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アメンボは、身近な池や水たまりなどで目にすることの多い昆虫です。水面に足先をのせて立つという、ほかの虫ではなかなか見られない特徴があり、子どもが飼育・観察するのに興味深い対象となるでしょう。今回は、家庭でのアメンボの飼い方や注意点などを詳しく解説します。
アメンボはカメムシの仲間の昆虫で、日本のほとんどの地域で生息しています。水中に産み付けられた卵から10日ほどで孵化し、4、5回の脱皮をしたあと、成虫になります。
3月から10月くらいまでは池や小川、水たまりなどでよく活動しているため、比較的簡単に採集することができるでしょう。寒い季節は休眠期となり、土のうえの落ち葉や草の下に隠れています。
アメンボは水のうえに足で立ち、すみやかに移動できるという珍しい特徴を持っています。
これが可能なのは、0.04gと体重がとても軽いこと、足の先に細かな毛が生えていること、足先から油分を分泌していることが理由です。この3つの条件がそろっているため、水の表面張力を壊すことなく立つことができ、体が沈みません。
しかし、アメンボは産卵のために潜水することや、生息地を変えるために羽を使って飛ぶこともあります。
自然界のアメンボが主に食べるのは、水面に落ちてきた昆虫です。針のようにとがった口吻を獲物に刺し、相手の組織を溶かすと同時に体液を吸い取ります。
また、アメンボという名前が付けられたのは、危険が生じたときなどに体から分泌するニオイが飴のように甘いためです。
採集や飼育を行うと、実際にこのようなアメンボの生態や特徴を確かめることができるでしょう。
アメンボを捕まえるには、虫取り網とバケツを用意します。水面にアメンボを発見したら、バケツで水ごとすくい取るようにします。アメンボは飛ぶこともあるため、このときにうえから網をかぶせるようにして逃げるのを防ぎましょう。
アメンボを飼育するには、適切な環境や餌となるものを用意する必要があります。飼育を始める前に、以下のようなものを準備しておきましょう。
アメンボの飼育に必要なのは水のある環境です。タッパーなどでも代用できますが、飛んで逃げるのを防ぐためには適当な網をかぶせておく必要があります。しばらく観察する予定なら、飼育ケースを利用すると良いでしょう。
こちらは、アメンボはもちろん、金魚やザリガニ、カブトムシなど様々な生き物の飼育に適した専用ケースです。ふたには大きなサイズの窓が2つ付いているので、アメンボの様子をよく観察できるでしょう。複数のアメンボを飼育したり、産卵させたりするのにも十分な大きさです。
水道水には消毒のためのカルキが含まれています。カルキは水生生物にダメージを与えることがあるため、アメンボをある程度長く飼育していく予定なら、ケースにはカルキを抜いた水を入れましょう。バケツなどに汲み置きしておいてもカルキは抜けますが、急ぐ場合は市販品が便利です。
混ぜるだけで水道水をすぐ生き物の飼育に使えるようにできる、液体のカルキ抜きです。水道水のカルキを中和し、銅や亜鉛などの重金属を無害化することができます。アメンボ以外にメダカや熱帯魚などを飼っている場合にもおすすめです。
アメンボは基本的に、昆虫など動物性のものを食べて栄養とします。定期的に与える必要があるため、身近なところで確保できない場合は、小動物用のフードを準備しておくと良いでしょう。
缶入りになっている生タイプのミルワームで、自然に近い状態の虫を餌としてアメンボに与えられます。加熱殺菌されており、衛生面での心配もありません。ピンセットが付属しているので、直接触れるのに抵抗がある人も扱いやすいでしょう。アメンボのほか、リスやハムスター、両生類など様々な生き物への栄養補給にも使えます。
天然のアカムシをフリーズドライにしているフードで、タンパク質などの栄養が凝縮されています。ソフトタイプですが、アメンボは乾燥しているものが食べられないので、水でふやかしてから与えましょう。水洗いしたアカムシを処理しているため、水槽の水を汚しにくいのが特徴です。
エンマコオロギを乾燥させた高タンパク・高脂肪のフードです。こちらもアメンボに与える場合は、事前にしばらく水に浸けておきましょう。乾燥タイプの餌は、残った分を保存しやすいのがメリットです。爬虫類や両生類、肉食の魚などの餌としても使うことができます。
