【水性ペンの落とし方】服やプラスチック、壁・床についた汚れを落とす裏ワザを場所別に紹介
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目次/ INDEX
数億年以上も前から姿を変えず、現代まで生き延びてきたアロワナ。シーラカンスやポリプテルス、ガーパイクなどと同じ古代魚の仲間です。以前は食用魚として流通していましたが、その美しさから今では観賞魚として絶大な人気を集めるようになりました。
アクアリストではない人がアロワナと聞いてイメージするのは、銀色の体色をしたシルバーアロワナだと思います。シルバーアロワナは、日本に最初に持ち込まれたとされるアロワナで、太刀魚のような銀色の体色と体を半周するように生えているヒレが特徴的な魚です。
しかし近年は、アジアアロワナの方が人気の傾向にあります。シルバーアロワナと比べて小型なため、飼育スペース面でも難易度が低く点。個体ごとに体色や顔つきが異なる点、飼育方法によって体色や仕上がりに差が生まれる飼い込み要素がある点など理由は様々です。
もちろん、どのアロワナにも、その品種ならではの魅力があります。
この記事では、これから大型魚・古代魚を飼ってみたいと考えている方へ向けて、アロワナがどういった魚なのか、飼育するために必要なもの、知っておくとより楽しめるポイントなどを併せて解説します。
体長20cm前後のアジアアロワナの幼魚
アロワナは、成長すると60〜100cm以上にもなる大型の淡水魚。ゆったり堂々と泳ぐ姿と、キラキラとメタリックに輝く大きな鱗が魅力的で、誰もが一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。水族館やホテルのロビーなど、様々な場所で飼育されています。
2010年に公開された日本映画「冷たい熱帯魚」や2006年から放送された医療ドラマ「医龍」などでも、頻繁に登場。頭から尾にかけて流れるようなシルエットから、龍に例えられることもあり、縁起の良い魚として人々に愛されている魚です。
オステオグロッサム属に分類されるシルバーアロワナ
アロワナは大きく2つに分けられます。まず、オステオグロッサム属に分類されるシルバーアロワナやブラックアロワナ。オステオグロッサム属の魚は、アフリカをはじめとする南米、東南アジアなどに分布しています。
スクレロパゲス属に分類されるアジアアロワナ
そしてスクレロパゲス属に分類されるアジアアロワナ、ノーザンバラムンディ、スポッテッドバラムンディです。東南アジアやオーストラリアに生息しています。
どのアロワナにも共通するのは、淡水に生息していること。そして下顎が突き出た大きな口と、顎先から左右に伸びているヒゲ、背ビレのない流れるようなフォルムを持つことです。どれも観賞魚として高い人気を持ちますが、なかでも現在はアジアアロワナが注目されています。
ここからは、それぞれのアロワナのルーツや特徴をご紹介します。
10〜15cmのシルバーアロワナたち。小さい頃から混泳させると喧嘩しづらいという専門家も
シルバーアロワナは最も認知度が高く、水族館でも見かけることの多い品種です。アマゾンをはじめとする南米の水域に生息し、流れの少ない止水域を好みます。現地では食用としても流通しており、白身で鯛のような味だそうです。
水面を泳ぐのが好き
自然界では1m以上、飼育下でも60〜80cmにまで成長します。より大きく成長させるには、2000×1000×600といった大型水槽での飼育が必要となります。
寿命は平均10〜15年。大型種ですが身体に柔軟性があり、水槽内をゆったりと泳ぎながらターンをする姿が人気です。成長が早く、色合いやフォルムが変化するため、その過程も楽しめるのが魅力。幼魚のあいだは細身ですが、成長するにつれて体高さも出てくるので、かなり迫力のある魚になります。
身体能力と視力も高く、野生では、1m以上もジャンプして木に止まっている虫を捕食することも。飼育下でも餌をめがけて、勢いよく突進する様子を観察できます。
日本では、流通量も高く、幼魚なら比較的安価に入手が可能です。以前は、冬から春にかけて稚魚が輸入される傾向にあったようですが、現在は一年を通して流通しています。
稀にカラーシルバーアロワナと呼ばれる、赤や青に着色された個体が流通することもあります。これは生体に悪影響を及ぼさない着色料を使用して色味をつけており、成長と共に色が抜けていく場合がほとんどです。
現在、流通している個体のほとんどは東南アジアなどでブリードされた個体です。稀にワイルド個体も流通することもあり、ネット販売でも見かけることができます。
成魚になると丈夫な魚ですが、稚魚のときはデリケートなので、丁寧な飼育を心がけましょう。稚魚のうちは、お腹にヨーサック(栄養の入った袋)と呼ばれるものをぶら下げています。
アロワナのなかでは、穏やかな性格をしており、ほかのアロワナと比べると混泳もしやすいと言われています。
繁殖が難しいとされるアロワナですが、シルバーアロワナは国内でも繁殖に成功しています。繁殖方法は、オスが卵を咥え、稚魚になるまでの間を口内で育てるマウスブリーダー※。その様子はとても愛らしく、愛好家なら一度は立ち会ってみたい瞬間です。
※一定期間、親魚が子を自分の口内で育てる生物のこと。マウスブルーダーと呼ぶことも
シルバーアロワナに限らず、すべてのアロワナには、体表が白く目の赤いアルビノ個体が存在します。普通個体と比べると高価ですが、その神秘的な風貌に魅力を感じる愛好家も多いです。
アルビノ個体。写真の個体は、ブドウ目と呼ばれる黒目と赤目の中間
アルビノのほかにも、黄変個体(ゴールデン)、白い輝きを持つプラチナも流通しています。これらはアルビノよりも高値で取引されている場合が多いです。
流通量も多く、丈夫で飼育しやすいシルバーアロワナですが、「目垂れ」を起こしやすい品種でもあります。健康面では問題ありませんが、観賞価値を損ねるため、敬遠されている状態異常です。目垂れの原因は正確には分かっておらず、今も愛好家の頭を悩ませています。
目垂れは、野生のシルバーアロワナには見られないため、水槽での飼育環境によるものだと言われているのが通説です。野生下では、上を注視しながら生活しているシルバーアロワナですが、飼育環境では、底や側面に意識を向けがちなため起こる症状なのかもしれません。
シルバーアロワナと似た形状を持つブラックアロワナは、南米のネグロ川を中心に生息しているアロワナです。自然下では90cm前後、飼育下では60cm前後に成長します。稚魚から幼魚のあいだは黒い身体に黄色い線が横に伸びている特徴的な見た目をしています。しかし、成長とともに鱗が銀色に変化。ブラックアロワナの成魚は、一見するとシルバーアロワナと同じように見えますが、ヒレの青みがより深い傾向にあります。
