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鹿児島県へ旅立つ同僚に、鹿児島剣を授けたい 〜鍛冶屋はじめました〜

クリエイター

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岡田悠

岡田悠

会社員と作家。『0メートルの旅』(ダイヤモンド社)、『10年間飲みかけの午後の紅茶に別れを告げたい』(河出書房新社)、『1歳の君とバナナへ』(小学館)が発売中。オモコロで記事を、デイリーポータルZでPodcast「旅のラジオ」を更新中。

鹿児島剣を作ろう

まず鹿児島県のパスデータを作成し、A3用紙6枚に分割印刷して、テープで繋ぎ合わせる。

※今回は面積の制約上、奄美大島をはじめ一部地域は含んでいません

※今回は面積の制約上、奄美大島をはじめ一部地域は含んでいません

この用紙に沿って発泡スチロールを切っていくわけだが、注意点としては、先にコピー用紙を切っておく必要がある。スチロールカッターの熱では、紙は切り辛いからだ。今後鹿児島剣を作る人は、覚えておいて欲しい。

地味な作業が続いていく

地味な作業が続いていく

そしてコピー用紙と、スチロール板2枚を接着剤で貼り合わせたら、いよいよ剣の型抜きが始まる。スチロールカッターのスイッチをONにし、加熱部をゆっくりと当てがうと...…。

ほとんど力を入れないままカッターが入った

にゅるっ。

ほとんど力を入れないまま、カッターが入った。切ったというより入った。豆腐に箸を入れた時に似ている。それくらい楽にスルスルと、熱で発泡スチロールが切断されていく。こんなに便利な工具があったとは。常備しておきたい逸品だ。

発泡スチロールをスチロールカッターで切断

しかし楽すぎるがゆえに、取り扱いが難しい。ちょっと力を入れただけで、スーーーーッっといってしまう。油断すると鹿児島県が真っ二つになってしまう。慎重に、慎重に剣をかたどっていく。

やはり複雑な地形になるほど難しい。特に南さつま町のリアス式海岸が最高難易度だ。

鹿児島県、南さつま町

ここの海岸展望所は名所となっていて、実際に行ったことがあるのだけど、複雑な地形が織りなす絶景が素晴らしかった。「これが教科書で習ったリアス式海岸か〜!」と感動したものだ。

しかしリアス式海岸を剣にするのは大変だ。そんなこと学校では習わなかった。もし同僚の移住先が岩手県とかだったら、途中で断念していたかもしれない。

桜島の周りの鹿児島湾を「抜く」

最後の仕上げは、桜島の周りの鹿児島湾を「抜く」ことだ。桜島と大隅半島はもともと離れていたが、1914年の噴火によって陸続きになったらしい。作業ミスで再び切り離してしまわないように、ゆっくりと抜いていく。鹿児島湾を、全部抜く。

発泡スチロールを鹿児島県のかたちに切った

抜けた。

ただの発泡スチロールが、一気に鹿児島県らしくなった。鹿児島県の県章のデザインしかり、鹿児島の形のアイデンティティは、鹿児島湾と桜島にあるのだということがよくわかる。

鹿児島の抜け殻

鹿児島の抜け殻

こうしてできた鹿児島に、最後に剣としての魂を吹き込む。持ち手となる「グリップ」と「ガード」をとりつけるのだ。日本刀でいう「束」「つば」にあたる部分である。

おもちゃの剣を、2枚の発泡スチロールの間に差し込む

近所の商店街で買ったおもちゃの剣を、2枚の発泡スチロールの間に差し込む。薄っぺらいプラスチックの剣が、北部の長島からゆっくりゆっくり滑り込んでいく。こうして鹿児島県は鹿児島剣に成る。荷物を守る優しい発泡スチロールに、武器の強さが宿った瞬間だった。

完成した鹿児島剣が、こちらだ。

鹿児島剣が完成!

全長100cm弱の強くて優しい剣。きっと同僚も喜んでくれるだろう。

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鹿児島剣を贈呈

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