肉肉肉の高タンパク超絶ガッツリ系チャーハンを喰らえ! ――ぼくのかんがえた最強の定食
リンクをコピーしました
目次/ INDEX
英名で「Thrips(スリップス)」とも呼ばれるアザミウマ。アザミウマ(スリップス)類に含まれる昆虫は世界で約500種類にのぼります。
アザミウマ(スリップス)は、幅広い植物に寄生するうえ、種類によって被害の発生の仕方や防除に有効な薬剤が異なるため、厄介な害虫です。今回は、野菜や果樹、園芸用の花卉などに害を及ぼすアザミウマ(スリップス)の予防と駆除方法を解説します。
野菜や果物の生育を害する代表的なアザミウマ類は、ミナミキイロアザミウマ、チャノキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、ネギアザミウマなどがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
ミナミキイロアザミウマは、体長1~2mmほどの小さな虫です。その名の通り、南アジアや東南アジアなど南方に生息していたとされるアザミウマで、体色は黄色。成虫の背中にたたまれているハネが、黒く浮き立ったように見えることが特徴です。
ミナミキイロアザミウマは、幅広い農作物に被害を発生させますが、ナスやキュウリ、カボチャやピーマンには被害が生じやすい一方で、トマトやイチゴには寄生しにくいことが分かっています。また、同じキクでも、品種によってミナミキイロアザミウマの被害が生じやすい品種とそうでない品種があります。
チャノキイロアザミウマの成虫は、体長約0.8mm。こちらも体色は黄色ですが、ミナミキイロアザミウマと比べてさらに極小で、雌の腹部背面や腹面に黒い帯状の突起があるのが特徴です。
その名のとおり、茶の葉を好む害虫ですが、柑橘類の果実にも深刻な被害を及ぼします。チャノキイロアザミウマは、5月下旬頃、茶園の新芽などに寄生して繁殖します。茶園などから周辺の果樹園に飛来するチャノキイロアザミウマは、6月頃~9月頃にわたり、柑橘などの果樹を加害します。
ミナミキイロアザミウマ同様に偏食で、同じ柑橘でもネーブルオレンジや温州ミカンなどは大きな被害を受ける一方、甘夏や伊予カンの被害は比較的軽いです。
ミカンキイロアザミウマの雌成虫は体長1.4~1.7mmで、体色は明黄色~褐色とばらつきがあります。雄成虫は1.0~1.2mm、体色は明るい黄色をしています。
幼虫、成虫ともに植物の汁を吸い、葉や果実の表面にかすり状の傷を残します。被害を受けた花は、花びらの褐色や変形によって見た目が損なわれるため、キクやガーベラなど花卉類への被害は深刻です。また、ハウス栽培のミカンの着色時期になるとハウス内に飛来し、ミカンの果実に被害を生じさせます。
ネギアザミウマの成虫は、体長1.1~1.6mm。ネギやタマネギのほか、柑橘類、エンドウ、アスパラガス、イチジク、カーネーションなどの花にも寄生します。
高温乾燥の気候を好み、3月~5月にかけて盛んに活動します。空梅雨や雨の少ない初夏は、ネギアザミウマに要注意です。雑草を含む様々な植物に寄生するので、栽培地周辺の雑草はしっかりと刈っておきましょう。
アザミウマは、植物の汁を吸う吸汁性の口を持っています。その口で葉や果実の汁を吸い、植物ごとに様々な被害を生じさせます。
テキーラの原料として知られ、日本では観賞用として親しまれているアガベは、アブラムシなども付きにくく、比較的育てやすい多肉植物です。そんなアガベも、アザミウマには注意が必要です。アザミウマの食害を受けると、葉の付け根から葉脈、葉縁に沿って茶褐色のかさぶたのような症状を呈して外観が損なわれてしまいます。
ミナミキイロアザミウマがナスの葉の汁を吸うと、葉表の主脈沿いの色は抜けたようになり、葉裏の葉脈沿いには銀白色の小斑が発生します。ホウレンソウなどの葉物野菜につくと、ケロイド状にちぢれた奇形葉が発生し、キクにつくと葉の表面がひきつったようになり黄色みを帯びてきます。
茶の葉を好むチャノキイロアザミウマに加害された茶の葉は変形、変色し、場合によっては枯れて落葉してしまいます。
アザミウマが果実の汁を吸うと、果皮にかすり傷のような傷が残ります。被害の現れ方は、アザミウマの種類や寄生植物の種類によってさまざまです。
チャノキイロアザミウマの被害が出やすい柑橘類は、ガクを中心に円を描くようにかすり傷のような被害が発生します。また、ブドウの果実が被害にあうと、表面がコルク化し、見た目が損なわれるだけでなく、生食用にも加工用にも使えなくなってしまいます。
ミナミキイロアザミウマがキュウリの果実を食害すると、果皮が凸凹になってイボが退化します。また、茶褐色の傷が発生したり、曲がり果ができたりします。
ネギアザミウマやミカンキイロアザミウマは、イチジクの果実の内部に入り込んで食害を発生させます。外見的には問題のない果実も、割ってみると内部が黄色~黄褐色に変色していることも珍しくありません。
イチゴの果実につきやすいアザミウマは、ミカンキイロアザミウマです。肥大化する前の若いイチゴの果皮の汁をよく吸い、着色を妨げたり黒ずみや茶色っぽい褐色変を生じさせたりします。
アザミウマは、バラなどの花卉の美観を損なう大敵としても悪名高い害虫です。新芽や柔らかい葉に産卵し、バラの開花時期にあたる5月~6月頃に幼虫や成虫の活動が活発化します。