稚魚から成魚まで変化が楽しめるのもブラックアロワナならでは。また、シルバーアロワナと比べて目垂れを起こしづらいという特徴もあります。
自然下ではシルバーアロワナ同様、水上にいる虫をジャンプして捕食します。その様子から現地ではモンキーフィッシュと呼ばれることもあるそうです。
赤黒く染まっている飼育水(薄め)。ブラックウォーターは、水中にタンニン酸やフミン酸が溶け込んでいるため、このような見た目となる
ブラックアロワナが生息しているネグロ川流域は、ほとんどが浸水林(しんすいりん)。2〜6月の雨季になると水位が上がり、森が水に浸かっている状態になります。そのため、川には朽木や落ち葉が大量に蓄積されていきます。そこからタンニンなどが溶け出し、水が赤黒くなり、ブラックウォーターが生まれます。
ブラックウォーターは水質がpH4〜6.5と酸性に傾いています。飼育下では、その環境を再現するためにマジックリーフを使用して、意図的にブラックウォーターを作ることもあります。
しかしブラックウォーターにせず、ほかの魚と混泳させている人も少なくありません。実際、筆者もアジアアロワナやシルバーアロワナと混泳させています。水質は6.0〜7.0ですが、特に不調もなく餌食いもよい状態が続いています(あくまで筆者の飼育環境での話なので、弱酸性〜中性での飼育をおすすめするわけではありません)。
シルバーアロワナと比べるとデリケートな一面もあり、神経質で餌食いも控え目。飼育難易度は少し高めと言われています。流通量が少なく、高値で取引されていますが、市場に出るとすぐに買い手がつくほどの高い人気を誇ります。またシルバーアロワナよりも目垂れを起こしづらい品種と言われています。
繁殖は難しく、現在流通しているのはワイルド個体です。ほかのアロワナ同様、アルビノやプラチナ個体も存在しますが、非常に高値で取引されています。
そして現在、最も人気の高いのがアジアアロワナです。1844年にドイツ人の動物学者によって原記載されました。日本へ初めて輸入されたのは1971年。アジアに幅広く分布していたアジアアロワナですが、環境破壊や乱獲によって、その数は激減。一部の生息地では、ほとんど確認ができなくなっているそうです。
現在、流通しているのは養殖された個体なので、購入して飼育するのは問題ありません。
ただ、CITES(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)のI種に指定されているため、飼育の際には国へ申請が必要です。ちなみに申請方法は簡単。のちほど方法もご紹介します。
アジアアロワナにも複数のタイプが存在します。ここからはその種類を見ていきましょう。
グリーンアロワナのなかでも根強い人気のあるミャンマーバティック。成熟とともに唐草模様が出現する
もっともスタンダードなのは、グリーンアロワナ。「青龍(せいりゅう)」とも呼ばれています。カンボジアやタイ、マレーシアなどの東南アジアに広く分布するタイプで、繁殖力が高いため流通量も多く、価格もリーズナブルな傾向にあります。個体差もありますが、気性が荒いのが特徴です。
その名の通り緑色のヒレを持ちますが、鱗にはほとんど発色が見られません。全体的に淡い色合いで、素朴な魅力を持つアロワナです。飼育下では60cm前後にまで成長するため、奥行き60cm以上の水槽での飼育が必須です。
グリーンアロワナは、絶滅の恐れがあるとはされていない品種ですが、過背金龍(かせきんりゅう)や紅龍(こうりゅう)と同種とされているため、ワシントン条約の保護対象となっています。
ミャンマーバティックの幼魚。頬にうっすらと唐草模様が発現してきている
近年は、ナミグリーンやミャンマーバティックなど体表に唐草模様が表れるタイプのグリーンアロワナに注目が集まっています。
唐草グリーンアロワナとも呼ばれ、実に神秘的な印象を受ける素晴らしい品種です。
気性の荒い個体が多い傾向にあり、混泳させる際は注意が必要です。筆者の水槽では、ミャンマーバティックを紅龍、過背金龍など計9匹で混泳させていますが、自分よりも一回り大きい個体達を押しのけてボスに君臨しています。
そして最も人気の高いタイプのひとつが、金色に輝く「過背金龍(かせきんりゅう)」。マレーシア・マレー半島原産のアロワナで、成長しても50〜60cmの小型種です。「マレーシアゴールデン」や「クロスバック ゴールデン」と呼ばれることもあります。
身体全体に金の発色が見られることから、金運が上がると言われ、縁起の良い観賞魚として知られています。鱗に特徴的な藍色が表れるタイプは藍底(あいてい)過背金龍、またはブルーベースと呼ばれます。
過背金龍は、背中や頭部まで金の発色が見られる個体が良いとされ、観賞価値も高いとされています。個体によって色味が異なるため、コレクション性も高く、混泳させている愛好家も。
日本へ輸入されたのは1971年。タイから上野動物園へ送られてきたのが初めてだったそうです。
過背金龍の幼魚
現在、ワイルド(野生)個体は激減しているといわれていますが、養殖が盛んに行われているため、流通量は多い傾向です。主にシンガポールやインドネシアのファームで生産されています。
幼魚であれば安価に取引されていることも。その入手のしやすさからアジアアロワナの入門として、最初に飼育する人も少なくありません。
幼魚のうちは、金の発色は見られず、20cm前後から徐々に色が上がっていきます。早い段階で、発色する個体の方が将来性も高いとされていますが、時間をかけてしっかりと飼い込むことで、素晴らしい成長を遂げる場合もあるようです。全身に金の発色が見られる個体を、「フルゴールド」や「ベタ金」、頭部に金の発色のある個体を「ゴールデンヘッド」「ダイヤモンドヘッド」と呼びます。こうした個体は、数倍近い価格で取引されることもあります。
3列目の側線を基準に上の鱗を4列目、下を2列目と呼ぶ。写真の個体は、キングショートと呼ばれる特殊個体
ちなみにアロワナの側面にある点々は、側線と呼ばれる器官で、水流や水圧の変化などを感じとる重要な役割を持ちます。この側線の通っている鱗の列を3列目として計算します。過背金龍の場合、金が何列まで上がっているかがグレードを判断する基準となります。
この写真の個体は、まだ幼魚ですが金が4列目まで上がってきているため、将来性の高いアロワナといえます。つまり、将来的には背中(6列目)まで金が到達する可能性が高い個体です。
細框(さいかく)の特徴を持つ紅龍
