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酪農学園大学獣医学群獣医学類 准教授。 酪農学園大学附属動物医療センター集中治療科診療科長。幼い頃より無類の動物好きで、今も変わらず動物全般が大好き!
愛犬の舌の色が普段と違うと「もしかして病気?」と不安になる人も多いかと思います。今回は、酪農学園大学獣医学群獣医学類 准教授・佐野忠士先生に教えていただいた、犬の舌の色から分かる健康状態や、チェックすべきポイントを解説していきます。
目次
- 犬の舌の色で健康状態が分かる?
- ピンク色の場合
- 赤い場合
- 紫色の場合
- 白い場合
- 黄色の場合
- 黒い場合
- 犬の舌の色で健康状態を確認する際のポイントは?
犬の舌の色で健康状態が分かる?
多くの血液が流れている舌は、体の状態を知らせてくれる器官のひとつ。常によく見える場所なので、色の変化や見た目の違いから愛犬の健康状態をチェックするには最適な部分です。飼い主は日常生活で愛犬の舌をよく観察して病気のサインを見逃さないようにしましょう。
ピンク色の場合
ピンク色の舌は、健康な状態を指します。または舌が赤い場合も、一般的な色なので心配ありません。
赤い場合
もとの舌の色より、あまりに赤みが強い場合は体温の異常上昇が疑われます。その場合は体温を測って、犬の健康状態を確認しましょう。基本的に犬の体温は直腸温なので、肛門から体温計を入れて測定します。上手に測れないときはかかりつけの動物病院に相談してみてください。高温が確認された場合は急いで体を冷やしてあげましょう。
紫色の場合
舌の色が、紫がかっている場合は、「チアノーゼ」と呼ばれる酸素不足の可能性が高いです。誤飲や誤食により気道がふさがって、呼吸ができていない場合も考えられます。
そのほか、チアノーゼの原因として疑われるのは心臓病や喘息、肺炎などです。これらの病気をもともと患っている場合は、病状の進行や悪化が考えられます。放置すると重篤な状態に陥ってしまうリスクがあるので、すぐに動物病院を受診してください。もし、ご自宅に家庭用の酸素スプレーがあれば、嗅がせながら病院に連れて行きましょう。
白い場合
白い舌は貧血のサインかもしれません。貧血の場合、口や目の粘膜の色が薄くなることが多いですが、舌の白さがわかるほど色が変わっている場合は、重度の貧血症状が起きていると考えられます。すぐに動物病院で血液検査を受けましょう。
黄色の場合
黄色い舌は黄疸が起きている可能性があります。黄疸とは血液中のビリルビン(胆汁色素)が増加するために生じる症状。胆嚢や溶血、肝炎などの疾患が隠れているケースが考えられます。その際には皮膚や外耳も黄色くなる場合があるので一緒にチェックしましょう。いずれにせよ、動物病院の受診をおすすめします。
黒い場合
愛犬の舌に黒いシミや紫がかった斑点が見つかると、病気を疑う人は多いと思います。しかしこれは舌斑(ぜっぱん)と呼ばれ、犬の健康に害を及ぼす症状ではありません。人間で言うホクロや蒙古斑のようなもので、遺伝の影響で生じるものと考えられています。生まれつきの個性と捉えましょう。
ただし、舌斑が膨らんでいたり、しこりになっていたりする場合は悪性腫瘍の可能性があります。このしこりはメラノーマと呼ばれ、シニア犬が発症しやすい疾患です。病気の進行が早いので即座に治療することをおすすめします。なかには良性の腫瘍もあるため、まずは病院で検査を受けるのが第一です。
犬の舌の色で健康状態を確認する際のポイントは?
愛犬の健康状態を確認するためにも普段からのスキンシップを大切にしましょう。例えば、歯みがきや口を開けることに普段から慣れさせておけば、同時に健康チェックを行えます。舌の色だけでなく、目の粘膜や歯ぐきの色なども確認すると、愛犬の変化に気付くのに役立ちますよ。
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