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トイレトレーニングは、子犬をお迎えしたときの基本中の基本のしつけです。しっかりとトイレの仕方が身についていないと、お部屋を汚したりして家族に迷惑がかかったり、散歩中にも思わぬトラブルにつながってしまうかもしれません。トイレのしつけは初めが肝心なので、間違ったやり方を覚える前に、正しくトレーニングしてあげることが大切です。そんな子犬のトイレのしつけについて、動物行動学を研究する獣医師の茂木千恵先生に解説いただきました。
目次
- 子犬のトイレトレーニングはいつから始めるべき?
- 子犬のトイレトレーニングを行う目的は?
- 子犬のトイレトレーニングに必要なものは?
- 子犬のトイレの環境作り
- 子犬のトイレトレーニングの流れ
- 子犬のトイレトレーニングで気をつけることは?
- 子犬のトイレトレーニングがうまくいかない時の対処法は?
子犬のトイレトレーニングはいつから始めるべき?
子犬のトイレトレーニングはおうちに来たその日が始めるタイミングです。犬を迎え入れる前に犬用のトイレとハウスとケージを忘れずに用意しておきましょう。用意したトイレ以外で排尿・排便してしまうと、排泄した快感とともにその場所を記憶してしまい、その場所をトイレと誤って認識することがあります。間違った習慣づけをさせないために、初日から適切な場所で排泄させましょう。
子犬のトイレトレーニングを行う目的は?
犬には、トイレを自分のお気に入りの場所から離れた場所にしたいという本能があります。最初に本能的に選んだ場所をトイレとするのであれば、トイレトレーニングは比較的スムーズにいきます。しかし、飼い主が用意した場所を覚えてほしい場合は、間違った場所をトイレだと誤解させないように、しっかりとトレーニングをする必要があります。
子犬のトイレトレーニングに必要なものは?
トイレトレーニングに必要なものは、トイレシーツ、トイレシーツを囲うサークルです。サークルは、段ボールのような箱でも代用できます。トレーニングが進んでトイレの場所を覚えたら、留守番させるときに、ペットトレーやトイレとハウスを囲う大きめのサークルを用意すると良いでしょう。
トイレに消臭剤を使う場合は、タンパク質分解酵素入りのものがおすすめです。芳香剤など匂いつきのものは、犬には刺激が強すぎるので避けましょう。スプレータイプのものにはアルコール成分が含まれることがあるので、犬に向かって吹きかけないように注意してください。
子犬のトイレの環境作り
トイレを設置する場所は、犬が排泄しそうなタイミングですぐに連れていけるよう、寝床(ハウス)の近くを選ぶのがおすすめです。設置場所が決まったら、トイレシーツを敷き、その周りをトイレサークルで囲みます。トイレシーツは新聞紙でも代用可能です。サークルで囲うのはトイレの場所を認識してもらうため。行動範囲を制限することで、排泄物がトイレの外にはみ出してしまうのを防ぐ効果もあります。
また、シーツが汚れたらすぐにとり変えられるように準備しておくようにしましょう。人と犬が共同生活を送るうえで、室内を衛生的に保つことはとても重要です。処理に時間を割かれなければ、飼い主が楽しく子犬と過ごす時間も増えますよ。
子犬のトイレトレーニングの流れ
一般的なしつけと同じく、トイレトレーニングにも流れがあります。正しい順番や方法を事前に認識しておくようにしましょう。
トイレに行きたくなるタイミングでトイレに移動させる
トイレトレーニングをスムーズに進めるには、子犬の排泄のタイミングをつかむことが鍵になります。生後2~3ヶ月の子犬の場合、一度排泄すると、そこから2時間程度で次の排泄のタイミングがやってきます。4か月以降になると3~4時間に間隔が開きます。大型犬など体格が大きい犬の場合、6か月を過ぎると6~7時間排泄しなくても我慢できてしまう子もいます。
犬が排泄したくなるのは、朝や昼寝から起きたとき、食事の後、水を飲んだ後、遊んでいるときなどが多いです。トイレに行きたがる素振りが見られなくても、次の排泄タイミングが来ていればトイレに連れて行き、排泄するまでトイレサークルに入れたままにします。失敗させないというしっかりとした目的意識を持つことが大切です。
トイレを終えたら、褒めてからサークルから出して遊ばせてあげる
失敗せずに排泄できたらトイレサークルから出し、ごほうびを与えて褒めてあげましょう。トイレの中にいるときに与えてしまうと、トイレの中にいることで褒められたと勘違いしてしまいます。必ずトイレサークルから出たあとに与え、サークルの外で美味しいものがもらえると覚えさせることが大切です。そうすることで、犬はサークルから出たくて排泄するようになります。
トイレへ自主的に行けるように促す
愛犬が正しいトイレの場所を認識したら、次は自主的にトイレまで行けるように訓練します。サークル内をトイレだと認識したかどうかの判断は、サークル内に入れて待っていたら、排泄するようになった時と考えましょう。
最初は、フードを使ってハウスからトイレサークルまで誘導し、それで行けるようになったら、次は手だけで誘導します。それもできるようになったら、少しずつハウスとトイレサークルの位置を離していきましょう。このように段階を踏んでトレーニングをしていくことで、徐々に犬が自らトイレに行けるようになります。
犬がサークルの外にいるときに、自分でサークルに入ってすぐに排泄するようになったら、サークル内のトイレに慣れたと考えられます。このタイミングで、サークルを取り外し、トイレシーツだけにしてもOKです。一度に全部を外すのではなく、一面ずつ取り外して、少しずつ慣らしてあげるようにしましょう。
子犬のトイレトレーニングで気をつけることは?