また、アロワナの鱗の端、発色している部分を鱗框(りんかく)と呼びます。鱗框には大きく分けて3つの種類があります。写真のように細く発色している細框(さいかく)。
粗框の特徴を持つ過背金龍
太く発色している粗框(そかく)。
ベタ金になりつつある個体
境界線が曖昧なものを無框(むかく)。ちなみに「ベタ金」と呼ばれているタイプは、この無框の特徴を指しています。
この鱗框が発現することを愛好家の間では「巻く」という言葉を使って表現しています。鱗框は、下から上に発現していくため、「5列まで巻いてきた」「背中まで巻いた」という具合に使用します。
インドネシア・スマトラ島原産の「紅尾金龍(べにおきんりゅう)」。「紅金(べにきん)」と略されたり、「スマトラゴールデン」「インドネシアゴールデン」と呼ばれたりすることもあります。後方三鰭(こうほうさんひれ)の上半分が青色、下半分が赤色をしているため、「レッドテールゴールデン」の名でも親しまれています。
ちなみに紅龍が広く流通する前までは、紅尾金龍のことをレッドアロワナと読んでいたそうです。
飼育下では50〜60cmに成長する小型のアジアアロワナで、その名の通り、尾びれに赤い発色が見られます。過背金龍よりも落ち着いた金色をしており、背中には発色が見られません。ほかのアジアアロワナと比べると温和な性格をした個体が多く、混泳させやすいと言われています。
過背金龍よりも安価で取引される場合が多いですが、黒い背中がワイルドさを感じさせ、コアな愛好家も少なくありません。繁殖が難しいといわれるアジアアロワナのなかでは、比較的繁殖がしやすい品種で、国内での繁殖事例も複数報告されています。
金の巻きが4列目で止まることの多い紅尾金龍ですが、個体によっては5列目から背中まで巻くこともあります。こうした個体は、高背金龍と呼ばれ、価格も若干高値で取引されるようになります。
近年は、過背金龍のように背中まで金が巻くタイプが人気なことから、紅尾金龍と過背金龍を交配させることで、意図的に高背金龍を作出する動きが活発になっています。
現在、幼魚で流通している高背金龍は、過背金龍と紅尾金龍のハイブリットです。
一般的には、過背金龍ほどの発色は見られず、見劣りする傾向にあります。しかしグレードの高い個体は、過背金龍と大差ないほど色が上がることも。過背金龍と比べると安価に取引される傾向にあり、初心者にも購入しやすい品種と言えます。
「紅龍(こうりゅう)」は、ボルネオ原産の赤い体色を持つアジアアロワナ。「レッドアロワナ」や「スーパーレッド」と呼ばれ、最もコアなファンの多い品種です。養魚場や取り扱いショップによってオリジナルネームがつけられていることも多く、様々な名前が存在します。
赤い発色が特徴的で、飼い込むことで魅力が増し、自然下では90cm、飼育環境でも70cmちかくに成長。薄いオレンジや真紅など発色に個体差があり、飼育環境によっても色上がりに差が出る奥深さも人気の理由です。
発色は、個体の持つポテンシャルだけでなく、飼育環境や与える餌によっても変化するため、飼育者の知識やスキルも重要となります。発色は15cm以上の個体から見られ、最初はオレンジ色、ハイグレード個体なら徐々に赤味が強くなっていきます。
また、色味だけでなく体型も重要視されており、なかでも頭から口にかけてスプーンのように反り返っている「スプーンヘッド」や頭に丸みのある「フラッドヘッド」などは高い人気があります。
また口先が上にとがっている個体を鳥系、背中から尾にかけて盛り上がっている個体を豚系と呼ぶこともあります。
また紅龍は、品種改良(累代)が進められており、ヒレが長いタイプやショートボディといった特徴的な個体も多く存在します。
過背金龍と紅龍を交配することで誕生したのが、紫紅金龍(しこうきんりゅう)です。紅龍のような体高のある体型に金龍のような体色、頬に赤い発色が見られる場合が多いそうです。個体差が激しく、成長するまでどういった個体になるのか分からない魅力があります。
オーストラリアやパプアニューギニア原産のノーザンバラムンディ。野生下では、最大90cmにもなるアロワナ科の古代魚です。飼育下では60cm前後まで成長します。アジアアロワナに似ていますが、体高があり、頭部と顎先のヒゲが小さめ。そして鱗に放射状の斑点が入ります。
生息域は、流れの緩やかな河川や小川など止水域が中心。シルバーアロワナやアジアアロワナと同じように、水面上の虫や小魚、カエルなどを捕食します。また、他のアロワナと同じようにマウスブルーダーですが、ノーザンバラムンディはオスではなくメスが口内で子どもを育てるそうです。
寿命は10年前後。気性が荒く、混泳には向かないとされています。しかし、愛好家のなかには、他のアロワナとの混泳に成功している人もいます。
オーストラリアの南方に生息しているスポッテッドバラムンディ。ノーザンバラムンディ同様、ルアーフィッシングの対象として人気のある魚です。ノーザンバラムンディよりも水温の低い場所に生息していることもあり、アロワナのなかでも耐寒性の強い品種です。
体高が低く、細長い体型で、日本の川魚のようなフォルムをしています。生息域は、バラムンディ同様、流れの緩い河川や池などの止水域が中心。オーストラリア政府が自然保護のために輸出量を制限しているため、流通量が多くない品種です。
オステオグロッスム科に属するヘテロティスは、自然下で100cmまで成長しますが、飼育下ではそこまで大きくはなりません。アロワナに分類されている魚のなかで、唯一プランクトンを食べる品種です。好物は赤虫。人工飼料も食べてくれる個体も多いようです。
ほかのアロワナと比べて、顎が退化しており、口は鯉のような形状をしています。アジアアロワナ同様、観賞魚として高い人気があります。アフリカに生息しており、ナイル川水域に幅広く分布しています。しかし、地域差によって体色が異なるといった特徴は見られないそうです。
現地では食用魚として重宝されており、養殖も盛んに行われています。
他のアロワナ同様、縄張り意識を持っているため、同種との混泳難易度は高めです。
1800×750×450mmの水槽と可愛い猫たち
アロワナを育成する上で欠かせないのが、横1200mm以上、奥行き600mm以上の大型水槽です。これ以下だとアロワナが水槽内をターンできず、体をぶつけてしまい、顎ズレやエラめくれなどを引き起こす可能性があります。
また、大型水槽を設置する際に注意したいのが、設置場所の耐荷重です。スペース的には問題なくても、荷重量の問題で設置が難しいことも。
大型水槽は、アクリル製のものが一般的ですが、ガラス製の水槽もあります。ガラス水槽は、水槽本体の重量が重いため注意が必要です。1200×600×450mmのサイズなら水槽本体の重さは、ガラス製で30kg以上、アクリル製で15kg前後と倍近い差が生まれます。