アザミウマの幼虫や成虫は、開花前の蕾の段階から潜んでいます。花びらとガクの間の狭い場所を好んで吸汁するため、開花後の花びらが黄色く変色し、縁が変形して縮んだようになってしまいます。開花前の吸汁が酷い場合は、蕾のままで枯れてしまうこともあります。
アザミウマは、乾燥していて高温の気候を好みます。適温はアザミウマの種類によって異なりますが、温度条件で生長のスピードが大きく変わります。
例えば、チャノキイロアザミウマは、14.5℃の条件下では産卵から成虫にまるまで50日近くを要するのに対して、25℃の条件下ではたったの19日弱とスピードアップします。ミナミキイロアザミウマは、25℃の条件下ではたくさんの卵を生み、成虫になるまでの日数も14日程度と、高い繁殖力を発揮します。
このため、5月~7月上旬にかけてはアザミウマがどんどん増殖しますが、35℃近い高温になると成長スピードが止まり、死亡する個体も出てきます。
また、体長が小さく、水がかかると水滴にからめとられて死亡しやすいため、長梅雨の年や雨の多い時期には発生が抑えられます。湿度が上がると寄生菌が発生しやすくなるため、菌に侵されて死亡するアザミウマも出てきます。
アザミウマは、雑草の組織内に産卵して繁殖したり、越冬したりします。このため、雑草が残っているビニールハウス内や、周囲に雑草が生い茂る畑や果樹園は、アザミウマが増えるのにうってつけの環境です。
また、天敵の少ない環境はもちろん、アザミウマが増えやすい環境です。他の昆虫同様、害虫であるアザミウマにも天敵がいます。
チャノキイロアザミウマは、比較的天敵の少ない種類ですが、寄生蜂の一種であるタマゴバチや、アザミウマを食べるヒメハナカメムシなどは、有力な天敵です。アザミウマが繁殖しやすい雑草が豊富に茂り、なおかつ天敵であるタマゴバチやヒメハナカメムシが少ない環境は、アザミウマにとってのパラダイスといえるでしょう。
アザミウマを予防するためにまず行うべきことは、栽培場所をアザミウマ好みの環境にしないこと。ひとつは、産卵場所や越冬場所になりやすい雑草をこまめに刈り込み、除草を徹底することです。
そして、アザミウマの天敵にあたる虫たちを生かすこと。そのためには、有機リン剤や合成ピレスロイドといった全方位的に効果を発揮する薬剤を使うことは避けた方がよいでしょう。
農薬を使わない予防法のひとつに、光反射マルチを利用した防除方法があります。太陽光線をよく反射する銀白色のマルチ資材は、さまざまな害虫防除で使われており、アザミウマ対策にも有効です。
マルチによって太陽光線を下から当てることで、アザミウマは方向感覚が狂ってうまく飛べなくなります。この方法は、アザミウマが農作物や花卉に飛来するのを防ぐことはできますが、いったん定着して繁殖してしまうと効果は期待できなくなります。あくまで予防法として活用しましょう。
アザミウマは、黄色、赤、青、白を好みます。中でも、チャノキイロアザミウマやミカンキイロアザミウマは黄色を好み、ミナミキイロアザミウマは白や青を好むなど、アザミウマの種類によって好む色が異なります。
そこで、狙いを定めたアザミウマの好む色の着色粘着紙を利用すれば、ワナにかけて防除することができます。誘引性を高める工夫が施された粘着シートや粘着版も多数市販されているので、いろいろと試してみてください。
物理的な予防では追い付かない場合は、化学的防除、農薬の出番です。ここで気を付けるべき点は、アザミウマの駆除に有効で、かつアザミウマの天敵にあたる昆虫や無害な昆虫を殺さない農薬を選択することです。
また、アザミウマ(スリップス)類に有効とされている農薬でも、例えばミナミキイロアザミウマには効かない農薬もあります。さらに、成虫や幼虫は殺虫できても地中の蛹や植物の組織内に生みつけられた卵には効かないということも。
農薬で駆除を図る際は、パッケージに記載されている説明や使用方法をよく読んで使用し、散布後も有効性をよく観察するようにしましょう。
農薬散布の基本は、細かな粒子が植物上に均一に付着するよう散布することです。もっとも、アザミウマは葉の裏に生息していることが多いので、アザミウマ対策の観点からは、噴射口を上に向けて葉裏をめがけて散布するのがコツです。
また、果実のヘタ部分や新芽、柔らかい茎の生長点などには成虫が集まりやすいので、これらの部分にもダイレクトに噴射します。ブドウの棚の上の方に伸びた新梢などには、特にアザミウマが密集しやすいので、しっかりと農薬がかかるようにしましよう。
アザミウマに繰り返し同じ農薬を適用していると、抵抗性が出て効かなくなることがあります。また、ガクと果皮の間に隠れているアザミウマには農薬が届きにくく、駆除しにくいのも悩ましい点です。
そこで、農薬に少量の木酢液を混ぜて効果を高める手法や、砂糖を混ぜてアザミウマをおびき寄せる手法などが考えられます。どちらも一定の効果が得られる可能性はありますが、農薬や木酢液は混ぜると危険をともなうものもあります。説明書をよく読み、慎重に行いましょう。
アザミウマの種類からアザミウマによる被害の様子、そしてさまざまな予防と駆除の方法を紹介してきました。極小で、ガクの裏などに隠れていることの多いアザミウマ。なかなか発見しにくい害虫ですが、適切な予防と葉や果実を守り、美しい花を咲かせましょう。