トイレトレーニングの際に気をつけることで効率を上げることができることがあります。以下のポイントに注意をして、トレーニングと向き合いましょう。
失敗しても怒らない
トイレの失敗を叱ることは避けましょう。飼い主がいるときにトイレをしたことで怒られたと誤解して、別の場所に隠れて排泄するようになってしまうことがあります。留守番後に失敗を見つけた場合も、叱ってはいけません。犬は排泄したことを忘れているため、理由がわからず、不必要に飼い主のことを怖がってしまうことになりかねません。
トイレトレーニング中は目を離さない
トレーニング中に目を離してしまうと、トイレ以外の場所で排泄してしまうことがあります。トイレ以外の場所で排泄する癖がついてしまうことがあるので、目が届くところで排泄させるようにしましょう。
トイレのタイミングを記録する
トイレのタイミングを記録することで、愛犬がどれくらいの間隔で排泄するのかなど傾向を捉えることができるので、準備がスムーズになり、失敗が少なくなります。もし失敗した場合、匂いをしっかりと取り去らないと同じ場所で排泄してしまうかもしれません。失敗した場所の匂いを取り去るにはしっかり洗浄した後で消臭スプレーをするようにしましょう。洗浄の仕方としては、食器用洗剤など界面活性剤という成分が含まれている洗浄効果があるものを使用し、磨いたりこすったりして洗浄した後よくふき取るようにします。
子犬のトイレトレーニングがうまくいかない時の対処法は?
トイレトレーニングを進める上で壁に当たってしまうシーンがあるかもしれません。そういった時の対処法を事前に理解しておくようにしましょう。
トイレを移動すると失敗する
トイレの場所を大きく変えてしまうと、移動されたことが理解できずに、元の場所にしてしまいがちです。位置を変える場合は、徐々に移動していくようにしましょう。
トイレからはみ出しておしっこしてしまう
後ろ足がトイレに乗っているかどうかを、犬自身が把握できていないことがあります。トイレシーツのサイズを大きくすることで、失敗の頻度は下がっていきます。
サークルから出すとすぐにおしっこをする
サークル内での排泄にまだ慣れていない場合は、サークル内でおしっこができてから出すようにしましょう。サークルの外で排泄することに慣れてしまっていると、囲われることに嫌な感覚を持ち、サークルから出たくなってしまうこともあるようです。
留守中におしっことうんちまみれになっている
飼い主の留守時間が長すぎると、その間に排泄してしまい、排泄物に興味を抱いて触ってしまうことがあります。サークルから出たくて動き回ったために体に付着してしまったとも考えられます。トイレトレーニングが完了するまでは、できるだけ長時間の留守番は避けるようにしましょう。また、留守番用のサークルのサイズを大きくして、トイレとハウス以外の空間があるようにすることで、犬が快適に待てるようにすることも効果的です。
以前はできていたのに、急に失敗する回数が増えた
トイレトレーニングを忘れてしまったということではなく、別の要因が考えられます。泌尿器系に不調があると排泄のコントロールができなくなり、間違った場所で排泄してしまいます。また、病気ではなくとも、不安を感じると普段のトイレで排泄できなくなったり、高齢な犬だとトイレの場所を忘れてしまうこともあります。体の不調が疑われる場合は、一度、動物病院を受診してみてください。
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