ガラス水槽、アクリル水槽には、それぞれメリットとデメリットがあることを覚えておきましょう。
まず、ガラス水槽には、「傷がつきにくい」「劣化しづらい」「直射日光に強い」といったメリットがある反面、「重い」「割れやすい」「加工しづらい」などのデメリットもあります。
アクリル水槽はその逆で「割れづらい」「ガラス水槽と比べて軽い」「加工が容易」というメリットに対し、「傷が入りやすい」「透明度を維持しづらい」「紫外線に弱い」といったデメリットがあります。
プレコ(左)とダトニオ(右)
育成する生体によっても向き不向きがあります。例えばプレコは、苔を食べる際にアクリルを削ってしまうため、アクリル水槽での育成には向きません(細かい傷は気にしない方や、自分で研磨することのできる方にとっては大きな問題ではないと思います)。
1800のアクリル水槽。納期が半年先になる場合もある
また、大型のアクリル水槽を購入する場合、ほとんどがオーダーメイドとなります。購入方法は、まずアクリル水槽の専門店や熱帯魚店などに相談し、見積もりを依頼。その後、正式発注となります。
時期によっては納品が数か月後となる場合もあるので、大型のアロワナを購入する際は、納期も念頭に入れてスケジュールを組むと良いでしょう。
10年以上使用している120cmのアクリル水槽。大切に使えば寿命を伸ばすことも可能だ
中古を購入する際は、使用年数を必ず確認してください。アクリル水槽の寿命は10年前後。使用歴の長い水槽は、見た目がきれいでも、アクリル同士の接着面から水が徐々に染み出てくる可能性もあります。納期も短くリーズナブルに購入できる中古水槽ですが、購入する際は慎重に選ぶことをおすすめします。
アロワナ用の水槽には、底面に黒い板が使用されているタイプも多くあります。これは、クリアタイプだと底面に光が反射して、「アロワナが落ち着かない」「下を注視してしまい目垂れが起こりやすい」と言われているためです。
アロワナは丈夫な反面、神経質な魚でもあります。目が良い分、視覚から得る情報も多いのかもしれません。
アロワナ用の水槽には、底面だけでなく側面3ヶ所も黒く(または白く)なっているタイプの水槽もあります。側面に色板を使って目隠しをすることで、視覚的に得られる情報を減らし、アロワナを落ち着かせる効果もあるようです。
また水槽の色によってアロワナの体色(発色)が変化するため、4面ブラック、2面ホワイトしか使わないといったこだわりを持つ愛好家もいます。
フタの上には重石を忘れずに
ついつい忘れてしまうのですが、アロワナ育成で絶対に欠かせないのがフタです。アロワナは、死因の上位に飛び出し事故がランクインするほど、頻繁にジャンプする魚でもあります。
フタの上にはペットボトルを置くなどして厳重に対策しましょう。
ちなみに同じ古代魚であるポリプテルスも飛び出し事故が多い魚
40cmを超えるようなアロワナは、フタの上に重石として照明や餌袋を置いても軽々と跳ねのける力があります。近年は、飛び出し防止用のボルトがついた水槽も販売されているので、そちらを購入するのもおすすめです。
5年以上前から使っているが、まだまだ現役の木製の水槽台
そして大型水槽には、水槽台が欠かせません。水槽台を用意せず、床に直接置いたり、ステンレスや木製の台座に置いたりすると、重みで徐々にゆがみが生じる可能性も。場合によっては、水槽にひびが入って水漏れを起こすことがあります。水槽専門店によっては、木製の台座に乗せて使用した時点で保証が受けられなくなる場合もあります。
水槽台の小さなゆがみや凹凸によって、水槽の寿命が短くなってしまうケースは少なくありません。小型水槽のように、机やステンレスラックの上に設置できないので注意しましょう。
濾過システムは、水槽内の汚れを除去するのに欠かせません。アロワナを飼育する上で一般的なのは、水槽の上に設置するタイプの「上部式フィルター」や、水槽の下部に設置する「オーバーフロー式フィルター」、自分の好きな場所に設置が可能な「外部フィルター」の3タイプです。
なかでも一番おすすめなのは、オーバーフロー式フィルターです。このタイプは、メイン水槽の下に濾過専用の水槽(濾過槽)を設置して使用します。濾過槽からポンプを使ってメイン水槽へ水を送り、メイン水槽から溢れた水がパイプを伝って濾過槽へ戻っていく仕組みです。
濾過槽分の水量を確保できるだけでなく、ろ材も大量に使用できるため、ほかの濾過フィルターと比べても、圧倒的な濾過能力を誇るタイプです。ヒーターやポンプを濾過槽に設置できるので、メイン水槽のなかをすっきりさせることも可能です。
ただデメリットもあります。メイン水槽から濾過槽へ常に水を落とすため、大きな落水音が発生し続けてしまいます。
また、メイン水槽のほかに大きな水槽(濾過槽)を設置することになるので、重量が倍近くに増えます。そのため、床の耐荷重面も考慮しなければなりません。また、水を汲み上げる用のポンプは消費電力の高いものが多いため、ランニングコストがかかりやすい点も注意が必要です。
ただ、これらさえクリアできれば、圧倒的におすすめの濾過システムです。
上部式フィルターは、オーバーフロー式よりも濾過能力は若干劣るものの、リーズナブルでメンテナンスも簡単な濾過システムです。メイン水槽の上に濾過槽を設置し、ポンプを使って水を汲み上げていきます。水槽の上に設置するため、オーバーフロー式のように大きな濾過槽が配置できず、その分、濾過能力が劣ってしまいます。
しかし、飼育する生体数が少なかったり、週に数回の水換えができる人にとってはもってこいの濾過システムといえるでしょう。
外部式フィルターは、ほかの濾過システムと比べて、生物濾過の能力が高いという特徴があります。汲み上げた水が空気に触れない構造になっており、水中の二酸化炭素を逃がしにくい特徴を持ちます。大型魚の飼育よりは、水草などの育成向きと言えるでしょう。
しかし、仕組み上目詰まりを起こしやすく、排泄物や食べ残しが発生しやすい大型魚の水槽では、メインの濾過過システムとしては不安が残ります。
ほかの濾過システムをメインにして、サブとして使用している愛好家も少なくありません。
濾過システムが決まったら、次はろ材です。予め濾過フィルターとセットになって販売してあるものもありますが、そうでない場合は自分で選ばなくてはなりません。
濾過の方法は、主に「物理濾過」「生物濾過」「科学濾過」の3つがあります。
ウールマットがしっかりと汚れを濾し取り、部分的に黒く変色している
物理濾過は、水中を漂う、食べ残した餌やフンなどの汚れをウールマットやビニロックなどで濾し取っていく方法です。目に見えるゴミを濾過していきます。これらのろ材は、定期的に洗うことで繰り返し使うことができます。
