料理研究家・リュウジの簡単やばうまレシピ「キノコ柚子胡椒バターパスタ」
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ハーブが収穫できるようになったら、ハーブを「挿し木」で増やしてみませんか?
ハーブは、丈夫で生命力旺盛な種類のものが多く、初心者でも比較的簡単に挿し木で増やすことができます。今回は、挿し木で育てるハーブの育て方と、挿し木で育てやすい5種類のハーブを紹介します。
ハーブを増やす方法は、挿し木、種まき、株分けなどがあります。
栽培しているハーブから種を採取して種まきで殖やす方法は、種の保管や発芽から定植までのハードルが高めです。また、株分けで殖やす方法は、株分けに向くハーブの種類が限られています。
一方、挿し木に向くハーブの種類は比較的多く、手入れもしやすいです。挿し木は、初心者にとってハードルが低いハーブの増やし方といえるでしょう。
挿し木とは、丈夫な枝や茎の先端を切り取って、土や水に挿して根を出す方法です。挿し木に適した気候は20℃前後で、湿気が少なければベストです。
この条件に当てはまればいつでも始めることができますが、日本の場合は初夏か秋頃が適していることが多いです。
まず、殖やしたいハーブの茎の先端を10~15cmほど切り取り、土に埋まる部分の下葉を取り除きます。例えばローズマリーはだいたい2~3節分、ミントのように節と節の間が長いハーブは1節分を目安に、指で葉を取り除きます。これで挿し穂の完成です。
次に、挿し穂を土に挿して発根させます。鉢を使っても構いませんが、育苗ポットを使うとスムーズに発根します。
ポットに9分目くらいまで培養土を入れ、水をかけて土全体を湿らせたら、土表面中央に軽く押し込むようにして、挿し穂を挿しこみます。下葉を取り除いた部分が土に埋まる深さが目安です。
ローズマリーのような茎が硬い種類のハーブはそのまままっすぐ挿しこむことができますが、茎が柔らかい種類のハーブを挿しこむときには、あらかじめ土の表面に下穴をあけておくとよいでしょう。
ハーブを挿し木したポットは、3~4日間ほど直射日光の当たらない明るい日陰で保管します。その間、土が乾きすぎないよう、しっかり水やりしてください。その後、日当たりの良い場所に移動します。
挿し木したハーブがポットにしっかり根を張ったら、鉢や畑に植え替えます。ハーブの種類にもよりますが、挿し木をしてから大体2週間ほどで根が十分に張ってきます。
ちなみに、根が張ってきたかどうかは、苗をポットから取り出して目視するか、株元を指でつまんで軽く引っ張ってみて確認できます。株元を軽く引っ張ったときに重たい感じがすれば、根がしっかりと張っているしるしです。
植え替える際には、植え付ける場所に苗が入るくらいの大きさの穴をあけ、苗を入れます。穴の深さは、苗のいちばん下の節が埋まるか埋まらないくらいの位置に調整しましょう。
穴が浅いと、挿し穂が倒れてしまうことがあります。また、根が地表に出ていたり、下葉が埋まっていたりしないか注意しましょう。周囲の隙間にも用土を敷き詰め、表面を手で軽く押さえて苗を安定させます。
育苗ポットから鉢や畑に植え付けた後は、すぐにたっぷりと水をやります。挿し穂はまだもろい状態ですので、やわらかい水勢で水やりできるジョウロを使いましょう。
挿し木は誰でも簡単に始められる方法ですが、いくつか注意点があります。
まず、挿し木用の枝や茎を切り取るときは、病気や害虫のついていない、健康な葉がついた枝や茎を選びましょう。新しい清潔な用土を使うことも、挿し木を成功させるポイントです。
また、挿し木の作業をする日の気候も、その後の苗の生長に影響してきますので、挿し木に適した気候の日に作業するようにしましょう。
水に挿し木すれば、土に挿し木するよりも手軽にハーブの生長を楽しむことができます。挿し木用の挿し穂のつくりかたは、土に挿し木して育てる場合と同じです。
その後の手順は、コップや瓶などの容器に水を張って挿し穂を水に挿すだけです。このとき、挿し穂の下方にある下葉が水に浸らないよう注意しましょう。下葉が腐って水を汚染してしまいます。
水に挿して数日~1週間で根が出てきます。十分に根が発達したら土に植え替えましょう。
ハーブを水に挿し木する際のポイントは、毎日水替えを欠かさないことです。水替えを怠ると、せっかく出てきた根が腐ってしまいます。
挿し穂を挿した容器は、直射日光の当たらない明るい室内に置き、毎日の水替えで容器の内側をよく洗って清潔に保ちましょう。
ローズマリーは、挿し木で育てやすいハーブの代表格です。木の性質によって、まっすぐ伸びるトスカーナブルー、地をはうように伸びるほふく性のマックコネルズブルー、半ほふく性のマジョルカピンクなど、さまざまな種類があります。
夏の暑さや乾燥にも強く、日当たりと水はけさえ良好であればぐんぐん育ちます。強い香りと殺菌性、酸化防止作用があるため、肉や魚の臭み消しやオイルの香りづけ、入浴剤、石鹸、サシェなど、幅広い利用法があります。
ゼラニウムは丈夫で育てやすく、挿し木で殖やすのに適したハーブです。日当たりを好み、高温多湿を嫌います。梅雨や長雨の時期は軒下などで乾き気味に育て、葉が茂ってきたら適度に収穫して風通しを確保しましょう。
センテッド・ゼラニウム、ローズ・ゼラニウム、アップル・ゼラニウムなど、多くの種類があります。どれも葉に強い香りがあり、料理の香りづけだけでなく香水、ポプリ、クラフトなどにも利用できます。
タイムは、耐寒性、耐暑性、乾燥に強く、日当たりと風通しを確保すれば非常に育てやすいハーブです。丈夫で茎もしっかりしているので、挿し木も簡単にできます。冬前に枯れた枝を取り除き、短く刈り込めば、翌年の春には新しい葉が出てきます。
上に向かってまっすぐ伸びるシルバータイムやコモンタイム、ほふく性のクリーピングタイムなどの種類があります。フランス料理では、オイルやビネガー、バターなどの風味付けによく使われるハーブです。
清涼感のある香りが特徴のミント。料理や菓子にはもちろん、お茶やカクテル、入浴剤や香料まで、幅広い用途があります。
世界に25種ほどの種類がありますが、どれも丈夫で生育が旺盛なので、挿し木は土でも水でもぐんぐん育ちます。日当たりの良い場所や半日陰の場所を好みます。非常に繁殖力が強いので、他の植物とは鉢や栽培スペースを分けたほうがよいでしょう。
セージは、古くから薬用やスパイスとして利用されてきたハーブです。一般的なコモンセージのほか、パープルセージ、ゴールデンセージなど、さまざまな種類があります。
下部が木質化すると弱ってきますので、そのタイミングで挿し木をして株を更新します。ゼラニウム同様、日当たりを好み高温多湿を嫌います。ただし、真夏の直射日光は避けるようにしましょう。
今回は、挿し木で育てるハーブの育て方を紹介しました。ポイントは、挿し木に適したハーブを選ぶことと、挿し穂には健康な茎を使って土や水を清潔に保つことです。
これさえ押さえれば、意外と簡単にハーブを殖やすことができますよ。ハーブが育ってきたら、収穫ついでに水挿しやポットで挿し木を始めてみるのもいいですね。