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創業約100年の鳴木屋輪店は、シティサイクルやママチャリのほか、スポーツ自転車を取り扱う街の自転車屋さん。
創業時から東京都世田谷区の同じ場所でお店を営んでいて、3代目の鈴木啓之さんが今の店主です。
「大正時代の自転車の値段は、給料数ヵ月分の高級な乗り物だったと祖父から聞いたことがあります。自転車の世界は奥が深くて、今でもいろいろ研究中。安全・快適に末永く自転車を使っていただけるように、自転車の組み立てや修理をしています」と話す鈴木さん。
普段使いの自転車をたくさん修理してきた街の自転車屋さんだからこそ知っている、自転車修理が必要になる原因や、自分でメンテナンスする際のポイントなどについて教えてもらいました。
自転車には、タイヤやブレーキなどさまざまなパーツがあります。この中で、鳴木屋輪店が修理の依頼を受けることが多い修理箇所と、その原因をご紹介しましょう。
自転車の修理依頼で最も多いのは、タイヤのトラブルです。新品のタイヤと見比べると、ブロックがすり減っていたり、ひび割れていたりするので、目で見て交換が必要な時期もわかりやすいパーツでしょう。
タイヤ交換が必要となる原因として、下記のようなことが考えられるそうです。
チューブは、自転車のタイヤの内側に入っているゴム製のパーツです。細く輪になった風船のような形状をしていて、中に空気を入れて膨らむことで自転車を走らせることができます。
チューブ交換が必要な原因として思い浮かぶのは、路面に落ちている画鋲や小石、植物のトゲ、細いワイヤーなどがチューブに刺さって、パンクしてしまうこと。
ただ、お店に持ち込まれる自転車を見ると、別の原因もあるそうです。
タイヤが空気圧不足になっていると、タイヤの内側とチューブがずれやすくなります。その状態で自転車を走らせていると、タイヤの中のチューブが動いてタイヤの内側にあたってこすれ、チューブが摩耗します。
そして、こすれて傷ができたがところが薄くなって、空気圧に耐えきれずに破れてパンクしてしまうのです。
また、走行中の路面のでこぼこにタイヤがぶつかった際、空気圧が足りないとタイヤがつぶれ切ってしまい、タイヤとリムのあいだにチューブが挟まって穴が開いてしまうことがあります。
ヘビが噛んだような、特徴的な2ヵ所の穴が開くことが多く、「スネークバイト」と呼ばれます。
自転車のチェーンは、ギアと噛み合うことで、自転車が前へ進む駆動力を生み出すパーツです。
チェーンは、「リンク」と呼ばれる小さなパーツ同士を数珠上につなげた構造になっていて、リンクには「インナーリンク」と「アウターリンク」の2種類があります。
これらを交互につなげて1本の紐状にし、最後に始点と終点をチェーンピンで止めることで輪になります。
チェーンは走行距離が長くなるほど、リンクのつなぎ目が摩擦して削れてしまう消耗品。削れてしまったリンク同士のつなぎ目は緩くなり、それがチェーンのたるみとなります。
鈴木さん
自転車屋では、『チェーンが伸びる』と言いますが、実際はチェーンの内部が削れ、隙間が増えて伸びます。チェーンは100個以上のリンクがつながっています。
1つのリンクが0.2mm削れただけでも、合計すれば20mm以上になります。摩耗が進めば、チェーンが切れるリスクも高くなります。
鈴木さん
一般的な外装式スポーツ自転車であれば、オイルで潤滑できている状態で、走行距離3,000kmを超えたら交換の目安でしょう。
ブレーキは、自転車の安全に直結するため、特に注意が必要なパーツです。ブレーキ修理の原因の多くは、「ブレーキパッド」の摩耗です。
ホイールとすれ合うブレーキパッドのゴム部分は、使用し続けることですり減っていきます。ブレーキパッドの土台は金属でできているので、ゴム部分がすり減った状態を放置しておくと、土台の金属がむき出しになった状態でブレーキをかけることになり、タイヤのホイールを傷つけてしまいます。
ブレーキで、もうひとつ注意すべきことは、ブレーキワイヤーの切断です。
鈴木さん
ブレーキワイヤーへの注油が足りなかったり、片輪のブレーキばかり使っていたりすることで、突然、ワイヤーが切れてしまうこともあります。乗っているときに切れてしまうと、当然ブレーキが効かなくなるのでとても危険です。
ブレーキワイヤーは消耗品。ほとんどのメーカーで推奨している年1回の交換が理想ですが、2、3年に1回を交換の目安と考えるのがおすすめです。
また、自転車に乗る前には必ずブレーキを握ってみて、ワイヤーが緩んでいないか、ブレーキの握り具合に違和感がないかなど、安全点検を怠らないようにしましょう。
