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大工が教える戸車交換のコツ。築30年の玄関引き戸を開閉スムーズに修繕DIY

クリエイター

二見 武馬

二見 武馬

首都高などのインフラから匠の家までも造る一級建築士の大工。1級土木施工管理技士、コンクリート診断士、コンクリート主任技士など建設関連の資格を多数保有。「方眼ノート×土木・建築」メソッドで多くの難問を解決!DIYerに分かりやすいように、プロのノウハウやアイディアを提案していきます。その他、フォーク・ユニック・ユンボなど特殊車両の操作。玉掛け・溶接・丸ノコなど、各種技能もお任せあれ!

玄関戸車を交換して、開閉スムーズにDIY

先日、近所の友人宅を訪問しました。

このお家は、昔ながらの日本家屋で築30年超。和室や客間もあって、大工さんの丁寧な仕事ぶりが随所に残っています。

こういう日本家屋で使われる建具には、やはり引き戸がよく馴染みますよね。ふすま・障子・押し入れ、などなど、引き戸と和室はワンセット。片引き・引き込み・引き違い、その開き方にもいろいろと種類があります。

日本家屋の玄関は引き戸

日本家屋の玄関は引き戸

玄関だって、もちろん引き戸。一間(いっけん)幅の引き違い扉です。訪問するたびに「カラカラカラ~ッ」と、心地好い音で出迎えてくれます。

「こんにちは~」(カラカラカラ~ッ)

田舎では、インターフォンなど実質機能していません。

「あ、どうぞどうぞ! ちょっと待ってもらいたいので、中にお入りくださ~い」

ご主人自ら、お出迎え。

「なるほど。そういうことならば、失礼しま~す!」(カラッ…。ガッ…。ガッ…。ガリッ)

あれっ? 閉まりが悪い…。何か引っかかるな。

「あ、その扉、閉める時はちょっと浮かせてくださ~い」

ご主人からは、すぐに閉じ方のアドバイスが飛んできました。もう日常的に<閉める際には引っかかる>ことを物語っています。

開閉のたびに引っ掛かる扉

開閉のたびに引っ掛かる扉



なるほど、なるほど。そういうことですか。それならば腕の見せ所です。ちょっと失礼しますね。

戸車がきちんと回転しているかを確認

玄関引き戸の扉を、両手で掴んで持ち上げます。

「よっこいしょ!」

レールから外したら、90度回転させて横向きに。戸車を覗いてみると、やっぱりですね…。

古い戸車は滑りが悪い

古い戸車は滑りが悪い

車輪に触れてみると、ガタガタとぐらつきます。

「ご主人、この戸車って交換した記憶、ありますか?」

「いえいえ。そんなこと、やった記憶はないな~!」

続けてご主人が正直に告白する。

「扉自体、たぶん、外し方もよく知らない…」

「そういうことならば、ちょっと見てみましょうか。手直しできるかも知れません」

こういう玄関の戸車は、高さ調整の可能なタイプが一般的。または、潤滑油をさすだけで、滑りが良くなることも多々あります。

一度も交換したことのない戸車

一度も交換したことのない戸車

いくつか試してみた結果、

「こりゃ、戸車を交換しないとダメそうですねぇ。外してみましょう」

錆びたネジには潤滑スプレー

錆びたネジには潤滑スプレー

さて、戸車の固定ネジは、錆びていることが多いので、外す際には注意が必要です。

潤滑スプレーをさしてからネジを回しましょう。いくつかは外れましたが、錆びて固まっているネジもありました。

これを外さないことには、交換もできませんので、多少強引ですが、バールで叩いて外します。

回らないネジはバールでこじる

回らないネジはバールでこじる

外してみると、やはり軸周辺が摩耗していました。

軸の摩耗で車輪がグラグラ

軸の摩耗で車輪がグラグラ

「では、これと同じものを探してみますよ!」

とり急ぎ、戸車を外して持ち帰ることにしました。

戸車を外した際の応急措置

ただし、戸車を外してしまうと、日常的な開閉にも支障が生まれます。

そこで、新しい戸車が見つかるまでの間は、もう一方の扉から戸車を外して、代わりに付けておくことにしました。

ただ、戸車を外してしまうと、扉自体の位置が下がってしまいます。

戸車を外すと扉の位置が下がる

戸車を外すと扉の位置が下がる

こういう引き違いの扉は、2枚が正しい高さにないと、鍵が閉まりません。

これまた対処措置として、楔(くさび・木片)を挟みます。

楔をかませて仮の処置

楔をかませて仮の処置

これでOK!

