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ビールを研究した文豪、森鴎外

調べてみた

矢野竜広

矢野竜広

ビアエッセイスト。1980年生まれ、東京都出身。コピーライター、放送作家を経て2013年、妻の故郷である鳥取県に移住しフリーライターに。著書に『ビールの図鑑』『日本のクラフトビール図鑑』(ともに共著、マイナビ)、『山陰クラフトビール』(今井出版)などがある。山陰と世界のブルワリー探訪をライフワークにすべく活動中。

文豪にして医療官僚

文豪と麦酒。

繊細かつ大胆に文化をリードした明治期の文豪たちには、当時まだ一般的ではなかった舶来品のビールを先取って嗜んでいたイメージがあります。でも、あまりにも好き過ぎて学術的な実験までしてしまった文豪は、ただ一人しかいないと思われます。

それは、幕末に石見国(現在の島根県)に生まれ、明治から大正期に活躍した文豪、森鴎外。

『舞姫』『山椒大夫』などの有名作品があることから、彼を純粋な職業作家だと思っている方が多いかもしれませんが、実は鴎外は軍医としても出世に出世を重ねた優秀な医療官僚でした。

医者の家系に生まれた鴎外は、医師に必須とされるドイツ語を10歳から学ぶほどの秀才。東京大学医学部を卒業後は陸軍病院に勤務。1884(明治17)年には留学のために渡独しています。

最初に到着したのがドイツ(プロイセン)の首都、ベルリン。そこで、ビールと出合ったわけです。

なぜビールを飲むとおしっこが近くなるのか?

当時まだ20代前半だった鴎外。初めての異国で好奇心も旺盛だったことでしょう、ビールをただ飲むだけでは飽き足らず、ドイツ語の論文を書くに至ります。

テーマは「ビールの利尿作用」。誰しもが思い当たることでしょうが、鴎外もビールを飲むうちに「なぜこんなに尿意を催すのであろうか?」と疑問に思ったのです。

実験は早朝に行われました。鴎外を含めて被験者は5人。ただの水、ビール、アルコール水、ホップ水の4種類を用意し、それらを空腹の状態で飲んで尿を30分から60分ごとに採取。尿意をもたらす根本は何なのかに迫りました。

結論は、「ビールに利尿作用があるのではなく、アルコール自体に利尿作用がある」というもの。鴎外がドイツでの出来事を綴った『独逸日記』には、この実験結果を生理学会で発表したところ、大喝采を浴びたと記されています。酒飲みの与太話などではなくドイツの学会で注目を集めたほど、きちんと学術的な実験だったことがわかります。

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