セラミックろ材
生物濾過は、濾過バクテリアの活動を利用して魚にとって有害なアンモニアなどを分解し、無毒化もしくは毒性の低い物質へ変える方法。目に見えない有害物質を濾過していきます。このバクテリアの住処となるのが、セラミックやポリプロピレン製のろ材です。
こうしたろ材には、バクテリアが住み着きやすいように無数に小さい穴や凹凸があります。このろ材も洗うことで繰り返し使用が可能です。
そして化学濾過。活性炭やゼオライトなどを使って化学反応を起こすことで、悪臭やにごりなどの原因物質を吸着させて取り除いていく方法です。
化学濾過に使用するろ材の大半は、繰り返し使うことが難しく、短いスパン(2〜3ヶ月)で買い換える必要があります。
熱帯魚であるアロワナの飼育には、欠かすことのできないのがヒーターです。一般的には、水温を調整するサーモスタットにヒーターをつなげて使用します。
サーモスタットとヒーターが一体型のタイプも数多く出ていますが、ヒーターと水温を計るセンサーが近い分、故障や不具合が起きる可能性が高くなります。分離できないため、どちらかが故障した際にまとめて処分することに。よって、可能なら分かれているタイプのものの購入をおすすめします。
そして、使用期間にも注意しましょう。商品によって異なりますが、ヒーターは一年に一度の交換をおすすめします。長く使用しているヒーターは、予期せぬトラブルのもととなります。「ヒーターの故障に気づかずに水温が下がっていた」「サーモスタットが不具合を起こして水温が40℃を超えていた」というケースも珍しくありません。
使用期限を守る、こまめな掃除、予備として2系統は用意しておくなど、対策を怠らないようにしましょう。
配線むき出しの状態で近くに猫。非常に危険な例
小さな子どもや犬・猫といったペットを飼育してる方は、ヒーターのスイッチを手の届かない場所に設置することも忘れないようにしましょう。気がついたら電源がオフになっていた…なんてこともあります。
大型水槽用のヒーターは、500Wを超えるものが一般的です。冷蔵庫やレンジなどと併用するとブレーカーが落ちる可能性もあるため、注意が必要です。
そして観賞魚を美しく見せるためには欠かせないのが照明・ライトです。アロワナ飼育では、上部ライトのほかに、サイドから光をあてる水中照明を用いることがあります。水中ライトは水槽の側面に設置するため、アロワナに横から光が当たります。これによって、アロワナの体色や鱗がより美しく際立ちます。
水中ライトを使ってアロワナに強い光を照射することで色揚げ(発色を促すこと)を行うテニング tanning (またはタンニング)というテクニックもあります。そのため、上部ライトを使わずに水中ライトだけ使用している愛好家も少なくありません。
そしてアロワナ飼育を始めたら必要となるのが餌です。アロワナは神経質な魚なので、餌に対する好みも個体差があります。人工飼料をまったく食べない個体がいたり、ワームしか食べない美食家のような個体がいたり。
こうした個体には、根気よく餌付けを行い、人工飼料を食べてもらう必要があります(必ずしも人工飼料を与える必要はないのですが、生餌や冷凍餌ばかり与えているとコストがバカにならないという・・)。
アロワナを迎え入れた直後は、ショップで与えていたものと同じ餌を与えることをおすすめします。
ここからは、どのような餌があるのか見ていきましょう。
まずは人工飼料です。魚にとって必要なビタミンやタンパク質を配合して作られたもので、これさえ与えておけば問題ないという万能な餌です。人工飼料を中心に与えて育った個体の方が、健康を維持しやすく長生きするケースが多いと言われています。
アロワナの場合は、キョーリンのカーニバルが定番。カーニバルは浮遊性で、水面下を泳ぐアロワナにはもってこいの餌と言えるでしょう。
餌を食べるときは大きな口を開ける
ただ個体によっては食いつきが悪いこともあるので、餌付けが必要な場合もあります。個人的には、シルバーアロワナは餌付けしなくても、バクバク食べてくれる個体が多い印象です。
人工飼料は、ほかの餌と比べてリーズナブルで保管もしやすいため、積極的に活用していきたいところです。
乾燥餌はストックが容易ですが、栄養面に偏りが出やすいため注意が必要です。代表的なものとして、天然のオキアミを凍結乾燥させたテトラ (Tetra) のクリルがあります。食いつき抜群で、人工飼料と合わせて与えることで餌付けしやすくなる場合も。野生から捕獲したワイルド個体でも、よく食べてくれるほどの嗜好性のある餌です。
愛好家のなかには、クリルをおやつ感覚で食べている人もいるほどです。(非推奨)
ただ、酸化しやすいため、開封したものは早めに使い切る、または冷蔵庫での保管がおすすめです。
乾燥餌には、エビだけでなく昆虫のものもあります。嗜好性が高く、カルシウムも豊富。特に成長途中の個体にはオススメです。しかし、嗜好性が高いあまり、この餌ばかり与えていると、他の餌を食べなくなるリスクもあります。人工飼料と合わせてバランスよく与えるようにしましょう。
生きた虫に抵抗がある人にもおすすめです。
冷凍された小魚
冷凍餌はストックが容易で、栄養価も高く、嗜好性も高いことから多くの愛好家が利用しています。キビナゴやワカサギ、ピンクマウス、エビ、ドジョウなどが一般的です。なかでもキビナゴやワカサギは、嗜好性も高く、見た目が魚なので(当たり前ですが)抵抗なく与えられます。ただ油分が多いため、水を汚しやすい点には注意が必要です。
カエルを丸のみにするアロワナ
生餌は、金魚やメダカ、ドジョウなどの魚をはじめ、コオロギやジャイアントミルワームといった虫、カエルなどがあります。
金魚やメダカは、早く成長させたい場合によく用いられる生餌です。同じ水槽に泳がせておけば、いつでも餌がある状態に。これを生餌漬けと呼びます。アロワナは常に餌を食べられるため成長を早めることができます。
生餌用に販売されている金魚やメダカは、ペット用と比べてリーズナブルなので、そこまで値が張ることもありません。
ただ同じ魚類のため、病気や寄生虫を持ち込まれる可能性があります。与える前に塩浴や薬浴を行うなど対策を欠かさないことが大切です。
また、抵抗がなければ昆虫を与えるのもおすすめです。自然下でアロワナは虫を食べていることが多いため食いつき抜群。コオロギは栄養価も高く、ストックも簡単。餌としては申し分ない存在です。
ただ、あまりの嗜好性の高さに虫ばかり与えていると他の餌を食べなくなる個体もいるので注意しましょう。
さて、必要なものが揃ったところで、早速アロワナの育成方法を見ていきましょう。
