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お箸の持ち方、正しくできてる? 一生の宝になる「正しい持ち方」と「マナー」を身につけよう

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平沼芳彩

平沼芳彩

NPO法人「みんなのお箸プロジェクト」理事長。箸文化研究家・礼法講師・箸育プロデューサー。箸文化や箸遣いに関するセミナー、my箸作りを行うワークショップを多数開催。

日本人の7〜8割がお箸を正しく持てていない!?

「お箸の持ち方に、本当は自信がない」と感じたことはありませんか? 実は、お箸の持ち方についてのコンプレックスは、老若男女たくさんの方が秘かに抱えているんです!

文部科学省が1998年に、小学生から大人まで2,739名を対象に行った調査「青少年の生きる力を育むための総合的調査研究」では、“小学生の約8割がお箸を正しく持てない”という結果が……。その後もほかの研究所による調査から、“40代・50代の大人でも約7割がお箸を正しく持てない”という結果が報告されています。

そこで、「箸育」をテーマに活動するNPO法人「みんなのお箸プロジェクト」を取材。お箸の正しい持ち方や、どうすればお箸を正しく持てるようになるか聞いてみました!

左:NPO法人「みんなのお箸プロジェクト」副理事長 禾木義秀さん 右:同プロジェクト理事長 平沼芳彩さん

左:NPO法人「みんなのお箸プロジェクト」副理事長 禾木義秀さん 右:同プロジェクト理事長 平沼芳彩さん

正しいお箸の持ち方とは?

はじめまして。NPO法人「みんなのお箸プロジェクト」の平沼芳彩です。今回はお箸について、ぜひ一緒に考えていきましょう。

「みんなのお箸プロジェクト」工房にて、楽しくわかりやすく解説してくれた平沼さん

「みんなのお箸プロジェクト」工房にて、楽しくわかりやすく解説してくれた平沼さん

正しいお箸の持ち方とは「伝統的な箸の持ち方」のこと

まず持ち方ですが、実は「正しいお箸の持ち方」は存在しません。規定はなく、箸業界では「伝統的な箸の持ち方」と表現されています。

持ちやすく、食べやすく、実用的で美しいお箸の持ち方は、先人たちの知恵と工夫から育まれたもの。親から子、子から孫へと脈々と受け継がれてきた生活文化のひとつと言えます。

また、先が細くなったお箸の形も日本特有のものと考えられます。日本は昔、古事記や日本書紀にも「瑞穂の国」の美称で呼ばれたほど稲穂が豊かに実る国です。そのお米は粘度が高く、もっちりとした米粒を「つまむ」という機能がお箸に与えられ、繊細さを兼ね備えた先細で美しい“日本のお箸”の形状が生まれました。

世界の国の約3割でお箸が使われていますが、汁物を含めて全料理をお箸だけで完食する国は日本だけではないでしょうか。日本におけるお箸はたいへん神聖なものであり、「使う人の魂が宿るもの」「和の精神を象徴する道具」として、食文化のなかで特に重要な位置にあるといっても過言ではありません。先人の知恵を受け継がないのは、もったいないですよね。

先が細くなったお箸の形も、日本伝統のもの

先が細くなったお箸の形も、日本伝統のもの

「箸使い」が記録として残る最古のものは、おそらく江戸時代後期、1763年(宝暦13年)以降に伊勢貞丈(いせさだたけ)がまとめた伊勢流有職故実の解説書『貞丈雑記(ていじょうざっき)』。この書物のなかで、礼法のひとつとして、お箸の作法や持ち方について書かれています。

禾木さん

木さん

このように、正式には「伝統的な箸の持ち方」ではありますが、これでは子どもたちに意味が伝わりにくいですよね。そこで、私たちのプロジェクトでも、「伝統的な箸の持ち方」を「正しいお箸の持ち方」と表現することが多いです。

 

乳幼児はどうやってお箸の持ち方を身につける?

お箸は指先だけで動かしているように見えますが、実は体全体がかかわっています。脳からの指令が指先までちゃんと届く、姿勢を保つ筋力が育っている、といった体の発達が伴うことで、お箸をちゃんと使えるようになります。

ですから、「つまむ」「にぎる」「持つ」といった子どもの発達段階に合わせて、保護者が与えるものを変えてあげることで、お箸がスムーズに持てるようになります。お箸トレーニングは、月齢7ヵ月頃の「たまごボーロ」を指先でつまみ始める頃にはもう始まっていると考えるとよいでしょう。

例えば、「つまむ」動きを楽しく練習するには、モンテッソーリ教具の「あけ移し」が役立ちます。

モンテッソーリ教具の「あけ移し」は、パスタやほかの小物でも再現できる

モンテッソーリ教具の「あけ移し」は、パスタやほかの小物でも再現できる

ほかには、洗濯バサミもおすすめです。私の孫は、1歳8ヵ月の頃には自分のパイプ椅子に洗濯バサミをくっつけて遊んでいました。こうした遊びのなかで、子どもは指先の力に強弱をつけられるようになり、お箸を持つ準備が整ってきます。

洗濯バサミは、子どもの成長に合わせて大きさを変えるのがおすすめ

洗濯バサミは、子どもの成長に合わせて大きさを変えるのがおすすめ

これができたらお箸を持つ準備が整った合図

  • 両手を広げて3秒間片足立ちができる
  • スプーンを鉛筆の握り方で持てる
  • じゃんけんのチョキができる
  • 説明が理解できる(「曲げる」「伸ばす」、指の名称など)

手を横に広げる少年のイラスト

準備が整ったら、まずはお箸1本から練習を始めましょう。

正しいお箸の選び方

お箸選びはとても重要です。乳幼児も大人も、正しいお箸の持ち方ができない原因は、実は「自分の手の大きさに合ったお箸を使っていない」ということがほとんど。たったそれだけのことで、お箸が上手に使えなくなっているのです!

体に合わせて洋服や靴のサイズを選ぶように、お箸のサイズも合わせましょう。一番使いやすいお箸の長さは「一咫(ひとあた)」の1.5倍と言われています。

一咫(ひとあた)は、親指と人差指を直角に開いた時の、親指の先端から人差指の先端までの長さのこと

一咫(ひとあた)は、親指と人差指を直角に開いた時の、親指の先端から人差指の先端までの長さのこと

手が大きな大人でも、菜箸では食べにくいですよね。手が小さな子どもにとって、長い大人用のお箸もそれと同様です。まず、お箸を手のサイズに合った長さに変えてみてください。そして、子どもの成長に合わせて、こまめにお箸を買い替えましょう。これだけでも、それまでよりお箸を上手に使えるようになるかもしれません。

「みんなのお箸プロジェクト」のお箸作りワークショップで使用するお箸のサンプル。1㎝単位でお箸を選ぶ

「みんなのお箸プロジェクト」のお箸作りワークショップで使用するお箸のサンプル。1㎝単位でお箸を選ぶ

禾木さん

木さん

ご自身の一咫が何cmかをご自宅で測り、自分にぴったりのお箸の長さを計算して把握しておくのがおすすめです。1㎝の違いで、使い心地がずいぶん変わりますよ!

では続けて、お箸の持ち方やマナーについて、さらに詳しくお話していきましょう。

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