花粉症に怯えている。盲点だった手法で今年はバトルを仕掛けてみることにした
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アウトドアナイフで着火!
キャンプの楽しみは何と言っても焚き火です。その火の起こし方にも、キャンプの玄人と素人の差は出るものです。
あなたが着火する焚き火は、簡便なライター? それともマッチをシュッ! ですか?
実は、そんな文明の利器を使わず、もっとワイルドに火を起こすやり方があります。せっかくキャンプに来てライターやマッチで起こした火は味気ない、というのが正直なところ。原始人のように小さな火花から炎を育てる楽しさは、ヒトの心をくすぐります。
今回ご紹介する焚き火の着火方法は、時代劇でご主人が出かける際、おかみさんが玄関先でカチカチとやっているアレ。キャンプでも同じ仕組みで火を起こすことが可能です。
ファイアースターターの使い方
焚き火の着火に使うのは、「ブッシュクラフトナイフ」と呼ばれる頑丈なナイフ。
そして、ナイフと一緒に、「ファイアースターター」という着火道具を使用します。ファイアースターターの金属棒にナイフの背を当て、素早く擦ると、およそ3,000℃にも及ぶ高温の火花が放たれます。その強力な火花を燃えやすいものに着火させるんです。
では、実際にやってみましょう!
麻紐を切ってほぐす
ナイフで着火するときの一番の必需品は、麻紐です。ファイアースターターの火花を着火させるのに、麻の繊維がうってつけ。
麻紐を短く切ってほぐし、写真のようにフワフワの綿状にしておきます。
一回の必要量は両手に一杯ほど。ヒマなときに予備を用意しておくといいでしょう。簡単なのでお子さんに手伝ってもらってもOK。
「フェザースティック」を作る
次に、ナイフで「フェザースティック」を作りましょう。
フェザースティックとは、枝の先端を羽毛のように削って、焚き火の火口に使う自然の着火材。作り方は簡単です。
スギやヒノキなど、よく乾いた針葉樹の細薪を薄く削り、先端を羽のようにフサフサにします。麻紐についた火をこのフサフサに移し、だんだんと炎を大きくしていきます。
棘やケガ防止のため、木材を持つ手にはグローブを着けましょう。そして、滑らないよう、ナイフを持つのは「素手」が基本です!
フェザースティック完成
できました!
予備として5〜6本用意しておくといいでしょう。ナイフの扱いの練習にもなりますよ。
手間をかけた火は格別です。
「焚き火台」と「焚き火シート」
さあ、いよいよ着火です。
空気が通るよう隙間を開けながら、一番下は太めの薪、その上に細めの薪、小枝や松ぼっくり、フェザースティックの順に組んでください。最後に、ほぐした麻紐を丸めて置きます。
直火OKのキャンプ場以外では、必ず専用の「焚き火台」を使うのがお約束。また、熱い灰や火の粉から、植物の根や土中の微生物を守るため、グラスファイバー等の難燃繊維でできた「焚き火シート」を使うのが新常識になりつつあります。
焚き火台の下に敷いておけば、後片付けもラクですよ。
燃やす順番はコレ!
いきなり太い薪に火はつきません。麻紐からフェザースティックに火を移し、よく乾燥した小枝や松ぼっくり、次に火がつきやすい針葉樹の細薪、さらに火力の強い針葉樹の太薪へ。最後に、ナラやクリなど火持ちの良い広葉樹の薪を入れます。
薪は湿気ないよう、レジャーシートや薪スタンドに置いてください。夜露で濡れるのを避けるため、寝るときは薪をシートで包んでタープの下へ置くか、車の中に保管しましょう。
麻紐の上で、ファイアースターターにナイフの背を当てて構えます。
ナイフを素早く振り抜くと、パシュッ! という音とともに、鋭い火花が!
ほぐした麻紐に火がつきました! 燃え尽きないうちに…
用意しておいたフェザースティックに順次火を移します。
続けて、乾いた小枝を投入。かなり忙しいですが、せっかくついた火が途絶えないよう、ここが頑張りどころ!
