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こんにちは、工業製造業系ライターの馬場です。日本酒が何より好きですが、ビールも好きです。つまり酒が好きです。
ビール好きの知り合いからこんな話を聞きました。
「生のホップをビールに追加して飲むと、ビールのおいしさが大幅に増して凄い!」
追いホップビール! 何それ、やってみたい!
生のホップを追加したビール。こういうことですね。
でも生のホップなんて、売っているのを見たことがない。ビールを醸造している人なら手に入るのでしょう。その知り合いは、ビールを自家醸造している飲み屋でそれを体験したそうです。ただ、生のホップはタイミングが合わないと手に入らないので、運よく居合わせないと飲めないとのことだった。ならば、ホップ農家の知り合いがいれば何とかなるのか? 残念ながらそんな友人はいない。
でも飲みたい。じゃあどうしよう!
栽培することにしました。
ホップの苗。品種は「ハラタウ」です。
ホップはアサ科のつる性多年草で、和名はセイヨウカラハナソウ。ビールの主原料の一つで、苦味や香りを決める重要な役割を持っています。また、雑菌を抑える作用もあり、ビールの保存性を高める役目もあります。なんでも揃うカインズですが、栽培しようと思った時にホップの苗はなかったので、山梨のホップ農家から取り寄せました。
ひとまず空きペットボトルを使って植える。
通常ホップは、根を切り分けて植える「株分け」で増やすそうです。風通しのいい水はけのよい場所で、アルカリ性の土壌を好みます。4月から6月ぐらいに根を土に植え、夏にかけてツルを伸ばし、秋頃にビールに入れる毬花が収穫できます。多年草なので、1回植えると数十年、毎年毬花が収穫できるそうです。
それはいいね! うまく栽培できれば毎年追いホップビールが味わえる。
1週間ほどで葉が出てきた。
ちなみに、日本だと北海道や岩手、山梨などで栽培されていますが、生産量はそれほど多くありません。日本で作られているビールに使われるホップは、主に乾燥させてペレット状にしたものを輸入して使っているそうです。
育て方の説明を色々見てみると、西日をあまり好まないとのこと。鉢植えで育てる場合は、風通しのいい午前中よく日のあたる場所に鉢を置くのがいいようです。また、北海道や東北などの比較的冷涼な地域で栽培されているイメージでしたが、個人で栽培されている方のレポートを見ると、結構暑いところでも育つようでした。
どんどんツルが伸びてきた。そろそろ植え替えないとまずい。
ツルは上に伸ばすと10m程の長さまで成長します。また、かなり根をはるので、地植えでなければ、大きめの鉢を使って栽培するのがいいようです。鉢の底に砂利を敷いて水はけをよくして、石灰を入れてアルカリ性に寄せた土か、野菜栽培用の土を入れて育てます。
カインズで10号の鉢を買ってきた。
栽培農家では高い柵を立て、上に伸ばして栽培していますが、家庭では、グリーンカーテンを作るように網に這わせて育てたり、朝顔を育てるような丸い輪のついた柵を高く立てたりして栽培することになります。成長に合わせて、伸ばす方向を変えてツルの巻き直しが必要です。
ということで、大きめの鉢をカインズで購入して、芽が伸びていたホップの苗を鉢に移しました。本格的に栽培開始です。午前中に日のよくあたる畑の脇を整備して鉢を置きました。
借りた畑の脇に鉢を置く。午前中によく日のあたる場所です。
ホップの栽培を行っているのは埼玉県大里郡寄居町です。埼玉と言ってもかなり奥の方で、電車だと池袋から約1時間半かかります。秩父に近く、ライン下りで有名な長瀞の手前です。関東平野の端で、ここから先は山が多くなります。
なんで寄居町かと言えば、最近東京から移住したからです。ホップの栽培のためではなく、仕事の縁や、トレイルランニング向けの施設を作ってみたいなど、色々考えての移住でした。
東京のこの辺りから、埼玉のこの辺りへ移住しました。
寄居町は、荒川上流域が街を貫き、三方が山に囲まれた地形をしています。熊谷や深谷のベッドタウンで、平野部は住宅が多いですが、中心市街地から走れば10分ほどで山に入れ、川も近く、自然が濃いのも特徴です。また、関越自動車道の花園インターに近く、大きな工場もあるので、製造業の企業数も人口に対する比率で言えばかなり多くあります。大きなスーパーもあり、日々の生活についてもあまり困りません。
東上線の寄居駅から30分も走れば山頂へ。こんな景色が見える。
工業系ライターとして仕事の関係もありましたが、なしにろ山や川が近く、電車で来やすい。そのため、トレイルランニング、ハイキング、チェアリングなどのアウトドアでの遊びをするため、頻繁に来ていた地域でした。
山の方に行くとこんな景色も。風布地区の夫婦滝。
そしてある日、駅の近くに非常に安い空き事務所物件を見つけます。いつに建てられたかハッキリわからない古い建物で、トイレ以外何もない物件でした。
寄居町は一年通して桜が見られる街でした。春の荒川沿いはこんな感じ。
このままでは何もできない物件ではありますが、DIYで直せば事務所兼、遊びに来る拠点になるかと借りることを決めます。
古い割には割と綺麗。
水回りやガス関係は自分ではどうにもならないので業者お願いしました。あとは、カインズで購入してきた床材を貼ったり、壁紙を貼ったりして半年以上かけて改修が完了します。
最終的にこんな感じに改修
結局、頻繁に来ているうちにもっと色々やりたくなり、こことは別に住む場所も見つけ、移住することとなります。
