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獣医師資格取得後、小動物臨床経験6年。主に犬猫の臨床に携わる。現在は子育てをしながら、愛猫と暮らしている。
言葉が通じない犬は、しぐさや行動で飼い主さんに気持ちを伝えています。ふだんよく目にしている行動が、意外な「ストレスサイン」である場合も。犬が嫌だと感じたときに見せる「ストレスサイン」を知って、愛犬のストレス対策につなげていきましょう。
目次
- 犬自身が緊張を感じているときにする行動
- 飼い主さんにストレスを感じているときにする行動
- 仲間の犬へストレスを感じているときにする行動
- 愛犬がストレスサインを出しているときの対処法
犬自身が緊張を感じているときにする行動
犬はストレスを感じたときに、自分や相手を落ち着かせるためのしぐさ「カーミングシグナル」を行います。
このサインを知っておくと、愛犬にとって不要なストレスを回避できる、愛犬との絆がアップする、飼い主さんが愛犬を落ち着かせたいときにも応用できるなど、たくさんのメリットが得られますよ。
まずは、犬が自分を落ち着かせるためにとる行動から見ていきましょう。
体をブルブルと振る
犬は、嫌なことをがまんした直後に、緊張した体をほぐすためブルブルと振ります。抱っこや長時間のお手入れ後に愛犬が体を振っていたら、「やっと終わった」と思っているのかもしれません。
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オシッコをする
人が緊張するとトイレが近くなるように、犬も緊張するとオシッコがしたくなります。もし愛犬がそそうしてしまったら、何かに強いストレスを感じているのでしょう。
あくびをする
人にとっての深呼吸と同様で、犬も気持ちを落ち着かせてリラックスするためにあくびをします。動物病院の診察台の上やお手入れの最中など、苦手なことをしているときによく見られる行動です。
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飼い主さんにストレスを感じているときにする行動
体をかく
犬は困惑したときに、「まいったな」という気持ちで体をかきます。長時間のトレーニング中に愛犬が体をかいていたら、「もうやめたいな」と感じているのでしょう。同じ意味で、前足をなめる、かじるなどの行動を見せることも。
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しっぽを振る
犬はしっぽを振って、相手の緊張をゆるませようとすることがあります。怒られているときに愛犬がしっぽを振っていたら、飼い主さんを落ち着かせようとしているのでしょう。
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間に割って入る
犬は、人どうしや犬どうしのケンカが始まる危険を感じると、間に入ってなだめようとします。もし夫婦ゲンカ中に愛犬が間に入ってきたら、ケンカをやめてほしいのかもしれません。
仲間の犬へストレスを感じているときにする行動
おなかを見せる
犬の急所ともいえるおなかを見せるポーズは、「攻撃しないでね」と下手に出ているサイン。相手のことを怖いと感じ、自分と相手の緊張状態をやわらげようとしていると考えられます。
目をそらす
犬にとって目をじっと見ることは、攻撃の意思表示。その反対の目をそらす行為は、敵意がないことをあらわします。初対面や苦手な人・犬に会うと、視線をそらして相手の存在に気がつかないかのようにふるまう犬も多いです。
地面のニオイを嗅ぐ
犬は、苦手な犬を発見したときやトレーニングに飽きたときに、地面のニオイを嗅ぐことがあります。「ニオイを嗅いでいるから今はかまわないで」と相手に伝え、その場を切り抜けようとしているときに見せるしぐさです。
弧を描きながら近づく
犬が相手にまっすぐ近づくのは、攻撃的な気持ちのとき。もし愛犬が初対面の人や犬に弧を描きながら近づいていたら、攻撃する意思はないことを伝えながら徐々に距離を詰めているのでしょう。
愛犬がストレスサインを出しているときの対処法
上記のようなストレスサインが出たら、どのように対処すればよいのでしょうか。ストレスサインがよく見られる3つのシーン別に、対処法をご紹介します。
トレーニング中
トレーニング中にストレスサインが出たら、愛犬の集中力が切れた証拠。一度休憩を挟んであげましょう。また、飼い主さんの指示を出す口調が強すぎてストレスを感じることもあるので、やさしい口調を心がけてあげてください。
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初対面の犬や人に会ったとき
知らない犬や人に対してストレスサインを出しているときは、愛犬なりに様子をうかがっているはず。あいさつさせようと無理に近づけたりせず、愛犬の距離感に任せて見守ることが大切です。
お手入れ中
お手入れは愛犬の健康を守るために必要な習慣なので、おやつやおもちゃなどで気をそらしながら、少しずつ慣らしていくと◎。続けるうちに苦手が克服できれば、ストレスサインも出なくなってきます。
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