料理研究家・リュウジの簡単やばうまレシピ「手羽元と大根の塩煮込み」
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はじめまして! 『雑草計画』というサイトを運営している阿部拓也といいます。
現在は、身近にある雑草を「管理」「活用」「教育」「!?(ひらめき)」という4つの視点で捉え、事業化を目指しています。そのほかにも、宮城の農家さんと一緒に山の活用を模索したり、さつまいもを栽培したりするなど、植物に囲まれた生活を営んでいます。
雑草と向き合ううちにだんだんと楽しくなり、育てるだけでなく、食べたり観察したり、学べることがいろいろと増えてきました。今回は、そんな雑草をより身近に感じてもらえたら嬉しいです!
さて、私と雑草との関わりですが、大学院に進学するにあたり、ほかの人と違うことをしたいと考えたのがきっかけでした。大学の農学部には、遺伝子や作物を対象とする研究室は必ずあるのですが、雑草を対象にした研究室はほとんどありません。つまり、雑草を選択するだけで、農学部の中でもかなり珍しい存在になれます。
ちなみに、日本には大学が781校もあるそうですが、雑草を研究する主な大学は宇都宮大学、静岡大学、京都大学、岡山大学くらいです。雑草は全国に生えているのに、研究者が少ないのはとても不思議な感じがします。
集めた雑草の種子がちゃんと芽を出すかを確認するための試験栽培の様子
ともかくも、研究の第一歩として雑草を栽培することから始めました。とはいえ雑草の種子はホームセンターでは販売していないので、まずは空き地などで種子集めからスタートです。
種子はもの凄く細かいもの、手に刺さるものから、さやから飛び出した種子が目に飛び込んでくるものまであって、この段階からとても個性的でした。さらに、土にまいても芽が出なかったり、もうダメかと思ったころに発芽したりと、成長の仕方もさまざまです。とにかく、雑草は均一に育つ作物とはまったく異なる存在でした。
そして、気が付けば20年近くが経ち、200種類を超える雑草を栽培していました。恐らく、日本でもこれだけの数の雑草を栽培した人はかなりレアだと思います。
ところで、普通に「雑草」と書いてきましたが、雑草の話題になると、どうしても「雑草とは何者か」という話になります。「雑草という植物はない」という意見はその通りで、雑草というのは総称であって、定義があります。
例えば、アメリカの思想家・エマーソンは「その美点がまだ発見されていない植物である」と言っています。だいぶ文学的な感じになりますね。
また、いくつかの定義を要約すると「人間の生活に密接した植物」と言えます。つまり、畑や水田、道路や鉄道などの“人間が作り出した環境”に入り込んでくる植物を指します。これらの植物は、人間と共存しているのが特徴で、逆に言えば「山奥にひっそりと生えている植物は雑草ではない」ということになります。
ただ、雑草の定義には非常に曖昧な部分もあり、例えばヨモギやドクダミ、ゲンノショウコは雑草でありながら、「薬草」とも言われています。結局、雑草は人間が定義したものなので、あるときは薬草になったり、花がきれいな雑草は「園芸植物」となる可能性があります。また、作物の祖先は雑草なので、将来的には「作物」として親しまれる雑草が現れても不思議ではありません。そういう意味で、雑草にはまだまだたくさんの可能性があります。
下痢止めや胃腸病に効能があるゲンノショウコ
ちなみに、雑草と聞くと「雑草魂」という言葉を連想する方も多いでしょう。雑草はどんな環境でも生育し、もの凄く強いというイメージがあると思います。でも、本当の雑草はとても繊細な生き物です。
育ててわかったのですが、雑草は水分・光・肥料などの好みがちゃんと合わないと、上手く育ちません。普通に病気になるし、虫にも食べられてしまいます。我々が普段見かける雑草は、そこの環境に合ったものだけが生き残っているということになります。また、我々が普段目にする雑草は、雑草同士のし烈な生存競争で生き残ったものなので、実際はその何百倍もの雑草が小さなうちに枯れています。