ハンドルやサドルは、自転車の転倒時などに位置がずれてしまうことが多いパーツです。ハンドルに歪みやガタつきがないか、サドルの位置や高さがいつもと違わないか、自転車に乗る前に確認しましょう。
ペダルも、転倒時に地面と強く接触して位置がずれたり、損傷したりすることがあるパーツです。駐輪場などに停めていた自転車が、自分の知らないうちに転倒してペダルが不具合を起こしている場合もありますので、自転車に乗る前に異常がないか確認することが大切です。
自転車の修理箇所で多いタイヤ交換を自分でする場合、どのような手順で行えばいいのでしょうか。
鈴木さんに、シティサイクル・ママチャリのタイヤ交換を実演してもらいました。ここでは、前輪の交換手順をご紹介しましょう。
まずは、自転車のフロントフォークと呼ばれる部分と、前輪を止めているナットを取り外します。片方のナットだけを先に外すと車軸が傷むことがあるので、左右交互に少しずつ緩めていくのがポイントです。
前輪のナットは、前かごや泥除けのステー(金具)もいっしょに止めていることがほとんど。ナットを取り外せば、同時に、前かごやステーも取り外すことができるでしょう。
ナットで止まっているパーツがすべて外れているのを確認したら、フロントフォークから前輪を取り外します。このとき、落ち止め(ナットが緩んでも、ホイールが抜けないようにする保安部品)をなくさないように注意しましょう。
タイヤのホイールの内側に飛び出ているバルブの先端を緩めて、タイヤの空気を抜きます。バルブの先端についている保護キャップは、手で回して先に外しておきましょう。
空気が抜けたら、バルブの奥にはまっているナットと、虫ゴムがついたバルブコアも、すべて取り外します。
ホイールからタイヤを取り外すには、タイヤレバーという専門工具を使うのが一般的です。
タイヤレバーを、タイヤとリム(ホイールの外枠)のあいだに差し込み、テコの原理で押し込むとタイヤをホイールから取り外すことができます。複数本のタイヤレバーを、少し間隔を開けて順番に差し込んでいくとタイヤを外しやすくなります。
タイヤが浮き上がった場所を起点にして、タイヤレバーをリムに沿ってスライドして1周させると、タイヤが完全にリムから取り外せます。このとき、タイヤレバーでタイヤの内側にあるチューブを挟んで、傷つけないようにしましょう。
ホイールからタイヤが外れたら、タイヤの内側にあるチューブを隙間から抜き取ります。このとき、抜き取ったチューブを地面に置かないようにしてください。地面の小石や汚れがチューブに付着すると、再び装着した際、パンクの原因になることがあります。
ホイールからタイヤとチューブが外れたら、やわらかい布などでホイールを軽く拭いて汚れを取ります。リムにへこみがないか、異物がついていないかなど、ホイール全体の状態を確認してください。
ホイール中央にあるシャフト部分を確認します。ガタつきがある場合には、シャフト中央部にあるハブ軸のナットを締めたり、回転がスムーズになるように調整したりします。この調整は難しいため、本格的な調整は自転車屋さんへ任せるのもいいでしょう。
異常がない場合は、自宅でシャフト部分に注油するだけでも十分です。
ホイールの内側には、リムテープと呼ばれるテープが貼られています。これは、スポークのニップル(つなぎ目)とチューブが直接接触して、パンクしてしまうのを防ぐための物です。
リムテープが古くなっている場合は、新品のリムテープと交換しましょう。
ここまで済んだら、次からは新しいタイヤを取りつける手順になります。
新しいタイヤの片側を、ホイールのリム部分にはめていきます。チューブを交換する場合は、新品のチューブを用意しておきましょう。
鈴木さん
当店では新しいタイヤをはめる前に、タイヤとチューブの摩擦を軽減するためのタルク(滑らし粉)を、タイヤの内側に塗っています。
次は、タイヤの片側の隙間から、チューブを入れる作業です。
チューブのバルブ部分についているナットなどの部品がすべて外れていることを確認して、ホイールのバルブ穴に、バルブを差し込みます。差し込んだ後、バルブのナットを軽く止めておくと、ホイールからチューブが外れることがなく、この後の作業がやりやすくなります。
チューブは、タイヤとホイールを回転させながら、少しずつタイヤの内側に入れていきます。
チューブをタイヤの内側に入れ終わったら、リムにタイヤをはめます。このとき、バルブの位置とタイヤのロゴマークを合わせるのがテクニックのひとつ。
鈴木さん
こうして位置を合わせておくと、パンクしたときに、原因がタイヤのどの場所にあるのかを把握するための目印になります。
