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chicoどうぶつ診療所所長。体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、往診・カウンセリング専門の動物病院を開設。
犬と一緒に寝ることは飼い主にとって至福のひと時。でも、実は犬は嫌がっている…ということはないのでしょうか。今回は、犬と人が一緒に寝ることをテーマに、犬に与える影響やメリット、デメリット、安全に睡眠するためのしつけなどについて、chicoどうぶつ診療所の所長である林美彩先生に解説していただきます。
目次
- 犬は人と一緒に寝るのが好き?
- 人と犬が一緒に寝ることのメリットは?
- 人と犬が一緒に寝ることのデメリットは?
- 犬と一緒に寝るにはどんなしつけが必要?
- 犬が一緒に寝たがるのをやめさせる方法は?
- 犬と一緒に寝るときの注意点は?
犬は人と一緒に寝るのが好き?
飼い主と一緒に寝ることについて、犬はどう感じているのでしょうか。実際には、「飼い主と一緒に寝ることが大好き」という犬がいたり、逆に「飼い主に仕方なく付き合ってあげているだけだよ」という犬もいたりして、感じ方は犬の性格によりけりです。
また、習慣も少なからず影響します。子犬のころから飼い主と一緒に寝ることが習慣になっている犬は、特に変化が起きなければ生涯を通して、飼い主と一緒に寝ることが多くなりがちと考えられます。
ただし、成犬や老犬になってから急に一緒に寝たがるようになるケースもあります。きっかけは、飼い主が新たな犬を迎え入れたときや、寒さが厳しくなってきたときなど。嫉妬心や寂しさ、不安感を覚える何かしらのきっかけがあると、そうした変化が起こりやすいようです。
人と犬が一緒に寝ることのメリットは?
そもそも、飼い主と犬は一緒に寝ても大丈夫なのでしょうか。また、逆によい影響はあるのでしょうか。気になるところですよね。まず、一緒に寝ることで得られるメリットについて考えてみましょう。
犬にとってのメリットは?
犬はもともと群れで生活をする習性や、体に何かが触れている状態でないと安心できない習性を備えています。飼い主と一緒に寝ることで安心感を得ている犬は多いかもしれません。
飼い主にとってのメリットは?
就寝タイムがますます癒しの時間になり、ストレス軽減につながると考えてよいでしょう。
人と犬が一緒に寝ることのデメリットは?
では逆に、飼い主と犬が一緒に寝ることのデメリットについて考えてみましょう。
犬にとってのデメリットは?
事故のリスク
飼い主の寝返りによって潰されてしまうなど事故のリスクがあります。とくに小型犬は注意が必要です。
ひとりで寝られなくなる
日常的に飼い主と一緒に寝ていると、犬がひとりで寝られないようになってしまう可能性もあります。
甘えん坊な性格になる
常に飼い主と一緒にいないと不安を感じてしまう甘えん坊な性格になってしまうと、ひとりで留守番させる時やどこかに預ける時に大きなストレスを感じるようになってしまいます。
飼い主にとってのデメリットは?
犬との関係性が崩れる
犬との立場が対等になって関係性が崩れる可能性があります。
犬を意識して熟睡できない
犬が近くにいることを意識しすぎて熟睡度が下がってしまうこともあります。
衛生面の不安
犬の毛やよだれ、ノミ、ダニなどが寝具に付くので、衛生面でのリスクは覚悟しておきたいところです。アレルギーを持っている飼い主の場合は、アレルギーが悪化する可能性もあるでしょう。
病気の不安
動物と人間の間でうつる病気「人獣共通感染症(ズーノーシス)」にどちらかが感染している場合には、犬と飼い主がお互いに病気を移してしまうリスクがあります。
犬と一緒に寝るにはどんなしつけが必要?
犬と一緒に寝てみたい!と考えている場合は、まず、犬にしつけを習得させることから始めましょう。
寝室内でのトイレトレーニング
一緒に寝るなら必須のしつけが、寝室内でのトイレトレーニング。犬は慣れない場所では我慢をして排泄をしない傾向がありますが、排泄を我慢すること自体がストレスや病気の要因になってしまいます。そうしたリスクを軽減するために、寝室でのトイレトレーニングは必ず済ませておきたいですね。
クレートトレーニング
また、飼い主が何らかの理由で一緒に寝られない日もあるでしょう。そんなときに困らないよう、犬だけでも寝ることができるようにクレートトレーニングを行っておくのもオススメです。
犬が一緒に寝たがるのをやめさせる方法は?
さまざまな事情から、犬と一緒に寝るのをやめようと考えることもあるでしょう。その際は、どうするのがよいでしょうか。
犬を引き離す時間を毎日数分ずつ延ばしていく
いつも一緒に寝ていたのに、突然長時間引き離してしまうと、「分離不安」を抱かせてしまいます。そのため、引き離す時間を徐々に延ばしていくのがコツです。ケージやクレートのトレーニングをするときのように、引き離す時間を毎日数分ずつ延ばしながら、ゆっくりと慣れさせていくのがよいでしょう。
飼い主の匂いがついた物を近くに置いてあげる
子犬が一人寝を寂しがっているときには、飼い主の匂いがついた物などを近くに置いてあげるのが有効。匂いに安心して寝てくれるようになるケースが多いようです。
犬と一緒に寝るときの注意点は?
犬と一緒に寝ることをより衛生的に、より安全に行いたいときには、次のことに気をつけてみましょう。
犬も寝具も清潔にする
犬は定期的にシャンプーをしましょう。シーツや布団などの寝具は洗濯をしたり掃除機をかけたりして、清潔さを保てるよう心掛けることが重要です。
寝具を洗うときは無添加洗剤を選ぶ
市販の洗剤や柔軟剤の中には、香料など犬の健康に害を及ぼすものが含まれていることも。寝具を洗うときは柔軟剤は使わず、できるだけ無添加の洗剤で洗うようにしましょう。
第4稿:2021年11月19日更新
第3稿:2021年4月15日更新
第2稿:2021年2月15日更新
初稿:2020年11月4日公開
※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。