小さいサイズの頃から混泳させると成功させやすいという意見も
アロワナは、23〜33℃と幅広い水温に適応できる魚です。しかし、病気を防ぎ、しっかりと成長させるなら、30度前後の高水温で育成することをおすすめします。水温が高ければ、新陳代謝が上がり、餌をよく食べるようになり、成長スピードも上がります。逆に28前後の水温で育てることで、食欲を抑え、ゆっくりと成長させる方法もあります。
自分の育成環境や「どのように育てていきたいのか」を踏まえ、検討すると良いでしょう。
アロワナへの餌やりは、1日に1〜2回、2日に1回のペースで行います。一度に与える量は、3〜5分程度で食べきれる量を与えます。
早く成長させたい場合は、これ以上のペースで与える場合もありますが、与えすぎには注意しましょう。自然下よりも泳ぐスペースの狭い水槽では、慢性的な運動不足になります。
そういったなかで頻繁に餌を与えると内臓脂肪が蓄積され、肥満になってしまうことも。アロワナを長生きさせるためには、太らせないことも重要です。
アロワナは、餌を食べた量だけ糞をします。餌を多く与える場合は、水が汚れるペースも早いので、水換え頻度も高くなります。
2日〜7日に1回、水の状態を確かめながら行いましょう。ひとつの目安としてはpHを確認することをおすすめします。pHが6.0を下回るとアロワナの不調につながりやすくなります。
餌を与えた後は底面に食べかすが溜まりがち
ちなみに筆者の1800mm水槽では(アロワナ7匹、混泳魚が8匹。水温30度)、1日1回の餌やりを行い、餌を与えた後に食べ残しや糞をスポイトで回収。水換えは3日に一度のペースで全体の1/3程度を換水しています。
一度に半分以上を換水すると、アロワナが水質の変化についていけず、体長を崩したり餌食いが悪くなったりします。最悪の場合、死んでしまう可能性もあるので注意が必要です。
また、水道水をそのまま水槽に入れると、塩素によってアロワナがダメージを受けることもあります。アクアリウム用の浄水器やカルキ抜きを欠かさずに使用しましょう。
また、濾過フィルターのメンテナンスも週に一度のペースで行いましょう。フィルターにゴミがたまると目詰まりを起こし、本来の濾過能力を発揮できなくなります。
基本的にアロワナは丈夫で病気になりづらい魚と言われています。しかし、水質の悪化している育成環境に置かれると、エロモナス感染症やカラムナリス感染症、水カビ病などに感染することも。ここでは、アロワナがなりやすい病気を見ていきましょう。
エロモナス感染症とは、エロモナス菌に感染することで発症する病気です。鱗が逆立って松ぼっくりのようなカタチになってしまう松かさ病や、目玉が外に突出するポップアイなどを引き起こします。重症化すると命にも関わるため、発見したらすぐに治療を行います。
治療方法としては、水温を30〜33℃まで上げて、3%の塩浴、または薬浴が必要となります。また、殺菌灯を導入したり、水換えの頻度を上げたりすることで改善するケースもあります。
重篤化する場合も珍しくはありません。この病気も水質の悪化が主な原因なので、水換えによる水質改善が効果的です。薬浴に関しては、金魚の松かさ病の治療法とほぼ同じですが、アロワナの場合は水温を30度以上に上げて薬の濃度を弱めて治療します。
塩浴の場合は、グリーンFゴールド顆粒を使うのが一般的です。アロワナなどの古代魚は、薬に弱いため、規定よりも薄め(半分から3分の1)にして使用します。(ちなみにグリーンFゴールドにはリキッドと顆粒がありますが、それぞれ成分・用途が異なるため注意が必要です)
エロモナス菌は常在菌なので、侵入を防ぐことはできません。アロワナがエロモナス感染症に感染する場合、水質悪化やストレスが原因になって免疫力が低下している可能性が高いです。治療とともに育成環境の見直しをすると良いでしょう。
カラムナリス感染症も常在菌によって引き起こされる病気です。感染部位が壊死して溶けてしまうため、アロワナの健康面だけでなく、観賞価値を著しく低下させます。
感染部位によって「尾腐れ病」「口腐れ病」など呼称が変化します。治療方法は、エロモナス病と同じで、高水温や塩浴・薬浴などがあげられます。
白点病は、「ウオノカイセンチュウ(白点虫)」という線毛虫に寄生されることによって引き起こされる病気です。感染した魚は、身体やヒレに白い斑点が現れ、痒がる様子を見せます。アロワナが、底面や側面に身体をこすりつける仕草を見せるようなら注意が必要です。
治療が遅れると死に至る場合もあるため、早めの対策を心がけましょう。治療方法は、他の病気と同じで、高水温や塩浴・薬浴が効果的です。
ウオノカイセンチュウは、26℃以上で活動が鈍くなるため、高水温とこまめな水換えのみで改善する場合もあります。
病気ではないのですが、アロワナと切っても切れないのが「目垂れ」です。観賞価値を損なうため、敬遠されていますが、命に関わることはありません。
目垂れの原因は究明されていませんが、アロワナが底面を注視することで引き起こされると考えられています。
目垂れ防止に、水面にペットボトルや人形を浮かべる愛好家もいる
水槽の底を泳ぐポリプテルスやプレコと混泳させたり、底面が反射しやすい材質になっていたりすると、目垂れしやすいと言われています。しかし、単独飼育をしていても目垂れする場合や、プレコと混泳させていても目垂れしない個体もいるため、真相は不明です。
目垂れは、治療することで改善します。治療は、アロワナに麻酔をして目の裏側に溜まった脂肪を切除する方法が一般的です。スキルと知識が必要となるため、必要な場合は、専門店に相談することをおすすめします。
エラめくれが悪化して治療のためにエラをカットした個体。ここまで重症化していると再生する可能性は低いという
その名の通り、エラがめくれあがっていく症状です。原因は、水槽サイズが合っていない(狭い)、水質悪化やストレスが考えられます。アロワナが水槽内でターンをする際に、エラをこすったりぶつけたりすることで発症するケースが多いようです。
水槽が狭いと顎ズレも起こしやすくなるため、必ずアロワナのサイズにあった水槽を用意しましょう。
アロワナ育成において、水槽のサイズ選びはとても重要です。水槽は大きいことに越したことはありません。しかし、稚魚・幼魚の頃からサイズの大きい水槽で育成すると、餌を捕食できなかったり、おびえてしまい暴れたりする可能性もあります。
一番良いのはアロワナの成長に合わせて、水槽もサイズアップしていくことです。しかし、私たちのような一般家庭で育成する場合、何度も水槽を買い直すのは現実的ではありません。
筆者の場合は過背金龍を1度の買い替えを行い、終生飼育を目指しています。ぜひ参考にしてみてください。