パンク修理の際、例えばチューブに開いてしまった穴がバルブとは正反対の位置だった場合、タイヤも同様にロゴマークとは正反対の場所を調べることで、パンクの原因を特定しやすくなるのです。
タイヤをリムにはめる際、タイヤレバーを使う方法もありますが、チューブを挟んで傷つけることもあるため、基本的には手ではめていくのがおすすめです。
また、最初のうちは少ない力で簡単にはめることができますが、最後の方になると、タイヤが硬くなってはめづらくなります。その場合には、チューブを傷つけないように注意しながら、タイヤレバーを使ってタイヤをはめるといいでしょう。
なお、少し専門的になりますが、タイヤをはめる際のコツとして、「ビードを落とす」というポイントがあります。タイヤのビード(タイヤをホイールのリムに固定する役割をするタイヤの上端部分の名称)を、リム底に落とし込んでタイヤをはめる方法です。
詳しく知りたい方は、タイヤの着脱に慣れた方や、自転車屋さんなどに聞いてみるのがおすすめです。
鈴木さん
タイヤのはめこみ方には、バルブの位置から左右均等にはめこむ方法と、バルブの反対側から左右均等にはめこむ方法の、2つがあります。私は、バルブの反対側からはめこむ方がやりやすいですね。タイヤを内側に押し込むように、はめこんでいくのがコツです。
空気を入れる前に、チューブがねじれて入っていないか、タイヤと挟まっていないか、タイヤの片側を開いて確認しましょう。
また、バルブがホイールに対して斜めになっている場合は、まっすぐになるように調整します。
バルブに、虫ゴムがついたバルブコアを差し込み、ナットなどのバルブ部品をすべて取りつけて、バルブを固定します。
タイヤに空気を少し入れて、タイヤが適正にはまっているかバランスを確認します。両手でシャフト軸を持って宙に浮かせて、タイヤを回転させたときの回り方で判断します。
タイヤのはまり方のバランスが悪いと、タイヤが歪んで回転しているように見えるでしょう。
もし、タイヤの回り方がいびつな場合には、タイヤ側面の「ビードライン」を確認します。
ビードラインとは、タイヤの上端部分(タイヤとリムの結合部分)のことを指し、タイヤをはめたときにリムとタイヤが適正な位置にあるかどうかを確認するための目安となります。
ビードラインが、リムとの境界線から離れすぎていないか、反対にビードラインがリムの中に埋もれていないかを確認して、適正な位置でない場合はタイヤのはまり方を調整します。
念のため、チューブのねじれやタイヤへの挟み込みがないかも、タイヤの内側をもう一度、点検しましょう。
タイヤに適正な空気圧の空気を入れたら、前輪を取り外した手順とは逆の順番に、フロントフォークに前輪を取りつけます。自転車の前から見て、左右のフロントフォークをちょうど中央の位置に前輪が来るよう、取りつけるのがポイントです。
また、左右のナットの締め加減には注意しましょう。
鈴木さん
ナットを締めすぎると、シャフトが曲がってしまいます。逆に締め方が緩いと、乗っているときに最悪の場合、ナットが外れてしまうかもしれません。
ナットなどのネジを締めつける際、工具を使って回すときに必要な力を「トルク」といい、単位はニュートンメートルで表します。
種類によっても異なりますが、一般的に前輪を取りつけるときの理想のトルクは、20ニュートンメートル以上。適正なトルクで締めつけたい場合は、トルクレンチという工具を使います。
締めつける際のトルクについては、安全にもかかわるため、慣れない人は自転車屋さんへお願いするようにしましょう。
自転車の後輪タイヤの交換は、自分で行わない方がいいと鈴木さんは言います。その理由は、後輪に取りつけられているパーツが、前輪と比べて多いからです。
自転車の構造上、後輪を取り外すには、チェーンカバーやチェーン、変速機、後ろブレーキなどもいっしょに外さないといけません。タイヤ交換をした後も、チェーンやブレーキワイヤーなどの再調整が必要となります。
後輪のタイヤ交換が必要になったときは、慣れた方でない限り、近くの自転車屋さんへ持ち込むのがおすすめです。
自分で自転車の修理やメンテナンスをする場合、最低限必要な工具やアイテムにはどのような物があるのでしょうか。
続いては、おすすめの工具やアイテムを鈴木さんに紹介してもらいました。
六角レンチは、自転車のパーツを調整するための基本的な工具です。断面が六角形で、L字型になっているのが一般的です。自転車のパーツの中で、ネジの頭が六角形にへこんでいるネジを調整するのに使われます。
さまざまなタイプが市販されていて、サイズ別の六角レンチが複数本セットになった物、ツーリング時などに持ち運べる携帯用など、用途に応じて選ぶといいでしょう。
