埼玉県平野部なぜ暑い? 熊谷地方気象台と熊谷市長に聞いてみた
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ウリ科の植物を育てていると、いつのまにかウリハムシが発生し、食害に悩まされることがあります。被害がひどくなると作物が収穫できなくなる可能性もあるため、適切な対処が必要です。
今回はウリハムシの生態や被害の特徴、対策のポイントを解説します。
ウリハムシは、葉を好んで食べるハムシ科の昆虫の一種です。種類の多いハムシのなかでも、特にウリ科の植物をよく食べることで知られ、この性質からウリハムシの名が付いています。
ウリハムシの食害にあうことが多いのは、キュウリやスイカ、カボチャ、ゴーヤ、ズッキーニなどのウリ科の植物です。あるいはハクサイやインゲンなど、ウリ科以外の野菜が食べられることもあります。
ウリハムシの成虫の体長は7~8mmほどです。葉にとまっているところを見ると体全体にオレンジがかった茶色が目立ちますが、お腹の方は黒い色をしています。
ウリハムシの成虫による被害は主に葉に見られます。円を描くように葉の表面を食べるため、丸い形にキズが入ったり、穴が開いたりするのが特徴です。
食害がひどい場合は葉を食い尽くしてしまうことがあり、特に植物の苗がまだ小さい時期には生育が悪くなったり、枯れてしまったりもします。また、葉だけでなく、せっかく実った果実の表面が食べられることもあります。
一方、ウリハムシの幼虫による被害は、植物の根の部分が主です。場合によっては根から茎へと侵入して中身を食べ、組織をスポンジ状にしてしまいます。
ウリハムシの成虫は浅い土のなかや草むらなどで固まって冬を越し、気温が上がって野菜が植えられる4月頃になると、畑などに移動してきます。
植物の葉を栄養として食べ、その植物の根元あたりの土のなかで産卵します。ウリハムシの産卵は、4月下旬から7月上旬頃まで行われます。
土のなかで卵からかえったウリハムシの幼虫は、植物の根や茎を食べて成長し、やがてサナギから成虫となって地上に現れます。1カ月前後の幼虫期間と1、2週間のサナギ期間を経て成虫となるため、新たな成虫が多く見られるのは7月から8月にかけてです。
ウリハムシの発生は、ほかの場所から移動してくる場合や土のなかから現れる場合など、複数の要因が考えられるため、各ケースで原因を特定するのは難しいかもしれません。
どちらにしてもウリハムシの出現は、育てている作物に無視できない被害をもたらします。早い段階でしっかりとした対策を取りましょう。
ウリハムシの被害を抑えるためには、発見次第すぐに駆除することや、事前に予防策を施しておくことが大切です。対策のポイントを解説します。
見つけたウリハムシが大量である場合や、幼虫被害の予防に役立つのが薬剤です。ウリハムシの駆除に効果的な薬剤としては、マラソン乳剤やモスピラン顆粒水溶剤、ダイアノジン粒剤などが挙げられます。
ただし、農薬は、それぞれ使用できる作物が農林水産省に登録され、その種類がラベルやパッケージなどに記載されています。ウリハムシ対策に農薬を用いる際は、育てている作物に適しているかどうかを必ず確認しておきましょう。
また、使用回数や時期を含め、商品の注意書きにしたがった使い方をすることが大切です。
寒冷紗は糸を縦横に粗く織った布のことで、農業や園芸用の資材として様々な目的に利用されています。植物を立体的に覆うことで、通気性を保ちながら強すぎる光や風、水分の蒸発、寒さなどから植物を守れるのが特徴です。
寒冷紗は、害虫や鳥を物理的に寄せ付けないようにすることができるため、虫や鳥からの被害を防ぐためにも使われています。寒冷紗の織り目からは体長7~8mmのウリハムシも侵入することができないので、ウリハムシの予防策としても有効です。
マルチはマルチングを略した言葉で、植物を植える土の表面を覆うことを指し、覆うためのフィルムやシートなどの資材もこう呼ばれています。
畑の畦などにマルチを施す目的は、地温の調整や土壌の保護のほか、水分蒸発や雑草、害虫の予防など様々です。マルチには黒や透明、シルバーなどがあり、色の違いによって効果が異なります。
