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まず鹿児島県のパスデータを作成し、A3用紙6枚に分割印刷して、テープで繋ぎ合わせる。
※今回は面積の制約上、奄美大島をはじめ一部地域は含んでいません
この用紙に沿って発泡スチロールを切っていくわけだが、注意点としては、先にコピー用紙を切っておく必要がある。スチロールカッターの熱では、紙は切り辛いからだ。今後鹿児島剣を作る人は、覚えておいて欲しい。
地味な作業が続いていく
そしてコピー用紙と、スチロール板2枚を接着剤で貼り合わせたら、いよいよ剣の型抜きが始まる。スチロールカッターのスイッチをONにし、加熱部をゆっくりと当てがうと...…。
にゅるっ。
ほとんど力を入れないまま、カッターが入った。切ったというより入った。豆腐に箸を入れた時に似ている。それくらい楽にスルスルと、熱で発泡スチロールが切断されていく。こんなに便利な工具があったとは。常備しておきたい逸品だ。
しかし楽すぎるがゆえに、取り扱いが難しい。ちょっと力を入れただけで、スーーーーッっといってしまう。油断すると鹿児島県が真っ二つになってしまう。慎重に、慎重に剣をかたどっていく。
やはり複雑な地形になるほど難しい。特に南さつま町のリアス式海岸が最高難易度だ。
ここの海岸展望所は名所となっていて、実際に行ったことがあるのだけど、複雑な地形が織りなす絶景が素晴らしかった。「これが教科書で習ったリアス式海岸か〜!」と感動したものだ。
しかしリアス式海岸を剣にするのは大変だ。そんなこと学校では習わなかった。もし同僚の移住先が岩手県とかだったら、途中で断念していたかもしれない。
最後の仕上げは、桜島の周りの鹿児島湾を「抜く」ことだ。桜島と大隅半島はもともと離れていたが、1914年の噴火によって陸続きになったらしい。作業ミスで再び切り離してしまわないように、ゆっくりと抜いていく。鹿児島湾を、全部抜く。
抜けた。
ただの発泡スチロールが、一気に鹿児島県らしくなった。鹿児島県の県章のデザインしかり、鹿児島の形のアイデンティティは、鹿児島湾と桜島にあるのだということがよくわかる。
鹿児島の抜け殻
こうしてできた鹿児島に、最後に剣としての魂を吹き込む。持ち手となる「グリップ」と「ガード」をとりつけるのだ。日本刀でいう「束」「つば」にあたる部分である。
近所の商店街で買ったおもちゃの剣を、2枚の発泡スチロールの間に差し込む。薄っぺらいプラスチックの剣が、北部の長島からゆっくりゆっくり滑り込んでいく。こうして鹿児島県は鹿児島剣に成る。荷物を守る優しい発泡スチロールに、武器の強さが宿った瞬間だった。
完成した鹿児島剣が、こちらだ。
全長100cm弱の強くて優しい剣。きっと同僚も喜んでくれるだろう。
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