ソケットレンチ(輪業用ラチェットレンチ)は自転車整備専用の工具。六角形にへこんでいて、そこにナットをはめて、締めたり緩めたりできます。
14mmと15mmがついているソケットレンチは、「自転車専用レンチ」と呼ばれるほど多くのパーツの調整に使えます。特に15mmは自転車の整備ならではのサイズです。
鈴木さん
一般家庭でも使うことが多い工具にモンキーレンチがありますが、扱いが非常に難しい工具です。力の入れ具合によってナットが削れてしまうことがあるので、自転車のメンテナンスにはあまりおすすめできません。
Y型ボックスレンチは、Y型の形状をしたレンチ。Y型の先端がそれぞれ違うサイズになっていて、これ1本で3種類のサイズのナットを扱えます。
扱えるサイズ別に市販されていますが、8mm、9mm、10mmのサイズがセットになった物であれば、自転車のさまざまなパーツに使えてメンテナンスには重宝するでしょう。
鈴木さん
家庭用の自転車であれば、5mm・6mmの六角レンチ、13mm・14mm・15mmのソケットレンチ、プラスドライバー(2番)、Y型ボックスレンチがあれば、大抵のパーツを調整できます。これ以上の工具が必要になる修理やメンテナンスは、自転車屋さんへご相談ください。
自転車のタイヤのバルブは、英式・仏式・米式の3種類があります。生活用自転車で採用されているのは英式バルブが多く、スポーツ自転車は仏式や米式バルブが多くなっています。それぞれのバルブタイプに合った空気入れを選びましょう。
また、生活用自転車とスポーツ自転車の空気入れは、扱える空気圧に差があります。例えば、生活用自転車のタイヤの空気圧が一般的に3~4kgf/cm2に対して、クロスバイクでは6kgf/cm2の空気圧まで対応しているなどの違いがあります。
タイヤの空気圧を計測できるゲージ(メーター)がついた空気入れもありますので、空気圧管理の目安として活用するのもおすすめです。
なお、英式バルブの場合、ゲージつきポンプの値が正確に出ないので注意が必要です。
鈴木さん
蓄圧タンクつきの空気入れであれば、小さな力で空気を入れられるので便利です。家庭用にも1台あると重宝するでしょう。
自転車を安全・快適な状態で長く乗るためには、定期的なメンテナンスが大切になります。
続いては、家庭でもできる自転車のメンテナンスのポイントをご紹介しましょう。
自転車のタイヤの空気は、乗っていない状態でも自然と少しずつ抜けていきます。1ヵ月~1ヵ月半に1回など、定期的にタイヤに空気を入れるようにしましょう。
チェーンへの注油頻度は、自転車の使用頻度や天候によって変わりますが、3週間に1回程度を目安にするといいでしょう。チェーンは消耗品のため、3,000kmの走行を目安に、交換を検討するのがおすすめ。
また、走行時にチェーンから「キリキリ」「キュルキュル」と異音が鳴る場合は、注油が不足しているサインです。
ほかのメンテナンスと同じタイミングで、自転車本体をやわらかい布などで軽く乾拭きしましょう。
見た目をきれいに保てるのをはじめ、パーツの傷やへこみ、歪みなどの異変に気づくきっかけになります。自転車を、雨ざらしにならない保管場所へ置くことも大切です。
創業約100年の歴史を誇る鳴木屋輪店。自転車修理やメンテナンスに使う工具にもこだわりがあります。特に修理頻度の多いタイヤ交換では、さまざまな種類のタイヤレバーを使っているそうです。
鈴木さん
タイヤレバーには、素材だけでも、金属、樹脂とさまざまな種類があります。スポーツ自転車の場合、リムを傷つけないように樹脂を使うなど、自転車によって使い分けます。形状にもメーカーごとに特色があり、最近はパナレーサーやIRCのタイヤレバーをよく使っています。
また、タイヤ交換をする自転車の種類によっては、自作のタイヤレバーを使うこともあるそう。先代が自転車のパーツを再利用して自作したタイヤレバーを受け継いでいます。
鈴木さん
このタイヤレバーは先代の親父が作った工具で、角度や持ち手がいい具合になっていて使いやすいです。自分でも作ろうと思ってはいるんですが、同じ物を作るのは、なかなか大変ですね。
自転車を長く安全・快適に乗るためには、日頃のメンテナンスが不可欠です。また、タイヤ交換など自分で自転車を修理しようとする場合には、必要な工具をそろえて、パーツのことをよく理解しておく必要があります。
自転車修理やメンテナンスの初心者の方は、家庭でも手軽にできるメンテナンスから始めてみてはいかがでしょうか。
鈴木さん
尖った物が刺さってしまうのも原因のひとつですが、一番多いのは、タイヤの空気圧不足によるものです