細い薪から太い薪の順に投入し、火を育てます。針葉樹は燃え尽きるのが早いので、炎が20〜30cmの高さまで上がったら、ここで初めて、燃え方のゆるやかな広葉樹の薪を足していきます。
ナイフとフェザースティックで着火成功
「こりゃおもしれー! ナイフ一本で、思ったより簡単に着火できたぞ。洞窟に住んでいた頃の原始人の気分だな!」
たった一発の小さな火花から炎を育てる楽しさは、ヒトの記憶と、挑戦する心をくすぐります。
マッチは濡れたら使えません。ライターも気温が零下になると点火しないことが多いです。一方、ファイアースターターは濡れてもサッと拭けば着火できるので、非常時でも火を起こし、暖をとり、調理も可能。ファイアースターターのみでも、付属の「ストライカー」を使えば火花が飛ぶ仕組みになっていますから、防災用として1セット備えておくのもおすすめです。
直火に強いスキレットで調理
火が安定したので、網をセットし、カインズのスキレットでおつまみ作り。ちろちろと燃える炎を眺めながらの食事は、くつろぎもひとしお。
分厚い鋳鉄製のスキレットは、直接火にかけても熱の当たりが柔らかく、じっくり火が通ります。20cmサイズのスキレットは、エビとマッシュルームのアヒージョ。小振りな16cmの方は、道の駅で手に入れた猪ジビエと地卵で、ソーセージエッグ。蓄熱性も高いので、ワインとともにゆっくり外呑みを堪能します。
燃え残りを叩いて火を弱める
テントやタープ、防寒ウェアの素材はほとんどが合成繊維。火の粉がひとつ飛んだだけで大穴が開いてしまいます。風が強いと、お隣のテントまで煙や火の粉が及ぶことも。
キャンプでは、最小限の炎を小粋に囲んで、ゆったりと静かに過ごす…手練れのキャンパーなればこその、こなれたスタイルを目指してください。
焚き火を楽しんだあとは、片付けもカッコよく!
消灯・撤収の時間を逆算し、薪が燃え尽きるようにしましょう。何度か経験すると感覚的にわかってきます。
熾火は火消し壺にイン!
火を消すとき、絶対にやってはいけないのが、いきなり水をかけて消火すること。器具が傷むばかりか、熱い灰と水蒸気が一気に舞い上がり、火傷の危険があります。
炎が落ち、熾火になったら「火消し壺」に入れて酸素を断ち、消火します。
火消し壺で安全に消火
火消し壺は写真のような陶器製のほか、金属製のものも多く出回っています。こうしてできた「消し炭」は、火がつきやすいので、次回の着火に使えますよ。
キャンプ場の「炭捨て場」
燃え殻は、完全に火が消えていることを確認し、キャンプ場の「炭捨て場」に捨てましょう。
炭は炭素ですから、これ以上分解しません。土に埋めても永遠にそのまんま。炭捨て場がなければ持ち帰り、燃えないゴミとして出してください。
バカ薪
バカでかい燃え残り…これが「バカ薪」です。キャンプ場周辺に落ちている生木や、太すぎる薪をそのまま焚き火に突っ込んだ成れの果てがコレ。
こういった木材はなかなか燃え尽きないので、結局は生焼けで放置されることに。その辺の湿った枝を拾わない(周囲の生態系を壊すことも)、薪は適度に割ってから。パッカーン! と薪割りすれば、気分もスカッとしますよ!
ナイフで薪割り「バトニング」
「バトニング」とは、薪の頭にナイフを当て、別の薪や木の棒でナイフを叩いて割る方法のこと。斧や鉈がなくても、細い薪を作る裏ワザです。このときも、ナイフは素手、叩く方はグローブが基本。
ナイフ先端からハンドルのお尻まで、一本の鋼材が貫いている形状のナイフを「フルタング」といい、安全かつ効率よく打撃を加えられます。アウトドア用のナイフを購入するときは、このタイプを選ぶと、道具を兼用できて荷物も減らせますよ。
超ラクチン薪割り器「キンドリングクラッカー」
太い薪を割るのには、刃物を一切使わず、ハンマーの一撃で、女性やお子さんでも軽い力で安全に薪を割ることのできる「キンドリングクラッカー」がおすすめです。
先に薪を購入したときは、ある程度割ってからキャンプ場に持ち込むことにしています。短時間ならまだしも、薪割りの音は結構周囲に響きますからね…。
人類が火を手に入れて以来、焚き火を囲み、気のおけない仲間と過ごすのは心安らぐ時間でした。いにしえに思いを馳せながら、あえてタフなテクニックを駆使し、自分だけの炎を育てる。これぞロマンの極みといえるでしょう!
※銃刀法により、業務やキャンプでの使用等の正当な理由を除き、刃渡り6cmを超えるナイフを所持・携帯・車等に乗せたままにすることは禁止されています。キャンプで使用するために持ち運ぶときはしっかりと梱包し、すぐに手に取ることのできないバックパックの底に納めるなどの注意をしてください