まず15cmの幼魚の段階では、一般的な600mmの規格水槽で育成をスタート。このサイズの水槽で育成している歳は、上部フィルターと投げ込み式のエアーレーションのみを使用。ちなみに餌は、小赤やクリルをメインに、カーニバルで餌付けを行っていました。
アロワナが25cmを超えたあたりで、1200×600×450mmの大型水槽に引っ越しをしてもらいました。アロワナのなかでは小型に分類される過背金龍。単独飼育であれば、このサイズでも終生飼育が可能だと思います。
アロワナは体長のある魚なので、水槽の奥行きが重要となります。横幅が1500mmでも奥行きが450mmでは終生飼育は難しくなります。ターンの際に身体がぶつかれば、顎ズレやエラめくれ、ストレスによる病気を引き起こす可能性も。
アロワナの終生飼育が可能なサイズの水槽を用意できるのか、よく考えた上で飼育を始めるようにしましょう。
アロワナは単独で育成することで、喧嘩によるヒレ裂けもなく、美しい状態を楽しめます。しかし、ひとつの水槽に複数の個体を泳がせる混泳にも大きな魅力があります。
アロワナは縄張り意識が強く、広い空間での混泳が難しい魚です。1800mmの水槽に2〜3匹のアロワナを泳がせた場合、すぐに喧嘩が始まってしまいます。ヒレを大きく広げて口を開けながら、相手の周りをくるくると回り始めます。激しく衝突するようなら、すぐにセパレーターを使って一匹ずつ隔離してあげましょう。
少ない匹数での混泳は、相性の良い個体同士なら成功することもありますが、難易度が高く、初心者のうちはおすすめできません。
混泳の成功率を上げるためには、「縄張り意識を持てないほどの過密飼育を行う 」「攻撃対象を1匹に絞らせないようにサイズを揃える」ことが重要です。
アロワナは、自分の縄張りに侵入してきたアロワナを攻撃します。しかし、過密飼育されている環境では、一匹を追い払っても別の個体がすぐにやってくるため、縄張りを守り続けることができなくなります。これを続けていくうちに縄張り意識が薄れていくため、混泳の成功率が上がる傾向にあります。
アロワナの場合、身体の大きな個体が小さな個体を攻撃する傾向にあります。体格差のあるアロワナ同士の混泳は、攻撃が一番弱い個体に集中してしまい、そのまま衰弱死してしまう可能性が高いです。そうならないために、サイズ差のない個体同士で混泳させる必要があるのです。
ただ、混泳に絶対はありません。上記の①と②を守っても、混泳が上手くいかないことは往々としてあります。逆に2匹での混泳に成功している愛好家もいます。最終的には個体同士の相性次第です。
愛好家は自身でトライ&エラーを繰り返しながら、オリジナルの混泳方法を確立しています。こうした正解のないところも、アロワナ育成の奥深さ・魅力なのかもしれません。
左からアロワナ、ダトニオ、ポリプテルス
アロワナ同士の混泳と比べると、幾分か難易度が下がるのが、他種との混泳です。ここでは、アロワナと混泳させやすい魚を紹介します。
50cmを超えるポリプテルス・エンドリケリー
アロワナの混泳魚といえば、ポリプテルスを最初にイメージする愛好家も多いはず。ポリプテルスは、水槽の低層を泳ぐため、上層を泳ぐアロワナとの相性は抜群です。
顔つきに個性があるのもポリプテルスの魅力。一般的にワイルド個体の方が鼻先が長く、迫力のある見た目をしている
アロワナの混泳魚として最も難易度の低い魚と言えるでしょう。ただし、お互い肉食魚なため、口に入らないサイズ同士であることが必須条件です。
品種によっては60cmを超えるポリプテルスだが、幼魚は数センチと可愛らしいサイズ。エンドリケリーの稚魚
品種も豊富で、50cm以上に成長する「ポリプテルス・エンドリケリー」、成長しても20〜40cmと小型の「ポリプテルス・デルヘッジ」など17種類が確認されています。
40cmを超えるエンドリケリーのお腹。個人的にお腹が一番可愛い
それぞれ個性があり、コレクション性が高いのもポリプテルスならでは。ポリプテルスのみを飼育し続けているコアな愛好家も少なくありません。
ポリプテルスのなかでも人気の高いビキールビキール(左)とエンドリケリーの幼魚(右)
ポリプテルス専門店も複数存在するほどの根強い人気を持っています。ポリプテルス同士でも喧嘩することが少なく、ひとつの水槽で様々な品種を楽しめるのも魅力的です。
餌は、メダカや小赤、人工飼料のキャットなどを食べます。
低層を元気よく泳ぐスタージョンシーキャット15cm
ポリプテルス同様、水槽の低層を泳ぐ魚として人気なのがスタージョンシーキャットやタイガーシャベルノーズキャットといったナマズ系です。
スタージョンシーキャットは、インドネシアなどに生息するサメのようなナマズです。性格が穏やかでアロワナはもちろん、同じ低層を泳ぐポリプテルスとも混泳が可能です。常に泳ぎ回るため、見ていて飽きない可愛らしいナマズです。ボルネオシャークと呼ばれることもあるそうです。サイズは30〜50cmにもなります。流通量は少なく、見つけたタイミングが買い時かもしれません。
餌はポリプテルス同様、メダカや小赤、人工飼料のキャットなどを食べます。
同じく、低層を泳ぐプレコも混泳魚としておすすめです。大型になるセルフィンプレコは、水槽の苔を取ってくれるお掃除係としても人気。流木や水槽の側面に張り付きながらヤスリのような口で苔をなめとって食べます。
ただ苔を食べる際、一緒にアクリル面を削ってしまうため、水槽に小さな傷が入るデメリットも。また、ポリプテルスのようにおとなしい魚の表面を舐めて傷つけてしまうこともあります。
パロットファイアー(右)は攻撃しているつもりでも攻撃力が低いためダトニオ(左)はほぼノーダメージ
シクリッド同士の異種間交配によって生まれた魚で、20〜30cmにまで成長します。鮮やかな体色が水槽内のアクセントになり、観賞面でも活躍してくれます。繁殖能力がないにも関わらず、産卵することもある悲しき魚でもあります。
丈夫で、アロワナ同士の喧嘩に突っ込んでいくメンタルの強い個体も多い印象です。筆者の水槽では喧嘩の仲裁役としても活躍してくれています。他の魚を攻撃することもありますが、口が小さいため相手をケガさせることは、ほとんどありません。餌は人工飼料や冷凍赤虫など幅広く食べます。
30cm目前のリアルバンド
アロワナの混泳魚として高い人気を誇るダトニオ。アロワナを龍、ダトニオを虎に見立て、「竜虎」を連想させる組み合わせで、縁起が良いとされています。
現在はほとんど出回ることのないシャムタイガー(本ダトニオ)をはじめ、ダトニオ・プラスワン、フォーバータイガーなど複数の種類が存在します。
小さいときは物陰に隠れたり、枯れ葉に擬態したりして過ごすダトニオ・プラスワン
