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「焚き逃げ」やめて!野営キャンプの正しい後片付け方法

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関 美奈子

関 美奈子

アウトドアライター/デザイナー。ホームセンター・100均DIY主婦キャンパー。自然や人に優しいキャンプのアイデアを発信しています。子育てを終え、夏は高原、冬は海辺へと夫婦でデュオキャンプ、最近はバックパック・ソロキャンプを満喫中。ガールスカウト世界連盟ジャンボリー日本代表(1982年)、ガールスカウト日本連盟・野外活動指導者資格取得。キャンプ歴は46年。

「来たときよりも美しく」キャンプ地に残すのは思い出だけ!

野営ソロキャンプ

野営キャンプは、美しい自然の風物に囲まれ、静かに心を解放できるのがいちばんの魅力です。

そこに、前の人の残したゴミや、放置された焚き火跡が点々とあったら…?

こんなにがっかりすることはありません。

炭を捨てる人

管理されたキャンプ場では、ゴミ処理を引き受けていただけたり、炭・灰を捨てられたりするところも多いです。でも、宿泊を許可された「野営地」でのキャンプは、その自由な過ごし方と引き換えに、全てのゴミや灰を自力で処理する責任が付いてきます。

ソロキャンプ

野営地でキャンプするにあたり、なるべく自然にダメージを与えず、後から来る人にも気持ちよく過ごしてもらうためにはどうしたらいいかを考えていきましょう。

今回、ソロキャンプの健全な普及、野営地の清掃・保全活動などを行なっている「日本単独野営協会」に、主にソロキャンプの後の火の始末や、片付けについて具体的な方法を教えていただきました。

「バカ薪を出さない!」クレバーな焚き火の方法とは

巨大な「バカ薪」

こりゃ燃えない! 巨大な「バカ薪」

太い木に直接火を近づけてもなかなか燃えてくれません。「バカ薪」とは「馬鹿デカい薪」から由来しており、文字通り燃えるはずもない馬鹿デカい、太い薪を無理に燃やそうとして燃え残り、焦げたものが放置されている状態をいいます。

焚き火台

バカ薪を出さないために覚えておかなければならないのは、「焚き火は火を育てていくもの」だということです。

最初は杉の葉や白樺などの木の皮、麻ひも、フェザースティックなどに着火して、すぐに小枝や小割に火を移し、火の大きさとともに、徐々に薪を太いものに育てていきます。決していきなり太い薪に火を付けるものではないのです。

火消し壺で消火し、消し炭を再利用する

火消し壺

火消し壺に入れ、冷めたら持って帰る

焚き火を片付ける際は焚き火台+火消し壺が便利です。焚き火台で燃え残った炭や灰を火消し壺にガサッと入れて蓋をして、冷めたら持って帰るだけです。

消し炭

家では普通にゴミに出せますし、残った炭は着火しやすいため、次のキャンプで再利用することもできます。

火消し袋

最近では徒歩、自転車、バイクのキャンパーにも便利なグラスファイバー製の袋状の火消し壺も販売されています。

ビニール袋に入れて持ち帰る方法も

火消し壺がない人は一旦アルミホイルに燃えカスをあけて、水をかけて消火し、冷めたら包んでビニール袋に入れて持って帰る方法もあります。

「焚き逃げ」をしない

石のかまど跡

炭を埋めるのはNG!

「焚き逃げ」とは、焚き火跡を放置して帰ったり、焚き火跡の炭を埋めて帰ってしまうことを言います。

焚き逃げは犯罪

一般的には、地面で直接焚き火をする「直火」による焚き火が原因とされていますが、使い終わったバーベキューコンロや焚き火台の炭を地面に捨てて帰るのも焚き逃げの一種になります。

焚き逃げがいけないことであると伝えると「何でいけないんだ」「いけない理由がわからない」という人がいます。

「自分は焚き逃げをして良いと教わった」「昔は良かった」という認識をしている人もいます。そもそも焚き逃げは犯罪なので、今も昔もやってはいけませんでした。

昔はインターネットもなく、情報が乏しかったということもあり、これから数十年後にその悪影響がどのように出てくるのかが想像できなかっただけなのです。それも時代に合わせて考え方を切り替え、改善しなくてはなりません。

「焚き逃げ」がNGな理由

焚き火跡

焚き逃げがルール違反でありマナー違反であることをまとめました。焚き逃げが横行することでキャンプ業界に与える被害は甚大です。

  • 焚き火の跡は元通りに片付けて帰るのがルール
  • 放置された炭は不法投棄であり、犯罪にあたる
  • 炭は炭素(元素)で分解されず、土に還らない
  • 土中に炭が堆積した場所は、雨が降ると土が洗われて炭だらけの汚い地面になる
  • 炭が川や海に流れ込むと水に浮き、河川を汚し海洋汚染にも繋がる
  • 消火が不十分だと、火災の原因になる
  • 石で汲んだかまどを放置すると、夜間に人が躓いたり、車に当たったり、怪我や事故の原因になる
  • 家具や建築廃材などで焚き逃げをすると、ネジや釘が焼け残り、車のパンクや怪我の原因になる
  • 焚き逃げの跡があると焚き逃げOKの場所と思われ、焚き逃げが横行する原因になる
  • 焚き火跡の片付けには人件費やごみ処理費用がかかるため、野営地が閉鎖される原因になる