アメンボは、はちみつにも寄ってきて食べることが分かっています。観察する際は、はちみつを水で10倍に薄めた液体を発泡スチロールのくぼみなどにのせて、水に浮かべてみましょう。ただし、はちみつのみでは栄養が不足することがあるので、どうしても昆虫が捕まらない場合や、食べる様子を観察したい場合に利用してみてください。
アメンボはずっと水面で動き回っているわけではなく、時折水から上がって休息します。飼育ケースには、単に水を張るだけでなく、アメンボが休息できる場所を作っておきましょう。
通常のアメンボの飼育では、あまり深く水を張る必要がないので、脱脂綿を丸めて休息場所にすることができます。その場合、脱脂綿の一部が水面からうえに出た状態になるよう調整しましょう。こちらは医療用の脱脂綿で、傷口を消毒したり薬を塗ったりするときにも使えます。
ある程度長い期間アメンボを飼育・観察していくのなら、見た目の良い枝木や石を設置するのもおすすめです。こちらは、水槽を自然の環境に似せてレイアウトできる天然流木です。観賞魚の飼育にも使用可能で、水草などと組み合わせてオシャレに演出することができます。
アメンボの産卵や孵化を観察したい場合は、卵を産み付ける場所を用意しましょう。
こちらは水生生物の産卵に適した、柔らかい天然シダの水草です。陶器製のおもりと浮き玉が付属しており、おもりを取り付けると水槽の底から上に向く形、浮き玉を取り付けると水面から下に向く形に設置できます。
ここでは、アメンボの飼い方について解説します。飼育環境を整え、適切な世話を行うことで、アメンボの生態をじっくりと観察できるでしょう。
アメンボを飼育するケースは直射日光を避け、比較的明るい場所に置くのがおすすめです。飼育ケースには、水を5~10cmの深さまで入れておきます。休息する場所として、石や木の枝、脱脂綿などを水面からうえに出るように設置しましょう。
アメンボに産卵させて観察したい場合は、水を20cm以上の深さにします。木の枝のほか、水草などを入れておくと、アメンボがそこに卵を産み付けます。
アメンボの餌は1匹に対し、小さな虫などを1日1匹与えるのが目安です。ハエやチョウ、ハチ、トンボなど様々な虫を食べるので、市販の餌を利用するだけでなく、自分で捕まえたものを与えてもかまいません。ただし、餌の虫がすぐに水のなかに沈むようだとアメンボが食べられないので、避けた方が良いでしょう。
アリは捕まえやすい虫ですが、逆にアメンボを食べる可能性もあるため、注意が必要です。また、飛べる状態の虫もアメンボはなかなか食べられないので、羽を取るなどしてから与えるようにします。
飼育ケースの水はそのままにすると汚れてくるので、定期的に新しい水に入れ替える必要があります。2日に1回程度のペースで、水替えを行うようにしましょう。また、アメンボが食べ残した餌は、水の汚れのもとになるので、早めに取り除くことが大切です。
アメンボの飼育・観察を順調に進めていくためには、以下の点に気を付けましょう。
ケースやタッパーなどを一度洗ってから使用する場合は、用いた洗剤が残らないよう丁寧にすすぐようにしましょう。洗剤の多くには界面活性剤が使われています。界面活性剤が含まれていると水の表面張力は弱まるため、アメンボが水のうえに立つことができなくなってしまいます。
自然界にいるアメンボはそれぞれ縄張りを持って生活しています。ケース内で飼育する場合も、混雑した状態にならないようにアメンボの数に気を付けましょう。幅40cmくらいのケースでは、4、5匹までが目安です。
アメンボは水のなかの水草などに産卵します。卵が水に浸かった状態が保てるよう、水の量には注意しましょう。卵は空気中では乾燥してしまい、孵化できなくなってしまいます。
また、アメンボの卵が孵化して幼虫が増えてくると、共食いしてしまうことがあるので注意が必要です。幼虫の体は、それぞれの孵化の時期によって大きさが違い、成虫より柔らかいためです。飼育ケースの数を増やしたり、幼虫を逃がしたりして適切な数を維持しましょう。
アメンボは、日本各地の水辺でよく見られる昆虫ですが、水面に立って活動するという不思議な特徴を持っています。子どもが関心を抱きやすく、捕まえたり飼育したりするのも簡単なので、夏休みのあいだに観察や研究をするには絶好の対象です。
アメンボの飼い方で特に難しい点はなく、基本的には餌やりと水替えを忘れずに行えば大丈夫です。ただし、アメンボが食べ残した餌は水の汚れの原因となるので、早めに取り除くようにしましょう。また、飼育ケースに対するアメンボの数にも注意が必要です。
実際に飼育を行うと、アメンボならではの生態を自分の目で確かめることができるでしょう。