仮に扉をもち上げて、戸締り可能な状態にしておきました。

建て付けが悪いと鍵が閉まりません

建て付けが悪いと鍵が閉まりません

交換用の戸車をWEBで探す

外した戸車をネットで調べながら、代替品を探してみます。

ここで、戸車を探す際、あると便利な情報が、そのサッシのメーカー名。大体、サッシのどこかに記載されています。

サッシのメーカー名を確認

サッシのメーカー名を確認

この扉のサッシメーカーは、

「三協アルミ」(現在は合併をして、三協立山です)

さらに、「秀峰」という商品名まで判明しました。

ここまで分かると、交換用の戸車を探すのにも苦労しません。

「戸車交換 三協アルミ 秀峰」とwebで検索してみます。

すると、すぐに同じものが見つかりました!

メーカー名の検索ですぐにヒット!

メーカー名の検索ですぐにヒット!

寸法も確認してみて、問題なし!

その場ですぐに、購入しました。

見た目だけでなく寸法でも確認

見た目だけでなく寸法でも確認

ここでオススメしておきたいのが、戸車を2ヵ所分、交換すること。

今のところ不良な扉は1枚だけですが、対になっている扉も、近いうちに不具合を起こす可能性はゼロではありません。

これを機会に、どちらも交換しておくことをオススメします!

同じ戸車が見つからない時には

もし同じ戸車が見つからなくても、代わりのものはきっと見つかります。

戸車が入る溝の詳細を計測します。

戸車溝の深さを測る

戸車溝の深さを測る

<幅・長さ・深さ>を測って、適合するサイズを確認しておきましょう。

測るのは、幅・長さ・深さ

測るのは、幅・長さ・深さ

例えば、こういう汎用性の高い商品もあります。

戸車溝の適合範囲に合うものも幅広く揃っているので、

純正品が見つからなくてもあきらめずに探してみてください!

車輪の材質・形状も様々なものがラインナップされています。

新しい戸車へ交換

数日後、交換用の戸車を持参して、友人宅を再訪。

交換する前に、戸車の溝を簡単に掃除しておきましょう。

こうして見てみると、無理やり外したネジ穴が、やはり歪んでいますね。

ネジ穴が歪んでいても大丈夫

ネジ穴が歪んでいても大丈夫

でも大丈夫!

ここの固定には、そのネジよりもひと回り太い鉄工ビスで留めつけましょう。

ネジ山が死んでいたら鉄工ビスで留めつける

ネジ山が死んでいたら鉄工ビスで留めつける

メーカー純正の戸車ですが、実際の交換はやってみないと分かりません。

ちゃんと入るかどうか、ドキドキする瞬間です。

玄関引き戸の戸車交換

玄関引き戸の戸車交換

すっぽりと入って、ひと安心! 無事に取り付けられました。

潰れたネジ孔の部分も、鉄工ビスで留めつけてグラつきなし!

戸車の固定完了

戸車の固定完了

もう一枚の扉も、新しい戸車へと交換しました。

これで理論的には、あと30年は保つはずですね。

戸車を2ヶ所交換しました

戸車を2ヶ所交換しました

さて、交換の理想は4ヵ所すべてです。

しかし、今回は予算の都合もあるので、摩耗の著しい2ヵ所を選んで交換しました。

建て付け調整もお忘れなく

扉をレールに戻した際には、必ず建て付けを確認してください。新しい戸車なので、以前の状態とは微妙に高さが異なる可能性があります。

サッシ外枠に扉を近付けて確認します。

扉と枠の隙間が均等になるよう、調整ネジで傾きを正します。

建て付けの確認が大事

建て付けの確認が大事

隙間の調整ができたら、鍵も閉めてみましょう!

鍵が閉まるか、要確認

鍵が閉まるか、要確認

これがしっかり締まれば、戸車交換は完了です!

扉の動きが復活しました!

扉の動きが復活しました!

「カラカラカラ~ッ」

心地好い音と共に、ストレスのない開閉を取り戻しませんか!

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