ウリハムシを含めた害虫予防には、光を反射するシルバーのマルチが効果的です。ウリハムシは、反射する光を水面だと勘違いして近寄らないという性質があるためです。
コンパニオンプランツは、共栄作物とも呼ばれているものです。近い位置に植えることで、互いの生育や病害虫予防に役立つ関係にある植物のことをいいます。
ウリ科の植物をウリハムシの被害から守るには、コンパニオンプランツとしてネギを近くに植えるのがおすすめです。ウリハムシは、ネギが発するニオイを苦手としているためです。ウリ科の植物とあわせて、ネギの収穫もできます。
ウリハムシを見つけたら、被害を広げないためにも早めの駆除を心がけましょう。おすすめの薬剤をご紹介します。
ウリハムシに限らず、幅広い害虫に対応している薬剤で、アブラムシやカメムシ、ガ、コガネムシなどの予防にも使用できます。有効成分が作物内で浸透移行するため、葉の裏面や新しく伸びてきた葉にも効果を発揮するのが特徴です。
細かな量を調整する際に便利な、計量カップが付いています。
キュウリのウリハムシ食害が気になるときには、アディオン乳剤がおすすめです。ほかに使用できる作物として70種類以上の登録があり、ウリ科以外にも葉物野菜や豆類、果樹などを害虫から守るのに利用できます。
作物や害虫によって希釈倍数や使用時期、回数が異なるため、確認したうえで使いましょう。
キュウリやメロン、ウリといった作物のウリハムシ対策に使用できる薬剤で、即効性に優れています。野菜だけでなく一般家庭で育てられている花や観葉植物にも対応していて、アブラムシやハダニなど、幅広い害虫の駆除に役立ちます。
植物への影響をなるべく抑えながら害虫駆除ができるのもメリットです。
寒冷紗は、ウリハムシの食害予防と遮光や温度調整、乾燥予防を兼ねて活用できます。
家庭菜園に使いやすいサイズの白い寒冷紗です。遮光率は約30%で、強すぎる太陽光や風を適度に防ぎながら作物を育てられます。
1mmの目合いで織られているため、ウリハムシの飛来防止にも有効です。気温の低い冬には、防寒用としても使えます。
しっかりと幅のある寒冷紗で、広い畦でのウリハムシ予防に使いやすい商品です。長さは5m以外に10mから50mまであるため、本格的な農業用資材として利用できます。
色は黒で遮光率が約51%と高いため、夏場の強い日差しから作物を守るのにもおすすめです。
苗の植え付けを開始する前にウリハムシ対策を講じるなら、畦の表面にシルバーのマルチを張っておくと良いでしょう。
太陽光を反射するシルバー色のマルチです。地温の上昇を抑えることで作物の生長をサポートできるだけでなく、反射光を嫌う害虫の飛来を自然と防げます。
ウリハムシはもちろん、アブラムシ対策としてもおすすめです。
畦に敷いたマルチに植え付け用の穴を開けるときに使えるカッターです。穴の直径は8cmで、キュウリをはじめとした様々な野菜の苗を植えやすい大きさです。
サビにくく丈夫なステンレス製で、丸くカットしたマルチを取り除けるキャッチャー棒が付属していて、効率的な作業ができるでしょう。
できるだけ薬剤の使用を抑えたいという方には、コンパニオンプランツを取り入れた栽培がおすすめです。ウリ科植物の近くにはネギ類を植えておきましょう。
収穫まで約90日のお手軽に育てられる葉ねぎです。生育適温が15~20℃あればいつでも栽培できます。βカロテンが豊富で様々な食材とあわせて料理に使いやすく、麺類の薬味としても重宝します。
京太ねぎは九条ネギの仲間で、葉の先から根元まで美味しく食べられるのが特徴です。春まきと秋まきのどちらでも育てられ、長い期間収穫ができます。
キュウリやメロンなどのウリ科の植物を育てる場合に、注意したいのがウリハムシの食害です。ウリハムシの成虫はウリ科植物の葉を好んで食べ、土のなかで育つ幼虫は根や茎を食べます。ウリハムシの発生数が多く被害が大きくなると、収穫ができなくなる場合もあります。
ウリハムシ対策には薬剤の散布や、事前に寒冷紗、マルチを施しておく予防策が役立ちます。苗の植え付け前やある程度生長した後など、状況にあわせた対処法を取ることが大切です。また、ウリ科植物のコンパニオンプランツとして植えるのなら、ネギがおすすめです。
ウリハムシを寄せ付けない環境を作り、おいしい野菜や果物を収穫しましょう。