炭の片付け

焚き逃げの片付け方は、まず土に還らない固形の炭から拾って持ち帰り、燃えるゴミに出しましょう。詳しくは、お住いの自治体のゴミ出しルールを参照してください。

もっと綺麗に原状回復したい場合は、ザルが便利です。園芸用の土ふるいでもいいです。焚き逃げ跡の地面を土ごとすくい上げ、ザルに入れて振るうことで、炭だけを綺麗に持ってかえることができます。

かまど用に放置された石は川に戻す

直火はかまども含め、必ず元通りに

直火は許可されている場所で行うのは問題ありませんが「直火OK=片付けなくてもOK」ではありません。直火はかまども含め、必ず元通りに片付けなくてはなりません。

「直火が直火を呼ぶ」ことに注意

キャンプ場では「直火が直火を呼ぶ」という現象があります。それは、直火NGの場所でもかまどが放置されていたり、川から拾い上げてきた石がそのままになっていると、安易にかまどを組むことができてしまい、直火をやっていいものだと勘違いした人が再び直火や焚き逃げをしてしまうという現象です。

野営地に転がっている石を川に戻してあげるだけで、清掃活動と同等の効力があります。誰でも無理のない範囲でできる活動です。

「ゴミを出さない」工夫をしよう

放置ゴミ

キャンプやBBQでは、簡便な紙皿や紙コップ、割り箸を使いたくなりますが、ついつい持ち帰りが億劫になりがち。その結果が放置ゴミです。

放置ゴミを防ぐために「なるべくゴミを出さない」工夫をすることが大切です。

食器セット

野営地でのキャンプならなおのこと、洗って繰り返し使えるものを選ぶようにしましょう。お気に入りの道具は絶対放置して帰ることはありませんから、ゴミにもなりません。

パッケージは持って行かないこと

ソロキャンプには余計なパッケージは持って行かないようにしましょう。お米は食べる分だけ計ってチャック袋に。無洗米なら周囲の水源を汚すことなくご飯炊きができますね。卵もパックから出し、必要分をケースに入れて持って行きます。

メインディッシュのステーキ肉は、かさ張るトレイを外してチャック袋に。行く前に凍らせておけば保冷剤の足しになります。

「下味冷凍」はキャンプに便利

さらにオススメなのは、「下味冷凍」です。あらかじめ肉や魚、野菜を袋に入れ、味付けして冷凍しておきます。冷凍庫で保存する間に味が染み込んで、キャンプ地に着く頃には適度に溶け、BBQのスタンバイOK! 調味料をいくつも持参せずに済み、持ち帰るゴミはチャック袋だけ。

調味料セット

現地でキャンプ料理をじっくり楽しみたい人は、調味料を小分けにして持っていくのがオススメです。詰め替えにはミニボトルや、小さいチャック袋が便利です。また、小袋入りの調味料を使う分だけ持って行けば、荷物とゴミの両方の削減になります。

「無理なく綺麗に運動」でキャンプを楽しむ

ゴミ拾い

キャンプはキャンプを楽しむために行くもので、決して清掃活動や保全活動をするために行くわけではありません。なので、最優先はキャンプを楽しむことです。

ただ、場所がなければ楽しむことができません。毎年、焚き逃げやゴミの不法投棄が原因でキャンプが禁止になってしまう野営地は増えています。現在は、キャンパーも少なからず清掃などの保全活動をしなければ、自分たちの場所を維持していくことができなくなっています。

キャンプ地を清掃する人々

そこで、キャンプを楽しむことと、未来永劫キャンプをする場所があり続けることを両立するために考案されたのが「無理なく綺麗に運動」です。

ポイ捨てされたゴミを拾う人

キャンプ人口は年間数百万人とも言われています。キャンパーの中の100万人が、煙草の吸殻をたった1本拾って帰ってくれたら、それだけで、世の中からポイ捨てされた煙草の吸殻は100万本減ることになります。活動をする人が増えれば増えるほど一人頭の清掃活動の負担が減り、キャンプを楽しむことができるというわけです。

キャンパー全体がキャンプを楽しみながら、最後にポイ捨てされた空き缶でもペットボトルでも、煙草の吸殻でも、負担にならない程度に一つだけでいいから持って帰る。それだけの誰にでも簡単にできる活動が、とても大きな力を生みます。

ゴミは誰かが片付けないとなくならない

ポイ捨てされたゴミも、焚き逃げの炭も、それが自然に消えることはありません。誰かが片付けてくれているからなくなっていることを、心の片隅に置いておきましょう。

キャンプ地を汚さない環境を作る

キャンプ地を汚さないこと

美しいキャンプ地を堪能したあとは、自分のいた痕跡を残さず、できる限りの現状復帰をしましょう。次に来る人にも、この地の爽やかな風と光と、ありのままの景色を味わってもらうためです。

人知れずキャンプ地を整備してくれている、見えない「誰か」を思いやることが大切です。

焚き逃げやゴミの放置をせず、全国どこにいってもキャンプ地を汚しにくい環境を作り出せば、野営場所を綺麗なまま保全する大きな力となります。

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