現在、多く流通しているのは、ダトニオ・ミクロレピスという品種です。本ダトニオと比べて、バンドの数が1本多いタイプをダトニオ・プラスワン、同じ6本のタイプをリアルバンドと呼びます。
リアルバンドと呼ばれる個体
どちらも同じミクロレピスですが、リアルバンドの方が数が少なく、貴重とされ、高値で取引されています。
プラスワンと呼ばれる個体。発色が鮮やかで黄色が強い個体はイエロー系と呼ばれることも
個体によって発色の仕方に差があり、バンドの入り方も違うため、コレクション性の高い観賞魚です。飼育環境によっても発色度合いが変化します。
フォーバーダトニオと呼ばれる品種。比較的安価で、最大でも30cm前後と小型で飼育しやすい
発色具合が日によって違うこともあり、「今日はきれいに発色してる!」「あれ、昨日は発色してたのに…」と一喜一憂できるのも、ダトニオ飼育の楽しさです。
ニューギニア・ダトニオと呼ばれる個体、地肌が黒く、また違った雰囲気を楽しめる
同じダトニオでも、メニーバータイガーやニューギニア・ダトニオといった品種は、汽水域に生息しています。こういった品種も淡水で育成が可能なため、アロワナと混泳させられます。餌はメダカや小赤、冷凍エビ、乾燥エビ(クリル)などを与えます。餌付けすることで、人工飼料を食べるようになる場合もあります。
南米の大型シクリッドで、鮮やかな体色が魅力的な魚です。アロワナの混泳魚としても人気。現地では、ルアーフィッシングの対象としても有名。様々な種類があり、模様も個体差があるため、コレクション性が高いです。
品種にもよりますが、育成下では40〜50cmまで成長します。餌は生餌を好みます。個体によっては、人工飼料を食べづらい場合もあるので、小さいうちから餌付けを心がけましょう。
希少の荒い個体も多いため、アロワナと小競り合いを起こす場合もあります。
オセレイトスネークヘッドとも呼ばれるフラワートーマンは、30cm以上に成長する大型のスネークヘッドです。鮮やかな体色が魅力的。スネークヘッドの仲間のなかでは、比較的温和で混泳させやすい品種です。
同じフラワートーマンでも個体によって体色がまったく異なる
育成下では40cm前後にまで成長します。餌はメダカや小赤などの生餌やクリル、人工飼料を食べています。余談ですが、フラワートーマンを水槽に入れてから、全然発色しなかったダトニオたちが常時、発色するようになったことがありました。ダトニオの混泳魚としてもピッタリかも?
飛び出し事故の多い魚なので、フタをしっかりと締めることを忘れずに。
アジアアロワナは、CITES(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約))Ⅰ種に属しているため、育成する場合には「国際希少野生動物植物種に関する届け出書」の記入・届け出が必要です。ショップで購入した場合、友人から譲り受けた場合も、30日以内に届け出をすることが義務付けされています。
届け出方法は、郵送とウェブからの手続きの2つがあります。おすすめはウェブ手続き、簡単&切手代も不要です。ただスマートフォンからの申請はできないので、パソコンが必須となります。
申請に必要な書類は、以下の通りです。
アロワナを輸入する際に発行される登録票。申請の際には必ず必要となります。また申請後も捨てずに保管する書類なので、非常に重要な書類です。
登録票には、種名や輸入時(登録時)のサイズ、個体識別番号、登録年月、有効期間などが記載されています。正規ルートで輸入されたアロワナには、必ず、個体識別番号が分かる専用のチップが埋め込まれています。このチップと書類に記載されている個体識別番号が一致している状態でなければ、アロワナの育成は認められません。
一般的にアロワナを購入した際は、ショップからこの登録票と養殖したファームの証明書、国際希少野生動植物種に関する届け出書の3つを受け取ることになります。郵送で申請する場合は、この書類の項目に必要な情報を記載して発送します。
ファームによって証明書のデザインが異なる。これがまたコレクション欲を搔き立てる…
仮にアロワナが死亡した場合も届け出が必要となりますので注意しましょう。こうした届け出を怠ると罰則(罰金や懲役)が課せられます。必ず申請してください。
詳しい申請方法は、自然環境研究センターのHPをご確認ください。
アロワナは、10年以上も生きる非常に長寿な観賞魚で、品種によっては1mにも及ぶ大型魚でもあります。
それだけの魚を充分に育成するためには、かなりのスペースが必要となります。今は大丈夫でも、10年後には、子どもが生まれたり家族の介護が必要となったりと、育成する場所がなくなる可能性もあるかもしれない。そういった将来的なリスクを考えた上で、育成することが必要となる魚です。
またアロワナに限らず、大型の熱帯魚を育成する場合、ランニングコスト(維持費)がかかります。
アロワナの場合は、餌代のほかにヒーターやフィルターのポンプ、照明などの電気代も必要です。
アロワナを一匹育成する場合、人工飼料のみの場合であれば、月に2,000円〜3,000円前後。しかし、餌付けができていない個体であれば、冷凍餌や生餌などもバランスよく与える場合がほとんどです。そうなってくると、そうなると一か月の餌代は、5,000円を超える場合もあります。
<参考>
人工飼料・・・・・・・・・2,000円
生餌 (小赤100匹)・・・・1,500円
冷凍餌(エビ500g)・・・・1,000円
ヒーターは、大型の水槽になればなるほど消費電力が高いものを使用します。120㎝水槽用のヒーターであれば、夏場なら5,000〜8,000円前後。冬場なら10,000円を超えることもあります。これは水槽を置く場所にもよるので、あくまでも参考程度に留めてください。
近年は、放流とは名ばかりの不法投棄が頻繁にニュースや新聞で取り上げられるようになりました。こうした行いは、在来種を脅かし、自然環境の破壊にもつながります。
もし飼育が難しくなった場合は、専門店へ相談するようにしましょう。やむを得ない事情なら、叱られたり非難されたりすることもありません。
無責任な放流によって飼育が規制されてしまった観賞魚も存在します。アロワナは、ほかの魚にはない魅力を持つ素晴らしい観賞魚です。こうした魚をこれから先も楽しんでいくには、私たちの節度ある行動とモラルが欠かせません。
アロワナは本当に奥の深い魚です。少し厳しいことも書いてしまいましたが、ぜひあなたにも、その魅力を体感してほしいと思っています。
この先も多くの人がアロワナの魅力に触れていけるように、責任を持ってアロワナと向き合ってみませんか? 本当におすすめの観賞魚です。