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獣医師資格取得後、小動物臨床経験6年。主に犬猫の臨床に携わる。現在は子育てをしながら、愛猫と暮らしている。
水は犬の体の約70%を占めるため、飲水量が少なすぎると、体に悪影響をもたらす危険性があります。また、多すぎる場合も病気のサインであるケースがあるので注意しましょう。犬に必要な1日の飲水量と、飲水量が少ない・多いときの対処法や注意点を解説します。
目次
- 犬に必要な1日の飲水量
- 犬の飲水量を量る方法
- 犬の飲水量が少ないときの対処法・注意点
- 犬の飲水量が多いときの対処法・注意点
犬に必要な1日の飲水量
犬に与える1日の飲み水の量は、体重1kgあたり50ml前後が目安。つまり、体重3kgの犬なら1日150ml、体重6kgの犬なら1日300mlを目安に、水を飲ませるようにするといいでしょう。
ただし、これは主食にドライフードを与えている場合の量。ウエットフードなど水分が多い食事を与えている場合は、目安量より少なめでもOKです。また、犬の運動量や体質、季節などでも1日に必要な飲水量は変化するので、目安量の20%くらい増減する分には問題ありません。
なお、夏場は体温を下げるためにパンティングが増え、体内の水分量がふだんよりも多く消費されるため、目安量より多めに水を飲ませることをおすすめします。
犬の飲水量を量る方法
愛犬に必要な1日の飲水量がわかったら、まずはふだんの飲水量を量って目安量との差をチェックしてみましょう。
犬の飲水量の測り方
- 計量カップで水の量を量り、ボウルなどの容器に移して愛犬に与えます。24時間後に合計量を算出するため、与えた時間を必ず記録しておきましょう。
- 水を替えるときは、容器に残った水を再び計量カップに移し、その量を量ってください。1で量った水の量からその量を差し引けば、そのときの愛犬の飲水量がわかります。
- 24時間後にすべての量を合計して、1日の飲水量を算出しましょう。
犬の飲水量が少ないときの対処法・注意点
愛犬の1日の飲水量が少ないからといって、ただちに病気が疑われるわけではありません。たとえば、寒い季節や老犬、ウエットフードが主食の犬などの場合は、飲水量が少なくなる傾向にあります。
とはいえ、健康維持のためにはやはり必要量を補給させたいところなので、気になる場合は飲水量を増やす工夫をしてみましょう。
愛犬の飲水量が少ないときの対処法
- 愛犬がどこにいても水が飲みやすいよう、水飲み場の数を増やす
- ドライフードを与えている場合は、水分量の多いウエットフードに替える
- フードに水をかけたり、お湯でふやかしたりして与える など
なお、水を飲む量が極端に少なかったり、急に水を飲まなくなったりした場合は要注意。飲水量だけでなく同時に食欲も低下している場合が多いですが、病気にかかっているおそれもあるので、すぐに動物病院で受診してください。
犬の飲水量が多いときの対処法・注意点
飲水量が多すぎて健康を害するケースは、あまり見られません。しかし、ふだんの飲水量に比べて極端に増えたときや、必要飲水量の目安と比較して明らかに多いときは、以下のような病気が疑われる場合もあります。
飲水量が多すぎる場合に疑われる病気
- 腎臓病(じんぞうびょう)
- クッシング症候群
- 糖尿病
- 尿崩症(にょうほうしょう)
- 子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)
- 膀胱炎(ぼうこうえん)
- 肝臓の病気 など
ただし、暑い季節や室内が乾燥している場合、運動後や興奮しているときなども、一時的に飲水量が増える傾向にあるため、まずはしっかりと愛犬の様子を観察してくださいね。
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