そんなわけで、都会から少し離れた駅前の空き物件にDIYで遊びの拠点を作ると、楽しくてうっかり移住してしまう話でした。これ以上書くと長くなるので、その話はまたいずれどこかで。
話を戻します。
こうして鉢に植えて栽培を開始したのが5月の中頃。風が心地よい新緑の季節でした。
本来は丈夫な1本を残して間引いた方がよかったようです。
ホップへの水やりは、土の表面が乾燥してきたらたっぷり与えていきます。肥料は、しばらく経って成長が活発になってきたら追肥して、月に1、2回与えていきます。そのように栽培方法に書いてあったので忠実にやってみました。
ツルが伸びてきたので支柱を追加。
鉢に植え替える際に使った畑の土の水はけがよすぎるのか、ホップの水の吸い上げが盛んなのか、割と直ぐに土がカラカラになったので、水やりは毎日実施します。7月に入り、本格的に暑くなってきた時には、朝、夕の2回水やりをすることもありました。
6本中3本が生き残る。
植えた苗は6本でしたが、結局ツルが伸びて成長を続けたのは3本のみ。残りは、成長が遅い? と思っていたら枯れてしまいます。
1本は上まで育つ。2本はまあまあ育つ
寄居町は暑いことで有名な熊谷市の隣。夏は熊谷同様にかなり暑いです。とはいえ、風もあり、都内に比べると乾いた感じの暑さなので、日影に入ると何とかしのげる。残りのホップは、育ちは遅いものの枯れることなく育ち続けました。8月の終わりには、1本だけ支柱の上までツルを伸ばします。
葉も、色はいいが気持ち小さい感じ
あまり育ちがよくなく、肥料か? 水か? 日照か? やはり、地植えがよかった? と色々原因を考えます。そして、多年草だし、来年になればビールに入れられる毬花が収穫できるだろうかと考えていた9月の終わり頃でした。ようやく結果が出ました。
夕方、ホップを畑に見に行くと、小さな塊を見つけます。
毬花ができた!
毬花ができていました。とはいえ、かなり小さい。この時は収穫をせず、数日待ってみましたが、結局茶色く変色して枯れたようになってしまいます。
収穫できそうな毬花ができた!
その後、もう何個か毬花ができたものの、同様に小さいうちに変色してそれ以上育ちません。そして、ようやく収穫できるような毬花ができます。
収穫できた貴重な生ホップ。
結局、収穫できるほどのホップができたのは2回だけ。全部で7個の毬花が収穫できました。半年ほどかかり、ようやく自家栽培の追いホップビールができます。
まずは、収穫した生ホップを割ってみます。
ビールの苦味や香りの元となる黄色い粒
中に黄色い粒が入っています。ルブリンというもので、これがビールの苦味や香りの元となります。この粒を指先で擦ると、グレープフルーツのような、フレッシュで爽やかなビールの香りがします。
よく揉んでビールにイン!
割ったホップをよく揉んでビールに入れます。ビールはカインズの黄金を使いました。少し混ぜてからしばらく置くと、ビールに生ホップの成分が移っていくので焦らず待ちましょう。
追いホップビール、飲みます!
爽やかさが全く違う!
追いホップビール、確かにうまいです。グレープフルーツのような柑橘系の香りが増し、苦味も引き立ちます。爽やかさが格段に上がります。そのままで飲んだ際には割と甘めな風味ですが、ホップを追加すると、鼻を抜けるフレッシュな香りが甘さを引き締める。疾走感が出てきます。これは凄い!
来年はもっとうまく育てて収穫量を増やし、仲間で集まって味わいたい味ですね。もしどこかで飲める機会があったら、迷わず飲んでください。衝撃的な変化でした。
追いホップビールで味の変化を体験することは難しいですが、ビールに何かをチョイ足しして飲んで、味の変化を楽しむことは簡単にできます。スパイスを入れる飲み方です。
コリアンダー、ジンジャー、純ココアをビールにチョイ足し。
スーパーでも売っているスパイスをビールに入れて飲みます。ビール好きの方でやる方も結構いるそうです。やり方は簡単で、スパイスを振り入れて混ぜ合わせるだけ。私がやった中では、コリアンダー、ジンジャー、純ココアあたりがおススメ。特に、黒ビールに純ココアの組み合わせがよかったです。
コリアンダー入りビールは暑い時にいい。
コリアンダーを入れたビールは、爽やかさが増します。ビールの甘みよりも、爽やかさが前に出てくる感じです。暑い時に、スッキリと一気に飲みたい。そんな時にはいいと思います。
ホワイトビールにはジンジャーが合う。
甘みと香りの強いホワイトビールにはジンジャーが合いました。そのまま飲むとメロン的な風味がありますが、ジンジャーを入れることで、ビール的な苦味が現れてきます。少し苦味のある大人のジンジャーエール。そんな感じです。何か健康によさそうな味になりました。
バレンタインとかにどこかのバーで出ていそう
黒ビールにココアを入れると、香ばしさが増し、ビール的な苦味よりもチョコ的な甘みや苦味が際立ってきます。チョコビールは元々あり、それをカクテル風に作る感じです。カルアミルクのような甘いカクテルではなく、香ばしく苦味のある大人のチョコ風味。これはかなりおススメの味です
ちなみに、比較的簡単に手に入るところで、ハーブティー向けに乾燥したホップが売られています。そちらも試してみたのですが、草の感じが強くイマイチでした。追いホップビールには、やはり生がいいようです。あと、生のパクチーやミントを入れて飲む方もいるようです。興味のある方は色々な生ハーブを試してみてください。世界が広がるかもしれません。