八百屋歴10年のプロが指南。新鮮でおいしい産直野菜を選ぶコツ
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目次/ INDEX
マロウは、色鮮やかな花をつけるハーブです。香りに大きな特徴はないものの、紫色の花がブルーのお茶に変化して、目を楽しませてくれます。
ドライハーブにしてハーブティーや雑貨に活用できるほか、収穫した日には生のエディブルフラワーとしても使えます。また、日当たりの良い場所であればどこでも育てられる、栽培のしやすさも魅力です。ここでは、マロウの育て方から活用法までを紹介します。
マロウは、ヨーロッパ南部を原産地とする、アオイ科ゼニアオイ属のハーブです。和名ではウスベニアオイと呼ばれています。
二年草または多年草で、高さ60cm~200cmほどの草丈に生長します。同じゼニアオイ属には、高さ30~60cmと小ぶりのムスクマロウや、ほふく性のコモンマロウなどがあります。
紫色~桃色の花が美しく、観賞用のほか、花を乾燥させたハーブティーも人気です。マロウの花のドライハーブに熱湯を注ぐと、青色のお茶を抽出できます。さらに、ここにレモンを入れると、鮮やかなピンク色に変化します。
マロウの栽培は、苗からでも種まきからでも始めることができます。苗を選ぶ際には、葉が黄色くなっていないか、茎が間延びしていないかに注意して選ぶとよいでしょう。
種まきは、3月上旬~5月下旬か9月~10月が適しています。種をまく際は、育苗ポットに3~4箇所の浅いくぼみをつけて、それぞれに1粒ずつまいていきます。種をまいたら薄く土をかぶせて、ジョウロで静かにたっぷりと水やりします。
発芽して本葉が5枚ほど出てきたら、生育の良い株を1つ残して間引きします。生育の悪い葉はハサミで剪定しておきます。そこからさらに本葉が4~6枚ほど育ってきたら、育苗ポットから鉢や庭に植え付けます。
マロウは、鉢植えでも地植えでもよく育ちます。鉢植えで育てる場合は、根が伸びやすいよう、深さのあるものを選びましょう。大きさは、9号(直径27cm)以上の鉢に植えることをおススメします。地植えの場合は、株と株の間隔を最低でも50cmは空けるようにしてください。
マロウは、日当たりのよい場所を好みます。日照不足だと、花付きが阻害されてしまいます。発芽に適した温度は15℃~20℃ですが、株へと生長すれば、寒さによく耐え、暑さにも強いです。
マロウは乾燥に強く、過湿を嫌います。よって、鉢植えなら土の表面が乾燥したタイミングで水やりすれば足ります。
地植えなら、すでに土が一定の保水力を備えていますので、ほとんど水やりは必要ありません。真夏の乾燥が続く日に限り、様子をみて水やりしてください。
水やりする際は、鉢植えなら鉢底から水がしみ出すくらい、地植えなら地表から10cmくらいまで吸水させるようなイメージで、たっぷりの水をやりましょう。
マロウは、日当たりと水はけの良い場所であれば、土壌の質は特に選びません。鉢植えの場合は、園芸用やハーブ用の市販の用土を使えば問題なく栽培できます。
肥料は、植え付け時に緩効性肥料を与えます。その後、つぼみを付け始めたタイミングや葉が広がりを見せ始めたタイミングで、生育具合を観察しながら追肥します。
追肥には、発酵鶏ふんや発酵油かすなどの有機肥料が適しています。1株につき10g程度の肥料を株元にまき、表面の土をほぐしながら土と肥料とを混ぜ合わせます。
マロウは、茎が分岐しながらそれぞれの茎に直径5cm程の花をたくさんつけます。5~9裂の切り込みをもつ葉は、過密になったら適宜剪定します。
咲き終えた花はこまめに摘み取り、茎全体の花が終わったら茎の根元から剪定します。株全体の花が終わり、冬越しを終えた翌年の早春に株を切り詰めておくと、株が若返って2年目もよく育ちます。
マロウは、根が枝分かれせずにまっすぐ下に伸びる直根性のハーブです。直根性のハーブは、根が傷つくと株全体が元気をなくしてしまいます。
よって、育苗ポットから植え付ける場合や、小さい鉢から大きい鉢へと植え替えたい場合は、根を傷つけないよう注意を払いましょう。
まずは、地面ないし土を入れた鉢に、予め根鉢と同じくらいの大きさの穴をあけておきます。根を傷つけないよう、ポットや鉢から根鉢を取り出し、素早く穴に置きます。隙間に土を流し込んだら、株元に土を寄せ、手のひらで軽く押さえつけるようにして株を安定させます。最後に、たっぷりの水をやります。
マロウは、花と葉を収穫できます。5月中旬~8月下旬に花を咲かせるので、開花したその日に摘み取ります。葉の収穫に適した時期は、7月上旬から9月下旬頃。次々と若い芽が出てくるので、葉の付け根から摘み取ります。
収穫した花は、新鮮なうちにエディブルフラワーとして料理の彩に使うか、乾燥させてハーブティーや雑貨に使います。若葉は、ゆでておひたしにしたり、炒め物にしたりして食べることができます。なお、花をドライハーブとして利用する場合は、1~2週間ほど日陰で乾燥させましょう。
先述したとおり、ドライにした花にお湯を注ぐと、きれいな青色のお茶になります。レモンを入れるとピンク色に変わって、色の変化を楽しめます。色は鮮やかですが、香りはあまり感じられません。お茶として楽しむ場合は、他のハーブとブレンドすることをおススメします。
マロウには、粘液質、アントシアニン、タンニンなどの成分が含まれています。よって、炎症を鎮めたり咳を和らげたりする働きがあり、うがい薬としても活用できます。
マロウは病気に強く、特に注意するべき病気はありません。一方、アブラムシやハマキムシなどの害虫には注意が必要です。
アブラムシは、新芽や蕾を集中的に吸汁します。増殖するとマロウの生長が阻害されてしまうので、見つけたらすぐに対処が必要です。
アブラムシの駆除には、粘着テープで取り除く方法、牛乳や石鹸水をスプレーする方法、ニームオイルや薬剤を使った方法などがあります。もっとも、アブラムシは放っておくとあっという間に増殖し、薬剤でもなかなか完全に駆除することができません。増えすぎる前に、早めに対処しましょう。
ハマキムシは、その名の通り、葉を巻き合わせて中に潜む害虫です。葉の光合成を阻害して生育を鈍らせたり、つぼみを食べて花の形を損ねてしまったりします。
数が少ない段階では、巻かれた葉の上から押しつぶして退治できますが、増えてくると追い付かなくなります。手で退治するのが難しくなったら、オルトラン水和剤、スミチオン乳剤などの薬剤を使って駆除しましょう。
マロウは病気に強く、日当たりさえ良ければどんな土壌でも育てやすいハーブです。ベランダのプランターでも気軽に育てられますので、園芸が初めての方にもおすすめできます。
花を収穫したら、ドライハーブにして、ハーブティーの色彩の変化も楽しめます。ぜひこのページを参考に、マロウの栽培にチャレンジしてくださいね。