。
消石灰ほどではありませんが、土がカチカチになります。土が硬いと植物の根が伸びず、生育が悪くなります。土が硬くなったと感じたら、腐葉土やバーク堆肥などの植物性堆肥を混ぜ込むと改善できるでしょう。
酸性土壌をアルカリ性にするのは簡単ですが、アルカリ性土壌を酸性にするのはとても難しいので、撒きすぎにはくれぐれも注意してください。
札埜さん
日本の雨は弱酸性ですので、アルカリ性の畑でも少しずつ酸性になるでしょうが、アルカリ性の畑を短期間で酸性にする現実的な手段は無いと考えたほうが良いと思います。
苦土石灰は肥料や堆肥と同時に撒くことはできません。
肥料と混ぜて散布すると、苦土石灰の石灰成分が肥料の窒素成分と反応してアンモニアガスを発生させます。アンモニアガスはそもそも人体に有害ですし、せっかく与えた肥料成分を消失させてしまうので、苦土石灰と窒素肥料を一緒に撒いてはいけません。
また、苦土石灰と堆肥も同時に撒かないほうが良いでしょう。苦土石灰の殺菌力が原因で、堆肥の微生物が死んでしまいます。
腐葉土は堆肥と一緒に撒くものなので、苦土石灰と一緒には使用しません。
散布する一般的な順番は、以下のような順番になります。
苦土石灰は、作物を植えた後から撒くことはできません。作物の根が傷み、最悪の場合枯れてしまいます。作物を植えた後に酸度調整をしたい場合は、草木灰を試しましょう。
草木灰は、苦土石灰よりもアルカリ分が少ないので、根を傷めるリスクは少ないです。ただし、撒きすぎは作物に悪影響なので適量散布を徹底しましょう。
また、マグネシウムの補給が目的であれば、苦土石灰は使えます。雨が降る前に土の上に撒いておけば(土と混ぜ合わせない)、雨でマグネシウムが溶け出し、栄養を補給してくれるでしょう。
苦土石灰が必要のない野菜や作物もあります。
ブルーベリーは「pH4.3〜pH5.5」の酸性土壌を好みます。そのため、苦土石灰で酸度を調整する必要はありません。むしろ、ピートモスを混ぜて土壌を酸性に傾ける必要があるほどです。
ピートモスのpH調整
ジャガイモやサトイモも苦土石灰は必要ありません。特にジャガイモは苦土石灰を与えると、土壌がアルカリ性に傾きすぎて「そうか病」という病気にかかってしまいます。
札埜さん
他にはツツジやサツキ、チャなどが酸性土壌を好む作物といわれています。
苦土石灰は土壌改良材でありながら、栄養補給もできる優れた資材です。撒きすぎに注意すれば初めてでも簡単に使うことができます。苦土石灰を使って手軽に野菜作りを始めましょう。
札埜さん
しかし、消石灰はアルカリ分がとても強く、アルカリ性に傾きすぎるため、家庭菜園で使用する際には注意が必要です。皮膚や目に触れないように長袖、長ズボン、保護メガネ、マスク、手袋などをして扱うようにしましょう。園芸資材として使われるだけでなく、下水の殺菌や、焼却施設での排ガス除去などの目的で利用されます。